2024年11月13日
1107 涙
ひかるは昭和40年の入社時、都会の人にだけは負けたくない、と言う一心で、自分なりの知恵を絞っていました。
当時のテレビカメラはバカでかく、支える三脚は鉄の塊、ケーブルは、78芯で銅の束。
それをカメラ台数分セッティングし、撤去。毎日が、大綱引き。
それに比べ、スタジオは冷暖房完備で、暇な時には、タレントとも気楽に接する事が出来、同期の人達は、大半がスタジオ勤務を希望。
ひかるは都会の人達に負けない為には、丈夫な体を使い、皆が嫌がる中継部門で、自分の存在価値を見い出そう、と考え、中継部門を希望したのである。
当時、球場は勿論、殆んどのホールなど、中継回線が敷設されておらず、綱引きだらけ。
しかし、体力だけでは、単なるバカ力持ちだけに過ぎず、勝負になりません。
わら半紙を買い込み、毎日出かける球場や劇場は勿論、各区民ホール等の中継車の駐車位置やケーブル長。
引き回しからオケピットや舞台裏の状況。
ケーブルがお客の導線をまたぐ場合のケーブル覆いのジュータンの枚数から、色など。
克明にデータを作り、次回そのホールを使う時は、必ずデータを頭に叩き込み、仕事に望みます。
数年後には、関東一円の殆んどのデータが出来上がり、あいつがいれば大丈夫だ、と言われ、若い連中のリーダーシップが取れるようになった頃、前記した通り、30歳で、社外族から、会社全体の流れを見る立場に立たされ、自分なりに周りの状況を分析、突破口を、見い出したのです。
我々の脳細胞は、120億も有ると言われ、この組み合わせから絞り出される知恵は、無限で、枯渇する事はあり得ません。
もし、枯渇を心配する人が居るとすれば、それは、太平洋の水をバケツで汲み、水が枯渇するのを心配しているようなもので、無尽蔵な財産を使わずに、このまま灰にするには、あまりにももったいない話である。
ひかるは、波と岩の熾烈な戦いの中にも、自分なりの答え、「これしかない!」を見い出しました。
そして父の生き方より、前にも行けず、引く事叶わず、ただ、現状のまま耐えるしかない。「これしかない!」事を教えられ、これしかない道を求めるよう、心がける事が出来ました。
誰しも、その時々の状況に応じ、今採れる最良の道を求めれば、結果については納得できるはず。
知恵という財産、知財を最大限有効に使うテクニックとして、これしかない!、方法を試みる必要があるかと思います。
遅くない これしかない! 道 やってみよう。
1106 知恵
都会の子供達を見る時、伸び伸びと遊ぶ場所や自然を見つめ、自分を見つめる場が少ないのには、考えさせられます。
子供は、遊びや自然との触合いの中から世間を見、色々な事に興味や疑問を感じ、人間や自然のルール、正しい心のあり方を学びとって行きます。
親の育て方にも問題があるのではないだろうか。
子供は誰しも、多少の癖やそそうはあります。
その部分を拡大するのではなく、良い点を10倍20倍にも拡大。
信じ見守ってやるべきで、子供は親に信じてもらえなければ、誰に信じてもらえるのだろうか。
もし、親の考え方や方向づけで、子供の持てる素晴らしい才能や芽を潰すような事があっては、子供の生涯に問題を残し、大きな罪を犯した事になります。
ひかるは14歳で5コマ漫画に出会い、魔法の箱、テレビの解明を志し上京。
当時は、数少なかった出来たばっかりのカラーテレビ学科を選択。
テレビ業界を目指し、貫き通しました。
今の子供達には、もっと広い門戸が開かれているはず。
皆が同じ方向に殺到する必要はなく、自分の求める道を本気で全うすべきでしょう。
恵まれ過ぎ、夢が見つけられず、虚無の世界をさまよう若者達を見る時、心痛あるのみ。
子供は、親の宝であると同時に、世の宝、無限の可能性を秘めています。
物事を自分で判断し、自分に合った生き方、世界を舞台に活躍出来る、立派な人間に育って欲しい、と願わざるを得ません。
無い無い尽くしの少年が、体一つで生き抜いて行くには、どうあるべきか、と考えた時、知恵を使う大事さに気づきました。
一口に知恵と言っても、日常の些細な問題から、仕事や人生に関するまで、多種多様。
世の中、大発見と言われるものでも、ちょっとしたアイディアや、見方、発想の転換から出てくる場合が多いかと思います。
成り行きに身を任せて過ごす人や、何事にも知恵を絞りだす人。
こうした個人差、これこそ人生の分かれ目に、なるのではないだろうか。
如何なる有名大学で学問を詰め込んだとしても、それを引き出し、自分の個性に合った知恵、として応用出来なければ、宝の持ち腐れ、時が過ぎると忘れていきます。
また、知恵を引き出す訓練の出来ている人は、どんな職種や職場へ回されたとしても、何らかの形で結果を残せる、実行力のある人間になれるのだ。