2014年02月13日
石炭
石炭(せきたん、英:coal)とは、古代の植物が完全に腐敗分解する前に地中に埋もれ、そこで長い期間地熱や地圧を受けて変質(石炭化)したことにより生成した物質の総称。見方を変えれば植物化石でもある。
石炭は古くから燃料として使われてきた。特に産業革命以後20世紀初頭まで最重要の燃料として、また化学工業や都市ガスの原料として「黒ダイヤ」「黒いダイヤ」「黒の宝石」等と呼ばれていた。第一次世界大戦前後から、艦船の燃料が石炭の2倍のエネルギーを持つ石油に切り替わり、戦後中東で大量の石油が採掘され1バレル1ドルの時代を迎えると、産業分野でも石油の導入が進み(エネルギー革命)西側先進国で採掘条件の悪い坑内掘り炭鉱は廃れた。
しかし1970年代に二度の石油危機で石油がバレル12ドルになると、産業燃料や発電燃料は再び石炭に戻り、米国やドイツや中国などでは現在も最も重要なエネルギー源である。ただし、日本では国内炭鉱は復活しなかった。豪州の露天掘りなど、採掘条件の良い海外鉱山で機械化採炭された、安価な海外炭に切り替わっていたからである。海上荷動きも原油に次いで石炭と鉄鉱石が多く、30万トンの大型石炭船も就役している。
他の化石燃料である石油や天然ガスに比べて、燃焼した際の二酸化炭素 (CO2) 排出量が多く地球温暖化問題の面からは不利だが、天然ガスも石油も数十年の埋蔵量しかないのに比べ、石炭は110年程度の埋蔵量がある。また石油と違い政情の安定している国の埋蔵量が多く、価格も安定しているほか、日本を含む多くの国にとって石炭は有事の場合に自給可能な唯一の燃料でもある。
目次 [非表示]
1 石炭の成り立ち 1.1 石炭化
1.2 石炭が産出する地層
2 燃料としての特徴 2.1 石炭の利点
2.2 石炭の欠点
3 石炭の利用 3.1 石炭使用の黎明期
3.2 石炭の第一次黄金時代
3.3 石炭から石油への移行
3.4 石油危機と石炭回帰・天然ガスとの競争
4 石炭の種類 4.1 石炭の分類 (JIS M 1002)
5 石炭の採掘 5.1 炭鉱事故
5.2 世界の埋蔵量
5.3 主な産炭地
5.4 主な消費国
5.5 日本の炭鉱 5.5.1 主な日本の産炭地
6 脚注
7 関連項目
8 参考文献
9 外部リンク
石炭の成り立ち[編集]
現存する泥炭地 霧多布湿原
石炭の化学構造の例:瀝青炭
現在の地球上では枯れて倒れた樹木は大半がシロアリやキノコに代表される菌類や微生物によって分解されてしまうが、石炭ができるためには完全に分解される前に地中に埋没することが必要である。特に古生代においてはそれら分解者が、まだ出現していなかったり少数派であったため大量の植物群が分解前に埋没していた。植物の遺体が分解されずに堆積する場所として湿原や湿地帯が挙げられる。これらの場所においては植物の遺体は酸素の少ない水中に沈むことによって生物による分解が十分進まず、分解されずに残った組織が泥炭となって堆積する。泥炭は植物が石炭になる入り口とされている。他の成因として大規模な洪水で大量の樹木が湖底等の低地に流れ込んで土砂に埋まることも考えられる。地中に埋まった植物は年代を経るに従って 泥炭→褐炭→歴青炭→無煙炭 に変わってゆく。この変化を石炭化と呼ぶ。
石炭化[編集]
地中に埋まった植物が地圧や地熱を受けて石炭になる変化を総称して石炭化と呼ぶ。これは多様な化学反応を伴った変化である。セルロースやリグニンを構成する元素は炭素、酸素、水素であるが、石炭化が進むに従って酸素や水素が減って炭素濃度が上がってゆき、外観は褐色から黒色に変わり、固くなってゆく。炭素の含有量は泥炭の70%以下から順次上昇して無煙炭の炭素濃度は90%以上に達する。化学的には植物生体由来の脂肪族炭化水素が脱水反応により泥炭・褐炭になり、次に脱炭酸反応により瀝青炭となり、最後に脱メタン反応により芳香族炭化水素主体の無煙炭に変わってゆく。植物が石炭化する速度は地中での圧力や温度の影響を受ける。日本は環太平洋造山帯に位置し地殻変動が盛んなため、諸外国の産地よりも高温・高圧にさらされて石炭化の進行が早いとする説もある。
石炭が産出する地層[編集]
石炭は元となった植物が繁茂していた時代に相当する地層から産出される。
古生代の地層は石炭が産出する地層としては最も古く、産出は無煙炭が主体。古生代に繁茂していた植物は現在のシダ類やトクサ類の祖先に相当するが、当時の代表的な植物であるリンボクは高さ30メートルになる大木で、大森林を形成していたと考えられている。
石炭紀(2億8千万年前頃): ヨーロッパ、北米
二畳紀(2億2千万年前頃): 中国、インド、オーストラリア、アフリカ
中生代はソテツやイチョウなどの裸子植物が優勢となった。この時代の地層から産出する石炭は海外ではほとんど瀝青炭だが、日本で産出するのは無煙炭が主体である。
三畳紀(1億9千万年前頃): ヨーロッパ中部、北米、中国南部、インドシナ
ジュラ紀(1億5千万年前頃): ヨーロッパ中南部、北米、アジア東部
白亜紀(1億2千年万前頃): ヨーロッパ中部 北米、南米、アフリカ
新生代第三紀(7〜2千万年前)の植物は、現在に近い樹種が主体。産出する石炭は、外国では石炭化の低い褐炭が主体だが、日本の炭鉱では瀝青炭が産出される。
ドイツ、北米、中米、オーストラリア、日本
植物の体はセルロース、リグニン、タンパク質、樹脂などなどで構成されている。このうち古生代に繁茂したシダ類ではセルロースが40〜50%リグニンが20〜30%であり、中生代以後に主体となる針葉樹類ではセルロースが50%以上リグニンが30%である(何れも現生種のデータ)。これらの生体物質を元にしてが石炭が形成された。
石炭の成り立ちの主な参考文献 - 『石炭技術総覧』Batman、『太陽の化石:石炭』第1章石炭の生い立ち
燃料としての特徴[編集]
石炭は燃料としては最も埋蔵量が多い地下資源である。しかし採掘・運搬・使用(燃焼)に際して不利な点も多い。
石炭の利点[編集]
石油が安価だった時代、重油製鉄も検討されたが、製鉄における石炭の優位は崩せなかった。重油ボイラーを比較的簡単に微粉炭ボイラーに改造できたため、第二次石油危機後の1980年代にほとんどの発電燃料・産業燃料が値段の安い石炭に回帰するか天然ガスに切り替わった。発電燃料・産業燃料においても微粉炭ボイラー(石炭を粉にして吹き込む)が開発され手作業給炭は過去のものとなり、産業分野において石炭は過去の遺物ではなく、現役の主力エネルギーである。
日本国内炭は一般的に炭層が薄くて傾斜しておりロングウォールに向かず、海外炭に太刀打ちできなかったが(釧路炭田は水平に厚く石炭層が形成されているために例外的に存続できた)、昨今の原油高で海外炭相場も値上がりしたため、一部国内炭鉱が将来的な再開を検討している。
安価なコスト自動車の普及した先進国では石油の占める割合が高いが、エネルギー消費の過半数を占める発電燃料・産業燃料では、コスト優位によって石炭が首位を奪還した国も多い。北海油田を抱えるイギリスは産業燃料も天然ガスの比率が高く、フランスは原子力発電が8割を占めるが、ドイツは国内石炭が首位でシベリア天然ガスがそれに次ぎ、アメリカも発電燃料は石炭が圧倒的首位である。中国は自動車の普及で石油輸入量が急増し日本を追い抜いたが、依然として全エネルギーのうち7割以上を石炭が占めている。2008年現在、1万kcalあたり原油は75円弱、石炭は12円で、石炭のほうがはるかに経済的である(原油バーレル120ドル、豪州一般炭2008年度価格80ドル/t前提)。豊富な埋蔵量石炭は他の燃料に比べて埋蔵量が多く、かつ石油のような一地域への偏在がなく、全世界で幅広く採掘が可能なエネルギー資源である。50年で枯渇が懸念されている石油に対し、石炭は112年[1]の採掘が可能と考えられている。2000年現在、世界の消費は約37億t、総一次エネルギー消費の27%を占める。確認可採埋蔵量は、世界で約9800億t(2000年)(BP統計2005年版では約9091億t)。1990年のデータでは ウランを含む燃料資源を石油に換算した確認可採埋蔵量の比率は石炭が61.9%に達し、オイルサンド類の16.1%、石油の10.8%、天然ガスの9.7%に比べて圧倒的に多い。また石油が世界の埋蔵量のうち中東地区に70%以上が偏在したり(1999年のデータ)、天然ガスが旧ソ連と中東で70%以上の埋蔵量を占有する状況である(1999年のデータ)のに比べて 石炭は旧ソ連(23.4%)、アメリカ(25.1%)、中国(11.6%)、オーストラリア(9.2%)、インド(7.6%)、ドイツ(6.8%)と政情の安定している国の埋蔵量が大きいことが特徴(1999年のデータ)。成熟した技術原子力発電は、エネルギーの安定供給を実現させるために極めて有意義な技術と評価され、特に新興国において増設が進んでいる。しかし、作業員が一定程度被曝しながらメンテナンスしているのが現状であり、完全な遠隔操作化は未だになされていない。放射性廃棄物を発生する、廃炉は10年は封鎖してからでないと解体ができないなど、技術的には未完成で危険な部分が多い。原子力は本質的に危険性を内包した技術であり、原子力施設がテロや軍事攻撃、巨大な天変地異といった設計時に予想していない事態に巻き込まれた場合、周囲が半永久的に居住不能となる大惨事をもたらしかねない。これに対し、石炭は二酸化炭素貯留の問題を除いて大きな未解決な技術的課題がない。製鉄における石炭の圧倒的有利鉄鉱石とは錆びた鉄・酸化鉄と脈石の塊であり、製鉄とは還元反応である。現在の高炉法は粘結炭(瀝青炭)を蒸し焼きにしたコークスと塊状鉄鉱石を円筒形の高炉に積み上げ、下から空気を吹き込んで発生する一酸化炭素で銑鉄を作るので、石炭(特に粘結炭)が不可欠である。天然ガスでも還元できるが温度が上げにくいので、産油国のような石油採掘の時に随伴ガスとして出てきてしまう天然ガスを無駄に燃やしている国以外では、石炭のほうが優位である。豊富な埋蔵量の主な参考文献 - 『エネルギー・セキュリティ』エネルギーが大きい比較的良質な豪州一般炭を例にとれば、重量1kgあたりの発熱量が2.8MJで、薪と比べれば遥かに重量・体積あたりでのエネルギーが高い(薪のエネルギーは木の種類や乾燥度合いによって大きく異なるが、全面的に石炭が上回る事には相違ない)。また石炭から作られるコークスも木炭よりエネルギーが大きい。
