シンガポールで長年にわたり続けられてきた睡眠と認知機能との関係調査で、『睡眠時間が短い高齢者は脳の老化が速い』という結果が2014年7月に発表されました。
睡眠時間が1時間短いと、1年ごとに脳の中にできる隙間が0・59%ずつ拡大し、脳が萎縮していくことがわかったのです。認知機能もまた、1年ごとに0・67%ずつ低下することがわかっています。このことから充分な睡眠が、萎縮のない健康な脳を保つために必要であるということが明らかになりました。
さらに睡眠には、アルツハイマー型認知症の原因となる「アミロイドベータ」を洗い流す働きもあります。
また、脳は寝ている間にも働き続けています。 脳細胞同士のネットワークを効率化する作業や、海馬の働きでも述べた記憶を整理したり定着させる働きも寝ている間に行われています。
一言でいうと【脳のメンテナンス】を行っているのです。 睡眠中に細胞同士の結びつきが快適な状態になることで、記憶の力も強化されるというわけです。
睡眠が記憶の働きに大きく関係していることも合わせると、睡眠が認知症予防に大きな働きを及ぼすことがわかります。
そしてもう一つ、睡眠には「ストレスを取り除く」という働きもあります。 ストレスは脳にとても悪い影響を及ぼします。ですから、睡眠にとってストレスを軽減することは、とても重要なことと言えます。
では、どのくらいの睡眠が良いかというと、研究調査の結果として理想的な睡眠時間は7時間程度とされています。ただし高齢になってくると、夜中に何度も目が覚めたり、朝早く目が覚めてしまったりすることによって睡眠が浅くなりがちです。そのため、少しでも多く睡眠をとるためには、毎晩同じ時間にベットや布団に入り、同じ時間に起きる習慣をつけていくことが大切です。昼間日光を浴びると、体内時計が機能して夜寝付きやすくなります。
反対に睡眠の妨げになることとして、遅い食事があげられます。
就寝に近い時間の食事は、寝る時に胃を動かさなければならず質の良い眠りは得られません。また、テレビやパソコンなどの強い光も脳を刺激し、メラトニンという睡眠導入のためのホルモンを抑えてしまうことがわかっています。できれば就寝の2時間くらい前から食事や、テレビ、パソコンを控え、睡眠のための環境を整えると、快適な睡眠がとりやすくなります。
規則正しい生活習慣で、充分な睡眠時間をとる。気持ちよくなるだけで脳はどんどん健康になるのですから、こんなに嬉しいことはありません。私も良い睡眠をとることを心がければ健康な脳にさせてくれるということですね!頑張りましょう。
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