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2014年02月13日

歴青炭

歴青炭(れきせいたん、瀝青炭、英: bituminous coal)とは、歴青を含む比較的柔らかい石炭。最も代表的な石炭で、ふつう石炭といえばこれをさす。炭素含有量83〜90%。

褐炭より炭化度が進んでいるが、無煙炭には至っていないものをいう。コークスの原料として最も適している。

炭化度によってさらに高度歴青炭と低度歴青炭に分かれ、前者は粘結性が高く、後者は粘結性が弱い。



目次 [非表示]
1 産地
2 用途
3 参考文献
4 関連項目
5 外部リンク


産地[編集]

日本では、石狩炭田、三池炭田など。低度歴青炭、亜歴青炭が多い。

用途[編集]

粘結性の高いものは製鉄用コークスの原料として使われる。粘結性の低いものは亜歴青炭とともにボイラーの燃料として用いられる。

石炭

石炭(せきたん、英:coal)とは、古代の植物が完全に腐敗分解する前に地中に埋もれ、そこで長い期間地熱や地圧を受けて変質(石炭化)したことにより生成した物質の総称。見方を変えれば植物化石でもある。

石炭は古くから燃料として使われてきた。特に産業革命以後20世紀初頭まで最重要の燃料として、また化学工業や都市ガスの原料として「黒ダイヤ」「黒いダイヤ」「黒の宝石」等と呼ばれていた。第一次世界大戦前後から、艦船の燃料が石炭の2倍のエネルギーを持つ石油に切り替わり、戦後中東で大量の石油が採掘され1バレル1ドルの時代を迎えると、産業分野でも石油の導入が進み(エネルギー革命)西側先進国で採掘条件の悪い坑内掘り炭鉱は廃れた。

しかし1970年代に二度の石油危機で石油がバレル12ドルになると、産業燃料や発電燃料は再び石炭に戻り、米国やドイツや中国などでは現在も最も重要なエネルギー源である。ただし、日本では国内炭鉱は復活しなかった。豪州の露天掘りなど、採掘条件の良い海外鉱山で機械化採炭された、安価な海外炭に切り替わっていたからである。海上荷動きも原油に次いで石炭と鉄鉱石が多く、30万トンの大型石炭船も就役している。

他の化石燃料である石油や天然ガスに比べて、燃焼した際の二酸化炭素 (CO2) 排出量が多く地球温暖化問題の面からは不利だが、天然ガスも石油も数十年の埋蔵量しかないのに比べ、石炭は110年程度の埋蔵量がある。また石油と違い政情の安定している国の埋蔵量が多く、価格も安定しているほか、日本を含む多くの国にとって石炭は有事の場合に自給可能な唯一の燃料でもある。



目次 [非表示]
1 石炭の成り立ち 1.1 石炭化
1.2 石炭が産出する地層

2 燃料としての特徴 2.1 石炭の利点
2.2 石炭の欠点

3 石炭の利用 3.1 石炭使用の黎明期
3.2 石炭の第一次黄金時代
3.3 石炭から石油への移行
3.4 石油危機と石炭回帰・天然ガスとの競争

4 石炭の種類 4.1 石炭の分類 (JIS M 1002)

5 石炭の採掘 5.1 炭鉱事故
5.2 世界の埋蔵量
5.3 主な産炭地
5.4 主な消費国
5.5 日本の炭鉱 5.5.1 主な日本の産炭地


6 脚注
7 関連項目
8 参考文献
9 外部リンク


石炭の成り立ち[編集]





現存する泥炭地 霧多布湿原




石炭の化学構造の例:瀝青炭
現在の地球上では枯れて倒れた樹木は大半がシロアリやキノコに代表される菌類や微生物によって分解されてしまうが、石炭ができるためには完全に分解される前に地中に埋没することが必要である。特に古生代においてはそれら分解者が、まだ出現していなかったり少数派であったため大量の植物群が分解前に埋没していた。植物の遺体が分解されずに堆積する場所として湿原や湿地帯が挙げられる。これらの場所においては植物の遺体は酸素の少ない水中に沈むことによって生物による分解が十分進まず、分解されずに残った組織が泥炭となって堆積する。泥炭は植物が石炭になる入り口とされている。他の成因として大規模な洪水で大量の樹木が湖底等の低地に流れ込んで土砂に埋まることも考えられる。地中に埋まった植物は年代を経るに従って 泥炭→褐炭→歴青炭→無煙炭 に変わってゆく。この変化を石炭化と呼ぶ。

石炭化[編集]

地中に埋まった植物が地圧や地熱を受けて石炭になる変化を総称して石炭化と呼ぶ。これは多様な化学反応を伴った変化である。セルロースやリグニンを構成する元素は炭素、酸素、水素であるが、石炭化が進むに従って酸素や水素が減って炭素濃度が上がってゆき、外観は褐色から黒色に変わり、固くなってゆく。炭素の含有量は泥炭の70%以下から順次上昇して無煙炭の炭素濃度は90%以上に達する。化学的には植物生体由来の脂肪族炭化水素が脱水反応により泥炭・褐炭になり、次に脱炭酸反応により瀝青炭となり、最後に脱メタン反応により芳香族炭化水素主体の無煙炭に変わってゆく。植物が石炭化する速度は地中での圧力や温度の影響を受ける。日本は環太平洋造山帯に位置し地殻変動が盛んなため、諸外国の産地よりも高温・高圧にさらされて石炭化の進行が早いとする説もある。

石炭が産出する地層[編集]

石炭は元となった植物が繁茂していた時代に相当する地層から産出される。

古生代の地層は石炭が産出する地層としては最も古く、産出は無煙炭が主体。古生代に繁茂していた植物は現在のシダ類やトクサ類の祖先に相当するが、当時の代表的な植物であるリンボクは高さ30メートルになる大木で、大森林を形成していたと考えられている。
石炭紀(2億8千万年前頃): ヨーロッパ、北米
二畳紀(2億2千万年前頃): 中国、インド、オーストラリア、アフリカ

中生代はソテツやイチョウなどの裸子植物が優勢となった。この時代の地層から産出する石炭は海外ではほとんど瀝青炭だが、日本で産出するのは無煙炭が主体である。
三畳紀(1億9千万年前頃): ヨーロッパ中部、北米、中国南部、インドシナ
ジュラ紀(1億5千万年前頃): ヨーロッパ中南部、北米、アジア東部
白亜紀(1億2千年万前頃): ヨーロッパ中部 北米、南米、アフリカ

新生代第三紀(7〜2千万年前)の植物は、現在に近い樹種が主体。産出する石炭は、外国では石炭化の低い褐炭が主体だが、日本の炭鉱では瀝青炭が産出される。
ドイツ、北米、中米、オーストラリア、日本

植物の体はセルロース、リグニン、タンパク質、樹脂などなどで構成されている。このうち古生代に繁茂したシダ類ではセルロースが40〜50%リグニンが20〜30%であり、中生代以後に主体となる針葉樹類ではセルロースが50%以上リグニンが30%である(何れも現生種のデータ)。これらの生体物質を元にしてが石炭が形成された。
石炭の成り立ちの主な参考文献 - 『石炭技術総覧』Batman、『太陽の化石:石炭』第1章石炭の生い立ち
燃料としての特徴[編集]

石炭は燃料としては最も埋蔵量が多い地下資源である。しかし採掘・運搬・使用(燃焼)に際して不利な点も多い。

石炭の利点[編集]

石油が安価だった時代、重油製鉄も検討されたが、製鉄における石炭の優位は崩せなかった。重油ボイラーを比較的簡単に微粉炭ボイラーに改造できたため、第二次石油危機後の1980年代にほとんどの発電燃料・産業燃料が値段の安い石炭に回帰するか天然ガスに切り替わった。発電燃料・産業燃料においても微粉炭ボイラー(石炭を粉にして吹き込む)が開発され手作業給炭は過去のものとなり、産業分野において石炭は過去の遺物ではなく、現役の主力エネルギーである。

日本国内炭は一般的に炭層が薄くて傾斜しておりロングウォールに向かず、海外炭に太刀打ちできなかったが(釧路炭田は水平に厚く石炭層が形成されているために例外的に存続できた)、昨今の原油高で海外炭相場も値上がりしたため、一部国内炭鉱が将来的な再開を検討している。
安価なコスト自動車の普及した先進国では石油の占める割合が高いが、エネルギー消費の過半数を占める発電燃料・産業燃料では、コスト優位によって石炭が首位を奪還した国も多い。北海油田を抱えるイギリスは産業燃料も天然ガスの比率が高く、フランスは原子力発電が8割を占めるが、ドイツは国内石炭が首位でシベリア天然ガスがそれに次ぎ、アメリカも発電燃料は石炭が圧倒的首位である。中国は自動車の普及で石油輸入量が急増し日本を追い抜いたが、依然として全エネルギーのうち7割以上を石炭が占めている。2008年現在、1万kcalあたり原油は75円弱、石炭は12円で、石炭のほうがはるかに経済的である(原油バーレル120ドル、豪州一般炭2008年度価格80ドル/t前提)。豊富な埋蔵量石炭は他の燃料に比べて埋蔵量が多く、かつ石油のような一地域への偏在がなく、全世界で幅広く採掘が可能なエネルギー資源である。50年で枯渇が懸念されている石油に対し、石炭は112年[1]の採掘が可能と考えられている。2000年現在、世界の消費は約37億t、総一次エネルギー消費の27%を占める。確認可採埋蔵量は、世界で約9800億t(2000年)(BP統計2005年版では約9091億t)。1990年のデータでは ウランを含む燃料資源を石油に換算した確認可採埋蔵量の比率は石炭が61.9%に達し、オイルサンド類の16.1%、石油の10.8%、天然ガスの9.7%に比べて圧倒的に多い。また石油が世界の埋蔵量のうち中東地区に70%以上が偏在したり(1999年のデータ)、天然ガスが旧ソ連と中東で70%以上の埋蔵量を占有する状況である(1999年のデータ)のに比べて 石炭は旧ソ連(23.4%)、アメリカ(25.1%)、中国(11.6%)、オーストラリア(9.2%)、インド(7.6%)、ドイツ(6.8%)と政情の安定している国の埋蔵量が大きいことが特徴(1999年のデータ)。成熟した技術原子力発電は、エネルギーの安定供給を実現させるために極めて有意義な技術と評価され、特に新興国において増設が進んでいる。しかし、作業員が一定程度被曝しながらメンテナンスしているのが現状であり、完全な遠隔操作化は未だになされていない。放射性廃棄物を発生する、廃炉は10年は封鎖してからでないと解体ができないなど、技術的には未完成で危険な部分が多い。原子力は本質的に危険性を内包した技術であり、原子力施設がテロや軍事攻撃、巨大な天変地異といった設計時に予想していない事態に巻き込まれた場合、周囲が半永久的に居住不能となる大惨事をもたらしかねない。これに対し、石炭は二酸化炭素貯留の問題を除いて大きな未解決な技術的課題がない。製鉄における石炭の圧倒的有利鉄鉱石とは錆びた鉄・酸化鉄と脈石の塊であり、製鉄とは還元反応である。現在の高炉法は粘結炭(瀝青炭)を蒸し焼きにしたコークスと塊状鉄鉱石を円筒形の高炉に積み上げ、下から空気を吹き込んで発生する一酸化炭素で銑鉄を作るので、石炭(特に粘結炭)が不可欠である。天然ガスでも還元できるが温度が上げにくいので、産油国のような石油採掘の時に随伴ガスとして出てきてしまう天然ガスを無駄に燃やしている国以外では、石炭のほうが優位である。豊富な埋蔵量の主な参考文献 - 『エネルギー・セキュリティ』エネルギーが大きい比較的良質な豪州一般炭を例にとれば、重量1kgあたりの発熱量が2.8MJで、薪と比べれば遥かに重量・体積あたりでのエネルギーが高い(薪のエネルギーは木の種類や乾燥度合いによって大きく異なるが、全面的に石炭が上回る事には相違ない)。また石炭から作られるコークスも木炭よりエネルギーが大きい。
石炭の欠点[編集]

