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2015年06月10日

かき揚げの郷愁

かき揚げ丼WEB.jpg
天ぷらと来たらかき揚げをとりあげなければことはすまない。
何がすまないのかほとんどわからないがとにかくすまない。
これはおそらくかき揚げに対してすみませんという気持ちと、天ぷらだけ書いておいてかき揚げはおきざりかよという「ただではすまねぇ」という自分の気持ちがごっちゃになった意味なのだと思う。

で、かき揚げの話をするまえにカルチャーショックを1席。
以前、四国九州に仕事で行った先々で(主に駅構内や空港近くの土産物売店など)「天ぷら」と大書きされた看板や幟がやたら目立つので、売店や売場や店先を覗くと天ぷらは無いんであります。
あるのは薩摩揚げまたはそれに似た物がぎょうさん並んではる。
何これ。それにしても色々な薩摩揚げがあると感心したけど、天ぷらではない。
それで、お店の人に聞くと満面の蔑視笑顔でこれが天ぷらと言うのだと。
おどろいた。我が身の無教養にもだけども、なんと西日本以西で天ぷらというのは、
魚のすり身を油で揚げたもののこと。で、日本全国で流通しているいわゆる「天ぷら」は何というのと聞くと
「天ぷら」だそうだ。何がちがうのですかというと微妙にアクセントが違う程度だった。
西日本地元民は、ふだん生活のなかで「今夜は天ぷら」と言えば、薩摩揚げみたいな天ぷらとなる。
四国で天ぷらと書いてあったので、こちらもついでに覗くとじゃこ天。
これはうまいですよというから買って食べたら、ほんとにうまかった。

さてそろそろ本題のかき揚げについて。
かき揚げで思い出すのは、東京有楽町駅前の立ち食い天丼屋さん。
東北の仙台の人間としては、生まれて始めて立ち食いで天丼を食った。しかもかき揚げの天丼である。
色もなにやら全身茶色のかき揚げ。威勢が良くて粋とはいかないが、イナセでばっと食ってばっと払って、
ばっとカウンターを離れるという潔さがあった。
安くてうまくて味は濃くて、ああ、これが江戸前ってことか、と感じ入った記憶がある。
江戸で大発展をとげたいわゆる「天ぷら」の原点はまったくこの感覚だったのだと思う。
出店、屋台のファストフード。ひと串、ふた串をさっと食って、え〜い釣りは要らねぇぜなんて言って、
出て行く。出て行く時に店の暖簾で指をふいて行くのは忘れない。
この有楽町の立ち食い天丼屋はまだあるんだろうか。うまかったな。なつかしいなぁ。






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