「あっ、知り合いなの。
なんか、お二人ともかなりのイケメンですねー
良かったらご一緒します
あっ、レモン水と普通のミネラルウォーターがあるんですが、
」そうやって海の家クワタでお客をおもてなすミリオン。駿栄と饗がレモン水を、というとニコニコしてミリオンがレモン水とおしぼりを運んで
桑田の大将は二人の椅子を運んできました。
「ありがとうございます
リリコとは東京の幼なじみなんだ。近所に住んでてで、昨日うちの店に来てくれたばっかりなんだよねーあっ、夏目駿栄です。」
駿栄が軽く会釈すると「わ。
お店えっと。。。うちみたいに飲食店」
テラス席から椅子を持ってきて二人にすすめながら大将が言うと饗が笑って
「いや。。その、ホストなんです、プルメリアリゾートの、
熱帯夜
ってお店。俺は、そこのキャストで饗って言います
まぁ、本名は歳三、ですけど。」
「へー、そうなんだ
」ミリオンは二人にレモン水とおしぼりを用意しながら、彼には珍しく以外
みたいな顔をした。それは、饗の本名が意外にも古風なのか、それとも駿栄のがあまりホストには見えないからなのか。
「あっ、変な意味じゃなくて、学生さんかと思った、学生さんで飲食店のアルバイトかなんかしてる人かな、って。うち、たまーに、女性がホストらしき男性を連れて飲みに来る事あるけど、初めてさんだねー
夜、お仕事でしょ、今から飲んでいいの」桑田の大将が言う
海の家桑田は、かなり早朝から
開いている事があります。早朝の海釣りがてらに寄るお客さんもいるし
大将も早起きしてお店に出ることもあればミリオンも料理も料理はひと通りできるし
魚もある程度捌けるのでミリオンだけ先に行って働いている事もあるし。時には近所の大将の幼なじみが大将の代わりに店をオープンして働く事もあるホストクラブが閉まったあとにお酒も置いてあるし他の店が閉まっている時も開いていたり、スマホやパソコンで営業中かすぐに検索でわかるし朝ごはんも
置いてあるのでタクシーで中心地のプルメリアリゾートからホストらしき男性とそのお客さんがアフターでやってくる事もあります。ミリオンも
今まで結構いろんなそれらしきホストやそのお客さんだろう人達が来ていますが、駿栄や饗ははじめてみる顔だし、
言われなければ、二人とも学生さんかなんかに見える特に駿栄の方はおそらくかなり頭がいいだろう。ミリオンは、超進学塾の講師をしているが、ずば抜けて賢い子どもや人というのは独特の空気感があるのだ。駿栄という男の子は、間違いなく賢い。。もしかして。。
プルメリアリゾートのホスト店でアルバイトをしながら神楽町市のEASTWEST大学にでも通ってるんだろうか。EASTWEST大学は特に理系が難関大学だし
ミリオンが勤務している塾プルメリアジーニアスも
小さな頃からEASTWEST大学を目指している子はかなりいるし。プルメリア島から神楽町市のEASTWEST大学へ通っている子もいるだろうし。まぁ。。たくさんのお客さんや生徒に触れ合っているとどうしてもおもしろいようにだんだんとその人となりがわかってくるというか。
ミリオンは、なんとなくこの駿栄という青年に興味を持ちました。なんで。。ホストやってるんだろうな。まぁ、でも、そこはお客様商売だし
あまり突っ込んではいけない。。
あちらから夜の仕事をしているんだけどみたいに言ってこない限りは絶対に職業もきかないし、おばちゃんみたいな年齢のお客さんには既婚未婚問わず奥様だの、６０歳以下ぐらいの女性にはお姉さんだの男性もよく知らないお客さんには、ある程度年齢いった人には見えなかろうが社長だのもう少し若ければお兄さんだの言ったり常連さんや知り合いは名字さんや愛称で呼ぶけどいろいろ明らかに年齢差あるお金
繋がりのカップルも、奥様ご主人様とばかばかしいけどマニュアル的に正式なご夫婦みたいにしてお呼びするのだ。まぁ、金を出しているパトロンの方は男女問わず若い相手と夫婦呼ばわりされたら嬉しいし。でも、若いお小遣いを貰っているらしきパートナーは好きでもない相手とそんな事を言われてムッとしつつも
お金を貰っている関係だしまさか、店の人がお客さんに対してお金の関係だなんて言うわけないし我ら接客商売のマニュアルなんだろうなとあちらもシブシブ納得はしている。
変な関係でも、こっちからは突っ込み干渉しないのはルールだ。ああ、でも。なんだろうな、年齢のわりにいろいろあったというか不思議な奥行きがあるな。。。なんてミリオンに珍しく
