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不安定な社会の到来

不安定な社会の到来
http://www.y-asakawa.com/message/kinkyu-message53.htm

近づく世界恐慌の足音
 

懸念した通り、G20首脳会議はこれといった成果が得られないまま終了した。IQ指数70の首相が提案した日本での次期開催など何処の国からも相手にされず、4月に予定されているG20はロンドンで開催されることが内定したようである。

大風呂敷を広げたIMFへの1000億ドル(10兆円)や世界銀行への20億ドル(2000億円 )の拠出金は本当に提案されたのか、また参加国からどう評価されたのか、その詳細はまったく報道されていない。首相も首相だが、日本のマスコミもお粗末の限りである。

いよいよこれから、各国は自国で発生する経済問題、社会問題に対して自力で立ち向かうことになる。その後も日々、世界中から経済的危機が現実化し、社会問題となっててきている状況が伝えられている。中でも心配なのがアメリカの三大自動車メーカーとシティーグループやバンク・オブ・アメリカをはじめとした金融機関の経営危機の先行きである。

今回は自動車メーカーの危機に絞ってお話ししよう。


自動車メーカーへの2兆円規模の緊急融資に対する法案がアメリカ民主党から議会に提案された。今週末までにはその賛否の結果が判明するはずであるが、共和党議員からは経営失敗のツケを税金で賄うことに対する不満が続出しており、楽観視できない状況にあるようだ。

問題は、2兆円程度の融資ではどの自動車メーカーも危機を脱することが到底出来ないという点である。今回の金融危機が起きずとも、小型車の開発やガソリン車からの脱却などへの立ち後れから、経営が危機的状況に立ち至っていたことを忘れては問題の本質を見誤ってしまう。すでにアメリカ市場で三大メーカーの販売シェアーは50%を大きく割っていたのである。

そこへ来て、一大金融危機の到来である。1社に10兆円を超す資金を融資するというのなら別だが、3社で2兆円程度では、その場しのぎの支援にしかならないことは明白である。仮に支援案が可決されたとしても、GM(ゼネラル・モーターズ)社の資金繰りはせいぜい春先までしか持たないはずだ。市場は既にそれを承知している。

その証拠に、GMの株価は既に3ドル台にまで下落してしまっている。55ドルあった株価が3ドルになったということは、5000円だったトヨタの株がたったの300円になったようなものである。1000円台の株で言うなら100円を切って60円台になってしまったわけであるから、誰が見ても、もはや事実上の倒産会社である。

経営悪化の状況は、GM社だけの問題ではない。3社の中では比較的安泰だと思われているフォード社でも、虎の子のマツダの持ち株を手放すなど、ここにきて資金調達になりふり構わぬ状況を見せ始めてきている。三社の車を販売するディーラーも大変なようで、議会に陳情に来た大手ディーラーの経営者は、先月からの販売落ち込みが前年比50%を割ってきていると発言している。10%や15%なら別だが50%減という数値は尋常ではない。

どうやら、苦境にあるのはメーカーだけでなく、ディーラーや下請け会社など三大メーカーに関わる業種の多くが破綻寸前に追い込まれているようである。影響は海外にある子会社にも及んでおり、今日のニュースでは、ドイツのオペル社(GM社に買収され子会社化されている)が、本社からの運転資金の送金のストップが近づいているとして、ドイツ政府に支援を依頼している。

こうした状況下、もしも、今週の議会で法案が否決されるような事態になったら、その影響は世界中に飛び火しそうである。中でも、来週のウオール街は1000ドルを超す下げによってパニックが襲うことになるかもしれない。そうなれば、いよいよ本格的なメルトダウンの発生である。

心配はこうした株式市場の先行きだけに留まらない。三大メーカーが次々と破綻するようなことになったら、大量の失業者が発生することになるからである。三大メーカー本体の従業員数は30万弱であるが、関連会社、下請け会社などを入れれば、その数は500万人に達すると言われている。これだけの人々が一気に職場を追われることになったら、デトロイトやシカゴだけでなくあらゆる州で大量の失業者が発生することになるのは必至である。

 

物心両面の備え


今ウオール街を歩くと、そこかしこに警察官が大量に配備されているのが目にとまる。それは、すでにサブプライム問題で職を失い、家を失って流浪の民となった人々が、ウオール街に勤務するビジネスマンに向かって抗議行動を頻発させているからである。「お前たちのお陰で俺たちはホームレスになってしまったんだ!」 、「ウオール街を閉鎖させて、お前たちも同じ境遇にしてやるから見ておれ!」 ・・・・・・、その様子を見ていると、もはや単なる抗議運動の域を超しており、まさに脅迫である。

