今日は人生の節目に読む本のお話を。
私が体験した没頭の世界
私が読書にハマり始めた時に、はじめに手を取った作家は村上春樹さんの「海辺のカフカ」でした。
理由としては有名とか人気があるとか、そんな事前情報はなく単に図書館でたまたま手に取っただけでした。その物語が面白くハマってしまい、そのまま初期の本から順に読むようになりました。
その中で運命的な作品に出会いました。それが「ダンス・ダンス・ダンス」です。
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫) [ 村上春樹 ] 価格:712円 |
その当時の感想でいえば、何が面白いとかそういうものではなくスーッと物語の世界に入りつつときどき文章(登場人物のセリフ・心理描写)から自分の思考に移動する、、、物語の世界と自分の世界をボンヤリと行き来できる。その感覚は自分の肉体感覚からも離れている超集中状態だったと言えます。
文庫本ですと上下巻に分かれているのですが、上巻を読み始めたのが午後8時。ふと気がついたときはなんと午前2時を過ぎていました。
自分自身とても驚いた記憶がいまでもあります。普通、本を読んでいたら1〜2時間である程度飽きたり疲れを感じたりするものですが、そういう感覚が全く残っていませんでした。眠気もなく疲れもなく、そして飽きることもなく早く物語の続きを読みたいとウズウズしてくるのです。
このなんとも言えない幸福感(村上春樹さん風に言えば小確幸)が私の活字中毒の原点の一つになっています。
結局、その後は上巻を読み終えるまでに午前4時まで読み続けることになりました。それが20歳頃の体験だったと記憶していますが、あの時の読書体験を超える経験は今のところありません。
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫) [ 村上春樹 ] 価格:712円 |
そんなマイ・フェイバリット・ブックなのですが、この「ダンス・ダンス・ダンス」は人生の節目に読むことが多くなっていきました。転職の節目であったり何かを決断する前などに自然と手が伸びてしまいます。
おそらく物語の内容的に自分を投影できるものであるからだろうと分析しています。
つい先日もざっと一通り読んだのですが、主人公の年齢が私と同じ年齢になっていて、いろいろ考えてしまいました…。「ああ、考えていることあんま変わってねーな」と。
皆さんは思い入れのある書籍はあるでしょうか?昔と今との読み方では若干変わっていることが多いので、たまには時間をとって読み返してみるのも一興ですよ(^^)
(「ダンス・ダンス・ダンス」の内容を語ると自分の感想と相まって収拾がつかなくなりそうなので、こういう時に文章が上手くなりたい欲が出ますね)