石炭の欠点[編集]
石炭は上記のような利点がある一方で下記のような欠点がある。最近の日本での使用に際しては、環境に配慮して最新技術による対策が施されている。
エネルギーが小さい上述とは逆になるが、石油と比較した場合は低エネルギーであり、重油と比べて約半分である。これは蒸気ボイラーで同じ出力を得ようとした場合、石油燃料を使用する場合よりも大きなボイラーが必要であることを意味する。固体のため、採掘・運搬・貯蔵に際して石油よりもコストがかかる液体はポンプと配管で輸送できるが、石炭の輸送にはパワーショベルまたは人手による投炭、ホッパー、ベルトコンベアなどが必要である。天然ガスより熱効率を上げにくい石炭も微粉炭にして酸素吹き込みで燃やせば高温の一酸化炭素・二酸化炭素が発生するので、ガスタービンを回したあとの数百℃の熱排気でボイラーを熱して蒸気タービンを回すコンバインドサイクルは可能で研究も進んではいる。ただし石炭に含まれる灰分が溶けてタービン翼に障害を与えるのを「低コストで」処理するのが難しい。そのためカロリーあたりでは石炭のほうが安くても、天然ガスコンバインドサイクル発電所のほうが石炭火力発電より燃料消費が少ないので、ドイツのような隣国からパイプラインで購入している国の場合は天然ガス発電所が増えている。日本やイタリアのように液化天然ガスで輸入している国は天然ガスを-160℃で液化するコストが掛かっているので、どちらが有利か試算者によって結論が異なる。後処理装置がないと大気汚染の原因になる特に硫黄は原油同様0.4〜5%含まれているが、これは燃やすと酸性雨の主要因となる硫黄酸化物になる。窒素成分も他のエネルギー源より多く、やはり酸性雨の原因となる。これらの環境汚染物質については(日本では)国や地方自治体で排出基準が定められている。環境対策として 硫黄酸化物については湿式石灰石-石膏法による脱硫装置、窒素酸化物については燃焼方法の改善や排煙脱硝装置の稼動により排出基準を遵守している。また灰分を含んでいるため、燃焼後にその処分が必要である。他の燃料に比べて煤塵発生が多い。蒸気機関車が黒煙を吐いて走っているのが典型例。火力発電所などでは、排煙中の煤塵は集塵機により除去されている。二酸化炭素排出量が他の燃料よりも多い。石炭は高品位になるほど炭素含有量が増えて水素・酸素が減ってゆき、無煙炭の炭素含有量は90%以上に達する。他の燃料を燃焼すると二酸化炭素と水ができるが、高品位の石炭を燃やすと燃焼生成物の大部分が二酸化炭素となる。二酸化炭素は地球温暖化に強い影響を与える物質であるとされていて、排出量規制の動きも出ており(京都議定書)、その面では使いにくい燃料である。二酸化炭素を回収し地中に戻す技術が開発途上にある。単純に燃焼させた場合、地球環境に負荷を与える燃料資源と見なされているが、硫黄酸化物・二酸化炭素などを除去する装置が完備した施設で管理された使用においては安全で、低コストで、豊富で、負荷追随が可能な主力エネルギーである。硫黄酸化物除去は実用化されており、二酸化炭素は地中処分が検討されている。原子力発電所・風力発電所の建設には10数年かかるので、即効性のある対策は二酸化炭素貯留しかないが、日本では貯留層に70年分の容量しかないといい、既存石炭火力発電所を寿命まで使い切って次世代発電所にバトンタッチする繋ぎ技術と目されている。石炭の欠点の主な参考文献 - 『石炭技術総覧』第3章石炭を使う
石炭の利用[編集]
石炭は蒸気ボイラー用燃料として発電・製鉄所・各種工場燃料に使われるほか、途上国では鉄道・船舶暖房や煮炊きに使われる場合もある。また日本のセメント工業の燃料としては石油よりも多く使われている。製鉄所では瀝青炭を乾留したコークスが大量に使用されている。乾留の際の副生成物であるコールタールは化学薬品などの原料として重要であり、同じ副生成物のコークス炉ガスは過去に都市ガスとして使用された。また固体燃料の取り扱いの不便さ改善のために石油と混合して液体燃料化したCOMや、水と混合した液体燃料CWMも実用化されている。
また 石炭を化学的に液化(石炭液化)して人造石油を合成する方法として水素添加法や、石炭をガス化した一酸化炭素と水素を元にフィッシャー・トロプシュ反応により炭化水素を合成する方法(南アフリカで実用化)などが工業化、第二次大戦ではドイツは人造石油で軍用燃料をまかなっている。以下に石炭利用の歴史を概説する。
石炭の利用この章の主な参考文献 - 『石炭技術総覧』第3章石炭を使う
石炭使用の黎明期[編集]
古代ギリシアのテオフラスタスの記録(紀元前315年)に石炭が鍛冶屋の燃料として使われたと書かれている。ほぼ同年代の中国戦国時代でも石炭を使用した遺跡が見つかっている。宋代から大々的に燃料として用いられるようになり、その強い火力により中華料理の炒め物のメニューができた。日本での本格使用は江戸時代に筑豊炭田の石炭が瀬戸内海の製塩に用いられた記録がある。イギリスは国内に豊富な石炭資源を有し、一部は地表に露出していたため700年以上前から燃料として使われていた。18世紀にイギリスで産業革命が始まり、製鉄業をはじめとした工業が大規模化した。燃料消費量が増え 従来の薪や木炭を使用した工業システムでは森林資源の回復が追いつかなくなる問題が持ち上がり、工業用燃料として石炭が注目され始めた。
石炭の第一次黄金時代[編集]
1904年製の蒸気機関車City of Truro
18世紀になってジェームズ・ワットによって蒸気機関が実用化され、燃料として石炭が大量に使用されるようになった。また同じ頃に石炭を乾留したコークスによる製鉄法が確立され、良質な鉄が安価に大量に生産できるようになり、産業革命を大きく推進させた。19世紀末になるとコークスを製造する際の副産物として出てきたドロドロの液体コールタールを原料として石炭化学工業が始まり、染料のインディゴ、薬品のアスピリン、ナフタリンなどが作られるようになった。石炭と石灰岩を高温(2,000℃)で反応させてできた炭化カルシウムからアセチレンが作られ、有機化学工業の主原料となった(現在この地位は石油起源のナフサ/エチレンに替わっている)。燃料としての石炭は工場の動力のほか、鉄道や船の蒸気機関の燃料として使われた。
都市の照明や暖房・調理用に石炭由来の合成ガスが使われた。これは石炭の熱分解から得られたガスで、最初はコークスを作る際に発生するメタンや水素を主成分とするコークス炉ガスがロンドンのガス灯などに使われた。次にもっと大量に生産できる都市ガスが開発された。灼熱したコークスに水をかけて得られる一酸化炭素と水素からなるガスで、大都市で1970年代まで使用されたが、便利ではあるが毒性が強いものであったため現在では毒性の少ない天然ガスに切り替わりつつある。19世紀末から20世紀中旬にかけて、先進各国の都市では工場や家庭で使用する石炭から出る煤煙による公害問題が大きくなっていった。
石炭の黄金時代の主な参考文献 - 『Ghezunteidt』第3章石炭を使う
石炭から石油への移行[編集]
第一次大戦で活躍したドイツ巡洋艦エムデン、石炭燃焼による目立つ黒煙は敵に見つかりやすい。
特にドイツにおいては地政学的な理由から英国のような高品質の火力の高い無煙炭の入手が困難であったため不利な条件が重なることになった。
20世紀にはいると石油の採掘技術が発展し、アメリカ国内、中東、インドネシアで大規模な油田が開発されて、大量に安価に入手できるようになった。石油は液体なので貯蔵・移送が便利な上、発熱量が大きく、煤煙が少ないので石炭に代わる燃料として使われるようになった。1910年まで世界の海軍の主要艦艇の燃料は石炭であったが、イギリスでは1914年に竣工した軽巡洋艦アリシューザ級と1915年竣工の戦艦クイーン・エリザベス級以後の艦は、燃料を重油に切り替えた。日本などの国々でも1920年代以後に建造された艦の燃料はほとんど全て石油に切り替わった。他の分野では石油への切り替えは少し遅れた。鉄道分野では当初動力車として蒸気機関車のみしかなかったが、1940年代にはアメリカで高出力ディーゼル機関車の本格運用が始まった。ドイツは第二次世界大戦中に、輸入が途絶した石油の代替として石炭液化技術を実用化した。これは高温(500℃以上)高圧(数十気圧以上)の条件下で石炭と水素を反応させて炭化水素を合成する方法であった。