こうした不穏な動きはすでにアメリカ各地で数多く発生しているようである。州軍や国軍の兵士が大量に招集されていると言う情報は既に何件も入ってきている。 どうやらアメリカ政府関係者は、これから先にやって来る企業倒産の嵐や、それによって発生する大量の失業者によって暴動やテロ、場合によっては内戦さえ起きる可能性 を十分に承知しているようである。そうなれば、否が応でもイラクやアフガンなどに軍隊を駐留させておくわけにはいかなくなってくる。

こうした状況は、何もアメリカだけに限ったことではない。既に景気後退局面入りが確認され、失業者数が180万人を突破して2010年には300万人に達すること が必至と言われているイギリスや、大量の出稼ぎ労働者が職を失い帰郷を始めている隣国中国においても、不足な事態の発生は十分にあり得ることである。

それよりお膝元の我が国においても、その兆しが見え始めてきてしまった。元厚生次官関係者を狙った一連の襲撃事件は、生活不安に対する腹いせ的なテロ事件に他ならない。こうした事件が起きると、同じ立場にいた方々は夜もぐっすり眠れない日々が続くこと なる。それがテロの恐ろしさである。なんともいやな世の中であるが、殺伐とした世界が続く限り、これから先も次々とこうした悲惨な事件が引き起こされていくことになりそうである。

このように、世界は今、経済的破綻だけに留まらず、未曾有の社会的不安の状況下に突入しようとしている。70代以下の人は誰も経験したことのない世界 の到来である。どうか読者には、物心両面から十分な備えをして、無用な不安や恐怖心から出来るだけ遠ざかった生き方をして頂きたいものである。

GMの破綻は堪えるだろう

金鉱株で資産形成(黄金郷篇)
http://gojira1218.blog87.fc2.com/

GMの破綻は堪えるだろう
2008年11月18日(火) 23:04
から引用。

今後、米国にとって大手企業(GMなど)の破綻は相当堪える事が予想される。それはドルの価値の維持にとってという意味である。シティが5万人のリストラを発表しているが、こういったこともすべて国力の低下につながる。米国の景気減速は相当なものになってきた。これらの問題はすべて将来の税収に関わってくるため米国債に影響を与え始める。これがドルの下落につながりだすと止まらなくなるかもしれない。金価格を引き下げなければ危ないという状況はこうして成立していると考えられる。新興国などからの資金引き上げによってドル高となっているが、逆に米国から資金が引き始めるとこちらも早いだろう。つまり常に紙一重の状態なのである。

GM会長「自力では無理」

GM会長「自力では無理」 政府によるつなぎ融資を正式要請
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081119AT3K1900319112008.html

 【ワシントン=大隅隆】米ゼネラル・モーターズ(GM)のワゴナー会長は18日、上院公聴会で証言した。ワゴナー会長は「我々が行き詰まったのはグローバルな金融危機と(それに伴う)戦後最悪の自動車販売の落ち込みだ」と指摘。「GMは過去100年、米国の重要な役割を担ってきたが、現下の情勢では自力では無理だ」と話し、政府によるつなぎ融資を求める考えを正式に表明した。

 ワゴナー会長は「自動車産業は米国の実態経済を担っている。(リストラも実施してきており)成功のために十分なことをしてこなかったと指摘する人には同意できない」と発言。自動車メーカーの破綻は「雇用減少、所得の減少、税収の減少など、悲惨な結果をもたらす。今回の(政府支援の)件は『デトロイト』というより米経済を悲惨な破綻からどう救うかという話」と強調した。 (07:24)

★転換期に入った世界経済 2

田中宇の国際ニュース解説
2008年11月18日
http://tanakanews.com/


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★転換期に入った世界経済
━━━━━━━━━━━━━

http://tanakanews.com/081118G20.htm
から引用。


▼リーマン破綻が世界の転機に

 今回のG20サミットは、世界経済の中心がG7からG20に転換する時期
に入る転換点になりそうだ(今後しばらく流れを見ないと確実なことは言えな
いが)。それでは、世界経済の転換点となりそうな今回のG20サミットは、
何故今の時期に開かれることになったのか。私が最近気づいた理由は「米当局
がリーマン・ブラザースを破綻させたから」である。

