2014年02月13日
超ウラン元素
超ウラン元素(ちょうウランげんそ)とは化学において、ウランの原子番号である92よりも原子番号の大きい元素のこと。
目次 [非表示]
1 概要
2 発見したグループ 2.1 冷戦期 2.1.1 カリフォルニア大学バークレー校
2.1.2 重イオン研究所(GSI、ドイツ)
2.1.3 ノーベル物理学研究所(スウェーデン)
2.1.4 ドブナ原子核共同研究所(ソビエト連邦)
2.2 冷戦後 2.2.1 ローレンス・バークレー国立研究所(アメリカ合衆国)
2.2.2 重イオン研究所(GSI、ドイツ)
2.2.3 ドブナ原子核共同研究所(ロシア)
2.2.4 理化学研究所(理研、日本)
3 超ウラン元素の一覧
4 脚注
5 関連項目
概要[編集]
原子番号が1〜92の元素は、4つの元素(43-テクネチウム、61-プロメチウム、85-アスタチン、87-フランシウム)を除いて、自然界には比較的豊富に存在する。
しかし、原子番号93以降の元素は、基本的に全て人工的に作り出さねばならない。また、全て放射性で、半減期は地球の年齢よりかなり短い。よって、これらの元素が地球誕生の頃に存在していたとしても、はるか以前に消滅してしまっている。
現在地球上で発見される超ウラン元素は、基本的に原子炉や粒子加速器で人工的に作られたものである。但し、極微量のNp-239とPu-239は自然に生成され続けている。具体的には、ウラン鉱石が自発核分裂による中性子を捕獲した後、更に二段階のベータ崩壊を起こし、Pu-239となる(U-238 > U-239 > Np-239 > Pu-239)。
発見されていない超ウラン元素や、発見されていてもまだ公式に名前がつけられていない元素は、IUPACの定めた元素の系統名を用いる。超ウラン元素の命名は、冷戦時には議論の原因となっていた。
発見したグループ[編集]
2013年現在、超ウラン元素の発見が認められた国はアメリカ、ロシア(旧ソビエト連邦)、ドイツの3カ国だけである(スウェーデンは後述の通り認められていない)。
冷戦期[編集]
カリフォルニア大学バークレー校[編集]
現在のローレンス・バークレー国立研究所、アメリカ合衆国
エドウィン・マクミラン - 超ウラン元素の最初の生成者。 93-ネプツニウム(Np)
グレン・シーボーグ - 後任者。 94-プルトニウム(Pu)
95-アメリシウム(Am)
96-キュリウム(Cm)
97-バークリウム(Bk)
98-カリホルニウム(Cf)
アルバート・ギオルソ - キュリウム、バークリウム、カリフォルニウムの発見時、シーボーグのチームに属しており、後任となった。 99-アインスタイニウム(Es)
100-フェルミウム(Fm)
101-メンデレビウム(Md)
102-ノーベリウム(No)
103-ローレンシウム(Lr)
104-ラザホージウム(Rf)
105-ドブニウム(Db) - ハーニウムを提案していた。
106-シーボーギウム(Sg)
重イオン研究所(GSI、ドイツ)[編集]
ペーター・アルムブルスターの下での発見。 107-ボーリウム(Bh)
108-ハッシウム(Hs)
109-マイトネリウム(Mt)
ノーベル物理学研究所(スウェーデン)[編集]
このグループは冷戦期に新元素発見の報告をしたが、現在では当初の報告の正当性が疑われている。
102-ノーベリウム(No)の発見を主張した。発見は否定されたが、「ノーベリウム」という名称は最終的に認められた。
ドブナ原子核共同研究所(ソビエト連邦)[編集]
このグループは冷戦期に新元素発見の報告をしたが、現在では当初の報告の正当性が疑われている。
ソビエト連邦時代 104-ラザホージウム(Rf) - クルチャトビウム(Khurchatovium)を提案していた。
105-ドブニウム(Db) - 主張は認められていないが、「ドブニウム」という名称が正式名称となっている。
106-シーボーギウム(Sg)
107-ボーリウム(Bh) - ニールスボーリウム(nielsbohrium)を提案していた。
108-ハッシウム(Hs)
109-マイトネリウム(Mt)
冷戦後[編集]
ローレンス・バークレー国立研究所(アメリカ合衆国)[編集]
116-リバモリウム(Lv) - 1999年に発見したと発表したが、2002年に捏造だと判明した。
118-ウンウンオクチウム(Uuo) - 1999年に発見したと発表したが、2002年に捏造だと判明した。
重イオン研究所(GSI、ドイツ)[編集]
ホフマンの下での発見。 110-ダームスタチウム(Ds)
111-レントゲニウム(Rg)