第二次世界大戦で敗戦した日本は疲弊した国内産業の建て直しのために国策として石炭の増産を実施し(傾斜生産方式)、戦後の復興を遂げた。当時火力発電はほとんど石炭を燃料としていた。しかし1960年から発電用燃料として石油の使用量が増大し、1970年代には石炭のみを使う火力発電所は新設されなくなった時期があった。また既設の石炭火力発電所も石油使用に改造された。しかし2度のオイルショックを経て石油の価格競争力が石炭や天然ガスに劣るようになったため、1980年以降は原子力発電を主力とし、石炭火力発電と天然ガスコンバインドサイクルを組み合わせバランスよく使用するように方針転換されている(電源ベストミックス)。ただし化学工業の原料としては、現在圧倒的に石油が使われている。現在の化学工業の基本となっているのは、石油の低沸点部分ナフサを原料としたエチレンである。
燃料や工業原料としての石炭使用は石油や天然ガスに切り変わった部分も多いが、鉄鉱石を精錬して鉄に変える高炉では、瀝青炭から作られたコークスを大量に使用している。日本の石炭使用量の大きな部分が製鉄業であることは変わっていない。
石油危機と石炭回帰・天然ガスとの競争[編集]
二度の石油危機以降、原油価格がバーレル2ドルから12ドルへ上昇し、発電・工業用ボイラ燃料・セメント焼成燃料は1980年代に再び石炭に戻った。一方で石油代替燃料のライバルとして天然ガスが登場した。しかしながら価格が最も安価なため、1980年代以降米国や中国では石炭火力発電が発電の最大の柱となっている。日本では、東京電力・中部電力・関西電力のような大都市圏の電力会社では比較的天然ガスの比率が高いものの、地方の電力会社では、沖縄電力が2010年の統計で発送電電力量構成比で石炭火力発電が77%をしめるのを筆頭に、中国電力でも58%、北陸電力でも44%をしめるなど石炭火力発電が発電の柱となっている会社も多い[2]。2005年以降で中国での自動車普及による需要急拡大などを背景として原油価格がバーレル50-100ドルに暴騰し、メタノールやCNGなどの石油代替自動車燃料が広がりつつあるが、メタノールの合成原料は石炭と天然ガスである(アルコール燃料参照)
石炭の種類[編集]
石炭はその産地(炭層)によって性質が大きく異なる。一般には石炭化度の指標である燃料比(固定炭素/揮発分)によって分類されている。石炭化度の進んだ無煙炭と瀝青炭は高品位炭、石炭化の進んでいない亜瀝青炭・褐炭・泥炭は低品位炭とも呼ばれるが、半無煙炭などのように石炭化度が高いのに評価の低い石炭もあり、最高値の瀝青炭も粘結性には鉱山ごとに大きな差があるので石炭化度が高い石炭ほど値段が高いわけではない。鉄鋼生産の原料になるものを原料炭、発電ボイラー燃料やセメント回転炉燃料などに使われる亜瀝青炭以上の石炭化度の石炭を一般炭という。
日本では、石炭化度による石炭の分類のパラメーターとして、発熱量と燃料比(固定炭素÷揮発分、通常では無煙炭:4以上、瀝青炭:1〜4、褐炭:1以下)を用いているが、国際的には一般に揮発分が用いられている。
(石炭化度の高い順に)
無煙炭 (anthracite)炭素含有量90%以上。石炭化度が高く、燃やしても煙の少ない石炭。家庭用の練炭原料やカーバイドの原料、粉鉄鉱石を塊状に焼結する焼結炉に使われる。煙が少なく発見されにくく発熱量が高いため、かつては軍艦用燃料に重んじられた。ただし揮発分が低く、着火性に劣る。焼結に使用可能な低燐のものは原料炭の一種として高価格で取引される。半無煙炭 (semianthracite)炭素含有量80%以上。無煙炭に次いで石炭化度が高いが、粉鉄鉱焼結にも適さない一方、電力等微粉炭ボイラー用としては揮発分が少なすぎて適さず、比較的安値で取引される一般炭。セメント産業の燃料や流動床ボイラに使われる。着火性に劣るが比較的発熱量が高く、内陸工場への輸送コストが安くつく。瀝青炭 (bituminous coal)炭素含有量83〜90%。粘結性が高いものは、コークス原料に使われ、最も高値で取引される。亜瀝青炭 (subbituminous coal)炭素含有量78〜83%。瀝青炭に似た性質を持つが、水分を15〜45%含む。粘結性がほとんどないものが多い。コークス原料には使えないが、揮発分が多くて火付きが良く、熱量も無煙炭・半無煙炭・瀝青炭に次いで高く、電力用/産業用微粉炭ボイラーに大量の需要があり、一般炭の中では比較的高値で取引されている。豊富な埋蔵量が広く分布している。日本で生産されていた石炭の多くも亜瀝青炭であった。褐炭 (brown coal)炭素含有量70〜78%。石炭化度は低く、水分・酸素の多い低品位な石炭。練炭・豆炭などの一般用の燃料として使用される。色はその名の示す通りの褐色。水分が高すぎて微粉炭ボイラの燃料としては粉砕/乾燥機の能力を超えてしまう場合が多く、重量当たり発熱量が低いので輸送コストがかさみ、脱水すれば自然発火しやすくなるという扱いにくい石炭なので価格は最安価で、輸送コストの関係で鉱山周辺で発電などに使われる場合が多い。最近褐炭を脱水する様々な技術の開発が行われている。亜炭 (lignite)褐炭の質の悪いものに付けられた俗名。炭素含有量70%以下。褐炭も含めて亜炭と呼ぶ場合もあり、その基準は極めて曖昧である。学名は褐色褐炭。埋れ木も亜炭の一種である。日本では太平洋戦争(大東亜戦争)中に燃料不足のため多く利用された。現在は土壌改良材などとして輸入された亜炭がごく少量利用されている。泥炭 (peat)泥状の炭。石炭の成長過程にあるもので、品質が悪いため工業用燃料としての需要は少ない。また、ウイスキーに使用するピートは、大麦麦芽を乾燥させる燃料として香り付けを兼ねる。このほか、繊維質を保ち、保水性や通気性に富むことから、園芸用土として使用される。
石炭の分類 (JIS M 1002)[編集]
分類
発熱量
補正無水無灰基
kJ/kg (kcal/kg)
燃料比
粘結性
主な用途
備考
炭質
区分
無煙炭 (A)
Authracite A1 --- 4.0 以上 非粘結 一般炭
原料炭
A2 火山岩の作用で生じたせん石
瀝青炭 (B, C)
Bituminous B1 35,160 以上
(8,400 以上) 1.5 以上 強粘結 一般炭
原料炭
B2 1.5 未満
C 33,910 以上 35,160 未満
(8,100 以上 8,400 未満) − 粘結 一般炭
原料炭
亜瀝青炭 (D, E)
Sub-Bituminous D 32,650 以上 33,910 未満
(7,800 以上 8,100 未満) − 弱粘結 一般炭
E 30,560 以上 32,650 未満
(7,300 以上 7,800 未満) --- 非粘結 一般炭
褐炭 (F)
Lignite F1 29,470 以上 30,560 未満
(6,800 以上 7,300 未満) --- 非粘結 (一般炭)
F2 24,280 以上 29,470 未満
(5,800 以上 6,800 未満) ---
石炭の採掘[編集]
ワイオミング炭鉱の露天掘り
詳細は「炭鉱」を参照
石炭は太古の植物の遺体が堆積したものであるため、地中には地層の形で存在する。石炭の鉱山を特に炭鉱と呼び、炭鉱が集中している地域を炭田と呼ぶ。
石炭の層(炭層という)が地表または地表に近いところに存在する場合、地面から直接ドラッグラインという巨大なパワーショベル等で掘り進む露天掘りが行われる。アメリカやオーストラリアの大規模な炭鉱で多く見られる。中国の撫順炭鉱は、700年ほど前から露天掘りがなされたと言われており、当時は陶器製造のための燃料として用いられたとされる。その後、清朝は「風水に害あり」との理由から採掘禁止としていたが、1901年、政府許可のもとで民族資本により採掘が始まり、その後ロシア資本が進出、さらに日露戦争後は東清鉄道及びその付属地は日本の手に渡ることとなり、1907年には南満州鉄道の管理下に移って、鞍山の鉄鋼業の発展に寄与した。
右図のように地下深いところに石炭がある場合、日本の在来採炭法では炭層まで縦坑を掘り、その後炭層に沿って水平または斜め(斜坑)に掘り進む。石炭は層状に存在するので採掘は広い面積で行われるため、放置すれば採掘現場の天井が崩れ落ちる危険性が非常に高い。石炭を採掘する際には、天井が崩れないように支柱を組むなど様々な対処を行いながら掘り進む。従来採炭法では手持ち削岩機とダイナマイトの併用が多かったが、採掘も手間がかかり、崩した石炭をトロッコに積むのも手作業で、掘ったあとに支柱を組むので能率が悪かった。
