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2022年11月17日

日本製鉄社員「過労自殺」 残業急増、上司叱責も 労基署認定

国内最大手の鉄鋼メーカー「日本製鉄」(本社・東京都)の社員だった水谷翔紀(しょうき)さん(当時28歳)が2020年2月に自殺したのは、残業時間の急増と上司の叱責による複合的な要因でうつ病を発症したためだとして、半田労働基準監督署(愛知県半田市)が労災認定したことが、関係者への取材で判明した。未経験の修繕業務を命じられて業務が増えたほか、上司に何度も責められて疲弊していた。遺族は今後、日本製鉄に損害賠償を求める方針だ。
主な業務内容は修繕工事を安全に実施するための準備や検査だったが、20年2月の工期が迫る中、現場では作業が思うように進んでいなかった。水谷さんは短期間に計3回、同じ上司から「何を考えているんだ」などと叱責されていた。

 2月6日朝、社員寮の駐車場で倒れている水谷さんが見つかった。この直前に9階の自室ベランダから転落したとみられ、搬送先で亡くなった。寮の自室には遺書が残されていた。

 水谷さんは母親に「仕事がきつい。会社を辞めたい」と漏らしていたほか、1月中旬以降は交際相手に無料通信アプリ「LINE(ライン)」で仕事の悩みや不眠を訴えるメッセージを送信。「上司からボロカス言われた」「心身共に疲れた」などと記されていた。遺族は21年10月に労災を申請した。
 半田労基署
は、水谷さんが20年2月上旬にうつ病を発症していたと認定した。発電設備の修繕はミスの許されない緊張感を伴う業務だったとし、残業時間が3倍に急増したことで心理的な負荷がよりかかったと指摘。亡くなる前日も含めて近接した時期に上司による叱責も相次ぎ、自殺につながったと判断した。
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