外為ラボ

・ドル円は5日続伸。イエレン米連邦準備理事会（ＦＲＢ）議長がジャクソンホールで講演を行い、「ＦＯＭＣは労働力の活用が極端に低いと判断」との見解を示したものの、「目標への進展が早ければ利上げが早まる公算」「賃金はインフレの上昇の影響を受けず上がる余地がある」などと述べた。講演内容が伝わった直後には103.63−66円まで下げたものの、市場関係者からは「予想ほどハト派ではなかった」との声が聞かれ、すぐに買い戻しが強まる展開に。米10年債利回りが上昇したことも買いを後押しし、目先の上値目処として意識されていた4月4日高値の104.13円を上抜けて、23時40分過ぎに1月23日以来の高値となる104.20円まで買い上げられた。ただ、その後に米長期金利が低下に転じたこともあり、一巡後は利食い売りに押されて103.83−86円まで下押す場面もあった。もっとも、週末を前に市場参加者が減少するなか、引けにかけては103.90円付近でのもみ合いが続いた。

・ユーロドルは反落。イエレンＦＲＢ議長の講演内容を受けて全般ドル高が進んだ流れに沿った。前日安値の1.3242ドルを下抜けて、24時前には昨年9月9日以来の安値となる1.3220ドルまで売り込まれた。米長期金利が低下したこともあり、その後はしばらく1.3240ドル付近での値動きが続いたが、ジャクソンホールでのドラギ欧州中央銀行(ＥＣＢ)総裁の発言を受けて売買が交錯した。同総裁が「ＥＣＢはさらに政策のスタンスを調整する用意がある」「ＡＢＳプログラムの準備は迅速に前進しており、一段の信用緩和に貢献するだろう」と追加緩和について示唆したため、一時1.3225−28ドルまで下落。同時に「6月の刺激策が需要を促進すると確信」とも述べたことで1.3260−63ドルまで買い戻しが進んだものの、戻りは鈍かった。

・ユーロ円は3営業日ぶりに反落。ドル円の上昇につれて137.90円台まで買われる場面があったが、ユーロドルが下落した影響も受けたため上値は重かった。ドラギＥＣＢ総裁の発言を受けて一進一退の動きとなる場面があったが、総じて方向感のない展開となった。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落。足もとで相場上昇が続いていたこともあり、目先の利益を確定する売りが広がった。週末を前にしたポジション調整の売りも出た。なお、ジャクソンホールでのイエレン米連邦準備理事会（ＦＲＢ）議長の講演内容に対する反応は限定的だった。
　ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指は続伸した。2000年3月以来、約14年5カ月ぶりの高値を付けた。

ダウ工業株30種平均：同38ドル27セント安の17001ドル22セント
ナスダック総合株価指数：同6.45ポイント高の4538.55
10年物米国債利回り：同横ばいの2.40％
ＷＴＩ原油先物9月限：同0.31ドル安の１バレル＝93.65ドル
金先物12月限：同4.8ドル高の１トロイオンス＝1280.2ドル