オーストラリアやアメリカ合衆国などでは日本に比べ坑内掘りでも炭層が水平で厚く、厚さ数メートルにも及ぶ場合があり、ロングウォールという一種のシールドマシンによって機械採炭を行っている。これはコの字断面のシールドを横に長く並べ、コの字の内側を機織機のシャトルのようにドリルが往復して炭層を削り取ってゆくもので、ベルトコンベアで石炭は機械的にトロッコに積まれてゆく。省人員で生産能率が露天掘りに次いで高く、低コストである。ロングウォール炭鉱の場合、上層から採炭して採炭後の空間は支柱を立てずに崩す場合もある。(ただし、上層が高硫黄炭で下層が低硫黄炭で、保証スペックにあわせるため上層炭と下層炭ブレンドしたい場合なども多く、必ず支柱を省けるわけでもない) 最近は中国などでもロングウォールを取り入れている炭鉱もあるが、人件費が安いので依然従来採炭法の鉱山も多い。旧ソ連などでは石炭を地層内で不完全燃焼させガス化して取り出して採炭を簡略化するという、かなり乱暴な手法も研究されていたようである。
20世紀初頭、ウェールズには600以上もの炭鉱があり、約20万人が働いて経済を支えていた。
炭鉱事故[編集]
詳細は「炭鉱#炭鉱事故」を参照
石炭が他の鉱石と著しく異なる点は「良く燃える」ことであり、それによる大規模な炭鉱災害が度々発生している。炭層内に含まれるメタンガスが突然噴出し引火して爆発したり、炭鉱内に飛散した石炭の粉塵に引火して炭塵爆発を起こしたりなどで多数の犠牲者が出た事故が過去何度も発生している。犠牲者が最も多かったのは日本統治下の満州の本渓湖炭鉱で1943年に発生した炭塵爆発事故で、死者の数は1,527名に達した。日本国内の事故では1914年に方城炭鉱でのガス爆発事故が死者687名を出している。1910年頃までヨーロッパでも死者300人を超える事故があったが、1913年のイギリスのセングヘニス炭鉱事故(死者439名)以後、欧米では犠牲者300名以上の爆発事故は発生していない。それに対して日本では1963年の三池炭鉱(盆踊りの炭坑節で有名)炭塵爆発事故で458名の死者を出している。
炭鉱災害の参考文献 - 『太陽の化石:石炭』2.5炭鉱災害と保安の技術史について
世界の埋蔵量[編集]
比較的埋蔵量の多い国はアメリカ合衆国・ロシア連邦・中華人民共和国。古期造山帯で多く産出される。炭層が厚く、広範囲に分布することから、露天掘りが多い。輸出向けの実績はオーストラリア、インドネシアが堅調に推移。インドネシアは良質な瀝青炭の埋蔵量が減少傾向にあり、今後は亜瀝青炭の生産量が増加していくものと見られる。中国は石炭需給が逼迫している中、2007年にはついに石炭輸出国から輸入国へ転じる見込みとなっており[1]、石炭生産の安全対策の確保が急がれる。日本は、オーストラリア、インドネシア、中国、ロシアなどから年間約1億8千万トンもの石炭を輸入している。
( )内は2008年の埋蔵量(億トン、BP統計)。
アメリカ合衆国(2383)
ロシア(1570)
中国(1145)
オーストラリア(762)
インド(586)
ウクライナ(339)
カザフスタン(313)
南アフリカ(304)
主な産炭地[編集]
( )内は1980年からの産出量の割合(%)。年合計は38.34億トン。
中華人民共和国(31.2) 大同、平朔(朔州市)、神木(楡林市神木県)、撫順、阜新、唐山、萍郷
アメリカ合衆国(25.5) アパラチア(瀝青炭)、中央、ペンシルベニア(無煙炭)、ロッキー(褐炭)
インド(8.7) ダモダル
オーストラリア(7.1) ボウエン、ハンター
南アフリカ共和国(6.1) トランスヴァール
ロシア(4.4) クズネツク
ポーランド(2.8) シロンスク
ウクライナ(2.2) ドネツ
カザフスタン(1.9) カラガンダ
イギリス ヨークシャー、ランカシャー、ウェールズかつては600以上の炭田があり20万人以上が従事していた。
ドイツ ルール、ザール、ザクセン
参考資料:鉄鋼統計要覧など
主な消費国[編集]
平成20年(2008年)の主要消費国上位5ヶ国は中国(70.2)、アメリカ合衆国(24.6)、インド(53.3)、日本(25.4)、南アフリカ(77.7)である。( )内は各国の1次エネルギー消費に占める石炭の割合(%)。[要出典]
日本の炭鉱[編集]
日本の炭鉱はアメリカやオーストラリアの大規模炭鉱と比べて地層構成が複雑なため、石炭は地下の深部にあることが多い。そのため何キロメートルにも及ぶ坑道を掘り採掘していたが、労働条件は悪く、上記のようにメタンガスや粉塵による爆発事故・落盤などが多発し、多くの殉職者を出してきた。
明治維新以後 石炭は燃料や工業原料(特に製鉄業)として使用量が増大した。北海道・福島県・山口県・福岡県・佐賀県・長崎県が主産地で、最盛期にはこれらの地域を中心に全国に800以上の炭鉱が開かれ、第二次世界大戦中に年間産出量は6000万トンに達した。終戦後急激に減少し、その後産業の回復につれて産出量は再度増加した。1950年以降ほぼ5000万トンを超えるレベルに回復したが、石油の大量輸入(エネルギー革命)、コスト面で外国産のものに太刀打ちできないなどの問題で1961年をピークに徐々に衰退し、2002年以降国内で操業している坑内掘り炭鉱は北海道の釧路炭鉱の1箇所のみとなった。2007年度、年間60万トン体制での採炭を続けている。この炭鉱のある釧路炭田は推定埋蔵量20億トンと規模が大きく炭層が厚く水平に広がり採掘が容易であることから採炭技術の継承と海外技術者の研修受入先としても活用されている。
主な日本の産炭地[編集]
「Category:日本の炭田」を参照
現在稼動中
石炭価格の高騰にともない国産石炭でもコスト競争力をもつようになってきたため露天掘り炭鉱が次々と開発される。また福島第一原発事故後、国内の原子力発電所が順次運転を停止する中、電力会社は電力の安定供給のため、既存の石炭火力発電所をフル稼働させるようになったため、採掘事業者に対して増産を求める動きもある[3]。
釧路炭田:北海道釧路市(釧路コールマイン)
採炭とベトナム・中国等への石炭技術の継承のため、国内唯一の坑内掘り炭鉱として稼行中。おもに発電用。近年の燃料費高騰を受けて採算が良くなった。かつては白糠町や音別町(現・釧路市)、阿寒町(同)にも炭鉱があったが、閉山した。石狩炭田:北海道空知管内(夕張市・三笠市・美唄市・歌志内市・上砂川町・奈井江町・赤平市・芦別市)
坑内掘り炭鉱は全て閉山したが。露天掘りによる炭鉱が数カ所存在する。 北菱美唄(埠頭産業):美唄市[4]
三美炭鉱(三美鉱業):美唄市
砂子炭鉱(砂子組):三笠市[5]
空知新炭鉱(空知炭鉱):歌志内市
東芦別炭鉱(平野重機鉱業):芦別市
新旭(芦別鉱業):芦別市
留萌炭田(北海道空知管内・留萌管内):羽幌町・沼田町など 吉住炭鉱(吉住炭鉱):小平町
出典:北海道企業部環境・エネルギー室「北海道の石炭鉱業」 (PDF) (北海道) 2013年3月14日閲覧
以下は全て閉山
天北炭田(北海道宗谷管内):猿払村・浜頓別町など
常磐炭田(福島県東部〜茨城県北東部):いわき市・北茨城市・高萩市など
宇部炭田(山口県西部):宇部市・山陽小野田市など
大嶺炭田(山口県西部):美祢市
日本には珍しい無煙炭の炭鉱。筑豊炭田(福岡県中央部、いわゆる筑豊地域):飯塚市・直方市・田川市など
糟屋炭田(福岡県西部):糟屋郡
三池炭田(福岡県南西部・熊本県北西部):大牟田市・高田町(現・みやま市)・荒尾市
唐津炭田(佐賀県北部):唐津市・多久市など
北松炭田(長崎県北部):松浦市・佐世保市域北部・北松浦郡
西彼杵炭田(長崎県中西部):長崎市域北西部・西海市・長崎市高島町など
天草炭田(熊本県天草地方):本渡市(現・天草市)など
西表炭鉱(沖縄県八重山列島):西表島(八重山郡竹富町)・内離島 宇多良炭鉱など
脚注[編集]
1.^ BP Statistical Review of World Energy June 2012, p.30
2.^ 電気事業連合会「 INFOBASE 2011 (PDF) 」(P33) 2012年3月2日閲覧
3.^ “火発フル稼働で高まる石炭需要−露天掘り炭鉱で増産続く”. 北海道建設新聞. (2012年9月4日) 2013年3月14日閲覧。
4.^ 北菱埠頭産業事業紹介
5.^ 砂子組による露天掘り事業
関連項目[編集]
炭鉱
岩石 - 堆積岩
岩石の一覧
鉱石
化石
露天掘り
コークス
コールタール
乾留液
コールベッドメタン
フライアッシュ
石炭液化
軍艦島
塊炭飴
田川市石炭・歴史博物館
夕張市石炭博物館
いわき市石炭・化石館
参考文献[編集]
エネルギー総合工学研究所石炭研究会編著 『石炭技術総覧 : 21世紀への石炭利用と地球環境』 電力新報社、1993年、ISBN 4-88555-169-2。
相原安津夫 『石炭ものがたり』 青木書店〈地球の歴史をさぐる3〉、1987年、ISBN 4-250-87021-9。
西岡邦彦 『太陽の化石 : 石炭』 アグネ技術センター〈アグネ叢書2〉、1990年、ISBN 4-7507-0813-5。
矢島正之 『エネルギー・セキュリティ : 理論・実践・政策』 東洋経済新報社、2002年、ISBN 4-492-76129-2。
久保田博 『日本の鉄道史セミナー』 グランプリ出版、2005年、ISBN 4-87687-271-6。
『世界の艦船増刊 近代巡洋艦史』 海人社、1986年。