 昨夏以来の米国発の金融危機は、何回かの転機を経ている。一つ目は昨年8
月の金融危機の発生時で、これ以来、米金融界が主に帳簿外に持っていた不動
産担保債権があちこちで破綻し始め、それが簿外にあって所有者以外からは実
態が見えないため、不動産担保債権の取引市場全体が恐慌(信用崩壊)に陥っ
た。債権の多くが簿外にあって財務諸表上に見えないため、どの金融機関がど
れだけの不良債権を抱えているか各市場参加者は判断できず、恐慌は金融機関
相互の融資市場へと拡大し、米英の金融界は極度の貸し渋りに陥った(英金融
界は米のコピーなので感染した)。

 伝統的な恐慌は、一般の商取引における信用崩壊(手形や銀行を信用しなく
なることなど)を指すが、昨夏以来の金融危機は、不動産担保債権という、金
融機関どうしでのみ取引される金融市場で起きており、一般の人々から見えに
くいところで発生した。そのため、危機の本質がマスコミでもきちんと報じら
れなかった。米議会も、ポールソン財務長官らの説明で煙に巻かれた。金融機
関が破綻しそうになるのは金曜日が多く「アジアで月曜日の朝の株式市場が開
くまでに救済策を決めないとダメだ」とポールソンが議会や関係金融機関をけ
しかけ、議員や株主らの意向を無視して、不透明な対策が次々と決まった。

 金融危機の初期段階で、米当局が、金融界の簿外にある不良債権の全貌につ
いての情報をうまく公開していれば、いくつかの金融機関は不良債権を償却し
切れず潰れるものの、市場全体の相互信頼が再醸成され、金融界の恐慌は早期
に解消されていただろう。しかし米当局は、金融機関を守ることを優先し(も
しくは未必の故意的な自滅策で)、不良債権を簿外に放置することを許し続け、
不透明な状況を持続させた。米当局は、本質的な解決策と無関係な利下げや、
救済的な緊急融資の拡大しかやらなかった。その結果、危機はひどくなり、今
年3月のベアースターンズ破綻という2回目の転機を迎えた。

 ベアスタ破綻を機に、米当局は救済的な融資を一気に拡大した。これは、金
融市場の恐慌状態を解消する策ではなく、金融市場が死んでいるので当局が代
わりの貸し手になり切るという、問題の根本解決にならない、その場しのぎの
対策だった。これ以降、米英金融界では事実上、当局のみが唯一の貸し手とな
った。この後、当局による資金提供によって、金融機関は何とか運営していた
が、半年後の今年9月15日(週末論議の末の月曜日の未明)にリーマン・ブ
ラザースが倒産し、これと前後してメリルリンチ、AIG、ファニーメイなど
が相次いで破綻して、3回目の転機が来た。

 この転機の後、米政府は金融界に対し、返済を前提とした救済融資だけでな
く、返済されないことを前提とした公的資金の注入へと救済策を拡大した。救
済融資も、それまでの最優良格付けの債権のみを借り手の金融機関からの担保
として受け入れる(貸し倒れの懸念が少ない)体制から、ジャンク的な債権で
も担保とみなす、貸し倒れ(公金での補填が必要になる事態)の懸念が大きい
体制に転換した。公金注入と合わせ、米政府の金融救済策は、財政赤字の急増
が不可避な段階に突入した。

 米当局は昨年末以来の約1年間で2兆ドルの救済融資を金融界に入れたが、
そのうち1・1兆ドルは、リーマン破綻を機に融資条件がジャンク債担保にま
で緩和された後の2カ月間に融資されている。リーマン破綻は、米国の財政破
綻への地獄の扉を開いたのである。
http://www.huffingtonpost.com/howard-schweber/what-the-hell-is-paulson_b_143389.html

 リーマン倒産によって、リーマンが関与していたものなどの、巨額のCDS
(債権破綻保険)が清算される必要が生じた。米政府はこの危機に対応するた
め、CDSを積極的に発行していた保険会社AIGを政府の傘下に入れ、
AIGに救済融資をするなどして、CDSの清算を非公式に進めた。米財務省
がAIGに入れた700億ドルの公金は、CDSの保険金としてゴールドマン
サックスなどの金融機関の懐に入った。ポールソン財務長官は、ゴールドマン
出身である。公金を直接にゴールドマンに入れると目立つので、AIGを経由
させ、米国民と議会の目を欺いたと見ることもできる。
http://www.gata.org/node/6864