石炭は上記のような利点がある一方で下記のような欠点がある。最近の日本での使用に際しては、環境に配慮して最新技術による対策が施されている。
エネルギーが小さい上述とは逆になるが、石油と比較した場合は低エネルギーであり、重油と比べて約半分である。これは蒸気ボイラーで同じ出力を得ようとした場合、石油燃料を使用する場合よりも大きなボイラーが必要であることを意味する。固体のため、採掘・運搬・貯蔵に際して石油よりもコストがかかる液体はポンプと配管で輸送できるが、石炭の輸送にはパワーショベルまたは人手による投炭、ホッパー、ベルトコンベアなどが必要である。天然ガスより熱効率を上げにくい石炭も微粉炭にして酸素吹き込みで燃やせば高温の一酸化炭素・二酸化炭素が発生するので、ガスタービンを回したあとの数百℃の熱排気でボイラーを熱して蒸気タービンを回すコンバインドサイクルは可能で研究も進んではいる。ただし石炭に含まれる灰分が溶けてタービン翼に障害を与えるのを「低コストで」処理するのが難しい。そのためカロリーあたりでは石炭のほうが安くても、天然ガスコンバインドサイクル発電所のほうが石炭火力発電より燃料消費が少ないので、ドイツのような隣国からパイプラインで購入している国の場合は天然ガス発電所が増えている。日本やイタリアのように液化天然ガスで輸入している国は天然ガスを-160℃で液化するコストが掛かっているので、どちらが有利か試算者によって結論が異なる。後処理装置がないと大気汚染の原因になる特に硫黄は原油同様0.4〜5%含まれているが、これは燃やすと酸性雨の主要因となる硫黄酸化物になる。窒素成分も他のエネルギー源より多く、やはり酸性雨の原因となる。これらの環境汚染物質については(日本では)国や地方自治体で排出基準が定められている。環境対策として 硫黄酸化物については湿式石灰石-石膏法による脱硫装置、窒素酸化物については燃焼方法の改善や排煙脱硝装置の稼動により排出基準を遵守している。また灰分を含んでいるため、燃焼後にその処分が必要である。他の燃料に比べて煤塵発生が多い。蒸気機関車が黒煙を吐いて走っているのが典型例。火力発電所などでは、排煙中の煤塵は集塵機により除去されている。二酸化炭素排出量が他の燃料よりも多い。石炭は高品位になるほど炭素含有量が増えて水素・酸素が減ってゆき、無煙炭の炭素含有量は90%以上に達する。他の燃料を燃焼すると二酸化炭素と水ができるが、高品位の石炭を燃やすと燃焼生成物の大部分が二酸化炭素となる。二酸化炭素は地球温暖化に強い影響を与える物質であるとされていて、排出量規制の動きも出ており(京都議定書)、その面では使いにくい燃料である。二酸化炭素を回収し地中に戻す技術が開発途上にある。単純に燃焼させた場合、地球環境に負荷を与える燃料資源と見なされているが、硫黄酸化物・二酸化炭素などを除去する装置が完備した施設で管理された使用においては安全で、低コストで、豊富で、負荷追随が可能な主力エネルギーである。硫黄酸化物除去は実用化されており、二酸化炭素は地中処分が検討されている。原子力発電所・風力発電所の建設には10数年かかるので、即効性のある対策は二酸化炭素貯留しかないが、日本では貯留層に70年分の容量しかないといい、既存石炭火力発電所を寿命まで使い切って次世代発電所にバトンタッチする繋ぎ技術と目されている。石炭の欠点の主な参考文献 - 『石炭技術総覧』第3章石炭を使う
石炭の利用[編集]

石炭は蒸気ボイラー用燃料として発電・製鉄所・各種工場燃料に使われるほか、途上国では鉄道・船舶暖房や煮炊きに使われる場合もある。また日本のセメント工業の燃料としては石油よりも多く使われている。製鉄所では瀝青炭を乾留したコークスが大量に使用されている。乾留の際の副生成物であるコールタールは化学薬品などの原料として重要であり、同じ副生成物のコークス炉ガスは過去に都市ガスとして使用された。また固体燃料の取り扱いの不便さ改善のために石油と混合して液体燃料化したCOMや、水と混合した液体燃料CWMも実用化されている。

また 石炭を化学的に液化(石炭液化)して人造石油を合成する方法として水素添加法や、石炭をガス化した一酸化炭素と水素を元にフィッシャー・トロプシュ反応により炭化水素を合成する方法(南アフリカで実用化)などが工業化、第二次大戦ではドイツは人造石油で軍用燃料をまかなっている。以下に石炭利用の歴史を概説する。
石炭の利用この章の主な参考文献 - 『石炭技術総覧』第3章石炭を使う
石炭使用の黎明期[編集]

古代ギリシアのテオフラスタスの記録(紀元前315年)に石炭が鍛冶屋の燃料として使われたと書かれている。ほぼ同年代の中国戦国時代でも石炭を使用した遺跡が見つかっている。宋代から大々的に燃料として用いられるようになり、その強い火力により中華料理の炒め物のメニューができた。日本での本格使用は江戸時代に筑豊炭田の石炭が瀬戸内海の製塩に用いられた記録がある。イギリスは国内に豊富な石炭資源を有し、一部は地表に露出していたため700年以上前から燃料として使われていた。18世紀にイギリスで産業革命が始まり、製鉄業をはじめとした工業が大規模化した。燃料消費量が増え 従来の薪や木炭を使用した工業システムでは森林資源の回復が追いつかなくなる問題が持ち上がり、工業用燃料として石炭が注目され始めた。

石炭の第一次黄金時代[編集]





1904年製の蒸気機関車City of Truro
18世紀になってジェームズ・ワットによって蒸気機関が実用化され、燃料として石炭が大量に使用されるようになった。また同じ頃に石炭を乾留したコークスによる製鉄法が確立され、良質な鉄が安価に大量に生産できるようになり、産業革命を大きく推進させた。19世紀末になるとコークスを製造する際の副産物として出てきたドロドロの液体コールタールを原料として石炭化学工業が始まり、染料のインディゴ、薬品のアスピリン、ナフタリンなどが作られるようになった。石炭と石灰岩を高温(2,000℃)で反応させてできた炭化カルシウムからアセチレンが作られ、有機化学工業の主原料となった(現在この地位は石油起源のナフサ/エチレンに替わっている)。燃料としての石炭は工場の動力のほか、鉄道や船の蒸気機関の燃料として使われた。

都市の照明や暖房・調理用に石炭由来の合成ガスが使われた。これは石炭の熱分解から得られたガスで、最初はコークスを作る際に発生するメタンや水素を主成分とするコークス炉ガスがロンドンのガス灯などに使われた。次にもっと大量に生産できる都市ガスが開発された。灼熱したコークスに水をかけて得られる一酸化炭素と水素からなるガスで、大都市で1970年代まで使用されたが、便利ではあるが毒性が強いものであったため現在では毒性の少ない天然ガスに切り替わりつつある。19世紀末から20世紀中旬にかけて、先進各国の都市では工場や家庭で使用する石炭から出る煤煙による公害問題が大きくなっていった。
石炭の黄金時代の主な参考文献 - 『Ghezunteidt』第3章石炭を使う
石炭から石油への移行[編集]





第一次大戦で活躍したドイツ巡洋艦エムデン、石炭燃焼による目立つ黒煙は敵に見つかりやすい。
特にドイツにおいては地政学的な理由から英国のような高品質の火力の高い無煙炭の入手が困難であったため不利な条件が重なることになった。
20世紀にはいると石油の採掘技術が発展し、アメリカ国内、中東、インドネシアで大規模な油田が開発されて、大量に安価に入手できるようになった。石油は液体なので貯蔵・移送が便利な上、発熱量が大きく、煤煙が少ないので石炭に代わる燃料として使われるようになった。1910年まで世界の海軍の主要艦艇の燃料は石炭であったが、イギリスでは1914年に竣工した軽巡洋艦アリシューザ級と1915年竣工の戦艦クイーン・エリザベス級以後の艦は、燃料を重油に切り替えた。日本などの国々でも1920年代以後に建造された艦の燃料はほとんど全て石油に切り替わった。他の分野では石油への切り替えは少し遅れた。鉄道分野では当初動力車として蒸気機関車のみしかなかったが、1940年代にはアメリカで高出力ディーゼル機関車の本格運用が始まった。ドイツは第二次世界大戦中に、輸入が途絶した石油の代替として石炭液化技術を実用化した。これは高温(500℃以上)高圧(数十気圧以上)の条件下で石炭と水素を反応させて炭化水素を合成する方法であった。