『世界の艦船増刊 近代戦艦史』 海人社、1987年。
石炭は古くから燃料として使われてきた。特に産業革命以後20世紀初頭まで最重要の燃料として、また化学工業や都市ガスの原料として「黒ダイヤ」「黒いダイヤ」「黒の宝石」等と呼ばれていた。第一次世界大戦前後から、艦船の燃料が石炭の2倍のエネルギーを持つ石油に切り替わり、戦後中東で大量の石油が採掘され1バレル1ドルの時代を迎えると、産業分野でも石油の導入が進み(エネルギー革命)西側先進国で採掘条件の悪い坑内掘り炭鉱は廃れた。
しかし1970年代に二度の石油危機で石油がバレル12ドルになると、産業燃料や発電燃料は再び石炭に戻り、米国やドイツや中国などでは現在も最も重要なエネルギー源である。ただし、日本では国内炭鉱は復活しなかった。豪州の露天掘りなど、採掘条件の良い海外鉱山で機械化採炭された、安価な海外炭に切り替わっていたからである。海上荷動きも原油に次いで石炭と鉄鉱石が多く、30万トンの大型石炭船も就役している。
他の化石燃料である石油や天然ガスに比べて、燃焼した際の二酸化炭素 (CO2) 排出量が多く地球温暖化問題の面からは不利だが、天然ガスも石油も数十年の埋蔵量しかないのに比べ、石炭は110年程度の埋蔵量がある。また石油と違い政情の安定している国の埋蔵量が多く、価格も安定しているほか、日本を含む多くの国にとって石炭は有事の場合に自給可能な唯一の燃料でもある。
目次 [非表示]
1 石炭の成り立ち 1.1 石炭化
1.2 石炭が産出する地層
2 燃料としての特徴 2.1 石炭の利点
2.2 石炭の欠点
3 石炭の利用 3.1 石炭使用の黎明期
3.2 石炭の第一次黄金時代
3.3 石炭から石油への移行
3.4 石油危機と石炭回帰・天然ガスとの競争
4 石炭の種類 4.1 石炭の分類 (JIS M 1002)
5 石炭の採掘 5.1 炭鉱事故
5.2 世界の埋蔵量
5.3 主な産炭地
5.4 主な消費国
5.5 日本の炭鉱 5.5.1 主な日本の産炭地
6 脚注
7 関連項目
8 参考文献
9 外部リンク
石炭の成り立ち[編集]
現存する泥炭地 霧多布湿原
石炭の化学構造の例:瀝青炭
現在の地球上では枯れて倒れた樹木は大半がシロアリやキノコに代表される菌類や微生物によって分解されてしまうが、石炭ができるためには完全に分解される前に地中に埋没することが必要である。特に古生代においてはそれら分解者が、まだ出現していなかったり少数派であったため大量の植物群が分解前に埋没していた。植物の遺体が分解されずに堆積する場所として湿原や湿地帯が挙げられる。これらの場所においては植物の遺体は酸素の少ない水中に沈むことによって生物による分解が十分進まず、分解されずに残った組織が泥炭となって堆積する。泥炭は植物が石炭になる入り口とされている。他の成因として大規模な洪水で大量の樹木が湖底等の低地に流れ込んで土砂に埋まることも考えられる。地中に埋まった植物は年代を経るに従って 泥炭→褐炭→歴青炭→無煙炭 に変わってゆく。この変化を石炭化と呼ぶ。
石炭化[編集]
地中に埋まった植物が地圧や地熱を受けて石炭になる変化を総称して石炭化と呼ぶ。これは多様な化学反応を伴った変化である。セルロースやリグニンを構成する元素は炭素、酸素、水素であるが、石炭化が進むに従って酸素や水素が減って炭素濃度が上がってゆき、外観は褐色から黒色に変わり、固くなってゆく。炭素の含有量は泥炭の70%以下から順次上昇して無煙炭の炭素濃度は90%以上に達する。化学的には植物生体由来の脂肪族炭化水素が脱水反応により泥炭・褐炭になり、次に脱炭酸反応により瀝青炭となり、最後に脱メタン反応により芳香族炭化水素主体の無煙炭に変わってゆく。植物が石炭化する速度は地中での圧力や温度の影響を受ける。日本は環太平洋造山帯に位置し地殻変動が盛んなため、諸外国の産地よりも高温・高圧にさらされて石炭化の進行が早いとする説もある。
石炭が産出する地層[編集]
石炭は元となった植物が繁茂していた時代に相当する地層から産出される。
古生代の地層は石炭が産出する地層としては最も古く、産出は無煙炭が主体。古生代に繁茂していた植物は現在のシダ類やトクサ類の祖先に相当するが、当時の代表的な植物であるリンボクは高さ30メートルになる大木で、大森林を形成していたと考えられている。
石炭紀(2億8千万年前頃): ヨーロッパ、北米
二畳紀(2億2千万年前頃): 中国、インド、オーストラリア、アフリカ
中生代はソテツやイチョウなどの裸子植物が優勢となった。この時代の地層から産出する石炭は海外ではほとんど瀝青炭だが、日本で産出するのは無煙炭が主体である。
三畳紀(1億9千万年前頃): ヨーロッパ中部、北米、中国南部、インドシナ
ジュラ紀(1億5千万年前頃): ヨーロッパ中南部、北米、アジア東部
白亜紀(1億2千年万前頃): ヨーロッパ中部 北米、南米、アフリカ
新生代第三紀(7〜2千万年前)の植物は、現在に近い樹種が主体。産出する石炭は、外国では石炭化の低い褐炭が主体だが、日本の炭鉱では瀝青炭が産出される。
ドイツ、北米、中米、オーストラリア、日本
植物の体はセルロース、リグニン、タンパク質、樹脂などなどで構成されている。このうち古生代に繁茂したシダ類ではセルロースが40〜50%リグニンが20〜30%であり、中生代以後に主体となる針葉樹類ではセルロースが50%以上リグニンが30%である(何れも現生種のデータ)。これらの生体物質を元にしてが石炭が形成された。
石炭の成り立ちの主な参考文献 - 『石炭技術総覧』Batman、『太陽の化石:石炭』第1章石炭の生い立ち
燃料としての特徴[編集]
石炭は燃料としては最も埋蔵量が多い地下資源である。しかし採掘・運搬・使用(燃焼)に際して不利な点も多い。
石炭の利点[編集]
石油が安価だった時代、重油製鉄も検討されたが、製鉄における石炭の優位は崩せなかった。重油ボイラーを比較的簡単に微粉炭ボイラーに改造できたため、第二次石油危機後の1980年代にほとんどの発電燃料・産業燃料が値段の安い石炭に回帰するか天然ガスに切り替わった。発電燃料・産業燃料においても微粉炭ボイラー(石炭を粉にして吹き込む)が開発され手作業給炭は過去のものとなり、産業分野において石炭は過去の遺物ではなく、現役の主力エネルギーである。
日本国内炭は一般的に炭層が薄くて傾斜しておりロングウォールに向かず、海外炭に太刀打ちできなかったが(釧路炭田は水平に厚く石炭層が形成されているために例外的に存続できた)、昨今の原油高で海外炭相場も値上がりしたため、一部国内炭鉱が将来的な再開を検討している。
安価なコスト自動車の普及した先進国では石油の占める割合が高いが、エネルギー消費の過半数を占める発電燃料・産業燃料では、コスト優位によって石炭が首位を奪還した国も多い。北海油田を抱えるイギリスは産業燃料も天然ガスの比率が高く、フランスは原子力発電が8割を占めるが、ドイツは国内石炭が首位でシベリア天然ガスがそれに次ぎ、アメリカも発電燃料は石炭が圧倒的首位である。中国は自動車の普及で石油輸入量が急増し日本を追い抜いたが、依然として全エネルギーのうち7割以上を石炭が占めている。2008年現在、1万kcalあたり原油は75円弱、石炭は12円で、石炭のほうがはるかに経済的である(原油バーレル120ドル、豪州一般炭2008年度価格80ドル/t前提)。豊富な埋蔵量石炭は他の燃料に比べて埋蔵量が多く、かつ石油のような一地域への偏在がなく、全世界で幅広く採掘が可能なエネルギー資源である。50年で枯渇が懸念されている石油に対し、石炭は112年[1]の採掘が可能と考えられている。2000年現在、世界の消費は約37億t、総一次エネルギー消費の27%を占める。確認可採埋蔵量は、世界で約9800億t(2000年)(BP統計2005年版では約9091億t)。1990年のデータでは ウランを含む燃料資源を石油に換算した確認可採埋蔵量の比率は石炭が61.9%に達し、オイルサンド類の16.1%、石油の10.8%、天然ガスの9.7%に比べて圧倒的に多い。また石油が世界の埋蔵量のうち中東地区に70%以上が偏在したり(1999年のデータ)、天然ガスが旧ソ連と中東で70%以上の埋蔵量を占有する状況である(1999年のデータ)のに比べて 石炭は旧ソ連(23.4%)、アメリカ(25.1%)、中国(11.6%)、オーストラリア(9.2%)、インド(7.6%)、ドイツ(6.8%)と政情の安定している国の埋蔵量が大きいことが特徴(1999年のデータ)。成熟した技術原子力発電は、エネルギーの安定供給を実現させるために極めて有意義な技術と評価され、特に新興国において増設が進んでいる。しかし、作業員が一定程度被曝しながらメンテナンスしているのが現状であり、完全な遠隔操作化は未だになされていない。放射性廃棄物を発生する、廃炉は10年は封鎖してからでないと解体ができないなど、技術的には未完成で危険な部分が多い。原子力は本質的に危険性を内包した技術であり、原子力施設がテロや軍事攻撃、巨大な天変地異といった設計時に予想していない事態に巻き込まれた場合、周囲が半永久的に居住不能となる大惨事をもたらしかねない。これに対し、石炭は二酸化炭素貯留の問題を除いて大きな未解決な技術的課題がない。製鉄における石炭の圧倒的有利鉄鉱石とは錆びた鉄・酸化鉄と脈石の塊であり、製鉄とは還元反応である。現在の高炉法は粘結炭(瀝青炭)を蒸し焼きにしたコークスと塊状鉄鉱石を円筒形の高炉に積み上げ、下から空気を吹き込んで発生する一酸化炭素で銑鉄を作るので、石炭(特に粘結炭)が不可欠である。天然ガスでも還元できるが温度が上げにくいので、産油国のような石油採掘の時に随伴ガスとして出てきてしまう天然ガスを無駄に燃やしている国以外では、石炭のほうが優位である。豊富な埋蔵量の主な参考文献 - 『エネルギー・セキュリティ』エネルギーが大きい比較的良質な豪州一般炭を例にとれば、重量1kgあたりの発熱量が2.8MJで、薪と比べれば遥かに重量・体積あたりでのエネルギーが高い(薪のエネルギーは木の種類や乾燥度合いによって大きく異なるが、全面的に石炭が上回る事には相違ない)。また石炭から作られるコークスも木炭よりエネルギーが大きい。
