「お母さんからLINEだ。。。今日子さんと、銀座で飲んで帰る。。か。あっ、今日子さんのお店にいってるんだわ。」スマホを見てほろ酔いになった純ちゃんが言います。
居酒屋ブルーモーメントで、駿栄の話題で一瞬シリアスなしんみりとした空気感になったものの。。。駿栄が無事で自宅にいた頃よりハツラツイキイキしてるという事で、遠くから駿栄の門出をお祈りし、再び同窓会は盛り上がりました。時間が経ちお酒が進み、近い席同士の個別な話になっていきます。
「あ。環おばさんの親友の今日子さんってあの銀座のバー、ラナンキュラスだっけ。ウチの両親も今日子さんとは知り合いよ。」ミーシャの家、青山家は大手の飲食店ブルーモーメントで、飲食店やバー経営者の友人知人がたくさんいます。「ミーシャ、みんなもいつかラナンキュラス行こうね。もちろん、ミーシャんちのお店もいいけど。」純ちゃんが言いますと、「行ってみたいわ。今日は、二次会はカラオケだし大人数で押しかけると雰囲気壊すし。。。また改めて行きたいね。それにしても、環おばさんカッコいいわね。」ミーシャは、幼なじみでしたが、両親が多忙な飲食店経営で、父親が社長で奥さんが専務です。青山夫妻は、お金を支払うのでと純ちゃんの祖母の喜美がベビーシッターとして預けられている時期がありました。子ども好きな喜美さんは、専業主婦をしながら自宅でベビーシッターをする事がありました。
あの頃はまだまだ
難しい性格の姑、純ちゃんの大祖母の志乃がいましたが。ロシアンブルーのミーシャは大手の飲食店経営の子どもであり、成り上がりでもこの一頭地地域にポンと豪邸を買えるぐらいの家の子どもだしミーシャの姉のルーナは、志乃と出会った幼稚園児の頃からいつも志乃ににこやかに挨拶して志乃になついていたし、ミーシャもミーシャの双子の弟二人もとっても可愛らしいなにより志乃はブルーモーメントグループの大ファンだし志乃は、昔から猫とは相性が良いし志乃にとって猫は縁起が良いと言われていましたし。自分でも猫と関わるといい事があったので、子どもの頃から猫贔屓のジンクスもありました。
青山家からは、
お食事券や贈答品のお裾分けをされたり、充分な謝礼を支払ってくれているようだし、嫁が家の事をおろそかにしないならいいとベビーシッターを許可しました。左隣の家の駿栄も、親から放置されて環や喜美さんが面倒をみましたが、
志乃は
駿栄の家の夏目家は帝王大学卒業が当たり前の天才で、たしかに駿栄は私立幼稚園は落ちたけど、それでも賢いし
駿栄の兄や姉より可愛くて礼儀正しいし大事な跡取り孫の渡海や、男孫のケイトの勉強を見てくれるようだし、家族が、駿栄を無償で面倒みるのには何も言いませんでした。ああ見えても志乃は、自分になつく子どもが好きでしたし。息子の前妻の峰から環を取り上げて独占して育てていましたし嫁の喜美に家事をさせて、自分が子どもの面倒を見る事すらありました。
優秀で息子に似た長女の環は別格として。
内孫がまたの女の子だった
自分になつかないような緋夏や舞に冷たかっただけであり、緋夏が環に預けた純ちゃんは、環の娘に特別養子縁組されたし、内孫で唯一の女の子で可愛がっていました。
言うなれば、純ちゃんは、ミーシャや駿栄と兄妹のように一緒に育ったようなもの。「そう。。。ありがとう、ここはそんな事ないって言うべきなんだろうけど、私の自慢のお母さんなの。」普段自慢しない謙虚な純ちゃんも、環の事だけは自慢します。
だけど。。。
親友のミーシャにすら、本当は、環は伯母であり、実の母親では無い事を言っていませんでした。しかし、捨てられた純ちゃんの中ではすでに実の母親の緋夏さんは死んだものだし、無かった事ですらあるのです。思うところはあるけれど。。。
純ちゃんは、あまり飲み慣れないアルコール。。カクテルを飲みました。「おじさんもだけど、おばさんもかっこいいよ。。。ウチは。。。お父さん中卒で母子家庭で、お母さんの家に反対されて駆け落ちして。。親戚付き合いないからね。」ミーシャの父親は、母子家庭の為早くから社会に出ていました。飲食店で下積みから働いて頭角を表して飲食店経営を軌道に乗せました。ハタチで企業して、25歳にはもうすっかり何店舗か飲食店を経営していましたし、横浜から東京に駆け落ちの出来ちゃった結婚で娘がひとりいて
