あの雨の夜 - ぶつよくさんの『言いたい放題』。
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あの雨の夜

100年に一度の記録的な大雨。その夜は、結局眠れなくて。
昨晩はロクに眠れぬ夜を過ごした。まさか、これほどの豪雨に見舞われるとは、本当に夢にも思わなかった。

この身の地元は比較的年間の降雨量が少なく、水害が起こるとすれば大きな台風によるものがほとんどだった。ところが今回は、停滞していた梅雨前線と太平洋高気圧の位置等様々な要因が重なり合い、近年稀に見る記録的な大雨が発生したのである。
5日はまだ「梅雨前線が止まった状態?冗談じゃない、早く梅雨が明けてくれないかねぇ」と軽口を叩けていた。

ところが、6日の朝から立て続けに携帯電話のアラートが鳴り、緊急速報が流れてきた。そして時間が経つにつれ、「避難準備」に該当する地区が多くなっていった。自分の住む地区は該当していなかったとはいえ、非日常的な状況故に緊張感は高まっていた。

夕方頃になると、これまで「避難準備」だった地区に「避難勧告」が、この身の住む地区には「避難準備・高齢者等避難開始」の速報が届いた。それを機に、ネットを介して『水位情報』を確認し始めた。自宅近くに大きな川があるのだが、先の速報の内容が、その川の水位が堤防を超える可能性がある・・・というものだった為である。その時点ではまだ大丈夫と思える数値でしかなかったが、緊急速報が出る位なのだ、軽視する事は出来なかった。

その後もチェックし続けていたのだが、午後11時くらいに水位情報を確認すると『氾濫危険水位』にまで達していた。いつ氾濫してもおかしくない状況になっていたのである。この辺りでは比較的大きな川なのだが、川のどこが氾濫するかなんて事は実際に起こってみなければ分からない。もし近くで氾濫しようものなら、この一帯は浸水以上の被害が出るのは確実だ。その為、家族には出ようと思えばすぐに出られるよう準備だけはしておくように話をした。
家族は準備し終わった後そのまま眠ったようだが、この身は水位情報だけでなく、気象庁HPにある『大雨警報の危険度分布』からも目が離せなくなっていた。

日が変わって7日の午前2時には市内広域に「避難指示」が発令。とはいえ、真夜中な上に外は大雨である。下手に外に出ればそちらの方が余程危険な状態であった。いざとなれば、家族を起こして2階へ避難させれば大丈夫だろうと考えた。
この辺りの判断については、どこか「それでもきっと大丈夫だろう」という甘い考えがあった事は否めない。

かといって、やはり楽観的な考えよりも恐怖感の方が強かったのもまた事実。その後も水位情報、気象庁の大雨警報の危険度分布の他、大雨警戒情報等様々な情報を逐次確認し続け、そのまま朝を迎えた・・・という訳である。

今日になって多少雨脚が緩やかになったこともあり、結果的には近くの川が氾濫することもなく家への浸水も無かった。が、あと1日、この豪雨状態が続いていたらどうなっていたか分からない。
実際、この雨で一部会社の人間は道路が寸断されて家から出られない状況に陥った。
友人のひとりは夜勤だったが道路が冠水してしまい帰宅できず、避難所で一夜を過ごした。
県道・国道の一部が通行止めとなったことで物流が滞り、スーパーやコンビニの棚から食料品が消えていた。
そして、同県隣市内では川が氾濫して広範囲が水没し、多くの方々が犠牲となった。

犠牲者の多くは60歳以上の老人だ。その中には垂直避難、すなわち2階へ移動する事が出来ずに亡くなった方も多いという。足腰が弱っている為、階段を上がる事ができなかったというのだ。その事を知った時、己の認識の甘さにゾッとした。“2階に移動するだけだ”などと、安易に考えてはいけないのだ。
豪雨であろうが、火災であろうが、地震であろうが、災害への備えは、物資だけ用意していればいいというものではない。当たり前の事だが、判断力と知識も必要である。実際に起こった事を教訓として、今後に活かさなくてはならない。

またいつどこで何が起こるか分からない。皆も、災害への備えはしっかり、ね。
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