石炭の欠点[編集]
石炭は上記のような利点がある一方で下記のような欠点がある。最近の日本での使用に際しては、環境に配慮して最新技術による対策が施されている。
エネルギーが小さい上述とは逆になるが、石油と比較した場合は低エネルギーであり、重油と比べて約半分である。これは蒸気ボイラーで同じ出力を得ようとした場合、石油燃料を使用する場合よりも大きなボイラーが必要であることを意味する。固体のため、採掘・運搬・貯蔵に際して石油よりもコストがかかる液体はポンプと配管で輸送できるが、石炭の輸送にはパワーショベルまたは人手による投炭、ホッパー、ベルトコンベアなどが必要である。天然ガスより熱効率を上げにくい石炭も微粉炭にして酸素吹き込みで燃やせば高温の一酸化炭素・二酸化炭素が発生するので、ガスタービンを回したあとの数百℃の熱排気でボイラーを熱して蒸気タービンを回すコンバインドサイクルは可能で研究も進んではいる。ただし石炭に含まれる灰分が溶けてタービン翼に障害を与えるのを「低コストで」処理するのが難しい。そのためカロリーあたりでは石炭のほうが安くても、天然ガスコンバインドサイクル発電所のほうが石炭火力発電より燃料消費が少ないので、ドイツのような隣国からパイプラインで購入している国の場合は天然ガス発電所が増えている。日本やイタリアのように液化天然ガスで輸入している国は天然ガスを-160℃で液化するコストが掛かっているので、どちらが有利か試算者によって結論が異なる。後処理装置がないと大気汚染の原因になる特に硫黄は原油同様0.4〜5%含まれているが、これは燃やすと酸性雨の主要因となる硫黄酸化物になる。窒素成分も他のエネルギー源より多く、やはり酸性雨の原因となる。これらの環境汚染物質については(日本では)国や地方自治体で排出基準が定められている。環境対策として 硫黄酸化物については湿式石灰石-石膏法による脱硫装置、窒素酸化物については燃焼方法の改善や排煙脱硝装置の稼動により排出基準を遵守している。また灰分を含んでいるため、燃焼後にその処分が必要である。他の燃料に比べて煤塵発生が多い。蒸気機関車が黒煙を吐いて走っているのが典型例。火力発電所などでは、排煙中の煤塵は集塵機により除去されている。二酸化炭素排出量が他の燃料よりも多い。石炭は高品位になるほど炭素含有量が増えて水素・酸素が減ってゆき、無煙炭の炭素含有量は90%以上に達する。他の燃料を燃焼すると二酸化炭素と水ができるが、高品位の石炭を燃やすと燃焼生成物の大部分が二酸化炭素となる。二酸化炭素は地球温暖化に強い影響を与える物質であるとされていて、排出量規制の動きも出ており(京都議定書)、その面では使いにくい燃料である。二酸化炭素を回収し地中に戻す技術が開発途上にある。単純に燃焼させた場合、地球環境に負荷を与える燃料資源と見なされているが、硫黄酸化物・二酸化炭素などを除去する装置が完備した施設で管理された使用においては安全で、低コストで、豊富で、負荷追随が可能な主力エネルギーである。硫黄酸化物除去は実用化されており、二酸化炭素は地中処分が検討されている。原子力発電所・風力発電所の建設には10数年かかるので、即効性のある対策は二酸化炭素貯留しかないが、日本では貯留層に70年分の容量しかないといい、既存石炭火力発電所を寿命まで使い切って次世代発電所にバトンタッチする繋ぎ技術と目されている。石炭の欠点の主な参考文献 - 『石炭技術総覧』第3章石炭を使う
石炭の利用[編集]
石炭は蒸気ボイラー用燃料として発電・製鉄所・各種工場燃料に使われるほか、途上国では鉄道・船舶暖房や煮炊きに使われる場合もある。また日本のセメント工業の燃料としては石油よりも多く使われている。製鉄所では瀝青炭を乾留したコークスが大量に使用されている。乾留の際の副生成物であるコールタールは化学薬品などの原料として重要であり、同じ副生成物のコークス炉ガスは過去に都市ガスとして使用された。また固体燃料の取り扱いの不便さ改善のために石油と混合して液体燃料化したCOMや、水と混合した液体燃料CWMも実用化されている。
また 石炭を化学的に液化(石炭液化)して人造石油を合成する方法として水素添加法や、石炭をガス化した一酸化炭素と水素を元にフィッシャー・トロプシュ反応により炭化水素を合成する方法(南アフリカで実用化)などが工業化、第二次大戦ではドイツは人造石油で軍用燃料をまかなっている。以下に石炭利用の歴史を概説する。
石炭の利用この章の主な参考文献 - 『石炭技術総覧』第3章石炭を使う
石炭使用の黎明期[編集]
古代ギリシアのテオフラスタスの記録(紀元前315年)に石炭が鍛冶屋の燃料として使われたと書かれている。ほぼ同年代の中国戦国時代でも石炭を使用した遺跡が見つかっている。宋代から大々的に燃料として用いられるようになり、その強い火力により中華料理の炒め物のメニューができた。日本での本格使用は江戸時代に筑豊炭田の石炭が瀬戸内海の製塩に用いられた記録がある。イギリスは国内に豊富な石炭資源を有し、一部は地表に露出していたため700年以上前から燃料として使われていた。18世紀にイギリスで産業革命が始まり、製鉄業をはじめとした工業が大規模化した。燃料消費量が増え 従来の薪や木炭を使用した工業システムでは森林資源の回復が追いつかなくなる問題が持ち上がり、工業用燃料として石炭が注目され始めた。
石炭の第一次黄金時代[編集]
1904年製の蒸気機関車City of Truro
18世紀になってジェームズ・ワットによって蒸気機関が実用化され、燃料として石炭が大量に使用されるようになった。また同じ頃に石炭を乾留したコークスによる製鉄法が確立され、良質な鉄が安価に大量に生産できるようになり、産業革命を大きく推進させた。19世紀末になるとコークスを製造する際の副産物として出てきたドロドロの液体コールタールを原料として石炭化学工業が始まり、染料のインディゴ、薬品のアスピリン、ナフタリンなどが作られるようになった。石炭と石灰岩を高温(2,000℃)で反応させてできた炭化カルシウムからアセチレンが作られ、有機化学工業の主原料となった(現在この地位は石油起源のナフサ/エチレンに替わっている)。燃料としての石炭は工場の動力のほか、鉄道や船の蒸気機関の燃料として使われた。
都市の照明や暖房・調理用に石炭由来の合成ガスが使われた。これは石炭の熱分解から得られたガスで、最初はコークスを作る際に発生するメタンや水素を主成分とするコークス炉ガスがロンドンのガス灯などに使われた。次にもっと大量に生産できる都市ガスが開発された。灼熱したコークスに水をかけて得られる一酸化炭素と水素からなるガスで、大都市で1970年代まで使用されたが、便利ではあるが毒性が強いものであったため現在では毒性の少ない天然ガスに切り替わりつつある。19世紀末から20世紀中旬にかけて、先進各国の都市では工場や家庭で使用する石炭から出る煤煙による公害問題が大きくなっていった。
石炭の黄金時代の主な参考文献 - 『Ghezunteidt』第3章石炭を使う
石炭から石油への移行[編集]
第一次大戦で活躍したドイツ巡洋艦エムデン、石炭燃焼による目立つ黒煙は敵に見つかりやすい。
特にドイツにおいては地政学的な理由から英国のような高品質の火力の高い無煙炭の入手が困難であったため不利な条件が重なることになった。
20世紀にはいると石油の採掘技術が発展し、アメリカ国内、中東、インドネシアで大規模な油田が開発されて、大量に安価に入手できるようになった。石油は液体なので貯蔵・移送が便利な上、発熱量が大きく、煤煙が少ないので石炭に代わる燃料として使われるようになった。1910年まで世界の海軍の主要艦艇の燃料は石炭であったが、イギリスでは1914年に竣工した軽巡洋艦アリシューザ級と1915年竣工の戦艦クイーン・エリザベス級以後の艦は、燃料を重油に切り替えた。日本などの国々でも1920年代以後に建造された艦の燃料はほとんど全て石油に切り替わった。他の分野では石油への切り替えは少し遅れた。鉄道分野では当初動力車として蒸気機関車のみしかなかったが、1940年代にはアメリカで高出力ディーゼル機関車の本格運用が始まった。ドイツは第二次世界大戦中に、輸入が途絶した石油の代替として石炭液化技術を実用化した。これは高温(500℃以上)高圧(数十気圧以上)の条件下で石炭と水素を反応させて炭化水素を合成する方法であった。
