2014年08月09日
再生医学で重要な役割を果たした科学者を失ったことは、 痛恨の極み
研究者を守れないようでは理研の将来はおぼつかない
暗い海の底に引きずり込まれた衝撃に似ている。
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)副センター長の笹井芳樹さんが、
自ら命を絶った。
STAP細胞論文問題で追い詰められていたのは、
はた目にも明らかだった。
再生医学で重要な役割を果たした科学者を失ったことは、
痛恨の極みだ。
論文が捏造や改ざんを指摘されたのを受け、
理研の調査委員会は4月、
細胞の「発見者」で主要執筆者の小保方晴子さんの不正を認めた。
指導的立場の笹井さんはデータの間違いを確認しなかった過失責任を指摘され、
論文撤回に追い込まれた。
6月には、
理研の改革委員会が論文不正を「世界三大不正」と厳しく批判し、
笹井さんら幹部の交代やCDBの解体を提言していた。
笹井さんは若くして大学教授となった。
胚性幹細胞(ES細胞)を使った組織の再生に取り組み、
脳の下垂体や目の網膜の立体組織を試験管内で作ることに成功した。
STAP細胞の発見を人工多能性幹細胞
(iPS細胞)と並ぶ世界的快挙とする気持ちもなかったとはいえまい。
不正発覚後の精神的な落ち込みは大きかったはずだ。
上司に辞意を漏らし、
入院したり治療を受けたりしていた。
ストレスを抱えている様子もみられたという。
笹井さんに表れた異状のシグナルを、
理研は読み取っていただろうか。
笹井さんと立場は違うが、
小保方さんへの風当たりも尋常でない。
代理人の弁護士が動向を注視し、
防波堤となっているが、
笹井さんに支援体制はあったのか。
社会から批判を浴びようとも、
組織として、
所属の研究者を守れないようでは理研の将来はおぼつかない。
問題発覚後、
理研の対応はちぐはぐな印象だ。
組織を揺るがす不祥事と厳しい世論に何から手をつけてよいか分からず、
進路を探りかねているようなところがある。
CDBは、
iPS細胞から作った目の細胞を移植する世界初の手術を準備している。
こんな状態で臨床応用へ踏み出せるのか、
再生医療の将来が心配だ。
笹井さんを死なせずにすむ道はあったはずだ。
なぜ、
止められなかったのだろう。
一部に本筋から外れた行き過ぎた報道もあり、
経緯を省みる責任は私たちにもある。
ecar
暗い海の底に引きずり込まれた衝撃に似ている。
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)副センター長の笹井芳樹さんが、
自ら命を絶った。
STAP細胞論文問題で追い詰められていたのは、
はた目にも明らかだった。
再生医学で重要な役割を果たした科学者を失ったことは、
痛恨の極みだ。
論文が捏造や改ざんを指摘されたのを受け、
理研の調査委員会は4月、
細胞の「発見者」で主要執筆者の小保方晴子さんの不正を認めた。
指導的立場の笹井さんはデータの間違いを確認しなかった過失責任を指摘され、
論文撤回に追い込まれた。
6月には、
理研の改革委員会が論文不正を「世界三大不正」と厳しく批判し、
笹井さんら幹部の交代やCDBの解体を提言していた。
笹井さんは若くして大学教授となった。
胚性幹細胞(ES細胞)を使った組織の再生に取り組み、
脳の下垂体や目の網膜の立体組織を試験管内で作ることに成功した。
STAP細胞の発見を人工多能性幹細胞
(iPS細胞)と並ぶ世界的快挙とする気持ちもなかったとはいえまい。
不正発覚後の精神的な落ち込みは大きかったはずだ。
上司に辞意を漏らし、
入院したり治療を受けたりしていた。
ストレスを抱えている様子もみられたという。
笹井さんに表れた異状のシグナルを、
理研は読み取っていただろうか。
笹井さんと立場は違うが、
小保方さんへの風当たりも尋常でない。
代理人の弁護士が動向を注視し、
防波堤となっているが、
笹井さんに支援体制はあったのか。
社会から批判を浴びようとも、
組織として、
所属の研究者を守れないようでは理研の将来はおぼつかない。
問題発覚後、
理研の対応はちぐはぐな印象だ。
組織を揺るがす不祥事と厳しい世論に何から手をつけてよいか分からず、
進路を探りかねているようなところがある。
CDBは、
iPS細胞から作った目の細胞を移植する世界初の手術を準備している。
こんな状態で臨床応用へ踏み出せるのか、
再生医療の将来が心配だ。
笹井さんを死なせずにすむ道はあったはずだ。
なぜ、
止められなかったのだろう。
一部に本筋から外れた行き過ぎた報道もあり、
経緯を省みる責任は私たちにもある。
ecar
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