「い。。。家出って。。良くないよ。。君。。。」俊が少年に言います。そのグーさんとやらの異父弟なら、あの名刺に連絡した方がいいかも。
「だって。。。家出しないと、僕は勝手に将来を決められるんだもん。」
グサっ、。。
将来を勝手に決められるんだもん。。。の声に俊さんには。。忘れていたような古傷になにか突き刺さるものがありました。なんだろう、将来を塞がれるような恐怖感。。。
「あの、おじさんが、そのグー兄ちゃんってお兄さんのところへ連れて行ってあげようか、」俊は言いました。奇妙なご縁です。二人は全く知らないものの。。。
まさか、この子が、元妻の舞の再婚した息子であるとは梅雨知らずに。。。
「ウーン。。。だけどさ、グー兄ちゃんはお仕事だし、勝手に家出してきた、なんて言ったら。。。怒られるよ。」「だけど。。。家出って、君、小学生じゃないの?」
「うん。今11歳。」「えっ。。じ、11歳。。。そう。。そうか、おじさんの息子も生きていたら君と同い年だ。。。」俊は、在りし日のコウを思い出してしまいました。「亡くなったの。。。息子さんが。。。」
「うん。。。8年前にね。残念ながら。。」「おじさん、お仕事は?」「ああ。おじさんは、建築士。フリーランスだから、ある程度は自分で時間の都合をつけられるんで。」
グー。。。その時少年のお腹がなりました。
「あ、お腹減ってるの??おじさんち、車でまぁまぁ近いから。。。少しなんか食べていく?それから、、そのグー兄ちゃんという人のところに送っていこう。」
俊は昨日ビーフシチューを作ったのですが、奥さんが帰って来なかったので、結構余ってしまいました。プルメリア島は常夏の島でも、室温はエアコンでクールなので、結構暖かいものも好んで食べられます。
「好き嫌いは、大丈夫」俊は、亡くなった息子のコウと少年が同い年というのを聞いて胸が痛みました。。そして。。。家出したんだ。。
親切にしたくなりました。
少年はハリーといい名古屋から来たそうです。名古屋。。。なんだろう。。名古屋って。。
名古屋と聞いて、急に俊は懐かしさがこみ上げます。どうしてなのかな。。ハリーは、勿論知らない人についていくとか、知らない人の車に乗るなんてもってのほかなんだけど、
なぜか、この人は大丈夫というセンサーに触れた。誰しも危険信号だとか、安心センサーだとか。。目に見えないけど。。。不思議な判断するものがある。
「好き嫌いはありません。。。おじさんちに行くの家族の人たちは?」シートベルトを閉めてハリーが言いました。
「奥さんは、実家に帰っているよ。」俊は嘘をつきました。昨日から帰って来ない。。だけど、もしかして家に帰ったら、妻が帰っているかもしれないな、
それならそれで、ご飯を食べさせてから送って行くか。。。家出したみたいだけど。。。ちょっと話を聞いて説得したら、ちゃんと家に帰るかもしれないしな。この子。。。
可哀想な。。今時、将来を親に勝手に決められてるのがな。。。
身なりも良いし、ハキハキして聡明で頭も良さそう。。多分お金持ちの子どもかな。。
大変だなぁ。。なまじっか家に守るべき受け継ぐべき資産があると。。自由もいまどき制限されてるのかな。
「おじさん、木蓮寺が好きなの。?」「ああ、いいお寺だね。なかなか灯台下暗しで、こちらに越してきてから、行ってみたかったけど。、忙しくて、今日やっと行けたんだ。」「そう。、。僕はもともとプルメリア島に憧れてて。。。で、木蓮寺をネットで見て人生相談をしている、って出てたから。だけど、よく見たら要予約って。。。」
「そりゃ、お寺もたくさんの人がくるし、忙しいから時間を合わせなきゃ、だよ。みんないろいろ悩んでるだろうしね。。。」「世間はコロナウィルス騒ぎなのに。。。幼稚園やってるんだ。。木蓮寺。。。」「あれは、結界を張っているみたいだよ。幼稚園をいきなり休みにすると、親御さんが困る人たくさんいるだろ。。。ある程度子どもが大きいなら留守番できるけどね。。。世の中にはいろいろな生活をしている人がいて、勝手に生活パターンを変えられると困窮する人もたくさんいるんだよ。働き方改革なんてそうじゃない?別に仕事したい人は、好きに働けばって思うし。だから、おじさんも独立したんだけど。。。表面だけお上手を言って整えても、まわりが振り回されたり、尻拭いに奔走したり。。。いろいろメンドクサいモンだね。。あ、ごめん、変な理屈だった。。。もう、すぐだから。。。」