第二次世界大戦で敗戦した日本は疲弊した国内産業の建て直しのために国策として石炭の増産を実施し(傾斜生産方式)、戦後の復興を遂げた。当時火力発電はほとんど石炭を燃料としていた。しかし1960年から発電用燃料として石油の使用量が増大し、1970年代には石炭のみを使う火力発電所は新設されなくなった時期があった。また既設の石炭火力発電所も石油使用に改造された。しかし2度のオイルショックを経て石油の価格競争力が石炭や天然ガスに劣るようになったため、1980年以降は原子力発電を主力とし、石炭火力発電と天然ガスコンバインドサイクルを組み合わせバランスよく使用するように方針転換されている(電源ベストミックス)。ただし化学工業の原料としては、現在圧倒的に石油が使われている。現在の化学工業の基本となっているのは、石油の低沸点部分ナフサを原料としたエチレンである。
燃料や工業原料としての石炭使用は石油や天然ガスに切り変わった部分も多いが、鉄鉱石を精錬して鉄に変える高炉では、瀝青炭から作られたコークスを大量に使用している。日本の石炭使用量の大きな部分が製鉄業であることは変わっていない。
石油危機と石炭回帰・天然ガスとの競争[編集]
二度の石油危機以降、原油価格がバーレル2ドルから12ドルへ上昇し、発電・工業用ボイラ燃料・セメント焼成燃料は1980年代に再び石炭に戻った。一方で石油代替燃料のライバルとして天然ガスが登場した。しかしながら価格が最も安価なため、1980年代以降米国や中国では石炭火力発電が発電の最大の柱となっている。日本では、東京電力・中部電力・関西電力のような大都市圏の電力会社では比較的天然ガスの比率が高いものの、地方の電力会社では、沖縄電力が2010年の統計で発送電電力量構成比で石炭火力発電が77%をしめるのを筆頭に、中国電力でも58%、北陸電力でも44%をしめるなど石炭火力発電が発電の柱となっている会社も多い[2]。2005年以降で中国での自動車普及による需要急拡大などを背景として原油価格がバーレル50-100ドルに暴騰し、メタノールやCNGなどの石油代替自動車燃料が広がりつつあるが、メタノールの合成原料は石炭と天然ガスである(アルコール燃料参照)
石炭の種類[編集]
石炭はその産地(炭層)によって性質が大きく異なる。一般には石炭化度の指標である燃料比(固定炭素/揮発分)によって分類されている。石炭化度の進んだ無煙炭と瀝青炭は高品位炭、石炭化の進んでいない亜瀝青炭・褐炭・泥炭は低品位炭とも呼ばれるが、半無煙炭などのように石炭化度が高いのに評価の低い石炭もあり、最高値の瀝青炭も粘結性には鉱山ごとに大きな差があるので石炭化度が高い石炭ほど値段が高いわけではない。鉄鋼生産の原料になるものを原料炭、発電ボイラー燃料やセメント回転炉燃料などに使われる亜瀝青炭以上の石炭化度の石炭を一般炭という。
日本では、石炭化度による石炭の分類のパラメーターとして、発熱量と燃料比(固定炭素÷揮発分、通常では無煙炭:4以上、瀝青炭:1〜4、褐炭:1以下)を用いているが、国際的には一般に揮発分が用いられている。
(石炭化度の高い順に)
無煙炭 (anthracite)炭素含有量90%以上。石炭化度が高く、燃やしても煙の少ない石炭。家庭用の練炭原料やカーバイドの原料、粉鉄鉱石を塊状に焼結する焼結炉に使われる。煙が少なく発見されにくく発熱量が高いため、かつては軍艦用燃料に重んじられた。ただし揮発分が低く、着火性に劣る。焼結に使用可能な低燐のものは原料炭の一種として高価格で取引される。半無煙炭 (semianthracite)炭素含有量80%以上。無煙炭に次いで石炭化度が高いが、粉鉄鉱焼結にも適さない一方、電力等微粉炭ボイラー用としては揮発分が少なすぎて適さず、比較的安値で取引される一般炭。セメント産業の燃料や流動床ボイラに使われる。着火性に劣るが比較的発熱量が高く、内陸工場への輸送コストが安くつく。瀝青炭 (bituminous coal)炭素含有量83〜90%。粘結性が高いものは、コークス原料に使われ、最も高値で取引される。亜瀝青炭 (subbituminous coal)炭素含有量78〜83%。瀝青炭に似た性質を持つが、水分を15〜45%含む。粘結性がほとんどないものが多い。コークス原料には使えないが、揮発分が多くて火付きが良く、熱量も無煙炭・半無煙炭・瀝青炭に次いで高く、電力用/産業用微粉炭ボイラーに大量の需要があり、一般炭の中では比較的高値で取引されている。豊富な埋蔵量が広く分布している。日本で生産されていた石炭の多くも亜瀝青炭であった。褐炭 (brown coal)炭素含有量70〜78%。石炭化度は低く、水分・酸素の多い低品位な石炭。練炭・豆炭などの一般用の燃料として使用される。色はその名の示す通りの褐色。水分が高すぎて微粉炭ボイラの燃料としては粉砕/乾燥機の能力を超えてしまう場合が多く、重量当たり発熱量が低いので輸送コストがかさみ、脱水すれば自然発火しやすくなるという扱いにくい石炭なので価格は最安価で、輸送コストの関係で鉱山周辺で発電などに使われる場合が多い。最近褐炭を脱水する様々な技術の開発が行われている。亜炭 (lignite)褐炭の質の悪いものに付けられた俗名。炭素含有量70%以下。褐炭も含めて亜炭と呼ぶ場合もあり、その基準は極めて曖昧である。学名は褐色褐炭。埋れ木も亜炭の一種である。日本では太平洋戦争(大東亜戦争)中に燃料不足のため多く利用された。現在は土壌改良材などとして輸入された亜炭がごく少量利用されている。泥炭 (peat)泥状の炭。石炭の成長過程にあるもので、品質が悪いため工業用燃料としての需要は少ない。また、ウイスキーに使用するピートは、大麦麦芽を乾燥させる燃料として香り付けを兼ねる。このほか、繊維質を保ち、保水性や通気性に富むことから、園芸用土として使用される。
石炭の分類 (JIS M 1002)[編集]
分類
発熱量
補正無水無灰基
kJ/kg (kcal/kg)
燃料比
粘結性
主な用途
備考
炭質
区分
無煙炭 (A)
Authracite A1 --- 4.0 以上 非粘結 一般炭
原料炭
A2 火山岩の作用で生じたせん石
瀝青炭 (B, C)
Bituminous B1 35,160 以上
(8,400 以上) 1.5 以上 強粘結 一般炭
原料炭
B2 1.5 未満
C 33,910 以上 35,160 未満
(8,100 以上 8,400 未満) − 粘結 一般炭
原料炭
亜瀝青炭 (D, E)
Sub-Bituminous D 32,650 以上 33,910 未満
(7,800 以上 8,100 未満) − 弱粘結 一般炭
E 30,560 以上 32,650 未満
(7,300 以上 7,800 未満) --- 非粘結 一般炭
褐炭 (F)
Lignite F1 29,470 以上 30,560 未満
(6,800 以上 7,300 未満) --- 非粘結 (一般炭)
F2 24,280 以上 29,470 未満
(5,800 以上 6,800 未満) ---
石炭の採掘[編集]
ワイオミング炭鉱の露天掘り
詳細は「炭鉱」を参照
石炭は太古の植物の遺体が堆積したものであるため、地中には地層の形で存在する。石炭の鉱山を特に炭鉱と呼び、炭鉱が集中している地域を炭田と呼ぶ。
石炭の層(炭層という)が地表または地表に近いところに存在する場合、地面から直接ドラッグラインという巨大なパワーショベル等で掘り進む露天掘りが行われる。アメリカやオーストラリアの大規模な炭鉱で多く見られる。中国の撫順炭鉱は、700年ほど前から露天掘りがなされたと言われており、当時は陶器製造のための燃料として用いられたとされる。その後、清朝は「風水に害あり」との理由から採掘禁止としていたが、1901年、政府許可のもとで民族資本により採掘が始まり、その後ロシア資本が進出、さらに日露戦争後は東清鉄道及びその付属地は日本の手に渡ることとなり、1907年には南満州鉄道の管理下に移って、鞍山の鉄鋼業の発展に寄与した。
右図のように地下深いところに石炭がある場合、日本の在来採炭法では炭層まで縦坑を掘り、その後炭層に沿って水平または斜め(斜坑)に掘り進む。石炭は層状に存在するので採掘は広い面積で行われるため、放置すれば採掘現場の天井が崩れ落ちる危険性が非常に高い。石炭を採掘する際には、天井が崩れないように支柱を組むなど様々な対処を行いながら掘り進む。従来採炭法では手持ち削岩機とダイナマイトの併用が多かったが、採掘も手間がかかり、崩した石炭をトロッコに積むのも手作業で、掘ったあとに支柱を組むので能率が悪かった。