 米当局の対策は、すべて目先だけの対症療法で、簿外の不良債権は放置した
まま、その債権につけられていた保険であるCDSの清算を公金で行うという
状況だった。当然、本質的な解決である銀行間融資市場の蘇生は起こらず、当
局のみが唯一の貸し手で、しかも公金を使い、財政赤字を急増させながら、損
失覚悟の救済融資を拡大する事態となった。

 米当局が唯一の貸し手だったのだから、どこの銀行を救済してどこを潰すか
の生殺与奪を握っていたのは、米当局だった。米政府がリーマンの破綻を許可
(誘発)したことに、欧州諸国は驚愕した。リーマンのような債券金融界の要
衝を潰すと、債権の恐慌が拡大することは目に見えていた。そして、米政府は
恐慌の拡大に対し、公金を使って非効率な対症療法を本格化させた。このまま
では、いずれ米国は財政破綻し、ドルは基軸通貨の地位を失うだろうと、独仏
などの当局者が考えるのは当然だった。

 リーマン破綻から10日後の9月26日、仏サルコジ大統領が「ブレトンウ
ッズ会議のやり直し(基軸通貨体制の仕切り直し)が必要だ」と表明し、
11月15日のG20サミットを開く構想を最初にぶちあげた。サルコジはそ
の後、ロシアのメドベージェフ大統領や、ドイツのメルケル首相と話をつけ、
10月初旬には訪米してブッシュと会い、サミットの開催を決めた。英国のブ
ラウン首相は、通貨の多極化を実行されて英米の覇権体制を壊されてはたまら
ないと、サルコジに対抗する案を出したが、ブッシュは英国に冷淡で、サミッ
トは仏露の主導となった。

 今後、米英の国債と通貨がいつ破綻するのか、破綻しそうでしないのか、先
行きは確定的ではないが、米英ともに財政難がひどくなり、ドルとポンドへの
信頼が陰って、米英経済覇権が崩壊に向かう可能性は高い。それとともに、
G7中心の世界経済体制は、多極的なG20中心の体制へと転換していくこと
になりそうだ。世界経済は、多極型への転換期に入ったといえる。

★転換期に入った世界経済 1

田中宇の国際ニュース解説
2008年11月18日
http://tanakanews.com/


━━━━━━━━━━━━━
★転換期に入った世界経済
━━━━━━━━━━━━━

http://tanakanews.com/081118G20.htm

(前略)

▼大量破壊兵器としてのヘッジファンド

 ヘッジファンドの中には純然たる儲けのためにやっているところが多いだろ
うが、この業界は内情が全く不透明なので、中には、軍産複合体や英国、もし
くはその反対側にいる隠れ多極主義のニューヨーク資本家などの意を受けて、
国際政治の暗闘の一環として、どこかの国の通貨や株式市場を潰したり、石油
や金などの相場を急騰させたり下落させたりしている勢力もいそうだ。国防総
省にとっては、ミサイルでなく為替投機で敵国を先制攻撃するのも戦略の一つ
であり、同省には経済分野の安全保障の部署がある。

 ヘッジファンドが途上国の為替を暴落させた1997年のアジア通貨危機は、
国際政治を経済主導から軍事主導に転換させ、軍産複合体やネオコン、イスラ
エルが米政界で再台頭する先鞭をつけた。最近でも、ロシアは外貨準備が豊富
であるにもかかわらず、ロシアの株価や通貨が異様に下落させられている。逆
に、92年には、英国ポンドがヘッジファンドによって暴落させられている。

 ヘッジファンド業界が透明化され、資金が縮小すると、その後はおそらく投
機による為替の乱高下が世界的に少なくなる。これは、資産を急増させる
BRICや産油国などの途上国側の為替を投機によって潰そうとする英国や軍
産複合体にとって不利になる。

 しかも英国は、この2カ月ほどの間に、急速に経済状態が悪化し、すでに不
況に突入している。英国経済を支えるのは金融と不動産だが、金融界は米国と
同じレバレッジ型(アングロサクソン型)の金融で、米国と同様に大崩壊して
いる。金回りの悪化で、不動産市況も下落し、ピーク時から15%下がったと
発表されているが、実際の下げ幅はその3割増で、統計数字が操作されている
との指摘がある。来年末までに、英不動産相場はピーク時より35%の下落に
なると予測されている。企業倒産も急増している。英国は来年、ひどい不況に
なるだろう。
http://www.independent.co.uk/news/business/news/housing-market-far-worse-than-figures-suggest-1018081.html
http://business.timesonline.co.uk/tol/business/economics/article5110437.ece