第二次世界大戦で敗戦した日本は疲弊した国内産業の建て直しのために国策として石炭の増産を実施し(傾斜生産方式)、戦後の復興を遂げた。当時火力発電はほとんど石炭を燃料としていた。しかし1960年から発電用燃料として石油の使用量が増大し、1970年代には石炭のみを使う火力発電所は新設されなくなった時期があった。また既設の石炭火力発電所も石油使用に改造された。しかし2度のオイルショックを経て石油の価格競争力が石炭や天然ガスに劣るようになったため、1980年以降は原子力発電を主力とし、石炭火力発電と天然ガスコンバインドサイクルを組み合わせバランスよく使用するように方針転換されている(電源ベストミックス)。ただし化学工業の原料としては、現在圧倒的に石油が使われている。現在の化学工業の基本となっているのは、石油の低沸点部分ナフサを原料としたエチレンである。

燃料や工業原料としての石炭使用は石油や天然ガスに切り変わった部分も多いが、鉄鉱石を精錬して鉄に変える高炉では、瀝青炭から作られたコークスを大量に使用している。日本の石炭使用量の大きな部分が製鉄業であることは変わっていない。

石油危機と石炭回帰・天然ガスとの競争[編集]

二度の石油危機以降、原油価格がバーレル2ドルから12ドルへ上昇し、発電・工業用ボイラ燃料・セメント焼成燃料は1980年代に再び石炭に戻った。一方で石油代替燃料のライバルとして天然ガスが登場した。しかしながら価格が最も安価なため、1980年代以降米国や中国では石炭火力発電が発電の最大の柱となっている。日本では、東京電力・中部電力・関西電力のような大都市圏の電力会社では比較的天然ガスの比率が高いものの、地方の電力会社では、沖縄電力が2010年の統計で発送電電力量構成比で石炭火力発電が77%をしめるのを筆頭に、中国電力でも58%、北陸電力でも44%をしめるなど石炭火力発電が発電の柱となっている会社も多い[2]。2005年以降で中国での自動車普及による需要急拡大などを背景として原油価格がバーレル50-100ドルに暴騰し、メタノールやCNGなどの石油代替自動車燃料が広がりつつあるが、メタノールの合成原料は石炭と天然ガスである(アルコール燃料参照)

石炭の種類[編集]

石炭はその産地(炭層)によって性質が大きく異なる。一般には石炭化度の指標である燃料比(固定炭素/揮発分)によって分類されている。石炭化度の進んだ無煙炭と瀝青炭は高品位炭、石炭化の進んでいない亜瀝青炭・褐炭・泥炭は低品位炭とも呼ばれるが、半無煙炭などのように石炭化度が高いのに評価の低い石炭もあり、最高値の瀝青炭も粘結性には鉱山ごとに大きな差があるので石炭化度が高い石炭ほど値段が高いわけではない。鉄鋼生産の原料になるものを原料炭、発電ボイラー燃料やセメント回転炉燃料などに使われる亜瀝青炭以上の石炭化度の石炭を一般炭という。

日本では、石炭化度による石炭の分類のパラメーターとして、発熱量と燃料比(固定炭素÷揮発分、通常では無煙炭:4以上、瀝青炭:1〜4、褐炭:1以下)を用いているが、国際的には一般に揮発分が用いられている。

(石炭化度の高い順に)
無煙炭 (anthracite)炭素含有量90%以上。石炭化度が高く、燃やしても煙の少ない石炭。家庭用の練炭原料やカーバイドの原料、粉鉄鉱石を塊状に焼結する焼結炉に使われる。煙が少なく発見されにくく発熱量が高いため、かつては軍艦用燃料に重んじられた。ただし揮発分が低く、着火性に劣る。焼結に使用可能な低燐のものは原料炭の一種として高価格で取引される。半無煙炭 (semianthracite)炭素含有量80%以上。無煙炭に次いで石炭化度が高いが、粉鉄鉱焼結にも適さない一方、電力等微粉炭ボイラー用としては揮発分が少なすぎて適さず、比較的安値で取引される一般炭。セメント産業の燃料や流動床ボイラに使われる。着火性に劣るが比較的発熱量が高く、内陸工場への輸送コストが安くつく。瀝青炭 (bituminous coal)炭素含有量83〜90%。粘結性が高いものは、コークス原料に使われ、最も高値で取引される。亜瀝青炭 (subbituminous coal)炭素含有量78〜83%。瀝青炭に似た性質を持つが、水分を15〜45%含む。粘結性がほとんどないものが多い。コークス原料には使えないが、揮発分が多くて火付きが良く、熱量も無煙炭・半無煙炭・瀝青炭に次いで高く、電力用/産業用微粉炭ボイラーに大量の需要があり、一般炭の中では比較的高値で取引されている。豊富な埋蔵量が広く分布している。日本で生産されていた石炭の多くも亜瀝青炭であった。褐炭 (brown coal)炭素含有量70〜78%。石炭化度は低く、水分・酸素の多い低品位な石炭。練炭・豆炭などの一般用の燃料として使用される。色はその名の示す通りの褐色。水分が高すぎて微粉炭ボイラの燃料としては粉砕/乾燥機の能力を超えてしまう場合が多く、重量当たり発熱量が低いので輸送コストがかさみ、脱水すれば自然発火しやすくなるという扱いにくい石炭なので価格は最安価で、輸送コストの関係で鉱山周辺で発電などに使われる場合が多い。最近褐炭を脱水する様々な技術の開発が行われている。亜炭 (lignite)褐炭の質の悪いものに付けられた俗名。炭素含有量70%以下。褐炭も含めて亜炭と呼ぶ場合もあり、その基準は極めて曖昧である。学名は褐色褐炭。埋れ木も亜炭の一種である。日本では太平洋戦争(大東亜戦争)中に燃料不足のため多く利用された。現在は土壌改良材などとして輸入された亜炭がごく少量利用されている。泥炭 (peat)泥状の炭。石炭の成長過程にあるもので、品質が悪いため工業用燃料としての需要は少ない。また、ウイスキーに使用するピートは、大麦麦芽を乾燥させる燃料として香り付けを兼ねる。このほか、繊維質を保ち、保水性や通気性に富むことから、園芸用土として使用される。
石炭の分類 (JIS M 1002)[編集]


分類

発熱量
補正無水無灰基
kJ/kg (kcal/kg)

燃料比

粘結性

主な用途

備考


炭質

区分

無煙炭 (A)
Authracite A1 --- 4.0 以上 非粘結 一般炭
原料炭
A2 火山岩の作用で生じたせん石
瀝青炭 (B, C)
Bituminous B1 35,160 以上
(8,400 以上) 1.5 以上 強粘結 一般炭
原料炭
B2 1.5 未満
C 33,910 以上 35,160 未満
(8,100 以上 8,400 未満) − 粘結 一般炭
原料炭
亜瀝青炭 (D, E)
Sub-Bituminous D 32,650 以上 33,910 未満
(7,800 以上 8,100 未満) − 弱粘結 一般炭
E 30,560 以上 32,650 未満
(7,300 以上 7,800 未満) --- 非粘結 一般炭
褐炭 (F)
Lignite F1 29,470 以上 30,560 未満
(6,800 以上 7,300 未満) --- 非粘結 (一般炭)

F2 24,280 以上 29,470 未満
(5,800 以上 6,800 未満) ---

石炭の採掘[編集]





ワイオミング炭鉱の露天掘り
詳細は「炭鉱」を参照

石炭は太古の植物の遺体が堆積したものであるため、地中には地層の形で存在する。石炭の鉱山を特に炭鉱と呼び、炭鉱が集中している地域を炭田と呼ぶ。

石炭の層(炭層という)が地表または地表に近いところに存在する場合、地面から直接ドラッグラインという巨大なパワーショベル等で掘り進む露天掘りが行われる。アメリカやオーストラリアの大規模な炭鉱で多く見られる。中国の撫順炭鉱は、700年ほど前から露天掘りがなされたと言われており、当時は陶器製造のための燃料として用いられたとされる。その後、清朝は「風水に害あり」との理由から採掘禁止としていたが、1901年、政府許可のもとで民族資本により採掘が始まり、その後ロシア資本が進出、さらに日露戦争後は東清鉄道及びその付属地は日本の手に渡ることとなり、1907年には南満州鉄道の管理下に移って、鞍山の鉄鋼業の発展に寄与した。

右図のように地下深いところに石炭がある場合、日本の在来採炭法では炭層まで縦坑を掘り、その後炭層に沿って水平または斜め(斜坑)に掘り進む。石炭は層状に存在するので採掘は広い面積で行われるため、放置すれば採掘現場の天井が崩れ落ちる危険性が非常に高い。石炭を採掘する際には、天井が崩れないように支柱を組むなど様々な対処を行いながら掘り進む。従来採炭法では手持ち削岩機とダイナマイトの併用が多かったが、採掘も手間がかかり、崩した石炭をトロッコに積むのも手作業で、掘ったあとに支柱を組むので能率が悪かった。

オーストラリアやアメリカ合衆国などでは日本に比べ坑内掘りでも炭層が水平で厚く、厚さ数メートルにも及ぶ場合があり、ロングウォールという一種のシールドマシンによって機械採炭を行っている。これはコの字断面のシールドを横に長く並べ、コの字の内側を機織機のシャトルのようにドリルが往復して炭層を削り取ってゆくもので、ベルトコンベアで石炭は機械的にトロッコに積まれてゆく。省人員で生産能率が露天掘りに次いで高く、低コストである。ロングウォール炭鉱の場合、上層から採炭して採炭後の空間は支柱を立てずに崩す場合もある。(ただし、上層が高硫黄炭で下層が低硫黄炭で、保証スペックにあわせるため上層炭と下層炭ブレンドしたい場合なども多く、必ず支柱を省けるわけでもない) 最近は中国などでもロングウォールを取り入れている炭鉱もあるが、人件費が安いので依然従来採炭法の鉱山も多い。旧ソ連などでは石炭を地層内で不完全燃焼させガス化して取り出して採炭を簡略化するという、かなり乱暴な手法も研究されていたようである。

20世紀初頭、ウェールズには600以上もの炭鉱があり、約20万人が働いて経済を支えていた。

炭鉱事故[編集]

