2008年05月02日
熱狂の日」 定着した“百万人の音楽祭
「熱狂の日」 定着した“百万人の音楽祭”(5月2日付・読売社説)
大型連休中の文化行事として、すっかり定着した感がある。
クラシック音楽の祭典〈ラ・フォル・ジュルネ「熱狂の日」音楽祭〉が東京と金沢で開幕した。期間中、国内外の1700人の演奏家が約500の公演を行う。
3万人が集まったロックコンサートをヒントにした「熱狂の日」音楽祭は、フランスの地方都市ナントで1995年から始まり、瞬く間にヨーロッパ有数の巨大な音楽祭に成長した。
今ではスペインのビルバオなど世界5都市に広がっている。
東京国際フォーラムを主会場にした東京の音楽祭は、今年で4年目を迎えた。来場者は20〜30代の若い層を中心に年々増えており、昨年は100万人を突破した。
東京での成功を受けて、今年から金沢市でも始まった。
両会場とも平均1500円の手ごろな料金で、世界の著名な演奏家の名演を聴くことが出来る。無料コンサートや、幼児と共に楽しめる公演も用意されている。
昨年のアンケート調査では、91%もの人が、「来年も来たい」と回答した。
クラシックファンの裾野(すその)を広げる開かれた音楽祭は、音楽界に大きな刺激を与えている。
会場のステージは、世界の多様な文化が融合する場でもある。
東京の会場では、中米トリニダード・トバゴのバンドオーケストラが、スチールドラムを使って、シューベルトの「未完成」や「魔王」などの名曲を披露する。
金沢では、ベートーベンのピアノソナタ「月光」などに合わせて能楽師が舞う。
音楽通の人も、クラシックの演奏会は初めてという人も、音楽の魅力について新たな発見があるかもしれない。
企業の支援も欠かせない。昨年の事業費7億6000万円の半額は、協賛企業などが負担した。
多くの人が気軽に楽しめるクラシック音楽祭は、全国各地に広がりを見せている。
仙台市では、2年前から秋にクラシックフェスティバルが開催されている。前売り券は1000円に抑え、3日間に101回の演奏会を実施している。
大阪市でも、2年前から大阪フィルによる無料の街角コンサートが開かれている。
クラシック音楽を身近にする試みが広がっていくことで、音楽界にも新たな活力が生まれるに違いない。地域の活性化にもつながっていくだろう。
(2008年5月2日01時52分 読売新聞)
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