実家が、娘を置いてくれることになった。
3日後に脱出する。
DV夫にばれないよう、細心の注意で、すべてを
運ばないといけない。
娘の学校の教科書、勉強道具、洋服。
スーツケースや段ボールに詰めていく。
夫が、いつ帰ってきてもおかしくない。
外の音に全神経を向けながら、物の選別、箱詰め。
娘が当日、持っていくもの。
実家に送るもの。
二度と、この家には戻らない。
冬服も夏服も、手早く入れる。
晩ご飯の用意もしておかないと。
夫が帰宅。
いつもどおりの晩御飯。
夫が寝た後、娘と息子と一緒に、脱出の手順を確認する。
私の出勤が一番早い。
次に夫。
その後に娘。
スーツケースは、前日に大学の実習室に置かせてもらう。
娘が家を出る時に、息子が家の前で夫が帰ってこ
ないか見張る。
娘は家を出たら大学に行き、スーツケースを回収。
駅にむかって、電車に乗る。
脱出の前夜。
夫が寝た後。
娘。「お母さん、〇〇(弟)。ありがとう。」
「お母さんと、〇〇(弟)と、離れたくないー!」
大号泣。
「うわーん!」
私の心の声「え?気になるのはそこ?
無事に脱出できるかどうかじゃないの?
夫に見つかったら、〇されるよ?」
娘「友達とも離れたくないー!」
私の心の声「え?友達?この子は何をのんき
なことを言ってるの?」
号泣し続ける娘。
娘の背中をなでながら、私の心にも人としての気
持ちが戻ってくる。
そうだね。
家を出るなんて思ってなかったよね。
おじいちゃん、おばあちゃんの家も、15年前に
行ったきりだったよね。お母さんにとっては実家
だけど、あんたには全然馴染みがないところだよね。
「ごめんな。お父さんとお母さんのせいで、こんな
つらい目に合わせて。あんたは悪くないのに。ほん
まにごめんな。」
娘はたくさんたくさん、泣きました。
翌日、無事に脱出しました。
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