次の子どももまた産まれるので、生活も豊かに安定してきたミーシャの父親と母親は渋谷の一等地の純ちゃんの家の空いていた右隣の土地を純ちゃんちから購入して家を建てました。純ちゃんちの左隣りは駿栄の家の夏目家です。「ミーシャんちのおじさんやおばさんもかっこいいと思うんだけど。社会で才能を表現してたくさんの人を喜ばすって凄いわ。」純ちゃんが言います。「うちは。。。両親が中卒や中退して駆け落ちだから、子どもには進学しなさいって。。。私も学生だけど、この先どうしようかな。。」ミーシャが言います。「あら、ミーシャは、ブルーモーメントグループで仕事するんじゃないの社長秘書とか。。。」近くにいたウサギのルピナスが言います。「それも考えてる。。。けど。。お姉ちゃんは嫁いじゃってるからもうウチの小場には関係ないけど。。。まだまだ弟達とも話し合ってないしね。いまどき跡取りが男性って事もないしね。私もたまにうちでアルバイトしてきたし。」高校のころ親友ミーシャに誘われて純ちゃんもブルーモーメントグループでアルバイトした事があります。ミーシャの両親は、昔高校生のアルバイトだった母親の椿とそのアルバイト先の中卒のバイトの店長だったひとつ歳上の父親の奏が付き合い椿
がミーシャの姉のルーナを妊娠してしまい椿が高校を辞めて赤ちゃんを産む事を決意して椿の両親から大反対されて駆け落ちしました。
父親の奏は、母子家庭で2歳歳上の兄の禅がいましたが、奏の母親の話しだと、兄弟が物心つかない頃父親が事業の失敗で借金を残して行方不明になったので、母親が再婚する時に、子どもがいない事が再婚の条件なのでと、母親に捨てられて母親方の祖父母に預けられて、
兄が中学生の時に祖父母が相次いで亡くなり
中学校を出てから兄弟は社会に出ざるを得ませんでした。禅と奏の母親は、再婚するまではずーっと水商売でした。母親は、奏が成功するとお金の無心にきたのである程度まとまった金額を手切れ金として渡して縁切りしました。ミーシャの父親の奏と兄の禅は、両親に捨てられたのです。それがゆえに。。
ミーシャの家の親戚付き合いは、父親雅の兄の禅一家のみです。「よぉ、みんないらっしゃい。ありがとうね。純ちゃんも暫くぶり。」奏がニコニコして、娘の同窓会をわざわざブルーモーメントで開催してくれるからという事で挨拶と差し入れに顔を出しました。
オーナーお久しぶりです。ありがとうございます。
ミーシャのつてでブルーモーメントグループでアルバイトしていた子も、近所のよく知った子もいたので、奏はケーキを差し入れました。「パパ忙しい中ありがとう一杯いかが」ミーシャがビールをすすめます。「運転だからね。。気持ちだけ。それにしても、皆んな元気で良かったあれっ。。。」失礼というと奏はスマホを確認します。「えっ」「どうしたの。。。パパ。。」「兄さんから。。。LINE。。。」「横浜のおじさんから。。。」「すぐ電話してだって。。。珍しいな、LINEで知らせてくればいいのに、ちょっとだけごめん。。。」奏は席を立ち、厨房の近くにやってきました。兄の禅にすぐ電話すると。。。「お、奏。。。久しぶり。。元気か」「兄貴。。。いったい。。いったいどうしたんだよ。。。」「大阪から連絡があって。。。馬鹿女が亡くなったらしい。。。まぁ。。。亡くなっても俺らは、葬儀に出ない遺産も相続放棄って約束だったんだけど。。。」馬鹿女が。。。母親の瞳の事です。しかしながら、母親が亡くなったと言われても再婚の時に捨てられたり無心されて散々な目に遭わされた奏の気持ちは何も動く事はありませんでした。「そうだなぁ。。。なんでわざわざ連絡してくるんだ。連絡はいらないから。借金がある時だけは、相続放棄するから言ってくれと言ってあるんだけどな。借金でもあったのか幾ら渡したって言うんだよ。。あいつには。。」奏はため息をつきました。「そうじゃなくて。。。それが、日記帳が送られてきたんだよ。。」「馬鹿女のか」「うん。。。さすがに。。これは貴方達ご兄弟にお知らせしないとって。。それが。。。中を読んだんだけど。。。どうやら。。俺ら兄弟は、くそBBAに騙されていたようだ。」「どういう。。。事だよ。。。兄貴。。。」
奏の兄の禅の話によると。。。奏と禅の父親が借金を作って逃げたのは嘘で、瞳の育児放棄と浮気が原因で離婚した。有責は瞳だったけど、仕事が忙しくて子育てできない父親は、自分の両親もいないので、瞳の両親が子育てを手伝うと言っているので信用して泣く泣く禅と奏を手放して。。。でも、実際は母子家庭手当と父親から振り込まれる養育費目当てであり。。。禅と奏の父親は、
真面目に養育費を振り込んでいたが、瞳は養育費を使い込み、禅と奏を自分の両親に丸投げして再婚した時に、子どもを捨てました。。。
