眠りの質を上げるには、次の点が有効と考えられます。
1、 入眠前2時間は「活動モード」から「リラックスモード」に切り替える
これは寝付きを良くするための対策で、具体的に次がおすすめです。
(1) 38度ほどのぬるめのお湯に5~30分つかり、体をじっくり温める
(2) 仕事場とは別の場所で照明を暗くして過ごす。照明は蛍光灯や白色LEDではなく、電球のような暖色の間接照明にする。
(3) ブルーライトを浴びないために、パソコン、スマホ、タブレット、テレビなどを見ない。
(4) 穏やかな音楽を聴く。効くのは静かなクラシックやヒーリング系の音楽がよい。
(5) カフェインのない温かい飲み物を飲む。自然な眠気は体温が下がり始める時に起きるので、寝る前に温かい飲み物を摂って内臓から体温を上昇を促して、体温低下のリズムを作ります。飲み物は温かい白湯や生姜湯、カモミールテイーなどで、カフェインを含むコーヒーや紅茶、緑茶、栄養ドリンクは飲まない。
(6) アロマ(植物から抽出した香り成分の精油)の香りを装置で部屋の拡散するのもよい。
2.入眠前2時間はアルコール類を飲まない
これは中途覚醒を減らすための対策です。この理由は2つあります。
第一の理由は、アルコールが中途覚醒の原因になるためです。アルコール類を飲むと「脳幹網様体賦活系」と呼ばれる中枢神経の活動が抑制され、一時的に眠気を生じます。寝付きを良くするために寝酒を飲むというのは、これを期待するからです。しかし、アルコールは抑制性の伝達物質であるGABAの作用も抑制するため寝付いた後に中途覚醒が起きやすくなってしまいます。また、アルコールには利尿作用があるため、夜中に何度もトイレに行きたくなり、中途覚醒しやすくなります。特に年配の方には頻尿が不眠症の原因になることもしばしばです。
第二の理由は、アルコール分解後のアセトアルデヒトが睡眠の質を下げるためです。アルコール類の含まれるエチルアルコールは肝臓で、まずアセトアルデヒトになります(1次代謝)。その後、アセトアルデヒトは酢酸になり(2次代謝)、クエン酸回路になり、エネルギーと水二酸化炭になります。
問題なのは、このアセドアルデヒトには発がん性が指摘される程の毒性があることです。二日酔いはこの物質が体内の残っていると生じ、しばしば不快な頭痛や吐き気などを伴います。中年期に肝臓のアルコール分解能力が低下してくると、飲んだアルコール類が睡眠中にアセトアルデヒトとして体内に残り、睡眠の質が下がる可能性があります。
3、入眠前2時間は激しい運動はしない
これも寝付きを良くするための対策であり、中途覚醒を起こさないための対策でもあります。適度な運動により身体疲労感があると睡眠の質が上がります。しかし、入人前に心拍数を上げて息が上がるほどの運動をすると、交感神経が優位になり、体が覚醒状態となるため睡眠を妨げてしまいます。夜のリラックスタイムには、ストレッチや呼吸運動主体のヨガなどの軽い運動を行うことがおすすめです。
4.入眠前2時間は食事をしない
入眠前2時間以内に食事をすると、身体は消化吸収に集中することになり、睡眠時に脳や身体を休めることができなくなります。どうしても夜遅い食事になっつてしまう場合には、牛乳やヨーグルトなどのタンパク質を多く含み、消化のいい乳製品を少量摂るのがいいでしょう。牛乳は秋から冬にかけての季節は脂肪分が高くなるので、気になる人は低脂肪の物にしてください。
5 自分にあった寝具を選ぶ
見落としがちな重要なポイントは枕です。自分の体型に合わせて高さや形状、硬さを調節できる枕だお勧めです。私もこれまで様々な枕を試してきましたが、自分の体型にパーソナライズできる枕が首痛などを防ぎ、質の良い睡眠にとって有用です。
マットレスも重要です。枕と同じように自分の体型に合わせて高さや形状、硬さを調整してくれるものがおすすめです。こうした特殊なマットは通常品に比べ高価でありますが、眠りの質に向上を考慮すれば決して高価な出費ではありません。
6 昼寝をするなら午後3時までの20分にする
人によっては午後の早い時間に眠気を催すことがあります。その場合、20分程度の短い昼寝を行うことによって、頭をすっきりさせ集中力や作業能力の低下を防ぐのが良いのでしょう。
ただし、長時間(30分以上)の昼寝は深い眠りになってしまい、脳と体が急速モードに切り替わってしまうため逆効果になります。また、午後3時以降の夕方に面塗るのは、夜の睡眠の妨げになるので避けましょう。 最近は働き方改革の影響か、昼寝を奨励する職場も表れています。オフィスに仮眠スペースを設ける会社も少しずつ増えています。街中にもカプセルホテルのような施設で昼寝スペースを提供するサービスも見かけるようになりました。近頃は、昼寝のカラオケルームを仕事場として提供したり、その中で仮眠に利用したりする人もいます。とはいえ、基本的には20分以内の昼寝が好ましく、夜の良質な睡眠を妨げるものは避けましょう。/strong>
タグ:睡眠
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