2020年03月16日
JRA
昔、大変お世話になった人がいます。
あの頃、私は“パソコンの何でも屋”という仕事をしていました。
勤めていた会社が倒産して、まず何かしなければならなりませんでした。
普通ならまたどこかに就職するのでしょうけど、住んでいたのは田舎だったので、職業を選ぶ選択肢も少ないし、年齢も30代半ばだったので再就職は難しいと考えました。
ただ、失った会社でも営業をしていたから、町での知名度はありました。
そこで自営業を立ち上げたのです。
立ち上げるにあたり、まず新聞にチラシを入れました。
本当に小さな町だったので、新聞の発行部数は8,400軒。
8,400軒にチラシを入れて、反響は何件だったと思いますか?
2件です。
ご自分で商売をしたことのある方ならば、わかると思います。
ただ、一度立ち上げてしまえば、あとは口コミで広まっていきます。
その中にTさんがいました。
Tさんには大変お世話になりました。
とても人間の大きな人で、接していると楽しくなります。大好きな人です。
パソコンを覚えたいけど、一人では難しい。
そんな人たちのところへ家庭教師的に通うこともあれば、ウイルス感染したパソコンを直すこともしていましたし、パソコン一式買いたい人にはアドバイスもしていました。
ただ、絶対にしなかったのは
〜 私が売らない 〜
ということでした。
営業をしていた当時、まだパソコンは一般的ではありません。
“ワープロ”の時代です。
ワープロを売ると、
「お前のところで買ったんだから、使い方を教えろ。」
ワープロ1台売って得られる利益は数万円。
教えるのに通う時間を金額に換算すると利益を軽く上回ります。
だからそんなバカげた商売は絶対にしないと決めていました。
そんなTさんからパソコンを教えて欲しいと電話が来ました。
Tさんは「50の手習い」とよく言っていました。
正しくは「60の手習い」なのでしょう。
何か習い事を始めるのに年齢制限はないということわざです。
私が30代半ばでTさんは50代半ばでした。
それが今、私が50代半ばになっています。
Tさんから久しぶりに電話をいただいたのは1か月ほど前。
しばらく体調を壊していたのですが、最近になって復調したそうです。
復調したからまた、競馬をしたいというのです。
パソコンのオンラインで馬券投票するJRAのPATです。
その設定をしたいから電話で教えて欲しいとのことでした。
電話だけでは難しい。
私に電話するまでにTさんは地元の何人かに頼ったそうです。
しかし誰もできなかったとか。
Tさんはパソコンとかスマホに詳しい人を用意するから、私からその人に教えて欲しいとのことでした。
私には断る何ものもありません。
昔、同じようにパソコンにJRAの設定をしてあげたことがありました。
だけどもう20年も前のことです。憶えてなんかいないし、やり方も当時のままではないでしょう。
そして今日、Tさんから電話をいただき、設定に取り掛かったのですが、、
今日は平日なので競馬の開催はありません。開催がなければ設定もできないんですね。
そのようにアクシデントは充分に予想できたので、場合によっては私がその町まで行って設定しようかと思っていました。仕事を休んで、有休を使って。
Tさんには
「そちらへ行きます。」
といって電話を終えました。
でも有給は2週間前までに申請しなければなりません。
では、勤務と休日を入れ替えては?
で、入れ替えるように会社に電話をしました。
会社は担当部署に手続きを取ると。
そしてTさんに連絡してみると、
「他でちゃんと頼んだから。」
明日休みだったんですが、20日と明日の休みを入れ替えてもらったあとです。
担当部署にはもう、手配されているでしょう。
「やっぱりやーめた。」
というわけにもいきません。
で、明日はそのまま仕事して20日休むことにしました。
でも私はTさんを責める気はありません。
Tさんも
「来てくれると聞いて嬉しかった。」
そう仰ってくださいました。
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