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2024年09月13日

高行健の「車禍」で執筆脳を考える3

実際に「車禍」の中身を見てみよう。

下午五点种,コ胜大街这边一家无线电修门前,公共汽车越加逼近了。一辆加了林轮子掛著个幼儿子车头的自行车从街边写斜过马路。骑车的是个四十才上下的中年人。头蓬里坐著个孩子,也就两,三才。从保育院回家。
午後5時、徳勝大街のラジオの修理屋の前の路上で路線バスが横断してきたベビーカー付きの自電車に近づいていく。40歳ぐらいの男がこいでいる。ベビーカーには2、3歳の子供が乗っている。保育園帰りである。(1)

汽车同自行车就几乎接触到了,车头就飞开了。从车座上仰面倾倒,立刻被挤压到汽车轮子下面去了。他汽车的那轮自行车扭曲著,甩出去十多公尺远。
バスと自転車がぶつかり、ベビーカーは吹き飛ばされ、男はサドルから落ち、バスの下敷きになる。自転車はひん曲がり、弾き飛ばされる。(1)

最先接近的是从车上开门跳下来的司机。周围一片喃呐声。空中瀰漫著一股血腥味。从窒息中终于迸发出来的孩子的哭声。
最初に下位に近づいたのは、バスの運転手である。周囲の人垣からも反応がある。血なまぐさい臭いがあたりに立ち込める。子供が窒息状態から解放される。(1)

警车来了。四位民警,立刻把人群往外ー。穿白大褂的医务人员正往车里抬死体。司机被推上了警车。
パトカーが到着し、4人の警官が交通整理をし、現場検証を始める。白衣を着た係員が死体を車内に運ぶ。バスの運転手はパトカーに乗せられた。(1)

出事的现场照片也拍完了。民警把自行车的残骸和车头也抬上了车,便同民警都撤了。
現場検証の写真撮影が終わった。自転車の残骸とベビーカーを車に乗せ、警官たちは引き上げて行った。(1)

他的生活也许是不幸的,否则他为什么那样恍惚。也许他有事萦绕在心而不能排解。那麽他就注定免除不了这更大的不幸。
注意散漫になったのは、生活が不幸であったからか。心配事があって悩んでいた。大きな不幸を免れ得ない定めであった。(3)

死亡是人人无法避免的,但过造的死可以避免。还没有能免除车祸的城市。每天总有人
会遇上这种不幸。如果他当时神情不那麽恍惚,可以避免。
死は回避できないが、早すぎる死は回避できる。交通事故のない都市は存在しない。誰かがそうした不幸に見舞われる。しかし、注意散漫になっていなかれば回避できた。(3)

《车祸》偶然发生的一椿车祸。
「車禍」は、偶然起こった交通事故の経過を描いている。(2) 

 読み終えてからLの分析をすると、購読脳については、交通事故という日常の一大事にたまたま遭遇するため、「創造性と偶発」にする。一方、執筆脳は「不運と偶然」とし、購読脳と執筆脳を合わせたシナジーのメタファーは、「高行健と楽天知命故不憂」にする。どうして自転車の男は注意散漫になったのか。天命を知り、転職を得れば、楽しく過ごすことができ、憂いはなくなる。ここでいう前件が満たされなかったためである。高行健の「車禍」に対する基本姿勢も内心の感情を外界へと投射する主観の調節が大切である。  

花村嘉英(2022)「高行健の『車禍』で執筆脳を考える」より
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花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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