2015年08月05日
NTTフレッツVPNワイドを介した快適なSQL Server データベースの利用法(フレッツグループにも対応)
企業内ネットワークの構築
ひと昔前までは、本社と営業所などの企業内ネットワークを構築するには、
専用線を用いる必要があるためコストが高く、導入する企業も限られていました。
しかし近年のブロードバンドの普及と共に、
高速なインターネットアクセスを安価に利用できるようになり、
この公衆網回線を専用線のように利用できる
VPN(Virtual Private Network:仮想専用線)も脚光を浴びるようになりました。
VPNは公衆網であるインターネット経路に仮想の専用線(仮想トンネル)を張り、
そのトンネルを使って安全にデータをやり取りするもので、
専用線に比べるとランニングコストが非常に安価です。
VPNにはいくつかの種類があり、代表的なものとしては、
インターネットを経由して構築される「インターネットVPN」。
ISP(インターネットサービスプロバイダー)専用のIP網を利用する「IP-VPN」。
IPに限定されないL2レイヤのイーサネットフレームをカプセル化し伝送可能にした「レイヤ2VPN」。
などがあります。
その中でも、インターネットVPNは通信回線コストが安価で、
インターネット接続さえあれば、VPNルータを導入するだけで、
VPN網を自前で構築することができるため、多くの方が利用しています。
そして、インターネットVPNの中でも人気なのが、
NTT東日本、NTT西日本のフレッツ・VPNワイドです。
フレッツ・VPNワイドの場合、
各拠点はインターネットやプロバイダを介す事無く、
NTTのNGN(次世代ネットワーク)網のみを介すため、
「グループ」という概念の閉域接続となっています。
その為、各拠点間は暗号化通信を必要とせず、
インターネット網を利用する一般のインターネットVPNよりも
高速な通信が実現できます。
費用は、
回線利用料の\5,460と各拠点のVPNワイド利用料の\1,890のみ。
例えば、3拠点間で利用する場合、
となります。
インターネットVPNと比較すると、かなり安価です。
※注意:
フレッツ・VPN ワイドのご利用には、
VPN管理者の場合はフレッツ 光ネクスト(インターネット接続サービス)
もしくは光コラボレーション事業者が提供する光アクセスサービス、
VPN参加者の場合はフレッツ 光ネクスト、フレッツ・光プレミアム、
Bフレッツ、フレッツ・ADSL、フレッツ・ISDN (いずれもインターネット接続サービス)、
光コラボレーション事業者が提供する光アクセスサービスのいずれかのご契約・料金が必要です。
ただし、フレッツ 光ライト(インターネット接続サービス)はご利用できません。
フレッツ・VPNワイドでのSQL Serverの利用
この安価なフレッツ・VPNワイドの企業内ネットワークで
SQL Server を利用することで、
SQL Server データベース用いた社内システムを簡単に構築可能です。
この場合、
インターネットを介さずデータベースの読み書きが行えますので、
セキュリティ面においても安心です。
また、SQL Server であれば、
WEBシステムだけでなく、従来のクライアント/サーバー型の
Windowsアプリケーションも動作するため、
VBやVC++、VC#、Delphi、Accessなどで開発した社内システムなど、
貴重なIT資産を無駄にすることもありません。
SQL Serverの設定
ここでは、SQL Server 2008 R2 Express Edition を利用する場合の設定を説明します。
他バージョンでも同様の設定になると思いますが、
詳細はMicrosoftでご確認ください。
また、接続にはSqlClientを用いることを前提としています。
SQL Server の Express 版をインストールする場合、
「既定のインスタンス」と「名前つきインスタンス」のいずれかを選ぶ事ができます。
デフォルトは「名前付きインスタンス」です。
「規定のインスタンス」の場合は、
接続先名はSQL Server が稼動しているコンピュータ名となります。
接続文字列は、Data Source=tcp:
「名前付きインスタンス」の場合は、
デフォルトのインスタンス名は「SQLEXPRESS」です。
ですから、
接続文字列は、Data Source=tcp:
整理すると、
既定のインスタンス : (コンピュータ名),(ポート番号)
名前付きインスタンス: (コンピュータ名)\(インスタンス名),(ポート番号)
というわけです。
では、(ポート番号)とは何でしょうか、
実は、
「既定のインスタンス」の場合、リモート接続の際にポートが固定(TCP 1433)となっています。
「名前付きインスタンス」の場合は、SQL Server 起動時に使用可能なポート番号が動的に割り当てられます。
その為、「名前付きインスタンス」の場合は、
リモート接続時に、動的に割り当てられたTCPポート番号を返してくれる、
SQL Server Browserが必要となります。
ただし、「スタート」>「すべてのプログラム」>「Microsoft SQL Server 2008 R2」>「構成ツール」>「SQL Server 構成マネージャー」