 英政府は景気対策のために金利を大幅に下げ、財政赤字を急拡大して景気テ
コ入れをやっている。だが、金融崩壊の状態が解消されないので、景気はどん
どん悪くなる。利下げの影響で通貨ポンドが下落し、外国の投資家は英国債を
敬遠するようになった。11月15日には、英の野党の「影の蔵相」が「ブラ
ウン政権は、財政赤字を増やしすぎている。このままではポンドは崩壊する」
と、大胆な政府批判を行った。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/7730803.stm
http://www.ft.com/cms/s/0/8d48079e-b239-11dd-bbc9-0000779fd18c.html

 従来、ロンドンが世界的な金融センターであり続けられたのは、ポンドが強
い通貨だったからである。ポンドに崩壊懸念が続くと、世界の資金はロンドン
を敬遠するようになる。前回の記事に書いた「ビッグバン2」などの英金融再
生策も破綻する。
http://tanakanews.com/081113brettonwoods.htm

 もしかすると、次回のG20会議が開かれる4月末には、もはや英国は世界
を主導できる国ではなく、財政や通貨が破綻に瀕し、それこそIMFに救済を
求めねばならないような「失敗した国」に成り下がっているかもしれない。そ
うなると、G20を通じた世界の多極化を阻止しようとする勢力はいなくなる。

 世界の多極化を阻止しようとする勢力は英国だけではない。日本もそうだ。
麻生首相はG20会議に際し、ドルの覇権体制の永続を強く望むと表明し、
IMFに1000億ドルの資金を拠出すると発表した。しかし、G20の中で
は英国も仏露も、近隣の他の国々に事前に根回しし、仲間を募って主張を通そ
うとしているのに対し、日本は単独で動いている。そのため日本は、世界から
重視されていない。
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5jpqQc3amJBFFy_SizgXMhDvjTIDw

 G20による新世界秩序は、地域ごとの多極的な構造なので、仏がEUを代
表してロシアと協調するように、日本がG20で何か提案したければ、事前に
中国、韓国と話をつけて日中韓でやるのが効果的だ。だが、日本はいまだに米
英中心で、G7しか見ていない。日本政府は、米国が「隠れ多極主義」である
ことを見ようとしないので、昨今の国際政治の激動の本質が見えない。日本が
何か提案したら米国が歓迎し、ドル本位制と日本の対米従属を維持できると思
っている。それは、全くの夢物語である。

▼わきあがるドル破綻の暗雲

「隠れ多極主義」の米ブッシュ政権のポールソン財務長官は、英国に対する破
壊工作をやっている。ポールソンは先日、米財務省が7000億ドルの公金を
使って金融機関の不良債権を買い取る救済策を効果がないので中止し、代わり
に金融機関に資本注入する救済策に変更すると発表した。不良債権の買い取り
より資本注入の方がずっと効果があることは、10月にポールソンが不良債権
買い取り政策を言い出した当初から指摘されており、市場は、今ごろになって
方向転換するポールソンに懐疑心を抱き、米英の株価が急落した。中でも特に
急落したのが、英国の銀行株だった。

 ポールソンの従来案では、不良債権を買い取る対象は「米国で営業している
金融機関」で、米国で営業する英国の金融機関も救済対象になっていた。しか
し資本注入となると、米国の金融機関しか対象にならない。
http://thescotsman.scotsman.com/business/British-banks-battered-in-wake.4694079.jp

 G20諸国の中でも特にお金を持っている中国とサウジアラビアは、自国の
資金をIMFに注入し、その金で世界経済を救ってほしいとG20から要請さ
れているが、その要請には消極的である。中国もサウジも、IMFに金を出す
のではなく、自国の公共投資などを増やして経済成長を維持し、世界から商品
を買うことで世界経済に貢献したい、と表明している。
http://www.ft.com/cms/s/0/34727284-b415-11dd-8e35-0000779fd18c.html
http://www.ft.com/cms/s/0/64407d0a-ae7d-11dd-b621-000077b07658.html

