私たちは何かを達成したときや誰かに褒められた時、うれしく感じたり、もっと頑張ろうという気持ちになったりします。実はこういう時に、脳内のある神経ネットワークに「ドーパミン」という神経伝達物質が奉仕つされ、私たちに「元気」「やる気」感じさせます。この神経ネットワークのことを「報酬系」と言います。
脳の奥にある視床と呼ばれるところから延髄あたりまでを脳幹と言います。ここに神経細胞が多く集まる神経核のうち、A8からA16までがドーパミンを合成する部位で、特にA9とA10が重要です。
A9は中脳の「黒質」という部位で、運動の調節に関わっており、その異常がパーキンソン病につながります。
そして、A10がちゅうのうの「腹側被蓋野(ふくそくひがいや)」という部位でここからのびているA10神経ネットワークが報酬系です。
報酬系は腹側被蓋野から伸びて大脳辺緑系にある線条体の「側坐核」と,その先にある「前頭連合野」につながっています。
側坐核にドーパミンが放出されると、私たちは元気ややる気を感じます。前頭連合野は私たちが施行したり情緒をコントロールしたりする場所で、そこにもドーパミンが放出されます。そのため、報酬系が活性化するときの記憶に関係します。
ドーパミンは、かつて「快楽物質」と呼ばれていました。今でもそう呼ぶ研究者もいます。しかし、報酬系に詳しい東北大学の筒井健一郎教授によれば、ドーパミンには「元気」「やる気」「求める気持ち」を生み出す役割があると考えられている。
ドーパミンは脳内でのみ合成される神経伝達物質です。 神経伝達物質は、神経細胞同士または神経細胞と他の細胞との接合部であるシナプスでは神経細胞同士は直接つながっていません。
シナプスでは前細胞に神経伝達物質の合成系、後細胞にある受容体があり、ドーパミンなどの神経伝達物質はシナプスの前細胞から出て、後細胞にある受容体でキャッチされます。このメカニズムにより情報が伝達されます。
神経細胞における情報伝達の仕組みを整理すると次の通りです。
@ 神経細胞の軸索起始部からその末端の軸索週末までは電気信号で情報伝達される。
A シナプスで神経伝達物質により科学的に情報伝達される
B そこから先はまた電気信号で情報伝達される
ちなみに、神経伝達物質には、グルタミン酸、GABAなどのアミノ酸、それぞれ「興奮性」「抑制性」の情報伝達を担っています。加えて「調節系」というべきものがあります。ドーパミン,ノルアドレナリン、セロトニンなどの「モノアミン類」がそれです。体内でドーパミンがノルアドレナリンがアドレナリンに変わるという合成が起きます。 これらの神経伝達物質は、広く脳内の情報伝達を調節しています。
また、統合失調症やうつ病などのさまざまな精神疾患においては、このモノアミン類の伝達物質の働きの不調が起こっていると言われています。
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