2014年08月08日
神戸市「医療都市構想」に影、「先導役」失い
“笹井ビル”行く末は…神戸市「医療都市構想」に影、「先導役」失い
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター
(CDB、神戸市中央区)
の笹井芳樹副センター長(52)が自殺したことに伴い、
神戸市が、
最先端医療技術の研究開発拠点として整備する
「医療産業都市構想」の実現に対し懸念の声が高まっている。
理研が現在、再生医療などの基礎研究の実用化を目指し
建設中のビルは“笹井ビル”とも呼ばれるほど。
笹井氏は計画推進の中枢を担っていただけに、
「先導役」の突然の死が及ぼす影響は計り知れない。
同構想を掲げる神戸市は平成10年から、
同区の人工島・ポートアイランドで、
最先端医療技術の研究開発拠点の整備を進めている。
その中で、
理研は今年4月、
CDBから百数十メートルの場所で
「融合連携イノベーション推進棟」建設に着工。
27年3月の完成、
同6月ごろの研究開始を目指している。
国は24年度に38億円の予算を計上。
同市は整備支援として25年度に16億9千万円を計上、
土地を無償提供している。
このビルには、
理研の研究者が製薬や医療機器のメーカーとチームを組んで入り、
iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った目や毛髪などの再生医療や、
スーパーコンピューター「京(けい)」などを活用した創薬研究を想定。
「医療産業都市構想の中核である理研の新事業」として、
同市も大きな期待を寄せている。
関係者によると、
笹井氏が予算計画や市との交渉も担当し、
政府関係者にビル建設の意義を説いて直接予算化を働きかけたこともあった。
理研内部の運用委員会の委員も務めていた。
しかし、
STAP細胞の論文問題が浮上すると、
論文共著者の笹井氏も対応に追われ、
運用委員会も事実上ストップ。
理研によると、
今年2〜3月、
各地にある理研の研究者を対象に推進棟で実施するプロジェクト案を募集したが、
5件にとどまった。
関係者によると、
これまでは論文問題の余波で動きがとれなかったが、
秋にはセンターの研究者に提案してもらうことにしているという。
CDBの竹市雅俊センター長は、
笹井氏が自殺した5日、
報道陣に
「今、CDBでやっている多くのアイデアは笹井さんによってつくられた」
と述べ、
笹井氏の死の影響の大きさを強調。
別の理研関係者も
「笹井さんの研究や手腕がなければ、
そもそも成り立たない事業。
先導役を失い、
当分は前に進まないのではないか」
と不安を口にした。
笹井芳樹氏の自殺は、
国の成長戦略の柱として期待される再生医療に深刻な影響を与えそうだ。
笹井氏の網膜に関するES細胞の研究は、
CDBなどで進められている世界初の人工多能性幹細胞
(iPS細胞)を使った臨床応用で使われる技術の基礎となるなど、
日本の再生医療に大きく貢献してきた。
近畿大理工学部の福嶋伸之准教授(神経科学)は、
今後の再生医療の進展について「ES細胞を使って神経細胞や
網膜細胞をつくる分野で相当大きな影響が出るだろうし、
理研のiPS細胞を使った研究にも深刻な影響が出るだろう」と指摘。
北海道大の蔵田伸雄教授(科学技術倫理)も「笹井氏はES細胞で成果を出してきた人でもあり、
今後の再生医療分野に与える影響は大きい」と惜しんだ。
笹井氏の不在は、安倍晋三内閣の「三本の矢」の一つである
「成長戦略」
の柱とされる科学技術イノベーションに影を落とすことになりかねず、
国や文部科学省にも衝撃が広がった。
菅義偉(よしひで)官房長官は5日の記者会見で、
「このような事態に至ったことは非常に残念だ」と述べ、
同時に「再生医療分野で世界的にも大きな功績のあった方だ。
将来が期待される研究者だった」と悼んだ。
文科省幹部も笹井氏を
「日本の再生医療の代表的な研究者だった」
と評価した上で、
「大変な損失だ」と肩を落とした。
笹井先生のご冥福をお祈り申し上げます。
それとともに、
先生の夢をかなえるために、
関係各位の御努力に期待申し上げます。