 中国やサウジは、今までIMFを牛耳ってきた英米から「今後は君たちの発
言権を増やしてやるから、金を出してくれよ」と頼まれている。だが、中国も
サウジも「英米は狡猾だから、金だけ出させて、こちらが希望することは、何
だかんだと理由をつけて潰すに違いない」と疑っている。アヘン戦争やサイク
ス・ピコ条約以来、イラク戦争までの英米の200年の狡猾と暴虐を見れば、
疑いは当然だ。

 しかし、中国やサウジが「英米を疑う自由」を享受できる期間は、今後それ
ほど長くないかもしれない。というのは、中国やサウジが自国通貨をペッグし
ている米ドルの将来に、暗雲が垂れ込めているからだ。債券市場では9月のリ
ーマン・ブラザースの倒産後、米国債の10年ものの利回りが、2年ものの利
回りに比べ、じりじりと上昇する事態となり、金利差は2%から3%へと拡大
している。この間、連銀が利下げしたので金利自体は低くなっているが、長期
と短期の米国債の金利差が広がっている。

 一般に、金利差が拡大するのは、不況から好況に切り替わりそうな時期であ
る。長期的には好況になって金利が上がりそうだと予測する投資家が長期国債
を好んで買い、長期債の利回りが上がる。しかし今回は、これから不況になる
時期の金利差の拡大である。この場合、いずれ国債が売れなくなって金利が上
昇すると予測している投資家が増えていると考えられる。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601103&sid=aKmxK0Dtpv4I&refer=news

▼オバマの財政赤字拡大

 いずれ米国債の買い手がいなくなると投資家が予測していることは、米国債
のCDS(債券破綻保険)の保険料の上昇からもうかがえる。昨年度まで米政
府の新規国債発行(財政赤字額)は5000億ドル前後だったが、今年度(来
年9月まで)は、すでに7000億ドルの金融救済費と、5000億ドルの景
気対策費が加わることが決まっており、赤字総額は通常年度の3倍以上の
1・5兆−2兆ドルに達すると予測されている。

 米政府が救済せねばならない企業や金融機関は増えるばかりだ。9月には、
投資銀行の残存2行が商業銀行に転換して米当局からの救済金を受け始めたし、
最近ではカード会社のアメリカン・エクスプレスも商業銀行扱いに転換し、政
府救済の対象となった。倒産寸前のGMなど自動車会社も、何とかして政府救
済を受けようとロビー活動を展開している。今年度の財政赤字はもっと増えそ
うだ。いろいろな金融救済策と景気対策の財政出動を全部合わせると、すでに
5兆ドルの支出枠が作られていると、米経済誌フォーブスが報じている。
http://www.forbes.com/home/2008/11/12/paulson-bernanke-fed-biz-wall-cx_lm_1112bailout.html

 米国内では、国民も金融機関も赤字増で、国債を吸収できる余力がない。頼
みの綱は外国人投資家だが、投資家は中東でも中国でも、米国への投資に対す
る警戒感を強めている。いずれ、米国債は売れなくなり、長期金利はさらに高
騰しかねない。米国は、国債とドルの破綻への懸念が強まっている。米経済誌
バロンズは最近、米国債破綻を懸念する「米政府はもう借りられなくなる?」
(Uncle Sam's Credit Line Running Out?)という記事を出した。
http://online.barrons.com/article/SB122633310980913759.html

 オバマは、ブッシュ政権が消極的になっている自動車産業の救済にも積極的
で「今後2−3年は、景気対策がとても重要なので、財政赤字の増加を気にす
る必要はない」と表明した。財政破綻の懸念が高まっても気にせず、景気対策
の財政出動を急拡大させる、という宣言である。
http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2008/11/18/2003428915

 これは、意図的に米財政を破綻させるような、自滅的な財政赤字の急拡大を
やった共和党のニクソン、レーガン、現ブッシュと同じ姿勢にも見えるが、オ
バマは民主党だ。多極主義のNY資本家が強い共和党ではない。民主党にもネ
オコンに似たネオリベラルはいるが、現時点では、オバマは自滅的ではないと
いう前提で考えた方が無難だ。

 オバマは景気対策の急拡大で財政危機に陥りながらも、米財政を破綻させな
いようにすると考えられるが、その場合、中国や産油国といったBRIC・新
興諸国の金持ち国を政治的に優遇し、米国を経済的に助けてくれるように誘導
せねばならない。オバマも、G7ではなくG20を重視することになるだろう。
オバマがヘッジファンド規制に積極的なのも、中国やサウジを頼らなければな
らなくなることと関連があるかもしれない。

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