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2008年04月02日

“手堅い”日本人メジャーリーガー

“手堅い”日本人メジャーリーガー
■江尻良文編集委員「球界に直言!」
 レッドソックス・松坂が凱旋帰国して、東京ドームでアスレチックスとの開幕戦など、今年もメジャーの大攻勢に日本球界は青息吐息。一見するとこういった構図になっている。が、熱しやすく冷めやすいのが日本人の気質だ。新しい日本人メジャーリーガー、カブス・福留、ドジャース・黒田に対するファンの反応を見ても、さほどの盛り上がりはない。


 「ロッテ・小林雅、藪田、楽天・福盛までがメジャーリーガーになる時代。もう誰がメジャーへ行っても驚かない。騒がれるとしたら、ダルビッシュが行ったときくらいだろう」。メジャーリーグ・ウオッチャーの言葉は的を射ている。野茂、イチロー、松井秀、捕手としての話題性もあった城島、松坂といった、日本でも人気抜群のスター選手の堂々としたメジャーリーガーぶりを見たら、もうさほどの関心はない。

 日本でもう一度メジャーリーグに対し熱風が吹くとすれば、今年の日本ハム・中田のような一挙手一投足が注目されるアマ球界のスーパースター候補が、日本球界を蹴飛ばし、いきなりメジャーに挑戦する場合だろう。こういう選手が出てきたら、メディアもファンも大騒ぎ、大挙して米国へ押しかけるのは間違いない。なにしろ手あかの付かない、新鮮な話題にしか反応しないのが日本人だ。

 メジャーでの日本人プレーヤーは、日本での実績がそのまま通用することを証明している。先発投手が野茂に始まり、松坂、抑えは大魔神こと佐々木。中継ぎも岡島。捕手・城島。内野手も松井稼、井口がいる。外野は松井秀とイチロー。さらには田口といった名脇役までいる。「日本で実績のある選手は間違いなくメジャーでも通用する」ことは証明されている。

 が、これまで日本球界からドラフトされながら、それを蹴ってメジャーに挑戦した選手は一人もいない。マック鈴木などのように、日本球界からドラフトで指名されていない選手がメジャーリーガーになった例はあるが―。「近い将来、アマ球界のスーパースターがいきなりメジャーへ行く時代が来る」と言われ続けながら、まだ実現していない。日本で実績を残してメジャー球団に認めさせ、好条件で海を渡る。今時の若者は何を考えているかわからない…などとよく言われるが、日本の野球選手は違う。手堅い道を歩んでいる。

 実は、昨年のドラフト前に日本の球団から指名されても断ってメジャー挑戦を考えていた選手がいた。が、残念ながら日本のドラフトで指名されず、その選手は社会人入りした。日本のドラフトにもかからないようでは、メジャー挑戦は無謀だと次のチャンスにかけることにしたのだろう。今オフ、FAでのメジャー移籍が確実視されている巨人・上原が入団時にエンゼルス入りか巨人入りするか二者択一で苦悩。「日本のメジャーの球団・巨人で実績を残し、メジャー入りする」道を選んでいる。さて、誰がパイオニアになるのか。日本球界のドラフト指名を蹴ってメジャー挑戦、成功する初めての選手を早く見てみたい。












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