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2019年06月18日

真夏の夜のおとぎ話 14蛍あかりの水蓮。

「お仕事はどうなの。明日は?お仕事ないなら、一時間ぐらいでいいから時間取れない??」
ヴィーナスに、
故郷の金星の幼なじみのグリがテレパシーを送ってきました。

チョットシツレイ。グリカラツ〜シン。

水蓮寺の奥座敷の茶室にて。
鰻とハモの旬料理で蛍待ちの風情で。
ヴィーナスは、水谷和尚とみーじいさんと、冷酒でほんのりとできあがり、シュナ坊がモゴモゴ食べて

シュナ坊を酔ったみーじいさんが、
自分ちの科学者のホワイトシュナウザーのパピルスの子ども時代を感じると
あー、可愛い可愛い。
ナデナデしはじめました。

「ぼく、白くないようっ。」シュナ坊がいうと、ヴィーナスが、「ボク、パピルスミタイニカシコクナイヨー。」と言ってきたので、

シュナ坊が怒り喧嘩になるかと思った瞬間にグリがテレパシーをヴィーナスに送ってきたので、ヴィーナスが、フワッと飛び上がり

「シツレイ、グリカラ」さっとシュナ坊をかわして窓辺に飛び上がりました。

「げ。
すばしっこい。まったく超チワワなんだから。」ブツブツシュナ坊が怒っていましたが。。。

グリから、なんで。ヴィーナスカタコトなしで。。。

グリとヴィーナスの通信。。


「帰ってこい?明日は、空間デザインの指導と、その前にそのなかの社長さんの赤ちゃんの耳かきがあるからダメよ〜。
社長さんの赤ちゃんの耳かきと。社長さんの
ママ友社長さんの赤ちゃん合計3人の赤ちゃんの耳かきがあるんだから。
それから、空間デザインの指導だし。
それに、明日は給食ビュッフェが、酢豚なんだから。
明日は嫌よ。」

ヴィーナスは、お金を持っているし。お料理なんか接待もあるし、なんでも食べれるけど、それでも、

給食の酢豚とカレーはさぼりたくないのです。

「そうなのですか。。。あ、じゃ、朝あたしが迎えに来て用事すまして、で、
給食前に学校に送るのはどう??あたしも、しばらくそちらの小学校へ2週間ぐらい通うから。」
グリは、神楽町小学校の臨時生徒でたまに神楽町小学校に通います。

神楽町小学校では、渡り鳥やシーズン的に期間住民がいたり、親の仕事の都合など

どこか行ったり来たりやらな生徒を
臨時生徒として
受け入れています。

グリも金星からたまに地球に遊びにきたりしています。

「おぬしも酢豚につられたんだろー」ヴィーナスが言うと。

「おほー。ね、給食、麻婆豆腐の日もある??」

「しばらくないよー。最近出たもん。シュナ坊も麻婆豆腐は、カラいカラいカラいカラいとか言ってお代わりするし。あたしも麻婆豆腐も捨て難いしまぁまーだけど。。。それより、酢豚とカレーかな。それはいいけど。。ベリーがなんか言ってるの?」

「葉月さんが帰ってきてるのよ、で、ベリーおばちゃん問い詰めたんだって。ヴィーナスそっくりさんがいるけど、心あたりは?と。」

グリのUFOは、サーッと地球にすぐテレポートできる最先端型なので、ヴィーナスの祖母のベリーが、
ヴィーナスを金星に話があるから迎えに来てとグリに頼んだのでした。

グリもヴィーナスも単独で、金星、地球にテレポートできますが、
少し時間がかかるしね。。手っ取り早く時短してグリにお迎えをベリーのババがしました。

「ハズ。。。。あんまり顔を合わせたくないんだけどね。。。なんかムカつくし。
ヴィーナスはまわりを振りまわす感じの自己中で奔放な葉月さんをあまり好きではありませんでした。


しかし。。。今回は。。なにか自分の出生の鍵を握るかもしれないし。。

直接葉月さんを
問い詰めたいとも思います。やっぱりヴィーナスは、なんだかんだ。。。今がとっても幸せなわけで。。。だから余裕が出来たというか。。。葉月さんの事は許せない反面

