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トシヒコ
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2022年03月17日

「厳しくても尊敬される上司」と「部下のメンタルを壊す上司」の差は「この言葉」に表れる

仕事や人間関係…しんどいことが多い、という人にぜひ読んでもらいたいのが、『メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術』(わび著)だ。著者のわび氏は元幹部自衛官としてエリート街道をひた走っていたが、上司のパワハラと早朝深夜の激務が重なりメンタルダウン。復職を果たした後、「出世ばかりが人生ではない」「人に認められるためではなく、もっと楽しく生きたい」と思い、転職。現在は外資系企業の社員として活躍している。

● 「悪い知らせほど重宝せよ」

 ──自衛隊で幹部自衛官として働いてきた中で、「上司としてのありかた」について考える機会も多かったと思います。「パワハラと指導の線引き」はどこに現れると思いますか?


自衛隊では、たったひとりのパワハラ上司を除いたほとんどは、尊敬できる人ばかりでした。

 時には厳しくとも、しっかりと指導して育ててくださった上司や先輩との出会いには、今でも感謝しています。「いい指導かどうか」の差は、部下が「事故報告」をしたときの態度に表れると思います。

 ──「事故報告」とは?

危機管理の世界では、よく「悪い知らせほど重宝しなければならない」と言われます。

 火事と同じように、悪い知らせを放っておくとどんどん火が広がって、周りに悪影響を及ぼし、気がついたときには対処に大きなエネルギーを費やすことになる

 そうならないように、大きな事故であればあるほど素早く報告する、と自衛隊の先輩からも教え込まれていました。

 ・事故として発生したこと
・どんな影響があったか
・今後どう対処するか、という結論事項

 これをセットで報告するんです。

 ──たしかに、大きな失敗をしてしまったときほど、部下としては報告しづらいですよね。

そんなとき、淡々と叱ってくれる上司は、ありがたかったですね。

 事故報告の再発防止の話をしっかりと聞いて、「そこはそうじゃないだろう」「こうしたらどうか」など、詰めの甘さを指摘してもらえたり、次のよりよい改善策に繋げるような言葉をもらえたりしたときは、恐怖心はそれほど抱きませんでした。

 いい指導ができる人って、「次、どうするんだ?」という言葉が出てくるのが早いんですよ。

 具体的な対処法が決まったらあとは遂行するだけなので、後腐れもない。逆に、パワハラ上司の場合は、すべての案件に対して長時間の指導があって、なかなか次の行動に移れませんでした。

 そもそも、「上司への報告に、異常なほどの恐怖を感じる」というのは組織としてあってはいけないことです。部下は自分の仕事をなかなかコントロールできません。

 うまくコントロールするのは上司の仕事であり、それこそが腕の見せどころだと思います。

● 怒られても落ち込まないための「変換スイッチ」

 ──とはいえ、「真っ当な指導でもすぐに落ち込んでしまう」という人も多いと思います。気持ちの切り替え方や怒られたときの受け止め方として、おすすめの方法があれば教えてください。

相手が話の通じないパワハラ上司だった場合は、一刻も早く逃げましょう……というのは大前提として、ある程度理性的な上司に指導されて落ち込んでしまった場合ですよね。

 「怒っている」=「困っている」という話を聞いたことがあります。そして、いろいろな上司のもとで働いているうちに、「怒っている」=「困っている」は割と当たっていると確信しました。

 怒ってしまうのは結局、困っているからなんですよね。

 「怒られている事実」にばかりフォーカスするのではなく、「なぜ相手は困っているのか」にフォーカスすれば気持ちは切り替えられますし、上司とのコミュニケーションもうまくいくと思います。

 ──なるほど!「怒っている」=「自分を責めている」と変換してしまうと、相手の指導を受け止めきれないですが、「怒っている」=「困っている」に変換すれば、冷静になれそうですね。

そうですね。とくに、相手と感情のやりとりをするときには、「精神的優位性」を保つことを意識するといいという話があります。

 「怒っている」=「自分を責めている」と変換してしまうのは、精神的優位性が相手より低いからなんです。そうすると、「攻撃されている!」ということにばかり意識がいってしまって、自分を守るために言い訳をしたくなってしまう。

 そうではなく、「私は相手よりも精神的に優位な立場にいる」と考えれば、そんなにつらくはならないと思います。むしろ、相手の困っていることを探ることができれば、「上司を助けられた!」という自信にもつながる。

 怒られていても、少し高い目線で相手と対話するのがおすすめです。









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