なんていうか、罪悪感ていうか、
記憶に残ってる話があるよ。
その日も負けて、自分のお金は全部使っちゃった。
その頃は、俺の父親が、せどりをしてたんだ。
せどり、ってブックオフで100円で買ってきた古本をAmazonで売るやつだ。
（その頃は今みたいに何でも買えるＡｍａｚｏｎではなくて、中古本がメインだったよ。）
ブックオフをせこせこ回って集めた古本をＡｍａｚｏｎに出品して売れたら、発送するんだ。
親父は趣味半分でやってた。
親父は本が好きだから、自分の持ってた貴重な本も出品したりして、月1万5千円くらいの利益出してた。
んで、その振込先に、俺のネットバンクの口座を貸してたんだな。
もうわかるよな。
そのお金を使っちゃったんだよ。
案の定、負けてさ、3000円くらいだったかな。使っちゃったのは。
んで、どうしてもその日に、その3000円も渡さなきゃダメだったんだよ。
やっちゃった…
自己嫌悪。
3000円なんて大した額じゃないけどさ、なんでか、その時はその3000円は絶対に返さなきゃいけない3000円だったんだよ。
「お金渡すのちょっとまってて」って言えなかったんだよ。
なんでだろう。
よもやパチンコで、あなたが本をしこしこ売って稼いだ金を溶かしました、なんて言えなかったんだよな。
もうしわけなくてさ。
そこまでパチンコにのめり込んでるのも知られたくなかったし。
だから、どうしても、3000円を作らないといけなくなった。
しかも、小銭でなく、3000円を1000円札でだ。
銀行から降ろしてきたなら、小銭のはずないからな。
どうしたか？
自分の部屋からかき集めた図書券とかをリサイクルショップに持ってて3000円作ったんだ。
田舎のリサイクルショップで交換率悪くてな。6000円分くらい売ってようやく3000円くらいだったと思う。
５０％とは言わないまでも、それに近い交換率だった。
リサイクルショップの親父が言ってたもんな。
「うち持ってこない方がいいよ、金券ショップとかのほうがいいよ、申し訳ない料率でしか代えられないよ」って。
でも、その日に、必要だったんだ。
田舎の地元に金券ショップ的なものはなかった。
んで、なんとかして1000円札3枚を作ったおれは、何食わぬ顔で、その3000円を親父に渡した。「今月分だよ」とか言って。
なんか、そのときのことは覚えてるな～。
こたえたな～。
図書券6000円が3000円になっちゃったのもショックだったし。
やに臭い自分がすごいみじめだった。
ウシジマくんで、ウシジマくんが、1円単位で、死んでも金を返させるシーンあるじゃんか。
なんか思い出すよな。
どんな少額でも、金は金。
ないものはない。
なんとかならないものはなんとかならない。
メチャメチャ割に合わない、お金の作り方でも、作らないといけない。
お金って大事なんだよな。
信頼もな。
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