2015年10月06日
ブラック企業アリさん引越社副社長 「何をぬかしとるんや、コラァ!」と逆上
ブラック企業だと訴訟を起こされた「アリさんマークの引越社」の幹部が、労働組合員らを恫喝する様子がユーチューブに投稿されて物議を醸している。引越社側は、「トラブルがあったのは事実」とだけ言っている。
「お前、何踏んでんねん、オイ!」。引越社関東の副社長が足元を指差し、ビデオを撮る組合員にこう声を張り上げる。すると、派遣ユニオンの書記長が「もうちょっと丁寧なお話をした方がいいよ」と戒めた。
労組側「尋常な人じゃないですよ」
ところが、副社長は、さらに逆上して、「あ? 何?」「謝ったら何してもええんか」と詰め寄って...。
これは、ユーチューブに2015年10月1日に投稿された4分強の動画の1シーンだ。
この日は、引越社相手に訴訟を起こした男性社員(34)が加入している労組「プレカリアートユニオン」などが、東京都内の引越社関東のオフィス前で抗議活動をしていた。副社長らは、仕事の邪魔になると拡声器の使用中止を求めようとして、外に出てきたらしい。
組合員に詰め寄る副社長に、派遣ユニオン書記長が「何か尋常な人じゃないですよ、そういう話し方は」と諭すと、副社長は、「何をぬかしとるんや、コラァ!」「誰に言うてんねん」などと怒り、押し問答はしばらく続いた。
この動画は、プレカリアートユニオン側が投稿し、ネット上で大きな反響を呼んだ。10月5日夕現在で、60万回ほども再生されている。副社長が組合員に足を踏まれてカッとなったようだが、動画にもアップされたためイメージダウンになるといった声が相次いでいる。
引越社を巡っては、社員らから、残業代が支払われなかった、仕事中の荷物破損や車両事故の損害を給与から天引きされたといった指摘が出ている。男性社員は、組合活動をしたことで不当な配置転換を受けたとして、7月31日に地位確認などを求める訴訟を起こしていた。
「トラブルがあったのは事実です」
報道などによると、男性社員は、会社の機密を漏らしたり訴訟で会社の名誉を害したりしたとして、8月11日付で懲戒解雇処分を受けていた。そのときに、男性社員の「罪状」を挙げ、「一生を棒にふることになりますよ」と強調した解雇通知が全店に貼り出されるなどしたという。
男性社員が仮処分の申し立てなどをすると、引越社は、一転して解雇を撤回し、男性社員は10月1日に復職した。
ところが、以前の営業担当ではなく、6月に配置転換を受けたシュレッダー係にそのまま据え置かれてしまった。
さらに、男性社員は、前出の動画でプレカリアートユニオンの執行委員長からインタビューを受け、驚くべき内容を告白した。
「再掲示」と書かれた解雇通知を掲げ、この紙がまだ社内で貼られたままだというのだ。それも、もっと場所が増えており、タイムカードにもテープで貼り付けてあったという。
シュレッダー係の職場でも、男性社員の顔を切り抜いて掲示板に貼ったうえ、その上下に次のように書かれた紙が貼られていたそうだ。
「北朝鮮人帰れ」「過激派の流れを汲むような怖い人は去れ!」
プレカリアートユニオンの委員長も、この掲示板を撮った写真をツイッターで紹介している。
引越社関東の広報担当者は、副社長が組合員を恫喝したことについて、「トラブルがあったのは事実です」と取材に答えた。しかし、その内容については、「係争中の案件ですので、細かい部分はお答えできかねます」とした。解雇通知が再び貼られたり、「北朝鮮人帰れ」といった紙が掲示されたりしたかについても、事実かどうかは答えられないという。
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