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2021年09月14日

星やどりの声

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「桐島、部活やめるってよ」「何者」などの作者で知られる朝井リョウが学生最後に発表した、家族小説。


舞台は海沿いにある(湘南がモデルと思われる)喫茶店「星やどり」。そこは4年前に癌で亡くなった建築家の父が、リフォームを手掛けた物件だった。星が見える天窓。ブランコになっている座席。特製のビーフシチュー。大黒柱を失った早坂家の面々は、この店を訪れるたびに、笑顔を絶やさなかった父の記憶を鮮明に思い出す。


第1章「長男 光彦」は、就職活動連敗中の大学4年生。
第2章「三男 真歩」は、カメラを持ち歩く大人びた小学6年生。
第3章「二女 小春」は、派手なグループに属する、彼氏持ちの高校3年生。
第4章「二男 凌馬」は、「父は正義だった」とつぶやく青臭い高校1年生。
第5章「三女 るり」は、小春の双子の妹で優等生の、高校3年生。
第6章「長女 琴美」は、その洞察力が家族から“エスパー”と称されている、警察官の夫を持つ26歳販売員。



この、兄妹1人1人に代わる代わるスポットが当たる構成は、村山由佳の「星々の舟」を思い起こさせた。ただ登場人物がほとんど学生、舞台が湘南の喫茶店という事もあり全体的に爽快で青春チックな内容だった。星々の舟は、もっとテーマが濃密で、重かった(笑)。喫茶店を作った父の願いが、最後の琴美の章で明らかになり、思わず感動してしまう仕掛けになっている。kindle unlimitedでこの作品クラスに楽しめる小説がもっと解禁されますように・・・。


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