詳細は「炭鉱#炭鉱事故」を参照

石炭が他の鉱石と著しく異なる点は「良く燃える」ことであり、それによる大規模な炭鉱災害が度々発生している。炭層内に含まれるメタンガスが突然噴出し引火して爆発したり、炭鉱内に飛散した石炭の粉塵に引火して炭塵爆発を起こしたりなどで多数の犠牲者が出た事故が過去何度も発生している。犠牲者が最も多かったのは日本統治下の満州の本渓湖炭鉱で1943年に発生した炭塵爆発事故で、死者の数は1,527名に達した。日本国内の事故では1914年に方城炭鉱でのガス爆発事故が死者687名を出している。1910年頃までヨーロッパでも死者300人を超える事故があったが、1913年のイギリスのセングヘニス炭鉱事故(死者439名)以後、欧米では犠牲者300名以上の爆発事故は発生していない。それに対して日本では1963年の三池炭鉱(盆踊りの炭坑節で有名)炭塵爆発事故で458名の死者を出している。
炭鉱災害の参考文献 - 『太陽の化石:石炭』2.5炭鉱災害と保安の技術史について
世界の埋蔵量[編集]

比較的埋蔵量の多い国はアメリカ合衆国・ロシア連邦・中華人民共和国。古期造山帯で多く産出される。炭層が厚く、広範囲に分布することから、露天掘りが多い。輸出向けの実績はオーストラリア、インドネシアが堅調に推移。インドネシアは良質な瀝青炭の埋蔵量が減少傾向にあり、今後は亜瀝青炭の生産量が増加していくものと見られる。中国は石炭需給が逼迫している中、2007年にはついに石炭輸出国から輸入国へ転じる見込みとなっており[1]、石炭生産の安全対策の確保が急がれる。日本は、オーストラリア、インドネシア、中国、ロシアなどから年間約1億8千万トンもの石炭を輸入している。

( )内は2008年の埋蔵量(億トン、BP統計)。
アメリカ合衆国(2383)
ロシア(1570)
中国(1145)
オーストラリア(762)
インド(586)
ウクライナ(339)
カザフスタン(313)
南アフリカ(304)

主な産炭地[編集]

( )内は1980年からの産出量の割合(%)。年合計は38.34億トン。
中華人民共和国(31.2) 大同、平朔(朔州市)、神木(楡林市神木県)、撫順、阜新、唐山、萍郷

アメリカ合衆国(25.5) アパラチア(瀝青炭)、中央、ペンシルベニア(無煙炭)、ロッキー(褐炭)

インド(8.7) ダモダル

オーストラリア(7.1) ボウエン、ハンター

南アフリカ共和国(6.1) トランスヴァール

ロシア(4.4) クズネツク

ポーランド(2.8) シロンスク

ウクライナ(2.2) ドネツ

カザフスタン(1.9) カラガンダ

イギリス ヨークシャー、ランカシャー、ウェールズかつては600以上の炭田があり20万人以上が従事していた。

ドイツ ルール、ザール、ザクセン

参考資料:鉄鋼統計要覧など
主な消費国[編集]

平成20年(2008年)の主要消費国上位5ヶ国は中国(70.2)、アメリカ合衆国(24.6)、インド(53.3)、日本(25.4)、南アフリカ(77.7)である。( )内は各国の1次エネルギー消費に占める石炭の割合(%)。[要出典]

日本の炭鉱[編集]

日本の炭鉱はアメリカやオーストラリアの大規模炭鉱と比べて地層構成が複雑なため、石炭は地下の深部にあることが多い。そのため何キロメートルにも及ぶ坑道を掘り採掘していたが、労働条件は悪く、上記のようにメタンガスや粉塵による爆発事故・落盤などが多発し、多くの殉職者を出してきた。

明治維新以後 石炭は燃料や工業原料(特に製鉄業)として使用量が増大した。北海道・福島県・山口県・福岡県・佐賀県・長崎県が主産地で、最盛期にはこれらの地域を中心に全国に800以上の炭鉱が開かれ、第二次世界大戦中に年間産出量は6000万トンに達した。終戦後急激に減少し、その後産業の回復につれて産出量は再度増加した。1950年以降ほぼ5000万トンを超えるレベルに回復したが、石油の大量輸入(エネルギー革命)、コスト面で外国産のものに太刀打ちできないなどの問題で1961年をピークに徐々に衰退し、2002年以降国内で操業している坑内掘り炭鉱は北海道の釧路炭鉱の1箇所のみとなった。2007年度、年間60万トン体制での採炭を続けている。この炭鉱のある釧路炭田は推定埋蔵量20億トンと規模が大きく炭層が厚く水平に広がり採掘が容易であることから採炭技術の継承と海外技術者の研修受入先としても活用されている。

主な日本の産炭地[編集]

「Category:日本の炭田」を参照
現在稼動中
石炭価格の高騰にともない国産石炭でもコスト競争力をもつようになってきたため露天掘り炭鉱が次々と開発される。また福島第一原発事故後、国内の原子力発電所が順次運転を停止する中、電力会社は電力の安定供給のため、既存の石炭火力発電所をフル稼働させるようになったため、採掘事業者に対して増産を求める動きもある[3]。
釧路炭田:北海道釧路市(釧路コールマイン)
採炭とベトナム・中国等への石炭技術の継承のため、国内唯一の坑内掘り炭鉱として稼行中。おもに発電用。近年の燃料費高騰を受けて採算が良くなった。かつては白糠町や音別町(現・釧路市)、阿寒町(同)にも炭鉱があったが、閉山した。石狩炭田:北海道空知管内(夕張市・三笠市・美唄市・歌志内市・上砂川町・奈井江町・赤平市・芦別市)
坑内掘り炭鉱は全て閉山したが。露天掘りによる炭鉱が数カ所存在する。 北菱美唄(埠頭産業):美唄市[4]
三美炭鉱(三美鉱業):美唄市
砂子炭鉱(砂子組):三笠市[5]
空知新炭鉱(空知炭鉱):歌志内市
東芦別炭鉱(平野重機鉱業):芦別市
新旭(芦別鉱業):芦別市
留萌炭田(北海道空知管内・留萌管内):羽幌町・沼田町など 吉住炭鉱(吉住炭鉱):小平町


出典:北海道企業部環境・エネルギー室「北海道の石炭鉱業」 (PDF) (北海道) 2013年3月14日閲覧

以下は全て閉山
天北炭田(北海道宗谷管内):猿払村・浜頓別町など
常磐炭田(福島県東部〜茨城県北東部):いわき市・北茨城市・高萩市など
宇部炭田(山口県西部):宇部市・山陽小野田市など
大嶺炭田(山口県西部):美祢市
日本には珍しい無煙炭の炭鉱。筑豊炭田(福岡県中央部、いわゆる筑豊地域):飯塚市・直方市・田川市など
糟屋炭田(福岡県西部):糟屋郡
三池炭田(福岡県南西部・熊本県北西部):大牟田市・高田町(現・みやま市)・荒尾市
唐津炭田(佐賀県北部):唐津市・多久市など
北松炭田(長崎県北部):松浦市・佐世保市域北部・北松浦郡
西彼杵炭田(長崎県中西部):長崎市域北西部・西海市・長崎市高島町など
天草炭田(熊本県天草地方):本渡市(現・天草市)など
西表炭鉱(沖縄県八重山列島):西表島(八重山郡竹富町)・内離島 宇多良炭鉱など

脚注[編集]

1.^ BP Statistical Review of World Energy June 2012, p.30
2.^ 電気事業連合会「 INFOBASE 2011 (PDF) 」(P33) 2012年3月2日閲覧
3.^ “火発フル稼働で高まる石炭需要−露天掘り炭鉱で増産続く”. 北海道建設新聞. (2012年9月4日) 2013年3月14日閲覧。
4.^ 北菱埠頭産業事業紹介
5.^ 砂子組による露天掘り事業

関連項目[編集]
炭鉱
岩石 - 堆積岩
岩石の一覧
鉱石
化石
露天掘り
コークス
コールタール
乾留液
コールベッドメタン
フライアッシュ
石炭液化
軍艦島
塊炭飴
田川市石炭・歴史博物館
夕張市石炭博物館
いわき市石炭・化石館

参考文献[編集]
エネルギー総合工学研究所石炭研究会編著 『石炭技術総覧 : 21世紀への石炭利用と地球環境』 電力新報社、1993年、ISBN 4-88555-169-2。
相原安津夫 『石炭ものがたり』 青木書店〈地球の歴史をさぐる3〉、1987年、ISBN 4-250-87021-9。
西岡邦彦 『太陽の化石 : 石炭』 アグネ技術センター〈アグネ叢書2〉、1990年、ISBN 4-7507-0813-5。
矢島正之 『エネルギー・セキュリティ : 理論・実践・政策』 東洋経済新報社、2002年、ISBN 4-492-76129-2。
久保田博 『日本の鉄道史セミナー』 グランプリ出版、2005年、ISBN 4-87687-271-6。
『世界の艦船増刊 近代巡洋艦史』 海人社、1986年。
『世界の艦船増刊 近代戦艦史』 海人社、1987年。

ストロマトライト

ストロマトライト(英: stromatolite[1])は、藍藻(シアノバクテリア)類の死骸と泥粒などによって作られる層状の構造をもつ岩石のことである。特に、内部の断面が層状になっているものを指す。



目次 [非表示]
1 概要
2 分布
3 研究
4 脚注
5 参考文献
6 関連項目
7 外部リンク


概要[編集]

ストロマトライトは藍藻類と堆積物が何層にも積み重なって形成される。
1.藍藻類が砂や泥の表面に定着し、日中に光合成を行う。
2.夜間の休止期には、泥などの堆積物を粘液で固定する。
3.藍藻類は呼吸するために上部へ分裂し、翌日には再び光合成を始める。

この繰り返しで、ストロマトライトは徐々にドーム型に成長していく。成長速度は非常に遅く、1年に数mm程度しか成長しない。なお、ストロマトライトの断面にある縞模様から、当時の一日の長さが推測できる。

分布[編集]





ストロマトライト(オーストラリア・シャーク湾)




ストロマトライト(西オーストラリア州・セティス湖)
化石となったストロマトライトは、世界各地で発見されるが、現生のものはオーストラリア・シャーク湾(ハメリンプール)やセティス湖(英語版)など、ごくわずかな水域のみで発見される。

藍藻類は原始的な細菌で、過酷な環境でも生息できる。ストロマトライトは、海水域・淡水域の両方、地球上のあらゆるところにあった。また、最古のものは約35億年前といわれたが、これは今では否定されている。確かなストロマトライトでもっとも古いものは約27億年前のものである。

先カンブリア時代には世界各地に存在し、地球に大量の酸素を提供したとされる。しかし、先カンブリア時代末期(6億 - 8億年前)に、その数は大きく減少した。理由としては、ストロマトライトを餌にする生物が出現したためと考えられている。

