2019年10月03日
北海道の冬
どんな仕事でもそうかも知れませんが、コールセンターにはなぜ札幌に来たの?という人もいます。
そんなこと、その人の勝手でしょうし、何らかの事情があったに違いありません。
でも東京に住んでいた人が、なぜ札幌に?というのは正直、思うところです。
それは東京の方がいろいろな意味で便利に違いないと思うからです。
ただ、夏は札幌の方が間違いなく過ごしやすいはずです。
だって、大半の家がクーラーなしで生活できるのですから。
日中はたまーに猛暑日になることもあります。
でも夜になると寝苦しいのはないと言って良いです。
今年は珍しく数日間ありましたけども。
ただ冬、雪が降るのが苦痛でなりません。
きちんと一長一短あるようですね。
今日話をした同僚は大阪と東京で過ごし、社会人になってしばらくしてから札幌へ来たそうです。
その同僚も雪が苦痛でたまらないと言います。
私も小学校時代は東京で過ごしたので、東京で雪が積もると1〜2時間目の授業を潰して外で遊んだねという話をしました。あの頃は将来、雪で苦しめられるなんて考えもしませんでした。
雪道は歩きづらいです。
さらに積もった雪が車道や歩道を狭くします。
積もった雪に対して、“除雪”と“排雪”があります。
除雪は積もった雪を除雪車で道路の両端によける作業です。道幅は狭くなります。
排雪は道を狭くしている雪山をロータリー除雪車でダンプトラックに積み込み、雪を排除する作業です。
通常、雪が積もると除雪を行い、道幅が狭くなり交通に支障が出てくると排雪を行います。
排雪は月に1〜2度でしょうか。
雪が多いときには排雪が追い付かず、片側2車線の道が1車線に。ひどいときには両側4車線の道が1車線になってしまうこともあります。そうなると車がすれ違えず、大変なことになります。
苦痛の理由とは。
何が面倒くさいって、家周辺の雪かきです。
今はマンションなので家そのものの除雪はする必要がありません。
しかし一軒家に住んでいた頃は冬期間、休みの日には必ずといって良いほど、短いときは15分から、長いときだと1時間半かけて家の雪かきをしました。
一軒家は階段を上り、畳一畳くらいの踊り場から玄関に入る造りでした。そこから雪かきを始めます。
まず踊り場の雪を下に落として山にします。意外に面倒なのは階段の手すりに積もった雪です。
踊り場から階段の下まで終えると周辺の雪も集めます。
山にした雪を融雪溝に運び、融かします。
幸いに、融雪溝がありました。重油で火を焚き雪を融かします。
それがなければ長い冬、雪のやり場に困ります。
あと、車庫が半地下でした。
地面から坂を下るようにリビング下が車庫になっていました。
暮れから正月にかけて田舎に帰省します。
一度、疲れて帰宅したため半地下に降りる坂の雪かきをサボりました。
冬タイヤだから大丈夫だろうと、雪が積もったままの坂を車庫入れしようとしました。
するとハンドルは利かないし、ブレーキを踏んでも坂なのでタイヤがロックしたまま滑っていきます。
そのまま車庫の入口にぶつかるかと思いました。そのとき、何もできない恐怖感といったら、、。
以来、大変でも車庫前の坂はアスファルトが出てくるまで、雪をすべてかき取るようにしました。
多いときだと膝まで積もった雪すべてを取り除くまで雪かきします。
今はマンションなので玄関周りの雪かきをする必要はありません。
しかし車はマンション前に青空駐車。駐車場の雪かきはしなくてはなりません。
約15m、雪を捨てる場所まで、いつもだいたい60往復するのが一回の雪かきの作業です。
15mを60往復だと900m、約1Kmです。
今日話をした同僚は、運転免許は持っているものの、雪道の運転経験がないと言います。
すべるから恐ろしいのでしょう。
逆に、私など北海道で免許を取得した若者は、冬道は滑って遊ぶものだと言いました。
雪道は滑るのでドリフトの練習ができます。限界が低いから低速で。
雪道で「遊ぶ」というのは意外だったようです。
もちろん今はそんなことしません。
でも当時の経験が危険回避に役立ちます。
恐ろしいのは路面状況により、まっすぐ走っていても滑りそうになることがあります。
滑る危険とは、車がいきなりスピンしてしまう恐れです。
そんなとき、背中から車の挙動、強いては路面状況を感じ取ります。
北海道では交差点の右左折時に、リアが大きく滑っても逆ハンドルをあてて走って行きます。
おばちゃんでも。
でもこれは普段のことで、危険はたびたびあります。
昔、急なカーブを曲がっていてスピン、360度回転して進行方向へ向き直ったことがあります。
別に急いでいたわけではありませんが、路面状況によって安全速度がそうでなくなることもあります。
いちばん「ゾッ」とするのは、吹雪のとき、風と車の進行が一致するときです。
降ってくるおびただしい雪が、ピタッと止まって見えます。
車が進む速度と方向が風と一致するから、車は走っているのに、景色が止まって見えるのです。
そんなとき、平衡感覚がなくなります。
まるで車が空を飛んでいるような錯覚に陥ります。
突然訪れる避けようのない事態に一時、体は凍りつきます。
何といっても一番恐ろしいのは視界ゼロの猛吹雪です。
たまにテレビのニュースで北海道の吹雪を映す映像を目にしますが、あんなものではありません。
実際に恐ろしい瞬間というのは、カメラを回していられないと思います。
本当の視界ゼロというのは、ワイパーも見えません。
つい車を止めてしまいそうですが、雪国で吹雪のとき、車を止めてはいけないルールがあります。
それは後ろから追突される恐れがあるからです。
現に、地吹雪の場合、視点の高い大型トラックからは前が見えている場合があります。
いくら大型トラックから見えているといってもギリギリで、特に大型トラックなら積み荷もあるし、急には止まれません。自己防衛のため、前が見えなくとも走り続けるのです。
いちばんひどい思いをしたのは、前が見えなくなり、ワイパーも見えなくなり、止まるわけにもいかない。
幸い、窓を開けると対向車線の歩道、その縁石が見えました。
窓を開けなければ雪が付いているので見えません。
縁石との距離を保ちながら、ノロノロと進みます。
後ろから追突はされないだろうと思いましたが、前は見ていません。
もし前に止まっている車がいたら、それはそれで仕方がないこと。
追突しても仕方ないが、止まって追突されるより進むことで自己防衛です。
家に着いたとき、スーツの右袖は舞い込んできた雪と、解けた雪で搾れるくらいにビッショリでした。
後日、その道を改めて走ってみたところ、距離にしてだいたい1Km。
その1Kmを私は30分かけて走ったのでした。
時速2kmです。歩く半分。
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