しばらくすると、小綺麗な都会的なマンションに到着しました。海沿いですから、きっと海が見えるのでしょう。「すごい、綺麗」ハリーが目を見開きました。。。
マンション、プルメリアヒルズ。。。
庭も美しく開けています。「ウーン。。。マンション、買おうかなとも考えたんだけどね。ここ気に入ったから。。。」俊が言います。
エントランスを入ると、タコの男性が歩いてきました。
「あっ、こんにちは大家さん。」俊はその男性に頭を下げて挨拶しました。
その男性は。。。。アポロン。家具職人兼マンションのオーナー業務。ダイヤさんの恋人です。
アポロンは、だいたいは違うマンションのプルメリアインにいますが、こちらの新しいマンションもオーナーとして持っています。
「俊さん、親戚の子どもさんですか、」「ええと、ええ。ちょっと預かる事になりましてね。」
仕事で独立し、軌道にのり、プルメリア島に引っ越してきて。。。マンションを買おうと考えていましたが、このマンションを見て、俊も奥さんも見惚れてしまったのです、
魅入られた、というか。おまけに、このマンションのオーナーが、俊のお気に入りの家具職人のアポロンだったのです。
俊は前々から、収入が良くなったらアポロンの家具を揃えるのが夢で、だんだんと収入が良くなるにつれ、お気に入りのインテリア、お気に入り空間になりました。素晴らしいなー。プルメリアンスキューバーのアポロン
投資家の家系に生まれた者の持ち前の器用さとセンスで、コンプレックスを克服し、家具職人とマンション経営者になりました。
葉月の元旦那さんミシェルのおじさんです。アポロンは幼い頃に大病を患い子どもを作れない身体になりました。子孫繁栄の精神の強いプルメリアンスキューバーズの汚点、恥晒し。。存在する意味がないとすら悩んだ日々。。。種族の旧い考えの人には殺処分を勧めたり、双子は縁起が悪いとされ、やはり、双子で産まれたアポロンは。。。アポロンの
双子の弟は、ミシェルの父親です。
アポロンは、欠陥品。。。しかし、両親は、アポロンが生きることを望んで、手に職をつけて生きていきました。
大好きな子どもは持てないし、昔お付き合いしてきた彼女達には、子どもができないなら、と最終的に去られてしまい、結婚できないと言われて、女性不審になりましたし。。。お金持ちですし、独身、都会の洗練された雰囲気で。。。アポロンは、女性にモテるというか、なんだか、お金目当て、みたいな下心見え見えでますます気持ち悪くなり、女性嫌いになったところ。。。
ダイヤさんとの出会いで、
まさかの新しい恋が始まったアポロンさん。
最近、大家さん、なんだかツヤツヤしいというか雰囲気柔らかくなったなぁ。と、大家さんのアポロンに会うたびに俊は思いました。もともと感じ良かったけど、どこかもの悲しげで。。。
エレベーターで、二十三階で降りました。二十四階建てです。最上階は、お金持ちが住んでいたり、大家さんの仕事部屋があるそうです。
機能的で整理整頓された広い雰囲気の部屋で、
あーグー兄ちゃんの。。グー兄ちゃんのお部屋の雰囲気好みに似てる。と招き入れられたハリーはびっくりしました。
やっぱり。。。妻は帰っていないな、どこへ。。。行ったんだろう。と俊は思いながらも、ビーフシチューと冷凍して作り置きのロールキャベツを、温めました。
「わぁ。美味しそう。」
いい匂いがして。、
。あっ。。。ハリーは、そういえば。。。
ママの前の結婚。。。って、ピース兄ちゃんやグー兄ちゃんの。。。パパって。。
どんな人。。なんだろう。。
この人。。。もしかして、まさか。。。
「さ、どうぞ、お待たせ、」温めたビーフシチューを出して、どうぞという俊に、ハリーは、
「いただきます、あの。。。あの、おじさん、おじさんは、、、前に、結婚していたの、いまの奥さんの前に。。。」
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2020年03月18日
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