112-コペルニシウム(Cn)
ドブナ原子核共同研究所(ロシア)[編集]
114-フレロビウム(Fl)[1]
同研究所とローレンスリバモア国立研究所(アメリカ)との合同研究チームによる発見。 116-リバモリウム(Lv)[1]
113-ウンウントリウム(Uut)を発見したとしているがまだ命名権を得ていない。
115-ウンウンペンチウム(Uup)を発見したとしているがまだ命名権を得ていない。
118-ウンウンオクチウム (Uuo) の崩壊を観測したと2006年に報告[2]。
理化学研究所(理研、日本)[編集]
113-ウンウントリウム(Uut)を発見したとしているがまだ命名権を得ていない。
超ウラン元素の一覧[編集]
93-ネプツニウム(Np)
94-プルトニウム(Pu)
95-アメリシウム(Am)
96-キュリウム(Cm)
97-バークリウム(Bk)
98-カリホルニウム(Cf)
99-アインスタイニウム(Es)
100-フェルミウム(Fm)
101-メンデレビウム(Md)
102-ノーベリウム(No)
103-ローレンシウム(Lr)
104-ラザホージウム(Rf)
105-ドブニウム(Db)
106-シーボーギウム(Sg)
107-ボーリウム(Bh)
108-ハッシウム(Hs)
109-マイトネリウム(Mt)
110-ダームスタチウム(Ds)
111-レントゲニウム(Rg)
112-コペルニシウム(Cn)
113-ウンウントリウム(Uut)
114-フレロビウム(Fl)
115-ウンウンペンチウム(Uup)
116-リバモリウム(Lv)
117-ウンウンセプチウム(Uus)
118-ウンウンオクチウム(Uuo)
(第8周期以降は以降の未発見元素は未発見元素の一覧を参照)
脚注[編集]
1.^ a b “News: Start of the Name Approval Process for the Elements of Atomic Number 114 and 11” (英語). IUPAC. 2011年12月4日閲覧。
2.^ Yu. Ts. Oganessian et al. Phys. Rev. C 2006, 74, 044602. DOI: 10.1103/PhysRevC.74.044602
目次 [非表示]
1 概要
2 発見したグループ 2.1 冷戦期 2.1.1 カリフォルニア大学バークレー校
2.1.2 重イオン研究所(GSI、ドイツ)
2.1.3 ノーベル物理学研究所(スウェーデン)
2.1.4 ドブナ原子核共同研究所(ソビエト連邦)
2.2 冷戦後 2.2.1 ローレンス・バークレー国立研究所(アメリカ合衆国)
2.2.2 重イオン研究所(GSI、ドイツ)
2.2.3 ドブナ原子核共同研究所(ロシア)
2.2.4 理化学研究所(理研、日本)
3 超ウラン元素の一覧
4 脚注
5 関連項目
概要[編集]
原子番号が1〜92の元素は、4つの元素(43-テクネチウム、61-プロメチウム、85-アスタチン、87-フランシウム)を除いて、自然界には比較的豊富に存在する。
しかし、原子番号93以降の元素は、基本的に全て人工的に作り出さねばならない。また、全て放射性で、半減期は地球の年齢よりかなり短い。よって、これらの元素が地球誕生の頃に存在していたとしても、はるか以前に消滅してしまっている。
現在地球上で発見される超ウラン元素は、基本的に原子炉や粒子加速器で人工的に作られたものである。但し、極微量のNp-239とPu-239は自然に生成され続けている。具体的には、ウラン鉱石が自発核分裂による中性子を捕獲した後、更に二段階のベータ崩壊を起こし、Pu-239となる(U-238 > U-239 > Np-239 > Pu-239)。
発見されていない超ウラン元素や、発見されていてもまだ公式に名前がつけられていない元素は、IUPACの定めた元素の系統名を用いる。超ウラン元素の命名は、冷戦時には議論の原因となっていた。
発見したグループ[編集]
2013年現在、超ウラン元素の発見が認められた国はアメリカ、ロシア(旧ソビエト連邦)、ドイツの3カ国だけである(スウェーデンは後述の通り認められていない)。
冷戦期[編集]
カリフォルニア大学バークレー校[編集]
現在のローレンス・バークレー国立研究所、アメリカ合衆国
エドウィン・マクミラン - 超ウラン元素の最初の生成者。 93-ネプツニウム(Np)
グレン・シーボーグ - 後任者。 94-プルトニウム(Pu)
95-アメリシウム(Am)
96-キュリウム(Cm)
97-バークリウム(Bk)
98-カリホルニウム(Cf)
