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2022年09月09日

安い給料、長時間労働…日本人が陥る「仕事は尊い」「働くことには価値がある」という考え方のワナ

「仕事のための仕事」に悩み苦しむ人々
 100年前には「1日4時間労働」ですむようになるといった予言もあったが、現実はそうなっていない。

 〈おおよそ100年前には、働く人たちは組合を組織して、賃上げよりも、労働時間を短縮すること、自由時間を獲得することに重きをおいていたことがみえてきました。そしてその根底には、労働から解放されたいという動機があることがわかりました。

 そしていまでもとても尊敬されているその世代随一の経済学者も、100年後には、技術の向上やそれに由来する生産力の上昇によって、人は一日4時間、週3日働けばすむようになっていると予言しています。〉(『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』より)
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『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』

その後、予言が実現しそうになった時代もあった。

 〈50年ぐらい前(1960年代)には、ほとんど働かないですむような世界を多くの人たちがもとめはじめた時代がありました。そして経済学者の予想した通り、客観的にも、可能性としては、その実現は遠いものではなくなっていました。〉(『ブルシット・ジョブの謎』より)

 しかし――。
 〈世界を支配している人々からすると、それが実現するということは、人々が、じぶんたちの手を逃れ、勝手気ままに世界をつくりはじめることにほかなりません。そうすると、じぶんたちは支配する力も富も失ってしまうことになります。

 そこでかれらは、あの手この手を考えます。

 そのなかのひとつが、人々のなかに長いあいだ根づいている仕事についての考え方を活用し、あたらしい装いで流布させることでした。

 その考え方とは、仕事はそれだけで尊い、人間は放っておくとなるべく楽してたくさんのものをえようとするろくでもない気質をもっている、だから額に汗して仕事をすることによって人間は一人前の人間に仕立て上げられるのだ、と、こういったものです。〉(『ブルシット・ジョブの謎』より)

 〈なにかおかしいな、とおもっていても、でも仕事をするということはそれだけで大切だ、むなしかったり苦痛だったりするけれども、だからこそむしろ価値がある、というふうに、人は考えてしまいます〉(『ブルシット・ジョブの謎』より)

 現代日本でも「仕事はそれだけで尊い」「仕事をするということはそれだけで大切だ」といった価値観は蔓延している。

 もちろん、仕事に就くこと、働くことは、生きるうえで大事かもしれない。

 ただ、それを当たり前に受け止めすぎた結果、「1日4時間労働」の世界は遠のいている。
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