ストロマトライトが現生するオーストラリアのシャーク湾やメキシコのクアトロシエネガス(英語版)は、砂漠に囲まれた閉鎖的な海域である。水の蒸発が激しく、潮流が緩いため、外海の海水よりも塩分濃度が高い区域が存在し、その海岸部にストロマトライトが並んでいる。塩分濃度が高いため、藍藻類の捕食者となる貝類や甲殻類のみならず、他の生物もほとんど生息できない。よって、ストロマトライトは現在まで残り、成長を続けている。

研究[編集]

古くからこの岩石の存在は知られていたが、1883年にJ. ホールがそれを「クリプトゾーン(Cryptozoon)」と名付けた。しかし当時は、これらが生物によりつくられたものかどうかは不明だった。その後、似たような構造は「エオゾーン」や「コレニア」と呼ばれた。

1908年には、E. カルコウスキー (Kalkowsky) が縞状炭酸塩岩を、ギリシア語の stroma (bed cover)と lith (rock) から「ストロマトライト」と名付けた。19世紀後半から20世紀初頭にかけて、このような縞状の岩石が様々な呼び方で呼ばれたが、カルコウスキーはそれらをまとめてストロマトライトと呼ぶようにした。この頃、これらの岩石は藍藻類によって形成された化石だと言う学者も現れたが、ストロマトライトは淡水域・海水域の両方で形成されたとは考えられていなかった。

1960年ごろになると、オーストラリア西海岸のシャーク・ベイの内湾ハメリーンプール海岸で、現生のストロマトライトが発見された。その場所は砂地の浅瀬で、その表面は真っ黒色であるが、頂部だけがオレンジ色に変色し岩石質である。この黒い着色物の詳しい検査によりシアノバクテリアであることが明確になった。[2]。

だがこの発見は、現生ストロマトライトと化石ストロマトライトを区分するかどうかということで、ストロマトライトについての定義をあいまいなものにした。その後、ストロマトライトについての研究は大きく前進し、多くの研究成果が出た。しかし、ストロマトライトについては未解明な部分もあり、今後それについての解釈が変わる可能性も否定できない。

脚注[編集]

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1.^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、144頁。ISBN 4-8181-8401-2。
2.^ 川上紳一・東條文治『図解入門 最新地球史がよく分かる本 [第2版]』秀和システム 2009年 205ページ

参考文献[編集]
伊津野郡平「オーストラリアのハメリンプール湾における現生ストロマトライトの形態形成について (PDF) 」 、『地質ニュース』第429号、実業公報社、1995年8月、 41-54頁、 ISSN 0009-4854。
平田大二「展示シリーズ2 ストロマトライト―酸素大発生の謎を解く石―」、『自然科学のとびら』第6巻第2号、神奈川県立生命の星・地球博物館、2000年、 ISSN 1341-545X。

珪藻土

珪藻土(けいそうど、diatomite、diatomaceous earth)は、藻類の一種である珪藻の殻の化石よりなる堆積物(堆積岩)である。ダイアトマイトともいう。珪藻の殻は二酸化ケイ素(SiO2)でできており、珪藻土もこれを主成分とする。

珪藻が海や湖沼などで大量に増殖し死滅すると、その死骸は水底に沈殿する。死骸の中の有機物の部分は徐々に分解されていき、最終的には二酸化ケイ素を主成分とする殻のみが残る。このようにしてできた珪藻の化石からなる岩石が珪藻土である。多くの場合白亜紀以降の地層から産出される。



目次 [非表示]
1 珪藻土の利用 1.1 その他の利用法

2 日本国内の主な珪藻土の産地
3 脚注
4 関連項目
5 参考文献
6 外部リンク


珪藻土の利用[編集]





珪藻土の光学顕微鏡写真。珪藻の殻片が散在している。
固化した珪藻土は、殻を壊さない程度に粉砕して用いる。珪藻土の粒径、すなわち珪藻の殻の大きさは大体100μmから1mmの間である。粒子の形態はもとになった珪藻の種類に応じて、円盤状のもの、紡錘状のものとさまざまである。珪藻土の色は白色、淡黄色、灰緑色と産地によってさまざまであるが、これは殻の色ではなく、珪藻土に混入している粘土粒子など莢雑物の色である。また、焼成すると赤く変色するものもある。





焼成した珪藻土
珪藻の殻には小孔が多数開いている為、珪藻土は体積あたりの重さが非常に小さい。珪藻土の最大の用途は濾過助剤である。吸着能力は低く、溶液中に溶解している成分はそのまま通し、不溶物だけを捕捉する性質がある。そのため珪藻土単独で濾過する事は稀で、フィルターに微細粉末が目詰まりしてしまうのを防ぐためにフィルターの手前において微細粉末を捕捉するのに用いられる。

また、珪藻土は水分や油分を大量に保持することができる。このため乾燥土壌を改良する土壌改良材や、流出した油を捕集する目的で使用される。ノーベルはニトログリセリンを珪藻土に吸収させることで安定性を高めたダイナマイトを発明したが、ノーベルはその後はるかに爆発力の強いブラスチングゼラチンスタイルのダイナマイトを開発したため、珪藻土を使ったダイナマイトは科学史のトピック的存在にとどまった。触媒やクロマトグラフィーの固定相の担体としても使用される。

その他、耐火性と断熱性に優れているため建材や保温材として、電気を通さないので絶縁体として、また適度な硬さから研磨剤としても使用されている。建材としては、昔からその高い保温性と程よい吸湿性を生かして壁土に使われていた。近年、自然素材への関心が高まるとともに、壁土への利用用途が見直され脚光をあびている。漆喰に類似した外観に仕上げることができ、プロでなくとも施工しやすいため、DIY向けの建材としても販売されている。珪藻土そのものには接着能力はないので、壁土としては石灰やアクリル系接着剤を混ぜて使用される。しかし珪藻土を数パーセントしか含まない粗悪品が流通しているので注意が必要である。また珪藻土には発癌性があるとして海外では使用が禁止された国もあるが、発癌性があるのは焼結してセラミック状になった珪藻土で、焼結していない製品には問題がないという意見もある。 [1]

その他の利用法[編集]
輪島塗では、漆を木地に吸着させ丈夫にするために地元で生産する珪藻土を使う。
七輪は粉砕しない珪藻土層を切削整形し、焼結して制作する。
最近では、珪藻土を風呂桶として利用する方法も開発されている。
太平洋戦争中には、ベントナイトと共にビスケット及び乾パンやキャラメル等、菓子・食品類の増量剤として使われたことがあった。
アイヌ民族は珪藻土を「チ・エ・トイ」(我ら食べる土)と呼び、少量を汁物のとろみ付けに使ったり、山菜を和えたりして食べた。「トイ(toy)」はアイヌ語で「土」の意味だが、食用土を指す場合もあり、地名で「豊」などの漢字を当てられている場合が多い。江戸時代、飢饉の際に珪藻土が食べられることを知り、飢えのあまりに大量に食べてしまった人々のなかには、便秘に悩まされたり、糞詰まりのため死ぬ人も出たという。
その吸着作用を生かして,英国などでは胃腸薬として処方されることがある。
セライト(Celiteレジスタードマーク)は炭酸ナトリウムとともに焼成した珪藻土であり、Celite Corporation(World Minerals Inc.の子会社)の登録商標である。
生ビールの製法の一種として珪藻土を使用し、酵母菌を取り除く方法がある[2][3]。
吸湿性を生かして、成形されたものが乾燥剤として利用されている。

日本国内の主な珪藻土の産地[編集]
秋田県北秋田地方(海水産珪藻)
石川県能登地方(海水産珪藻)
岡山県蒜山地方(淡水産珪藻)
大分県(淡水産珪藻)
鹿児島県(淡水産珪藻)

チャート (岩石)

チャート(英: chert)は、堆積岩の一種。主成分は二酸化ケイ素(SiO2、石英)で、この成分を持つ放散虫・海綿動物などの動物の殻や骨片(微化石)が海底に堆積してできた岩石(無生物起源のものがあるという説もある)。断面をルーペで見ると放散虫の殻が点状に見えるものもある。非常に硬い岩石で、層状をなすことが多い。

チャートには赤色、緑色、淡緑灰色、淡青灰色、灰色、黒色など様々な色のものがある。暖色系のものは、酸化鉄鉱物に起因し、暗色系のものは硫化鉄や炭素化合物に起因する。緑色のものは、緑色の粘土鉱物を含むためである。これらは、堆積した環境によって変わると考えられている。

チャート同士を火打石のように打つと小さな火花を生じる。



目次 [非表示]
1 和名について
2 参考文献
3 関連項目
4 外部リンク


和名について[編集]

かつて「角岩」(かくがん、英: hornstone)と呼ばれたこともあるが、この語は定義によって示す岩石が異なるので、現在では使われない。また、「珪岩」と呼ばれたこともあるが、現在では熱変成した珪質岩を指している。

参考文献[編集]
都城秋穂・久城育夫 『岩石学II - 岩石の性質と分類』 共立出版〈共立全書〉、1975年。ISBN 4-320-00205-9。
黒田吉益・諏訪兼位 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年。ISBN 4-320-04578-5。
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年。ISBN 4-586-31040-5。

ドロミーティ

ロミーティ(イタリア語: Dolomiti)は、イタリア北東部にある山地で、東アルプス山脈の一部。ドロミテなどとも表記される(#名称節参照)。おおむね北はリエンツァ川、西はイザルコ川とアディジェ川、南はブレンタ川、東はピアーヴェ川に囲まれた一帯で、ボルツァーノ自治県(南チロル)、トレント自治県、ベッルーノ県にまたがる。

上記の範囲以外にも、共通の地質的特徴を持つ山地が「ドロミーティ」と呼ばれている。たとえば、アディジェ川以西のドロミーティ・ディ・ブレンタ (it:Dolomiti di Brenta) や、ピアーヴェ川以東(ポルデノーネ県、ウーディネ県にまたがるフリウーリ地方北西部)に所在するドロミーティ・フリウラーネ (it:Dolomiti Friulane) などである。

狭義のドロミーティおよび、ドロミーティ・ディ・ブレンタ、ドロミーティ・フリウラーネに含まれるいくつかの山塊は、ユネスコの世界遺産(自然遺産)に「ドロミーティ」の名で登録されている。



目次 [非表示]
1 名称
2 地理
3 主な山群 3.1 主な峰
3.2 主な峠
3.3 主要な谷
3.4 主要な湖

4 世界遺産 4.1 世界遺産登録基準

5 地域社会
6 ドロミーティに因む名称
7 関連項目
8 外部リンク


名称[編集]