アルバート・ギオルソ - キュリウム、バークリウム、カリフォルニウムの発見時、シーボーグのチームに属しており、後任となった。 99-アインスタイニウム(Es)
100-フェルミウム(Fm)
101-メンデレビウム(Md)
102-ノーベリウム(No)
103-ローレンシウム(Lr)
104-ラザホージウム(Rf)
105-ドブニウム(Db) - ハーニウムを提案していた。
106-シーボーギウム(Sg)
重イオン研究所(GSI、ドイツ)[編集]
ペーター・アルムブルスターの下での発見。 107-ボーリウム(Bh)
108-ハッシウム(Hs)
109-マイトネリウム(Mt)
ノーベル物理学研究所(スウェーデン)[編集]
このグループは冷戦期に新元素発見の報告をしたが、現在では当初の報告の正当性が疑われている。
102-ノーベリウム(No)の発見を主張した。発見は否定されたが、「ノーベリウム」という名称は最終的に認められた。
ドブナ原子核共同研究所(ソビエト連邦)[編集]
このグループは冷戦期に新元素発見の報告をしたが、現在では当初の報告の正当性が疑われている。
ソビエト連邦時代 104-ラザホージウム(Rf) - クルチャトビウム(Khurchatovium)を提案していた。
105-ドブニウム(Db) - 主張は認められていないが、「ドブニウム」という名称が正式名称となっている。
106-シーボーギウム(Sg)
107-ボーリウム(Bh) - ニールスボーリウム(nielsbohrium)を提案していた。
108-ハッシウム(Hs)
109-マイトネリウム(Mt)
冷戦後[編集]
ローレンス・バークレー国立研究所(アメリカ合衆国)[編集]
116-リバモリウム(Lv) - 1999年に発見したと発表したが、2002年に捏造だと判明した。
118-ウンウンオクチウム(Uuo) - 1999年に発見したと発表したが、2002年に捏造だと判明した。
重イオン研究所(GSI、ドイツ)[編集]
ホフマンの下での発見。 110-ダームスタチウム(Ds)
111-レントゲニウム(Rg)
112-コペルニシウム(Cn)
ドブナ原子核共同研究所(ロシア)[編集]
114-フレロビウム(Fl)[1]
同研究所とローレンスリバモア国立研究所(アメリカ)との合同研究チームによる発見。 116-リバモリウム(Lv)[1]
113-ウンウントリウム(Uut)を発見したとしているがまだ命名権を得ていない。
115-ウンウンペンチウム(Uup)を発見したとしているがまだ命名権を得ていない。
118-ウンウンオクチウム (Uuo) の崩壊を観測したと2006年に報告[2]。
理化学研究所(理研、日本)[編集]
113-ウンウントリウム(Uut)を発見したとしているがまだ命名権を得ていない。
超ウラン元素の一覧[編集]
93-ネプツニウム(Np)
94-プルトニウム(Pu)
95-アメリシウム(Am)
96-キュリウム(Cm)
97-バークリウム(Bk)
98-カリホルニウム(Cf)
99-アインスタイニウム(Es)
100-フェルミウム(Fm)
101-メンデレビウム(Md)
102-ノーベリウム(No)
103-ローレンシウム(Lr)
104-ラザホージウム(Rf)
105-ドブニウム(Db)
106-シーボーギウム(Sg)
107-ボーリウム(Bh)
108-ハッシウム(Hs)
109-マイトネリウム(Mt)
110-ダームスタチウム(Ds)
111-レントゲニウム(Rg)
112-コペルニシウム(Cn)
113-ウンウントリウム(Uut)
114-フレロビウム(Fl)
115-ウンウンペンチウム(Uup)
116-リバモリウム(Lv)
117-ウンウンセプチウム(Uus)
118-ウンウンオクチウム(Uuo)
(第8周期以降は以降の未発見元素は未発見元素の一覧を参照)
脚注[編集]
1.^ a b “News: Start of the Name Approval Process for the Elements of Atomic Number 114 and 11” (英語). IUPAC. 2011年12月4日閲覧。
2.^ Yu. Ts. Oganessian et al. Phys. Rev. C 2006, 74, 044602. DOI: 10.1103/PhysRevC.74.044602
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/2233687
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック