2014年02月13日
タングステン
タングステン (英: tungsten, 羅: wolframium, 独: Wolfram) は原子番号74の元素。元素記号は W。金属元素の一つ。
原子量は183.84である。銀灰色の非常に硬く重い金属で、クロム族元素に属する。化学的に安定で、その結晶は体心立方構造 (BCC) を持つ。融点は3380 °Cで、沸点は5555 °C。比重は19.3。希少金属の一つである。
目次 [非表示]
1 用途
2 歴史
3 同位体
4 タングステンの化合物 4.1 タングステン酸塩鉱物
5 脚注
6 参考文献
7 関連項目
8 外部リンク
用途[編集]
金属のうちでは最も融点が高く、金属としては比較的大きな電気抵抗を持つので、電球のフィラメントとして利用される。また、タングステン合金や炭化タングステンは非常に硬度が高いため、高級な切削用工具に用いられる。比重が大きく高い硬度を持つため砲弾、特に対戦車、対艦船用の徹甲弾に用いられるが、この用途では後発の劣化ウランと競合する。金との比重が近いことから、金の延べ板の偽造に用いられることがある。狩猟用の散弾銃の鉛弾や、鉛の釣りのおもり(シンカー)に代わる代替品としても注目されているが、コストや加工などの問題から普及は進んでいない。タングステン鋼としても利用されている。
ダーツのバレル(持つ部分)素材の一部
電子顕微鏡や電子線描画装置の電子線(電子ビーム)発生源として
反物質生成実験 陽子や電子を衝突させて、粒子(陽子や電子)と反粒子(反陽子や陽電子)を対生成させるための的の素材として
ドリルなどの高速度鋼(タングステンと鉄の合金)
切削工具などに用いられる超硬合金(炭化タングステン)として
生体試料の微細な解剖用具(タングステン針)の材料として
X線遮蔽用の金属のひとつ
戦車等の装甲に純タングステン或いはタングステン合金が使われる
対戦車用、対艦用として強硬な装甲を持つ攻撃目標を破壊するための徹甲弾(高速徹甲弾、APDS、APFSDSなど)の弾芯として
真空蒸着による薄膜形成の際、薄膜の素材となる金属の加熱&溶融&保持に使用される
TIG溶接の非消耗電極の素材、またはプラズマアーク溶接、プラズマ切断の電極の材料として
指輪等のアクセサリーの素材として
電球のフィラメントとして
固体潤滑剤(二硫化タングステン)として
真空遮断器等のバルブ内の接触子材料、銀タングステンカーバイド (AgWC)、銅タングステン (CuW) として
タングステンの産出量は、中華人民共和国が52,000トンで、世界の産出量の83.7 %を占めており、次いでロシア連邦、カナダ、オーストリアなどで、多く産出される。
前記の様に産業上・軍事上非常に重要性が高い金属であるが地殻存在度が低い物質であり、産出地にも偏りがある。日本においても多くを他国からの輸入に頼っている状況であるため、万一の国際情勢の急変に対する安全保障策として国内消費量の最低60日分を国家備蓄すると定められている。
歴史[編集]
1781年、スウェーデンのカール・ヴィルヘルム・シェーレが灰重石から酸化タングステン(VI)の分離に成功し、タングステン酸と命名。1783年、スペインのファン・ホセとファウストのエルヤル兄弟が、タングステン酸を木炭で還元して初めて単体を得、ウォルフラムと命名。
タングステン (tungsten) とは、スウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語で「重い石」という意味である。元素記号の W はドイツ語の Wolfram にちなむ(エルヤル兄弟の命名もここから)。これは、タングステン鉱石(鉄マンガン重石)wolfart から来ており、これがスズ鉱石の中に混入すると、スラグを作ってスズの精製を阻害することから、スズを狼のようにむさぼり食べるという意味で名づけられた[3]。近年米国議会では、紛争地域のテロ活動の資金源となっている鉱物いわゆる「紛争鉱物」に指定されているので工業上の使用に制限が生じ始めている[要出典]。
同位体[編集]
詳細は「タングステンの同位体」を参照
タングステンには158Wから192Wまでの同位体が知られており、このうち180W、182W、183W、184W、186Wが天然に存在する。全ての同位体が放射性同位体と考えられているが、いずれも極めて半減期が長く、崩壊が観測されたことはない。計算上、1gのタングステンは2日に1個原子が崩壊しているはずである。
タングステンの化合物[編集]
ZrW2O8 - 負の熱膨張率を示す
タングステン酸アルミニウム (Al2(WO4)3) - Al3+ イオン伝導体
酸化タングステン(VI) (WO3) - 鉱物として産出する。
炭化タングステン (WC) - 最も沸点の高い物質。約6000℃。
タングステン酸塩鉱物[編集]
「鉱物の一覧#タングステン酸塩鉱物」も参照
鉱物学において、タングステン酸塩からなる鉱物をタングステン酸塩鉱物(タングステンさんえんこうぶつ、英: tungstate mineral)と呼ぶ。灰重石 CaWO4(タングステン酸カルシウム)、鉄重石 FeWO4(タングステン酸鉄)、マンガン重石 MnWO4(タングステン酸マンガン)などがある。