ドロミーティの名は、18世紀フランスの地質学者デオダ・ドゥ・ドロミュー(Déodat de Dolomieu)に由来する。デオダ・ドゥ・ドロミューは、この山々で非常に豊富な鉱物である苦灰石 (ドロマイト dolomite) を発見した人物である(苦灰石を主成分とする苦灰岩(マグネシウム質石灰岩)もドロマイトと呼ばれる)。イタリア語では、モンティ・パッリディ(Monti Pallidi、青白い山々)とも呼ばれる。

イタリア語以外の言語では以下のように呼ばれる。
ドイツ語: Dolomiten または Bleiche Berge
ラディン語: Dolomites
ヴェネト語: Dołomiti
フリウリ語: Dolomitis
フランス語: Les Dolomites
英語: The Dolomites

日本語文献では、ドロミティ、ドロミテ、ドロミチなどとも表記され、-アルプス、-山脈、-山塊が末尾につけられる事も多い。

地理[編集]

ドロミーティは、別々の100m程の先端を持った高い頂上を持つ形によって特徴づけられている。最も高い頂上は3342mのマルモラーダである。岩は (岸壁の) アルプス登山家の実践場所を提供している。例えばアルペ・ディ・シウージやアンペッツァーニ高原のような高い場所では、牧場が営まれている。

他のカルシウム質の地域とは反対にドロミーティには石灰岩の侵食現象による洞窟などが存在しない。

1800m (北側斜面) または2200m (日射のある斜面) まで植物が生育し主に針葉樹林 (イツトウヒ、ヨーロッパモミ、ヨーロッパアカマツ) となっている、ヨーロッパハイマツとムゴマツの森となっている。

主な山群[編集]

セッラ山群(Gruppo del Sella)
マルモラーダ=コスタベッラ(Marmolada-Costabella)
トファーネ(Tofane)
サッソルンゴ(Sassolungo)
オドレ(Odle)
プエツ山群(Gruppo di Puez)
ファーネス(Fanes)
シリアール(Sciliar)
Gruppo Sass dla Crusc - Conturines
Gruppo del Piz da Peres
カティナッチョ山群(Gruppo del Catinaccio)
ラテマール(Latemar)
パーレ・ディ・サンマルティーノ(Pale di San Martino)
モンテ・チヴェッタ(Monte Civetta)
ペルモ(Pelmo)
マルモローレ(Marmarole)
カディーニ・ディ・ミズリーナ(Cadini di Misurina)
モンテ・クリスタッロ(Monte Cristallo)
スキアーラ山群(Gruppo dello Schiara)
サッス・ダ・プティーア山群(Gruppo del Sass da Putìa)
ソラピス(Sorapiss)
アンテラーオ(Antelao)
ラゴライ(Lagorai)
ボスコネーロ(Bosconero)
ヴェッテ・フェルトリーネ(Vette Feltrine)
スキアーラ(Schiara)
ドロミーティ・ディ・ブライエス(Dolomiti di Braies)
ドロミーティ・ディ・セスト(Dolomiti di Sesto
ガルデナッチャ山群(Gruppo della Gardenaccia)

純粋なドロミーティの地域外:
ドロミーティ・フリウラーネ(Dolomiti friulane):南カルニケ・アルプス
ドロミーティ・ディ・ブレンタ(Dolomiti di Brenta)
Lienzer Dolomiten
低エンガディーナのドロミーティ(Dolomiti della Bassa Engadina)







マルモラーダからの 360°の景観
主な峰[編集]





マルモラーダの氷河




Antelao




カティナッチョ/ローゼンガルテン(バラの園)

名称

高さ(m)

名称

高さ(m)

Marmolada 3344 Pala di San Martino 2996
Antelao 3263 Catinaccio (Rosengartenspitze) 2981
Tofana di Mezzo 3241 Marmarole 2961
Sorapiss 3229 Cima di Fradusta 2941
Monte Civetta 3220 Fermedaturm 2867
Vernel 3145 Cima d'Asta 2848
Monte Cristallo 3199 Cima Canali 2846
Cima di Vezzana 3191 Croda Grande 2839
Cimon della Pala 3186 Torri del Vajolet (maggiore) 2821
Langkofel 3178 Sass Maor 2816
Monte Pelmo 3169 Cima di Ball 2783
Cima dei Tre Scarperi (Dreischusterspitze) 3162 Cima della Madonna (Sass Maor) 2751
Piz Boe (Gruppo Sella) 3152 Cima della Rosetta 2741
Croda Rossa d'Ampezzo (Hohe Gaisl) 3148 Croda da Lago 2716
Piz Popena 3143 Central Grasleitenspitze 2705
Grohmannspitze (Langkofel) 3111 Schiara 2562
Zwolferkofel (Croda dei Toni) 3094 Sasso di Mur 2554
Elferkofel (Cima Undici) 3092 Cima delle Dodici 2338
Sass Rigais (Geislerspitzen) 3027 Monte Pavione 2336
Tre Cime di Lavaredo 3003 Cima di Posta 2235
Catinaccio d'Antermoia (Kesselkogel) 3001 Monte Pasubio 2232
Funffingerspitze 2997

主な峠[編集]


名称

形態

標高(m)

Passo d' Ombretta (Campitello - Caprile) 小道 2738
Langkofeljoch (Val Gardena - Campitello) 小道 2683
Tschagerjoch (Karersee - Valle Vajolet) 小道 2644
Grasleiten Pass (Valle Vajolet - Valle Grasleiten) 小道 2597
Passo di Pravitale (Altopiano di Rosetta - Valle Pravitale) 小道 2580
Passo delle Comelle (Altopiano di Rosetta - Cencenighe) 小道 2579
Passo Rosetta (San Martino di Castrozza - Altopiano di Rosetta) 小道 2573
Passo Vajolet (Tiers - Valle Vajolet) 小道 2549
Passo di Canali (Primiero - Agordo) 小道 2497
Passo dell'Alpe di Tierser (Campitello - Tiers) 小道 2455
Passo di Ball (San Martino di Castrozza - Valle Pravitale) 小道 2450
Forcella di Giralba (Sesto - Auronzo) 小道 2436
Col dei Bos (Valle del Falzarego - Valle Travernanzes) 小道 2313
Forcella Grande (San Vito - Auronzo) 小道 2262
Passo Pordoi (Caprile - Campitello) 道路 2250
Passo Sella (Val Gardena - Campitello) 道路 2218
Passo Tre Sassi (Cortina - San Cassiano) 小道 2199
Mahlknechtjoch (Alta Val Duron - Alpe di Siusi) 小道 2168
Passo Gardena (Val Gardena - Colfosco) 道路 2137
Passo Falzarego (Caprile - Cortina) 道路 2117
Passo Fedaia (Campitello - Caprile) 道路 2046
Passo Valles (Paneveggio - Falcade) 道路 2032
Passo Rolle (Predazzo - San Martino di Castrozza e Primiero) 道路 1984
Forcella Forada (Caprile - San Vito) 道路 1975
Passo di San Pellegrino (Moena - Cencenighe) 道路 1910
Forcella d'Alleghe (Alleghe - Valle di Zoldo) 小道 1820
Passo Tre Croci (Cortina - Auronzo) 道路 1808
Passo di Costalunga/Karerpaß (Nova Levante - Vigo di Fassa) 道路 1753
Passo di Monte Croce (San Candido/InnichenとSesto/Sexten - Valle del Piave と Belluno) 道路 1638
Passo di Ampezzo (Dobbiaco/Toblach - Cortina と Belluno) 道路 1544
Passo Cereda (Primiero - Agordo) 道路 1372
Passo di Dobbiaco/Toblach (Brunico/Bruneck - Lienz) 道路と鉄道 1209
Passo Duran (La Valle Agordina - Zoldo) 道路 1601

主要な谷[編集]
ヴァッレ・デル・ボイテ (Valle del Boite)
コンカ・アンペッツァーナ (Conca Ampezzana)
ヴァル・ガルデーナ (Val Gardena)
ヴァル・バディーア (Val Badia)
ヴァル・ディ・ファッサ (Val di Fassa)
ヴァッレ・デル・プリミエーロ (Valle del Primiero)
ヴァルゾルダーナ (Valzoldana)
ヴァル・ディ・フィエンメ (Val di Fiemme)
ヴァル・デーガ (Val d'Ega)
ヴァッレ・ディ・リヴィナッロンゴ (Valle di Livinallongo)または、ラディン語でフォドム(Fodom)
ヴァッレ・デル・コルデヴォーレ (Valle del Cordevole)
ヴァル・フィオレンティーナ (Val Fiorentina)
ヴァルベッルーナ (Valbelluna)
ヴァッラータ・アゴルディーナ (Vallata Agordina)

主要な湖[編集]





カレッツァ湖
ミズリーナ湖(Lago di Misurina)
アッレーゲ湖(Lago di Alleghe)
ドッビアーコ湖(Lago di Dobbiaco)
ブライエス湖(Lago di Braies)
アウロンツォ湖(Lago di Auronzo, 人造湖)
ピエーヴェ・ディ・カドーレ湖(Lago di Pieve di Cadore, 人造湖)
フェダイア湖(Lago di Fedaia, 人造湖)
サンタ・クローチェ湖(Lago di S.Croce)


世界遺産[編集]



世界遺産 ドロミーティ
(イタリア)

ドロミーティ最高峰マルモラーダ
ドロミーティ最高峰マルモラーダ


英名
The Dolomites

仏名
Les Dolomites

面積
135,910.9370 ha
(緩衝地域98,511.9340 ha)

登録区分
自然遺産

登録基準
(7),(8)

登録年
2009年

公式サイト
ユネスコ本部(英語)

地図

ドロミーティの位置
使用方法・表示

世界遺産としての「ドロミーティ」 (de:Welterbe Dolomiten) は、以下の地域から構成される(番号は右表内の地図に対応する)。
1.Pelmo-Croda da Lago
2.Marmolada
3.Pale di San Martino San Lucano – Dolomiti Bellunesi – Vette Feltrine
4.Dolomiti Friulane e d`Oltre Piave
5.Dolomiti Settentrionali Cadorine, Sett Sass
6.Puez-Odle / Puez-Geisler / Pöz-Odles
7.Sciliar-Catinaccio
8.Rio delle Foglie
9.Dolomiti di Brenta