オーストラリアやアメリカ合衆国などでは日本に比べ坑内掘りでも炭層が水平で厚く、厚さ数メートルにも及ぶ場合があり、ロングウォールという一種のシールドマシンによって機械採炭を行っている。これはコの字断面のシールドを横に長く並べ、コの字の内側を機織機のシャトルのようにドリルが往復して炭層を削り取ってゆくもので、ベルトコンベアで石炭は機械的にトロッコに積まれてゆく。省人員で生産能率が露天掘りに次いで高く、低コストである。ロングウォール炭鉱の場合、上層から採炭して採炭後の空間は支柱を立てずに崩す場合もある。(ただし、上層が高硫黄炭で下層が低硫黄炭で、保証スペックにあわせるため上層炭と下層炭ブレンドしたい場合なども多く、必ず支柱を省けるわけでもない) 最近は中国などでもロングウォールを取り入れている炭鉱もあるが、人件費が安いので依然従来採炭法の鉱山も多い。旧ソ連などでは石炭を地層内で不完全燃焼させガス化して取り出して採炭を簡略化するという、かなり乱暴な手法も研究されていたようである。
20世紀初頭、ウェールズには600以上もの炭鉱があり、約20万人が働いて経済を支えていた。
炭鉱事故[編集]
詳細は「炭鉱#炭鉱事故」を参照
石炭が他の鉱石と著しく異なる点は「良く燃える」ことであり、それによる大規模な炭鉱災害が度々発生している。炭層内に含まれるメタンガスが突然噴出し引火して爆発したり、炭鉱内に飛散した石炭の粉塵に引火して炭塵爆発を起こしたりなどで多数の犠牲者が出た事故が過去何度も発生している。犠牲者が最も多かったのは日本統治下の満州の本渓湖炭鉱で1943年に発生した炭塵爆発事故で、死者の数は1,527名に達した。日本国内の事故では1914年に方城炭鉱でのガス爆発事故が死者687名を出している。1910年頃までヨーロッパでも死者300人を超える事故があったが、1913年のイギリスのセングヘニス炭鉱事故(死者439名)以後、欧米では犠牲者300名以上の爆発事故は発生していない。それに対して日本では1963年の三池炭鉱(盆踊りの炭坑節で有名)炭塵爆発事故で458名の死者を出している。
炭鉱災害の参考文献 - 『太陽の化石:石炭』2.5炭鉱災害と保安の技術史について
世界の埋蔵量[編集]
比較的埋蔵量の多い国はアメリカ合衆国・ロシア連邦・中華人民共和国。古期造山帯で多く産出される。炭層が厚く、広範囲に分布することから、露天掘りが多い。輸出向けの実績はオーストラリア、インドネシアが堅調に推移。インドネシアは良質な瀝青炭の埋蔵量が減少傾向にあり、今後は亜瀝青炭の生産量が増加していくものと見られる。中国は石炭需給が逼迫している中、2007年にはついに石炭輸出国から輸入国へ転じる見込みとなっており[1]、石炭生産の安全対策の確保が急がれる。日本は、オーストラリア、インドネシア、中国、ロシアなどから年間約1億8千万トンもの石炭を輸入している。
( )内は2008年の埋蔵量(億トン、BP統計)。
アメリカ合衆国(2383)
ロシア(1570)
中国(1145)
オーストラリア(762)
インド(586)
ウクライナ(339)
カザフスタン(313)
南アフリカ(304)
主な産炭地[編集]
( )内は1980年からの産出量の割合(%)。年合計は38.34億トン。
中華人民共和国(31.2) 大同、平朔(朔州市)、神木(楡林市神木県)、撫順、阜新、唐山、萍郷
アメリカ合衆国(25.5) アパラチア(瀝青炭)、中央、ペンシルベニア(無煙炭)、ロッキー(褐炭)
インド(8.7) ダモダル
オーストラリア(7.1) ボウエン、ハンター
南アフリカ共和国(6.1) トランスヴァール
ロシア(4.4) クズネツク
ポーランド(2.8) シロンスク
ウクライナ(2.2) ドネツ
カザフスタン(1.9) カラガンダ
イギリス ヨークシャー、ランカシャー、ウェールズかつては600以上の炭田があり20万人以上が従事していた。
ドイツ ルール、ザール、ザクセン
参考資料:鉄鋼統計要覧など
主な消費国[編集]
平成20年(2008年)の主要消費国上位5ヶ国は中国(70.2)、アメリカ合衆国(24.6)、インド(53.3)、日本(25.4)、南アフリカ(77.7)である。( )内は各国の1次エネルギー消費に占める石炭の割合(%)。[要出典]
日本の炭鉱[編集]
日本の炭鉱はアメリカやオーストラリアの大規模炭鉱と比べて地層構成が複雑なため、石炭は地下の深部にあることが多い。そのため何キロメートルにも及ぶ坑道を掘り採掘していたが、労働条件は悪く、上記のようにメタンガスや粉塵による爆発事故・落盤などが多発し、多くの殉職者を出してきた。
明治維新以後 石炭は燃料や工業原料(特に製鉄業)として使用量が増大した。北海道・福島県・山口県・福岡県・佐賀県・長崎県が主産地で、最盛期にはこれらの地域を中心に全国に800以上の炭鉱が開かれ、第二次世界大戦中に年間産出量は6000万トンに達した。終戦後急激に減少し、その後産業の回復につれて産出量は再度増加した。1950年以降ほぼ5000万トンを超えるレベルに回復したが、石油の大量輸入(エネルギー革命)、コスト面で外国産のものに太刀打ちできないなどの問題で1961年をピークに徐々に衰退し、2002年以降国内で操業している坑内掘り炭鉱は北海道の釧路炭鉱の1箇所のみとなった。2007年度、年間60万トン体制での採炭を続けている。この炭鉱のある釧路炭田は推定埋蔵量20億トンと規模が大きく炭層が厚く水平に広がり採掘が容易であることから採炭技術の継承と海外技術者の研修受入先としても活用されている。
主な日本の産炭地[編集]
「Category:日本の炭田」を参照
現在稼動中
石炭価格の高騰にともない国産石炭でもコスト競争力をもつようになってきたため露天掘り炭鉱が次々と開発される。また福島第一原発事故後、国内の原子力発電所が順次運転を停止する中、電力会社は電力の安定供給のため、既存の石炭火力発電所をフル稼働させるようになったため、採掘事業者に対して増産を求める動きもある[3]。
釧路炭田:北海道釧路市(釧路コールマイン)
採炭とベトナム・中国等への石炭技術の継承のため、国内唯一の坑内掘り炭鉱として稼行中。おもに発電用。近年の燃料費高騰を受けて採算が良くなった。かつては白糠町や音別町(現・釧路市)、阿寒町(同)にも炭鉱があったが、閉山した。石狩炭田:北海道空知管内(夕張市・三笠市・美唄市・歌志内市・上砂川町・奈井江町・赤平市・芦別市)
坑内掘り炭鉱は全て閉山したが。露天掘りによる炭鉱が数カ所存在する。 北菱美唄(埠頭産業):美唄市[4]
三美炭鉱(三美鉱業):美唄市
砂子炭鉱(砂子組):三笠市[5]
空知新炭鉱(空知炭鉱):歌志内市
東芦別炭鉱(平野重機鉱業):芦別市
新旭(芦別鉱業):芦別市
留萌炭田(北海道空知管内・留萌管内):羽幌町・沼田町など 吉住炭鉱(吉住炭鉱):小平町
出典:北海道企業部環境・エネルギー室「北海道の石炭鉱業」 (PDF) (北海道) 2013年3月14日閲覧
以下は全て閉山
天北炭田(北海道宗谷管内):猿払村・浜頓別町など
常磐炭田(福島県東部〜茨城県北東部):いわき市・北茨城市・高萩市など
宇部炭田(山口県西部):宇部市・山陽小野田市など
大嶺炭田(山口県西部):美祢市
日本には珍しい無煙炭の炭鉱。筑豊炭田(福岡県中央部、いわゆる筑豊地域):飯塚市・直方市・田川市など
糟屋炭田(福岡県西部):糟屋郡
三池炭田(福岡県南西部・熊本県北西部):大牟田市・高田町(現・みやま市)・荒尾市
唐津炭田(佐賀県北部):唐津市・多久市など
北松炭田(長崎県北部):松浦市・佐世保市域北部・北松浦郡
西彼杵炭田(長崎県中西部):長崎市域北西部・西海市・長崎市高島町など
天草炭田(熊本県天草地方):本渡市(現・天草市)など
西表炭鉱(沖縄県八重山列島):西表島(八重山郡竹富町)・内離島 宇多良炭鉱など
脚注[編集]
1.^ BP Statistical Review of World Energy June 2012, p.30
2.^ 電気事業連合会「 INFOBASE 2011 (PDF) 」(P33) 2012年3月2日閲覧
3.^ “火発フル稼働で高まる石炭需要−露天掘り炭鉱で増産続く”. 北海道建設新聞. (2012年9月4日) 2013年3月14日閲覧。
4.^ 北菱埠頭産業事業紹介
5.^ 砂子組による露天掘り事業
関連項目[編集]
炭鉱
岩石 - 堆積岩
岩石の一覧
鉱石
化石
露天掘り
コークス
コールタール
乾留液
コールベッドメタン
フライアッシュ
石炭液化
軍艦島
塊炭飴
田川市石炭・歴史博物館
夕張市石炭博物館
いわき市石炭・化石館
参考文献[編集]
エネルギー総合工学研究所石炭研究会編著 『石炭技術総覧 : 21世紀への石炭利用と地球環境』 電力新報社、1993年、ISBN 4-88555-169-2。
相原安津夫 『石炭ものがたり』 青木書店〈地球の歴史をさぐる3〉、1987年、ISBN 4-250-87021-9。
西岡邦彦 『太陽の化石 : 石炭』 アグネ技術センター〈アグネ叢書2〉、1990年、ISBN 4-7507-0813-5。
矢島正之 『エネルギー・セキュリティ : 理論・実践・政策』 東洋経済新報社、2002年、ISBN 4-492-76129-2。
久保田博 『日本の鉄道史セミナー』 グランプリ出版、2005年、ISBN 4-87687-271-6。
『世界の艦船増刊 近代巡洋艦史』 海人社、1986年。
『世界の艦船増刊 近代戦艦史』 海人社、1987年。
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