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2014年10月01日

エボラ出血熱、エボラ新薬やワクチンの現状

はようございます、ecarです。
今日は【エボラ出血熱、エボラ新薬やワクチンの現状】をお届けします。



西アフリカで感染が広がるエボラ出血熱。
世界保健機関(WHO)では今週、
新薬やワクチンがエボラ封じ込めに果たす役割について協議が行われる。



WHO専門家委員会は先月、
エボラ患者に対する治験薬や未承認ワクチンの投与は倫理的との認識で一致した。
ただし、
こうした薬品の効果や安全性を確かめるために臨床試験を行う「道徳上の義務」もあるとしている。



一方、
先週には新たな研究結果により、
エボラウイルスが急速に突然変異することも明らかになっている。
変異したウイルスは感染力が強まり、
現在試験中の薬品やワクチンの効果を弱める可能性もある。



エボラ熱の有望な治療薬として最も注目を集めているのは、
米マップ・バイオファーマシューティカルが開発している「Zマップ」だろう。
これまでに「Zマップ」はエボラ感染者7人に投与され、
開発メーカーは在庫が底をついたと明らかにした。
シエラレオネでエボラに感染した英国人看護師ウィリアム・プーリー氏にも「Zマップ」が投与されたが、
まだ薬の効果を判断できる段階にはない。



これまでに投与を受けた患者のうち2人が死亡しており、
回復した人は恐らく、
十分な補助的治療を受けていたり、
年齢が比較的若かったり、
他に疾患を抱えていないなどの要因もあったのだろう。
偶然もあるかもしれない。
「Zマップ」はサルを使った実験では投与された18匹すべてが回復したが、
まだ人間への臨床試験は行われておらず、
分からないことが多く残されている。



他のエボラ治療薬候補には、
「TKMエボラ」や
「AVI─7537」や
「ファビピラビル」のほか、
「クロミフェン」や
「トレミフェン」などエストロゲン受容体遮断薬、
「BCX─4430」、
「ST─383」などがある。



米食品医薬品局(FDA)は7月、
健康な人を対象にした「TKMエボラ」の小規模臨床試験について、
高投与量では炎症やインフルエンザのような反応を引き起こしたとの理由で中断させた。
炎症はエボラ患者にもみられる症状だ。
「TKMエボラ」はRNA干渉と呼ばれる新技術を使い、
エボラウイルスの遺伝子を攻撃する。



「AVI─7537」の初期臨床試験は、
資金を提供していた米国防総省の予算削減によって中止されている。
インフルエンザの治療に使われている
「ファビピラビル」
やエストロゲン受容体遮断薬は人間に使っても安全であることは分かっており、
エボラ出血熱の治療にも有望ではあるが、
エボラ感染者での効果は確かめられていない。
「BCX─4430」と
「ST─383」はともにヒトでの臨床試験前の段階だ。



エボラ出血熱の感染を予防するワクチンも開発されている。
米国立衛生研究所(NIH)は英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)と共同開発したワクチンについて、
ヒトでの臨床試験を今週から始める。
安全であることが分かれば、
GSKは最も感染リスクの高い地域に最大1万回分を無償提供する計画だ。



NIHはGSK以外にも、
クルーセル社やプロフェクタス・バイオサイエンス社、
トーマス・ジェファーソン大学の研究チームなどともエボラ熱ワクチンの開発を進めている。
ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)傘下のクルーセルが開発するワクチンは、
2015年終盤か2016年初頭に初期の臨床試験に入るとみられる。



この他、
実験中のワクチンには、
カナダ公衆衛生庁が開発し、
ニューリンク・ジェネティクス社にライセンス供与した「VSV─EBOV」がある。
健康なボランティアを対象にした「VSV─EBOV」の試験は10月に始まる予定。
カナダ政府はWHOに最大1000回分の「VSV─EBOV」を無償提供しており、
ニューリンク・ジェネティクス社は向こう数カ月でワクチン生産を増やそうとしている。
研究者らは新薬や新ワクチンについて、
数万回分とは言わないまでも、
数千回分は必要になると推測している。



エボラ熱の新薬や新ワクチンを研究し、
患者に投与することはもちろん重要だが、
現在効果をあげている手段を犠牲にすべきではない。
血圧維持や電解質補給などの対症療法や合併症の治療により、
エボラ患者の死亡率を下げられることは分かっている。
しかし、
西アフリカでは、
そうした医療へのアクセスは依然として限られている。



また、
新薬の一部はエボラ患者の治療に効果をあげるかもしれないが、
それでヒトからヒトへの感染拡大を抑えられるかは分からない。
感染を阻止できなければ、
エボラ熱を封じ込めることはできない。



一方で、
感染者をいち早く発見することも優先課題だ。
そうなれば患者は早い段階で対症療法を受けることができ、
感染拡大を防ぐための隔離措置や、
患者と接触した人の特定やテストも容易になる。
また、
医療従事者には十分な量の個人用防護服などの提供が必要だ。



しかしながら、
感染地域の医療システムに対する大規模な投資がなければ、
そうしたことは机上の空論に過ぎない。
WHOは先週、
エボラ感染地域の支援に4億8900万ドルを拠出すると発表したが、
それだけでは足りない。
こうしている間にも、
崩壊しつつある現地の医療機関では、
食料不足による栄養失調やマラリアなどの感染症、
出産に伴う合併症などで多くの人が命を落としている。



新しい技術は確かに魅力的だが、
万能薬ではない。
特に、
医療システムが機能不全に陥っている場合はなおさらだ。
いまだに世界で年間130万人が命を落としているとされる結核の例を見れば、
それは明らかだろう。



つい最近まで、
結核の診断には最長2カ月を要し、
その間に患者は死亡することもあった。
しかし、
2時間以内に診断可能な最新システム
「GeneXpert(ジーンエキスパート)」が開発され、
感染症専門家らは、
迅速な治療につながることで死亡者も減ると疑わなかった。
2011年には、
南アフリカ当局が、
ジーンエキスパートの実用試験に乗り出した。その結果、
最新の診断システムを導入しても結核による死者数に大きな変化はなかったという。
ジーンエキスパートが機能しなかったわけではない。
診断は全体のプロセスのほんの一部分にしかすぎないのだ。



貧困地域での病気に対する医学研究者や医薬品会社からの関心はあまりに低過ぎる。
エボラ熱のような病気と闘うための薬やワクチンにはもっと投資すべきだ。
ただ、
それを待っている余裕もない。
焦眉の課題は、
今ある手立てをもっとうまく活用すべく、
医療システムの強化に投資することだ。
いずれ新薬や新ワクチンも使えるようになる。



本日も、最後までお読みいただきまして感謝いたします。
ありがとうございました。
それでは、「ごきげんよう!」ecar
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