古老の話によると、昔は名字が無かったそうだ。
そのせいか、この島の古老達は、あだ名をよく使っている。
また、あだ名のつけ方が、ユニークで、特徴をよくとらえている。
普通は、大工屋あるいは畳屋、鍛冶屋など、職業による名前を使っているが、結構あだ名を使う場合が多い。
ある体の大きな巨漢の人がいたそうだ。その人のあだ名は、軍艦とつけたそうだ。まともに名前を言っても分からないが、軍艦といえば、すぐ島中で通じる。
そして、その一家は今でも軍艦屋、と呼ばれているそうだ。
その家の嫁は軍艦の嫁と呼ばれ、孫達は軍艦の孫と呼び、誰も苗字を使わない。
ひかるが帰郷し隣村を散策中、おばあちゃんが杖を持って石に腰掛け休んでいた。会釈をし通り過ぎようとしたら、まじまじと見て手招きする。
「初めて見る顔だが、あんたは、一万円か?」と言う。
何の事だ??
訳が分からない。
ボケているのか??
名字を言うと「やっぱりあんたは一万円だ」と言う。
そして、一万円の子供だと言う。
訳を聞くと、ひかるの父が生前、魚獲りの名人だった。
注文を聞き、注文通りの魚種を獲って来、売り歩いていた。
漁で稼ぐので、一日いくら稼ぐのだと聞いたそうだ。
父は「一万円に決めている。それ以上獲らない」と言ったそうだ。
その話一つで翌日からは、一万円というあだ名が島中、伝わったそうだ。
だから父に似ている、ひかるを一万円、いや、一万円の子供だと言う。
それにしても、一万円の子供なら五千円か?
まさか、千円という訳ではないだろう。
よく考えると、ひかるは聖徳太子と肩を並べる大大人物だぞ!!!
しかし大蔵省、なんとか一万円以上の紙幣を発行してくれ。
ひかるは一生、一万円を越えられないではないか。
出来れば、ひかるをモデルに・・・
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image