大好きな人が子どもを産んだら行方不明だとか。。。
葉月さんに、
自分を産んでもらったとか。。。
ヴィーナスも思うところがあるし。

親子の因果。。。むつかしいところ。親は子どもが自立できるまでは育てるのがあたりまえだとは思うんだけどね。。。

育ててやっただの、産んでやっただの。。

それから、子どもが育ててもらっただの産んでもらっただの。。葛藤というかさ。

つくづく難しい。特殊な感じの親ならば。
ヴィーナスは、、、母親の葉月さんにほとんど育ててもらっていないし。。

かと言って産んでもらったし。しかし、産んでくれと頼んだわけじゃないし。。

だけど、だけど。。なんだかなぁ〜、

ま、いーや。とにかく明日、七時に迎えにいくと、で話し合い、
終わりグリと一緒に給食前に神楽町小学校に登校、と。。。

神楽町小学校では、就労児童は、仕事優先で授業をおやすみしても良しだし。

できるだけ、ヴィーナスは小学校には通っています。。。子どもの感覚は創造性を発揮するよい環境なんです。感動もあるし。

実は。
ヴィーナスは既に自立しているので、小学校に通わなくても大丈夫なんですが、

ひとの世話をするのが好きだし。
美術家として、おんなじぐらいの子どもと交流する環境は、
よいインスピレーションと美しい学びになるのです。

それは、仕事に繋がる重要なものですし。

美術家が、家にこもってはいけないし、仕事ばかりに没頭してはいけないし。

体験から素敵なインスピレーションとヒラメキを得ることもしばしば。
なので、ヴィーナスにとって、仕事が人生最大の遊びでした。

すべてふくめて仕事と美に繋がるんですから。。。


日がおちて、食事が済むと、あっ。。。

ぽワン、ぽワン。。。あたりから幽玄なほんのりした美しい小さなともし火が庭に浮かび上がります。

わぁ〜、
蛍だ。。、

水谷和尚の奥様が、スイカを切って持ってきてくれました。後ろにはミニチュアシュナウザーのメグちゃんがいます。

「ヴィーナスちゃん、わざわざお土産ありがとうね、シュナ坊ちゃんもごゆっくりどうぞ。。」
「コチラコソ、ゴチソウサマデゴザイマス。オキヅカイアリガトウゴザイマス。

スイカを食べながら茶室の扉を開けて、お庭を鑑賞しました。

もう、ヒグラシの鳴き声はやんでいます。

メグちゃんも、水谷和尚の奥様も、みんな茶室に座って、ほんのり優雅に翔び交う蛍の灯りを眺めていました。


「ミズタニオショー、アタシノオヤガネ、アス、ハナシアイヲスルッテ。トモダチガムカエニキテ、デ、ハナシアイヲスルッ、デマタゴゼンチューモドルシ。オヤニアタシノソックリ。
ベルモ、ミリオン、ノコトヲキクカラネ。
オシラセシマス。
シカシ。キイタママヲオシラセシマスカラネ。。」

「木蓮にも言っておくよ。それから、もしも、、、ヴィーナスちゃんと、ベルモやミリオンが関係者ならば、ベルモに会ってくれる?」

「モチロンデストモ。コチラコソネ、」

たくさんの蛍の灯が、ぽワンぽワンと。。

みんなつかまえずに、、


シュナ坊がつかまえようとしたら、ヴィーナスは、シュルッと手を伸ばしてシュナ坊をとめました。

ダメ。ホタルハイマガカガヤクトキナンダヨ。オヨメサンヲミツケテ、ウツクシクカガヤイテイルンダ。イノチノシュンカンマッサカリダヨ。
スグシンジャウ。

そっとしておいてあげようよ。。。

シュナ坊は、大好きな
マルムシを捕まえて遊びな。

蛍の命輝く。。。安心な人々だと思われたのか、茶室に何匹か蛍が入ってきたので、

電気を消しました。

蛍も、大好きなヒグラシも、、、蝉もすぐ死ぬ。。
一瞬を一生懸命生きて、輝いて泣いて。

なんだか、ヴィーナスは、翔び交う蛍を眺め命の儚さと美しさを憂いながら

涙が次から次へあふれてきました。



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