世界遺産登録基準[編集]

この世界遺産は世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、登録がなされた(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準[1]からの翻訳、引用である)。
(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
(8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。

地域社会[編集]

イタリア北東部のフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州のフリウーリ地方で使われるフリウリ語やスイスの第四の公用語ロマンシュ語とともにレト・ロマンス語群のひとつであるラディン語(ドロミテ語、ドロミーティ語)が使われている地域でもある。

この地域の経済は主として冬と夏の観光で成り立っている。

ドロミーティに因む名称[編集]
登山靴、スキーブーツのブランド「ドロミテ」名の由来ともなっている。

苦灰岩

苦灰岩(くかいがん、dolostone)は、苦灰石(ドロマイト、CaMg(CO3)2)を主成分とする堆積岩。白雲岩(はくうんがん)ともいう。苦灰岩のこともドロマイト(dolomite)ということがあるが、その場合は苦灰石(鉱物)との区別ができない。

石灰岩を構成している方解石や霰石(いずれも CaCO3)中のカルシウムが、マグネシウムに置き換わって苦灰石になったと考えられている。全てが苦灰石になっていることは少なく、たいていは方解石を含んでいる。

関連項目[編集]
岩石 - 堆積岩
岩石の一覧
ドロマイト
苦灰石(鉱物名)
ドロミーティ

参考文献[編集]


Cirque de Mourèze, Hérault 25.jpg


黒田吉益・諏訪兼位 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年、ISBN 4-320-04578-5。
益富壽之助 『原色岩石図鑑 全改訂新版』 保育社、1987年、ISBN 4-586-30013-2。
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年、ISBN 4-586-31040-5。

円石藻

円石藻(えんせきそう)は、細胞表面に円石と呼ばれる円盤型の構造を持つ植物プランクトンである。分類学上はハプト植物門に属する単細胞真核藻類である。



目次 [非表示]
1 概論
2 生態
3 円石 3.1 円石の観察法
3.2 円石の種類と構造
3.3 円石の役目

4 化石
5 分類と各群の特徴 5.1 イソクリシス目(Isochrysidales)の円石藻
5.2 円石藻目(Coccolithales)の円石藻

6 関連項目
7 参考文献
8 外部リンク


概論[編集]

円石藻はすべて海産で、世界中の海洋に広く分布している。細胞直径は5-100μm程度、細胞内に葉緑体を持ち光合成を行う独立栄養生物で、外洋における重要な一次生産者である。細胞の表面に炭酸カルシウムの鱗片である円石を持っており、これにより他のハプト藻と区別される。しかしながら円石藻は単系統のグループではなく、ハプト植物門の中で幾つかの系統にまたがって出現した事が知られている。

円石藻は円石の形態により容易に種の同定・区別が可能であり、現生のものだけでも60属以上が知られている。また円石藻は微化石として大量に出土する為、現生種の何倍もの化石種が記載されており、層序学の分野においては示準化石として利用されている。加えて、円石の形態が円石藻の生育環境によって変化する事を利用し、示相化石として古環境の復元に用いられる事もある。

生態[編集]





プリマス沖で大発生した Emiliania huxleyi (空色の部分、1999年7月、ランドサット画像)
円石藻は光合成生物であり、海洋の有光層で生活する。円石藻の多くは貧栄養の外洋を好み、高密度で存在する事は少ない。例外的にイソクリシス目の Emiliania huxleyi や Gephyrocapsa oceanica は富栄養環境に適応しており、沿岸域・外洋域をとわず大発生する事がある。北大西洋などでは前者が、太平洋の日本近海では後者がブルームを形成する事が知られている。

円石[編集]

円石(えんせき、coccolith、コッコリス或いはココリスとも呼ばれる)は、円石藻の細胞表面を覆う炭酸カルシウムの構造である。形は円から楕円の円盤型が最も一般的であるが、棒状のものやカップ型のもの、王冠型のものなど多岐に渡る。Syracosphaera 属など一部の円石藻では、一つの細胞が複数の種類の円石を持っている事もある。円石が細胞の周りを覆って形成する球体全体をコッコスフィア(coccosphere)と呼ぶ。

円石の観察法[編集]





海底堆積物中の円石。偏光像(左)と微分干渉像(右)
球形の円石藻は光学顕微鏡でも観察でき、円石は細胞を取り巻く透明な層として確認できる。個々の円石は大きさが直径数から数十μmであり、また非常に薄いために通常の透過光ではコントラストが付かず確認しづらい。円石の観察には、円石が複屈折性を持つ事を利用して偏光顕微鏡が良く用いられる。円石を偏光顕微鏡で観察すると、屈折した光が風車のような独特の明暗のパターン(左写真)を示す為、海底堆積物のような混合物の中に含まれる円石を容易に見分ける事ができる。さらに細部の形態観察には、円石のカーボンレプリカを作成して透過型電子顕微鏡による観察を行うか、走査型電子顕微鏡を用いる。

円石の種類と構造[編集]

円石はホロコッコリスとヘテロコッコリスの二種類に大別される。
ホロコッコリス(holococcolith)一片が0.1μm程度の、小さな斜方六面体の方解石結晶より成る。円石藻の細胞表面で形成される。ヘテロコッコリス(heterococcoliths)方解石に加えて霰石型の結晶から成る円石。様々な大きさ・形状の結晶単位が放射状に配列して構成されている。円石藻の細胞内、ゴルジ体などの器官で形成される。
ホロコッコリスとヘテロコッコリスは従来、異なる種が別個に形成する円石であると考えられてきた。しかし近年、円石藻の培養技術の発達に伴って、円石藻は生活環の各ステージにおいて、それぞれの種類の円石を持つ事が分かってきた。一般に単相(n)の世代はホロコッコリスを、複相(2n)の世代はへテロコッコリスを形成する。つまり一種類の円石藻が、場合により全く異なる形状の円石を付けるのである。これを受けて、今まで分類基準を円石の形状に頼ってきた円石藻の分類体系は、大きな変革を迫られている。

円石の役目[編集]

円石の役目に関しては諸説あるが、未だ決定的なものはない。これは円石藻に限らず、多彩な形状の外被を持つ藻類や原生動物全般に共通する疑問である。以下に代表的な仮説を挙げる。
浮力制御円石藻の多くは鞭毛を持たないか、持っていても短く、遊泳に適さない形状のものが多い。そこで円石を付ける事で比重を調節し、また水流の撹乱を捉えやすくする事で細胞の単純な沈降を抑えているとする説。これにより円石藻は有光層に留まると共に、海水中の栄養塩を効率良く得る事ができるとされる。捕食に対する抵抗・防御捕食者に消化されにくい無機物の構造物を細胞に付け、細胞全体の栄養価を小さくして捕食圧を下げているとする説。個々の細胞の生存にはさほど貢献しないが、生物群全体では意味のある戦略であると言われている。バクテリアのような小さな外敵に対しては、単純に円石が防御の役割を果たす。緩衝地帯緻密な構造の円石はその周囲にある程度の海水を保持しており、これが細胞と外部環境とのバッファとして機能しているとする説。光制御円石によって強すぎる光や紫外線を低減している、或いは逆にレンズのような仕組みで葉緑体に光を集めているとする説。CO2貯蔵円石は炭酸カルシウム(CaCO3)でできているので、CO2が豊富にある時には円石として貯蔵し、不足時にはこれを溶解して光合成に必要なCO2を補っているとする説。
化石[編集]





ドーバー海峡の白い石灰岩露頭。大部分が円石藻の化石でできている。
円石藻の研究は1800年代のエーレンベルクや Huxley にまで遡るが、これらはいずれも化石や堆積物としての円石を対象としたものであった。円石は低マグネシウム含有性の炭酸カルシウムであり、化石化しやすい。

円石藻が死ぬと円石は沈降してゆくが、大部分の円石は海底に到達する前に溶解してしまう。円石が堆積物として大量に集積する為には、動物プランクトンなどに捕食されて糞として固められる(いわゆる fecal pellet となる)必要がある。沈降した円石は年月を経て石灰岩となり、ドーバー海峡に見られるような白亜、つまり天然のチョークの露頭を示す。

円石藻の化石は三畳紀から現代に至る各層から発見されている。円石藻が最も栄えたのはジュラ紀から白亜紀にかけてであるが、恐竜類が絶滅したK-T境界において、円石藻もその8割の種が失われたと言われている。新生代にはディスコアスター(Discoaster)と呼ばれる放射総称の円石を持つ円石藻が栄えたが、個々の円石は発見されるもののコッコスフィアを維持している例は無く、円石藻とは全く別の生物に由来する可能性も残っている。

分類と各群の特徴[編集]

イソクリシス目(Isochrysidales)の円石藻[編集]

全てノエラエラブダス科(Noelaerhabdaceae)に含まれる。現生種としては3属が知られる。
Genus Emiliania エミリアニア属およそ20万年前に Gephyrocapsa 属から分岐したとされる新しい属。現生の E. huxleyi は最も有名な円石藻であるが、既に化石種となった種も存在する。 E. huxleyi :最大のバイオマスを誇る円石藻であり、しばしばブルームを形成する。多くの亜種が知られている。本種のゲノムプロジェクトも進行中である
Genus Gephyrocapsa ゲフィロカプサ属日本近海で良く見られる円石藻。Emiliania 属と非常に近縁で、両者の18S rRNA配列およそ1800bpは完全に一致する。円石にブリッジと呼ばれる構造を持つ点が最大の特徴である。 G. oceanica :最も普通な種。
G. ericsonii :G. oceanica よりも小型で外洋を好む。沿岸域での出現は稀。
G. muellerae :大型の種。G. oceanica より重厚な円石を形成する。
G. protohuxleyi :名前の通り、Emiliania と Gephyrocapsa の中間的な形態を示す種。ただし、これが Emiliania 属の直接の祖先であるという証拠はない
Genus Reticulofenestra レティキュロフェネストラ属出現年代は上記2種よりも古く、これらの祖先であるとされている。大部分は化石種であるが、ただ一種 R. sessilis のみが現生種として残っている。 R. sessilis :中心目の珪藻 Thalassiosira に集団で寄生する変わった円石藻。寄生性の円石藻はこの一種のみである。