不思議に思っていると、饗の方がビールを瓶でオーダーして「ちょっとぐらい飲むよ仕事前だけど、運転するわけじゃないし実は、ウチのオヤジ達がもうすぐ沖縄から来るんで。姉夫婦と孫と同居してるんだけど地域がじゅうぶん楽しめる様なお店はないかなって。探してて。前々から気になっていたんです。ウチの店の先輩らもお客の付き合いで来たりしてると思うし、いい感じのお店ないかなって。で、ここ先輩達もたまに店の後で立ち寄ったり、駿栄も一度行ってみようって。」リリコが、「あらっ。。。そうなんだ宿泊先ももう決まってるの沖縄もいいとこだけど、
プルメリア島もいいところだしね。」「姉ちゃん夫婦に、
婿養子でもないのにオヤジと同居してもらってるしまぁ、今時って別にオヤジも一人暮らしすればいいと思うんだけど、でも姉ちゃん夫婦の方からの頼みみたいだしねーなんか、まぁ、子どもの面倒みさせる下心はあるかもしれないんだけどさ。で、なんか俺もちょっとは孝行しとかないとなぁって。金はかかってもいいから、ちょっといいとこオヤジも泊まらせようかな。。って考えてるんだけど、そうか、あっ、ここって確か旅館もあるんだっけ。」「あっ、ありますよ
海の灯り、和風と南仏風の旅館がアタシも時々手伝ってるんだけどね、」
と答えたミリオンが
その場にいたままでシュルッ、ビヨーンと長々と手を伸ばして蓋を開けて瓶ビールを冷蔵庫から引き出しました。
えっ
わっ駿栄も饗もミリオンがこの場にいて腕だけ伸ばして厨房に入るでもなく正解にビールを取り出して栓抜きまでしてコップまで差し出すのであまりにびっくりして顔を見合わせます「あっ。。。あ、ありがとう。。あの、ビールとかコップとか。。。こっから腕を伸ばして。。それだけできちんと持ってこられるんだ」駿栄が言います、饗も、「た、確かに噂に聞いた。。すごい。。宇宙人の天才児が海の家クワタにいるって。。。腕に。。。目玉でもついてんの」しかしながら、ミリオンは「赤ちゃんの頃から大将についてこの店には入り浸りだし厨房までだいたいの距離はこっから腕を伸ばせばどれぐらいだか、わかるよ。もう身についてるもん。冷蔵庫やキッチンのスタッフが触ったり使っていない限り食器の位置は決まってきちんとしてあるし、ビールも今日は何本出たからケースに残り何本取り出して冷やすとかいちいち厨房へ行かなくても手を伸ばせばここでできるし。調理もだいたい何分経ったとか、感覚でわかるしね。」「えっ。。。料理もするんだー」駿栄が意外そうに言うとミリオンは駿栄と饗に注ぎながら
「ええ、もちろんだって、料理や車の運転って見てればどうやってもこーすればいいんだ、って自然に覚えるじゃない。大将の見様見真似やら、それにいまどきレシピもネットで検索すればすっごい出てくるしチラッと読めばもう頭に作り方やらちゃんと分量やら入るしね。その通りに作れば料理なんか失敗しようがないでしょ。
」
お手本を見たらすぐ詳細まで記憶してそのようにやるだけ、のミリオンにとって料理はたやすいこと。
「ま。。。参りましただ、だってミリオン君は確か、プルメリアジーニアスの講師だろ
はー、駿栄も賢いけどさーでも。。。４歳で。。。って。。それにしても。。。」信じられない勉強嫌いの饗が言うけどミリオンが、「いらっしゃ。。。い、アレ
」突然、入り口ドアの方へ振り返ってお客さんを案内しようとしましたが。。。キョロキョロなにか探し回るミリオンに「どうしたんだよう、ミリちゃん。
頭が良すぎて逆におかしくなったんか。、」酔っ払って常連さんのスギさんがからかいますが
ミリオンが、
「あれ。。。おかしいな。。。
確か。。確かに誰かの声が聞こえて。。」ミリオンには珍しく空耳なのか、入り口ドアの辺りを探しましたが、特に誰もいなく、波の音に混じり合う遠くで海水浴のお客の歓声が聞こえてくるだけでした。
わ。。。
やべあのヴィーナスやベルモのブーコのきょうだいのやつ。。。なんとか見られてない、俺が視えないようだけど、さっきなんか薄々気配を感じ取られそうだった。。。幽霊の
吾朗太さんは集中して気配を消してそのまま
饗と駿栄の後を追い海の家クワタに入ってきました。
ミリオンに気づかれたのかと思いましたが今のところ、気配を消したせいか海の家クワタのスタッフやお客達には姿は見られていません。
ここへ、行きなさいってあの異母姉の真央が。。。
言ったんだけどなんか、あるのかよ。。まぁ、暇だからいーけどさー