ecar
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター
(CDB、神戸市中央区)
の笹井芳樹副センター長(52)が自殺したことに伴い、
神戸市が、
最先端医療技術の研究開発拠点として整備する
「医療産業都市構想」の実現に対し懸念の声が高まっている。
理研が現在、再生医療などの基礎研究の実用化を目指し
建設中のビルは“笹井ビル”とも呼ばれるほど。
笹井氏は計画推進の中枢を担っていただけに、
「先導役」の突然の死が及ぼす影響は計り知れない。
同構想を掲げる神戸市は平成10年から、
同区の人工島・ポートアイランドで、
最先端医療技術の研究開発拠点の整備を進めている。
その中で、
理研は今年4月、
CDBから百数十メートルの場所で
「融合連携イノベーション推進棟」建設に着工。
27年3月の完成、
同6月ごろの研究開始を目指している。
国は24年度に38億円の予算を計上。
同市は整備支援として25年度に16億9千万円を計上、
土地を無償提供している。
このビルには、
理研の研究者が製薬や医療機器のメーカーとチームを組んで入り、
iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った目や毛髪などの再生医療や、
スーパーコンピューター「京(けい)」などを活用した創薬研究を想定。
「医療産業都市構想の中核である理研の新事業」として、
同市も大きな期待を寄せている。
関係者によると、
笹井氏が予算計画や市との交渉も担当し、
政府関係者にビル建設の意義を説いて直接予算化を働きかけたこともあった。
理研内部の運用委員会の委員も務めていた。
しかし、
STAP細胞の論文問題が浮上すると、
論文共著者の笹井氏も対応に追われ、
運用委員会も事実上ストップ。
理研によると、
今年2〜3月、
各地にある理研の研究者を対象に推進棟で実施するプロジェクト案を募集したが、
5件にとどまった。
関係者によると、
これまでは論文問題の余波で動きがとれなかったが、
秋にはセンターの研究者に提案してもらうことにしているという。
CDBの竹市雅俊センター長は、
笹井氏が自殺した5日、
報道陣に
「今、CDBでやっている多くのアイデアは笹井さんによってつくられた」
と述べ、
笹井氏の死の影響の大きさを強調。
別の理研関係者も
「笹井さんの研究や手腕がなければ、
そもそも成り立たない事業。
先導役を失い、
当分は前に進まないのではないか」
と不安を口にした。
笹井芳樹氏の自殺は、
国の成長戦略の柱として期待される再生医療に深刻な影響を与えそうだ。
笹井氏の網膜に関するES細胞の研究は、
CDBなどで進められている世界初の人工多能性幹細胞
(iPS細胞)を使った臨床応用で使われる技術の基礎となるなど、
日本の再生医療に大きく貢献してきた。
近畿大理工学部の福嶋伸之准教授(神経科学)は、
今後の再生医療の進展について「ES細胞を使って神経細胞や
網膜細胞をつくる分野で相当大きな影響が出るだろうし、
理研のiPS細胞を使った研究にも深刻な影響が出るだろう」と指摘。
北海道大の蔵田伸雄教授(科学技術倫理)も「笹井氏はES細胞で成果を出してきた人でもあり、
今後の再生医療分野に与える影響は大きい」と惜しんだ。
笹井氏の不在は、安倍晋三内閣の「三本の矢」の一つである
「成長戦略」
の柱とされる科学技術イノベーションに影を落とすことになりかねず、
国や文部科学省にも衝撃が広がった。
菅義偉(よしひで)官房長官は5日の記者会見で、
「このような事態に至ったことは非常に残念だ」と述べ、
同時に「再生医療分野で世界的にも大きな功績のあった方だ。
将来が期待される研究者だった」と悼んだ。
文科省幹部も笹井氏を
「日本の再生医療の代表的な研究者だった」
と評価した上で、
「大変な損失だ」と肩を落とした。
笹井先生のご冥福をお祈り申し上げます。
それとともに、
先生の夢をかなえるために、
関係各位の御努力に期待申し上げます。
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