のTCP/IPで、TCPポートに0以外の数値を入れることで、
「名前付きインスタンス」の場合でも、固定ポートを利用することができます。
この場合、接続文字列にポート番号を指定するようにします。
「既定のインスタンス」の場合でも、
「SQL Server 構成マネージャー」のTCP/IPで、1433以外の数値を指定することが可能です。
ここまでの説明で、「既定のインスタンス」「名前付きインスタンス」による
SQL Server へのリモート接続の接続文字列の指定方法が理解いただけたと思います。
しかし、これだけでは、フレッツ・VPNワイドでSQL Server を利用することはできません。
フレッツ・VPNワイドは名前解決を行う為のDNSサーバーが存在しないため、
コンピュータ名での接続ができないのです。
フレッツ・VPNワイドでSQL Server を利用する場合、
「コンピュータ名」の部分をサーバーの固定IPアドレスを指定するようにしてください。
既定のインスタンス : (サーバーの固定IPアドレス),(ポート番号)
名前付きインスタンス: (サーバーの固定IPアドレス)\(インスタンス名),(ポート番号)
です。
では、コンピュータ名でアクセスする場合にはどうすればよいのでしょうか?
この場合は、クライアント側のhostsファイルを用いて名前解決するようにします。
hostsファイルは、C:\Windows\System32\drivers\etcフォルダにありますので、
これをメモ帳などで開きます。
次のような記述がありますので、
# Copyright (c) 1993-2009 Microsoft Corp.
#
# This is a sample HOSTS file used by Microsoft TCP/IP for Windows.
#
# This file contains the mappings of IP addresses to host names. Each
# entry should be kept on an individual line. The IP address should
# be placed in the first column followed by the corresponding host name.
# The IP address and the host name should be separated by at least one
# space.
#
# Additionally, comments (such as these) may be inserted on individual
# lines or following the machine name denoted by a '#' symbol.
#
# For example:
#
# 102.54.94.97 rhino.acme.com # source server
# 38.25.63.10 x.acme.com # x client host
# localhost name resolution is handled within DNS itself.
# 127.0.0.1 localhost
# ::1 localhost
これに続けて、
サーバーの固定IPアドレス サーバーコンピュータ名
を追記してください。
(例:192.168.1.200 bumonsv001)
これで、コンピュータ名によるリモート接続ができるようになります。
あとは、NTTさんにお願いして、
UDP1434ポートと、TCP1433ポート、
もしくは、TCPの任意ポートを開けてもらえばOKです。
なお、ポート遮断は各拠点に設置されているVPNルータで
設定されているようなので、
NTTさんに来ていただく必要があります。
まとめ
フレッツ・VPNワイドを用いたフレッツ・グループ閉域接続による、
SQL Server の拠点間利用ができることがわかりました。
他のインターネットVPNを介したリモート接続よりサクサクと動作し、
インターネット網から切り離されているため、
セキュリティ面も安心して利用できるのでお勧めです。
設定でつまずく理由の多くは、
UDP1434ポートと、TCP1434やTCPの任意ポートが
VPNルータに遮断されているのと、
DNSサーバーが存在しない為に、
コンピュータ名の名前解決ができないことです。
これを理解しておけば、
事前にNTTさんにお願いして設定してもらえますので、
ご自身でルータを購入していきて、
インターネット網を介したVPNを構築するような必要もありません。
また、速度面においても、
暗号化されていないフレッツ・グループ閉域接続に対抗しうる
VPNルータを購入するとなると、
かなり高額な機器が必要となるので、
拠点あたり\1,890/月額のフレッツ・VPNワイドは
かなりお得だと思います。
面倒な設定不要で、高額なVPNルータの購入も不要な
フレッツ・VPNワイド。
企業内ネットワークの構築を考えている方は、
是非検討してみてはいかがでしょうか。
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