「じゃあさ。。。それほど。。。俺らの父親は、悪くなかったって事か。。。いまさらだけど。。。生きているのか。。。」奏が怒りで震えながら言います。
「旦那が海外に転勤するのが嫌で離婚したとも書いてあったな。。。海外でなかなか子どもに会いに来れないし。。。それをいい事に、俺らに借金をして逃げたとか無茶苦茶教え込んだんだろう。。。」禅が言いますと、「はぁ。俺らを捨てたり、金の無心をしたり、どうもあいつの有責で別れたんじゃないかと。。薄々そんな感じを。。。なんとなく。。。だったけど。。。やっぱり。。。そうだったのか爺ちゃん婆ちゃんには本当に世話になったから。。。あいつをそこまで憎むのはと思ってたんだけど。。。」
「パパ。。。おじさんどうしたの。。。」ミーシャがお手洗いに立った時に厨房の近くを通ると電話し終えた奏が複雑な顔をしていました。
「ミーシャ。。。その。。。祖母になる人が最近亡くなったみたいで。。」「えっ」とは言え、父親から伯父と一緒に両親に子どもの頃捨てられてもう祖母とは縁切りしたと聞いていましたので。。。祖母と言われても。。。亡くなったと言われても。。。どこか知らない人が亡くなった感じしか。。。「兄貴の話だと。。。すっかり。。。母親に騙されてたみたいだよ。俺の父親が。。。生きてるかどうかわからないけど。借金をして逃げたのは嘘だったらしい。二度と会う事がないから。。。オヤジを一方的に悪者にしていたらしい。。」「えーじゃあ、パパは、苦労しなくても。。お爺ちゃんの方について行ってたら。。。」ミーシャが言いますがしかしながら、
「そのへんはさ、きちんと事業を軌道に乗せたし、ミーシャだって。。。オヤジの方に兄貴とついて行ったら産まれていなかったから。。。それは、嫌な思いばっかりさせられた死んだBBAに感謝しなきゃいけないけど。。。オヤジの海外転勤があって、兄貴も俺もオヤジにはついていけなかったろうし。でもなぁ。。。」
ミーシャは父親の奏から
物心ついた頃に既に奏の父親はいなかったと聞いていました。禅と奏の父親がどういう人かは。。。はっきりわからないみたいで。。。って話も。。
「海外に転勤したの。。。お爺ちゃんは。。。」「うん、昔オヤジの海外転勤について行くのとそれが嫌なのとBBAが浮気して。。。離婚したらしい。。。オヤジの借金はBBAの大嘘だったらしい。。生きてるのかわからないし、もう年齢考えたら多分定年退職してるかもしれないな。。海外にいるかもしれないし。。。新しい家庭や再婚相手がいるかもしれない。。。ただ。。。名前がわかったんだよ。。。出身地と。兄貴に興信所を頼むって話し合って。。」
亡くなった母親を禅も奏も共に信頼していませんでした。何度か、父親が居なくなったのは母親の瞳の性格だろ借金は嘘じゃないだろうかどうもおかしいなんで、瞳は借金をなすりつけた男の姓を名乗るんだろう。瞳の両親で育てられている祖父母は、楠木で、瞳や禅や奏は青山で。。。
青山は父親の名字だろ普通そんなめちゃくちゃな酷い男の名字は離婚したらさっさと変えるぞ
と話し合ったことがありましたが。。。禅も奏もお互い家庭が出来て、父親の事など最初からいないと思って育っていたので。。。いつのまにか多忙な日々に追われて父親の話は片隅に追いやられていました。「そうなの。。。」いきなり祖父が。。。と言ってもミーシャには。。。ピンときませんでした。
お手洗いに立ってなかなか戻らないミーシャがやっと戻ると近くにいたチワワの歌麿が、かなり酔っ払って
「遅かったなー、ウンコか。」「やーねそうじゃないわよ。パパと話しをしてたのよ。。」ミーシャが席に座ると、みんな個別に飲んで話していたので
隣の純ちゃんに、「ねぇ。。。どうも。。。顔も知らないけど、お婆ちゃんが亡くなって。。。そのお婆ちゃんがお爺ちゃんやウチのパパや伯父さんを騙していたらしいの。。。」「えっ」
「お爺ちゃんとかお婆ちゃんって。。あたしは純ちの志乃のお婆ちゃんや、ジローおじさんや喜美おばさんに可愛がられたけど。。。本当のお爺ちゃんがいるみたいで。騙されて全く非が無いらしいから、生きてるかどうか、わからないけど、パパが、興信所に依頼するって。。。」「そうなの。。。」
「70歳で、亡くなったお婆ちゃんと同い年で、福岡の博多出身で。。。名前はオーガストだって。。。」
2021年01月24日
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