円石藻目(Coccolithales)の円石藻[編集]
Family Coccolithaceae コッコリサス科最も基本的な円盤型の円石を持つ円石藻。カルシディスカス科(Calcidiscaceae)を分離する事もある。 Coccolithus、Calcidiscus、Oolithotus 、Umbilicosphaera など
Family Pleurochrysidaceae プレウロクリシス科沿岸域を好む円石藻。培養が容易で、円石形成の研究材料として良く用いられる。 Pleurochrysis
Family Hymenomonadaceae ヒメノモナス科沿岸域を好む円石藻。 Hymenomonas、Jomonlithus、Ochrosphaera
Family Rhabdosphaeraceae ラブドスファエラ科長い針状、あるいは根棒状の円石を持つ円石藻。 Acanthoica、Algirosphaera 、Discosphaera、Rhabdosphaera など
Family Syracosphaeraceae シラコスファエラ科「syracolith」と呼ばれるカップ状の円石を持つ事で特徴付けられる円石藻。細胞の部位によって異なる形状の円石を付けたり、数種類の円石を層状に付けたりする種が含まれる。 Syracosphaera、Coronosphaera'、Michaelsarsia、Ophiaster など
Family Alisphaeraceae アリスファエラ科一箇所に突起のある非対称の円石を持つ円石藻。 Alisphaera、Canistrolithus、Polycrater
Family Ceratolithaceae セラトリス科細胞表面にリング状の円石を、細胞内部の細胞核付近にフック型の円石を持つ変わった円石藻。前者を持つ円石藻が Neosphaera として、後者が Ceratolithus として独立に記載されたが、単一の種であると考えられている。 Ceratolithus、Neosphaera
Family Braarudosphaeraceae ブラルドスファエラ科正五角形の円石を持ち、正十二面体のコッコスフィアを形成する円石藻。 Braarudosphaera
Family Papposphaeraceae パッポスファエラ科漏斗状の円石を持つ円石藻。葉緑体を二次的に失った無色の円石藻であり、従属栄養生活を営む。 Papposphaera、Pappomonas
“Zygodiscales”大型の螺旋型や椀型の円石を持つ円石藻。 Helicosphaera、Pontosphaera、Scyphosphaera
incertae sedis 位置不明群形態的に近い種類が無く、分子情報も得られていない為に分類不可能な円石藻。 Florisphaera、Gladiolithus、Umbellosphaera
“Holococcoliths”ホロコッコリスを持つ円石藻。かつては独立の科とされていたが、ヘテロコッコリスを持つ複相世代との対応付けが進められている。ここでは暫定的にまとめて示す。 Calyptrosphaera、Crystallolithus、Helladosphaera、Zygosphaera ほか

チョーク (岩石)

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チョーク (chalk) は、未固結の石灰岩のこと。イギリスのドーバー海峡周辺で崖をつくる厚い地層のことで、円石藻の化石(炭酸カルシウムのココリス)から成る。

日本語では白亜(はくあ、元の用字は白堊)という。日本では地層が堆積した年代から、白亜紀の語源となったほか、黒板に用いるチョーク(白墨)の語源にもなっている。

石灰岩

石灰岩(せっかいがん、英: limestone[1])は、炭酸カルシウム(CaCO3、方解石または霰石)を50%以上含む堆積岩。炭酸カルシウムの比率が高い場合は白色を呈するが、不純物により着色し、灰色や茶色、黒色の石灰岩もある。



目次 [非表示]
1 性質・特徴
2 成因 2.1 生物起源
2.2 化学的沈殿

3 産出地と地形・生物
4 石材としての使用(大理石)
5 工(鉱)業的使用(石灰石)
6 ギャラリー
7 脚注
8 参考文献
9 関連項目
10 外部リンク


性質・特徴[編集]

肉眼では結晶化しているように見えないが、ミクロのレベルでは結晶構造が存在する。現在、地上の鉱物中に観られる炭酸カルシウムの結晶構造は、六方晶系の方解石型と、斜方晶系のアラゴナイト(霰石)型がある。地上や地下浅くで結晶化させた場合は方解石型になるが、地下深くの高温高圧下で結晶化した場合はアラゴナイトになり、貝殻など生物活動で結晶化した場合もアラゴナイト型をとることがある。アラゴナイトは地上の雰囲気下では徐々に方解石に変化(転移)するので、一般的な石灰岩は方解石型である。

石灰岩が地下で熱変成作用を受けて炭酸カルシウムが再結晶し、方解石の結晶構造を成長させた岩石を結晶質石灰岩(大理石)と呼ぶ。

成因[編集]





フズリナ(紡錘虫)の化石を含んだ石灰岩(大垣城の石垣)




パムッカレの温泉石灰棚
石灰岩の成因には生物起源と化学的沈殿の2種類がある。石灰岩には大量の二酸化炭素を含むため、地球上の石灰岩がすべて熱分解したと仮定する場合、気温が300度上昇するといわれる[要出典]。

生物起源[編集]

有孔虫、ウミユリ、サンゴ、貝類、円石藻、石灰藻などの生物の殻(主成分は炭酸カルシウム)が堆積してできたもの。生物起源の石灰岩には明瞭な化石を含むものも多い。

顕生代においては、古生代のオルドビス紀頃と石炭紀〜ペルム紀頃、中生代の白亜紀頃の3回、海生生物起源の石灰岩が大量に生成した。例えば、古生代後期〜中生代に存在した海域(テチス海)で生成した石灰岩は、現在、アルプス山脈・ヒマラヤ山脈・中国・日本の各地で見られる。また、白亜紀の語源となったイギリスのドーバー海峡に見られる白亜(チョーク)も、海生微生物起源の石灰岩である。

同様な生物活動は現在も続いており、サンゴ礁では今も石灰岩が生成されつつある。

化学的沈殿[編集]

水から炭酸カルシウムそのものが化学的に沈殿したもので、通常、化石は含まれない。石灰分を多く含む温泉水の沈殿物(石灰華)としての生成が量的には多い。世界遺産に登録されたトルコのヒエラポリス-パムッカレの石灰棚が有名。日本では長野県の白骨温泉など。他には、石灰洞内の洞窟生成物など。

産出地と地形・生物[編集]

石灰岩は堆積・沈殿した元の場所に産出する原地性のものと、一旦できた岩石が運ばれて二次的に堆積した非原地性のものがある。世界的には非原地性のものも多いが、日本の石灰岩産地は大部分が原地性である。

石灰岩は比較的風化されにくいので、山脈中の高いピークや大きな山となっている場合が多い。ヒマラヤ山脈のエベレストの頂上や、アルプス山脈のアイガー等は石灰岩でできている。日本では、伊吹山や藤原岳、秩父の武甲山が全山、石灰岩である。

石灰岩の主成分である炭酸カルシウムは雨水に溶解するため、溶食によってドリーネや鍾乳洞を造り、特徴的なカルスト地形を形成する。日本では山口県秋吉台や岡山県西部から広島県東部にまたがる吉備高原、四国西部や北九州地域にカルスト地形が存在する。また、風化に強いが溶食され易いことから、中国の桂林のような特異な地形を形成する場合がある。

また、沖永良部島のような隆起性サンゴ礁と呼ばれる島々では、現在も島周辺で大量の造礁サンゴが石灰岩を生成し、島自体は成長を続けている。これらの島は大部分が石灰岩でできている。

これらの山の岩場やカルスト地形の地では石灰岩地に特有の植物が見られる(ヒメフウロなど)ことから、それらを石灰岩植物、あるいは好石灰岩植物、その性質を好石灰岩性などという。動物にも例がある。

石材としての使用(大理石)[編集]

詳細は「大理石」を参照

石灰岩は石材として一般的に使用されている。「ライムストーン」の名称で取り扱われる石材は石灰岩のことである。古くはエジプトのピラミッドに使われた例がある。石灰岩産地では石垣などにも多用されている。

大理石は白色の結晶質石灰岩のことで、ヨーロッパではギリシア時代から建物や彫刻に使用されている。日本ではビルの内装等の装飾に使われている岩石を、結晶質石灰岩も石灰岩もひっくるめて「大理石」と呼んでいる。ビルの内装にアンモナイト等の化石が見られることがあるが、細部まで明瞭な化石が残存する場合は材質的には石灰岩であることが多い。また、変成を受けた石灰岩の中にも大きな生物の化石痕跡が残る場合もある。

工(鉱)業的使用(石灰石)[編集]





伊吹山露天掘り鉱山




金生山の石灰岩露天掘り鉱山(岐阜県大垣市)
詳細は「石灰石」を参照

石灰岩は工業用に大量に採掘・使用されている。鉱石名としては石灰石。
セメントセメントは石灰岩から作られる。大きな山が順次削られて近くの工場に運ばれ、セメントに加工されている。製鉄所銑鉄を作る高炉に鉄鉱石・コークスと一緒に石灰岩を入れる。これは鉄鉱石中に含まれる雑多な岩石類などの不純物を、石灰岩が熱分解して生じる塩基性の生石灰(酸化カルシウム)と反応させ、溶融状態で高炉の外に取り出しやすくするためである。消石灰(水酸化カルシウム)、漆喰の原料石灰岩を高温で焼くと、生石灰が得られ、生石灰に水を加えると消石灰が得られる。土壌改良剤炭酸カルシウムは弱アルカリ性であり、酸成分を中和する作用を有する。そこで化学肥料や有機物の分解で酸性に片寄った土壌を中和させるために石灰岩の粉末が使われる。更に即効性を求める場合には、石灰岩の誘導体で水に溶かせば強いアルカリ性となる消石灰や生石灰を使用する。
その他、ガラスの原料や白色の顔料の素材としても使われている。

日本には採掘しやすい場所に高品位の石灰岩が大量に存在する。石灰岩は数少ない国内で自給可能な鉱物資源である。しかし大規模な採掘により自然の地形が大きく改変され続けている。例えば右の伊吹山の写真では向かって左側の稜線が採掘によって幾何学的な直線状になっているのが分かる。

ギャラリー[編集]

ここには石灰岩でできた山や、石灰岩起源の特徴的な景色を掲載した。





武甲山






四国カルスト






アイガー






白崎海岸(和歌山県)


脚注[編集]

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1.^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、126頁。ISBN 4-8181-8401-2。

参考文献[編集]
柴田秀賢・須藤俊男 『原色新鉱物岩石検索図鑑』 木股三善・宮野敬編修、北隆館、2003年(原著1964年)、新版。ISBN 4-8326-0753-7。
木下亀城・小川留太郎 『標準原色図鑑全集 第6巻 岩石鉱物』 保育社、1967年。ISBN 4-586-32006-0。
白水晴雄 『石のはなし』 技報堂出版、1992年。ISBN 4-7655-4386-2。

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