原子量は183.84である。銀灰色の非常に硬く重い金属で、クロム族元素に属する。化学的に安定で、その結晶は体心立方構造 (BCC) を持つ。融点は3380 °Cで、沸点は5555 °C。比重は19.3。希少金属の一つである。
目次 [非表示]
1 用途
2 歴史
3 同位体
4 タングステンの化合物 4.1 タングステン酸塩鉱物
5 脚注
6 参考文献
7 関連項目
8 外部リンク
用途[編集]
金属のうちでは最も融点が高く、金属としては比較的大きな電気抵抗を持つので、電球のフィラメントとして利用される。また、タングステン合金や炭化タングステンは非常に硬度が高いため、高級な切削用工具に用いられる。比重が大きく高い硬度を持つため砲弾、特に対戦車、対艦船用の徹甲弾に用いられるが、この用途では後発の劣化ウランと競合する。金との比重が近いことから、金の延べ板の偽造に用いられることがある。狩猟用の散弾銃の鉛弾や、鉛の釣りのおもり(シンカー)に代わる代替品としても注目されているが、コストや加工などの問題から普及は進んでいない。タングステン鋼としても利用されている。
ダーツのバレル(持つ部分)素材の一部
電子顕微鏡や電子線描画装置の電子線(電子ビーム)発生源として
反物質生成実験 陽子や電子を衝突させて、粒子(陽子や電子)と反粒子(反陽子や陽電子)を対生成させるための的の素材として
ドリルなどの高速度鋼(タングステンと鉄の合金)
切削工具などに用いられる超硬合金(炭化タングステン)として
生体試料の微細な解剖用具(タングステン針)の材料として
X線遮蔽用の金属のひとつ
戦車等の装甲に純タングステン或いはタングステン合金が使われる
対戦車用、対艦用として強硬な装甲を持つ攻撃目標を破壊するための徹甲弾(高速徹甲弾、APDS、APFSDSなど)の弾芯として
真空蒸着による薄膜形成の際、薄膜の素材となる金属の加熱&溶融&保持に使用される
TIG溶接の非消耗電極の素材、またはプラズマアーク溶接、プラズマ切断の電極の材料として
指輪等のアクセサリーの素材として
電球のフィラメントとして
固体潤滑剤(二硫化タングステン)として
真空遮断器等のバルブ内の接触子材料、銀タングステンカーバイド (AgWC)、銅タングステン (CuW) として
タングステンの産出量は、中華人民共和国が52,000トンで、世界の産出量の83.7 %を占めており、次いでロシア連邦、カナダ、オーストリアなどで、多く産出される。
前記の様に産業上・軍事上非常に重要性が高い金属であるが地殻存在度が低い物質であり、産出地にも偏りがある。日本においても多くを他国からの輸入に頼っている状況であるため、万一の国際情勢の急変に対する安全保障策として国内消費量の最低60日分を国家備蓄すると定められている。
歴史[編集]
1781年、スウェーデンのカール・ヴィルヘルム・シェーレが灰重石から酸化タングステン(VI)の分離に成功し、タングステン酸と命名。1783年、スペインのファン・ホセとファウストのエルヤル兄弟が、タングステン酸を木炭で還元して初めて単体を得、ウォルフラムと命名。
タングステン (tungsten) とは、スウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語で「重い石」という意味である。元素記号の W はドイツ語の Wolfram にちなむ(エルヤル兄弟の命名もここから)。これは、タングステン鉱石(鉄マンガン重石)wolfart から来ており、これがスズ鉱石の中に混入すると、スラグを作ってスズの精製を阻害することから、スズを狼のようにむさぼり食べるという意味で名づけられた[3]。近年米国議会では、紛争地域のテロ活動の資金源となっている鉱物いわゆる「紛争鉱物」に指定されているので工業上の使用に制限が生じ始めている[要出典]。
同位体[編集]
詳細は「タングステンの同位体」を参照
タングステンには158Wから192Wまでの同位体が知られており、このうち180W、182W、183W、184W、186Wが天然に存在する。全ての同位体が放射性同位体と考えられているが、いずれも極めて半減期が長く、崩壊が観測されたことはない。計算上、1gのタングステンは2日に1個原子が崩壊しているはずである。
タングステンの化合物[編集]
ZrW2O8 - 負の熱膨張率を示す
タングステン酸アルミニウム (Al2(WO4)3) - Al3+ イオン伝導体
酸化タングステン(VI) (WO3) - 鉱物として産出する。
炭化タングステン (WC) - 最も沸点の高い物質。約6000℃。
タングステン酸塩鉱物[編集]
「鉱物の一覧#タングステン酸塩鉱物」も参照
鉱物学において、タングステン酸塩からなる鉱物をタングステン酸塩鉱物(タングステンさんえんこうぶつ、英: tungstate mineral)と呼ぶ。灰重石 CaWO4(タングステン酸カルシウム)、鉄重石 FeWO4(タングステン酸鉄)、マンガン重石 MnWO4(タングステン酸マンガン)などがある。
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