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2023年04月10日

恋をした数年前に時間が止まってる女

数年前に仲良くしてくれたスポーツ選手のことを
忘れられない女
ことあるごとに名前を出し
ことあるごとにSNSに投稿し
聞かれもしないのにいきなりコメントで
名前を書き込むのだが
「だれ?それ」と周りは思っている
そこまで有名な選手でもなく
しかも数年も前のことであり
仲良くしてくれたとは言っても
相手にしてみれば
いつも応援しているからと
支援したり世話やいたりしていれば
何か言われても
抵抗できずに言うとおりにするしかない間柄

ただの主婦と
スポーツ選手
支援されている選手からすれば
「子供に教えてほしい、食事や宿泊代は出すから」
って言われれば
断り切れなかったんではないのか
引退して地元に戻る時には
1日ふたりで観光して過ごしたという話も
相手の気持ちはどんなもんなのか
プライベートでふたりで出かけておいて

「全然 恋愛感情はない」と言い張り
「目の前にいると緊張して話もできない」と言い
そしてことあるごとに
聞いてもいないのに
積極的に
「この人の話題にくいついて?」と言わんばかりに
SNSでコメントを残したり投稿したり
写真や名前をやたらと出しても
数年前の有名ではない選手

「だれ?」としか思えない

好きな相手のことは
なんでもかんでもその人のことに結び付けて
名前を出したがるもの
それががんがん出てるのに
「恋愛感情はない」と断固言い張っていた

引退の話も
「地元で実家に戻るなんて!」
「親のすねをかじることになるんだから」
「私がなんとかしてあげたかった」

と、その選手を知らない人たちに
延々と話していた

というか
その選手が引退して親のすねをかじろうと
人の子供のことなんだからほっとけば?
自分のふたりの子供のことを考えろよ」

聞かされた人は思っていたのだ

そう思っていた人は
その過去の幻のような恋バナに興味もなく
その主婦との付き合いもなくしていった

相手の選手の気持ちはいざ知らず
今でも
その主婦は
数年前の恋を胸に
過去に生き続けている

プラトニックだとしても
主婦は恋をしたいのかもしれない
そりゃ
日常ではないものは
新鮮で楽しいし
お金払ったら相手をしてくれる子は
かわいいと思うかもしれない

お金を使って関わっていると
使ったぶんだけ
自分のもののように錯覚して
こうしてるんだからこうしなさいよ

自覚なくても
思ってしまうのだ

お金でコントロールしてしまうのだ
立場上
相手がその主婦を邪険にできないから
よけいに勘違いしてしまう

お金を受け取っても
それを心から喜んでいるかどうかは
まったくわからない

援助するだけで
こうしろああしろと要求しなければいいが
「子供の練習をみてほしい」という
単なるお願いも
お金もらってるから
断れなかった かもしれない

お金を使ったぶんだけ
ずっと
あの日に留まったままなのだろう




posted by 彩沙 at 00:50 | 小説
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