2014年02月13日
ジルコニウム
ジルコニウム (ラテン語: zirconium[4]) は原子番号40の元素。元素記号は Zr。チタン族元素の1つ、遷移金属でもある。常温で安定な結晶構造は、六方最密充填構造 (HCP) のα型。862 °C以上で体心立方構造 (BCC) のβ型へ転移する。比重は6.5、融点は1852 °C。銀白色の金属で、常温で酸、アルカリに対して安定。耐食性があり、空気中では酸化被膜ができ内部が侵されにくくなる。高温では、酸素、窒素、水素、ハロゲンなどと反応して、多様な化合物を形成する。
目次 [非表示]
1 用途
2 歴史
3 ジルコニウムの化合物 3.1 酸化反応
4 同位体
5 出典
6 外部リンク
用途[編集]
ジルコニウムは金属の中で熱中性子の吸収断面積が最小のため、ジルカロイと呼ばれるジルコニウム合金が原子炉の燃料棒の被覆材料(燃料被覆管)や沸騰水型原子炉用燃料集合体のチャンネルボックスの材料として利用される。燃料被覆管を形成する際には、原子炉に入れたときにα相(稠密六方格子)の底面に水素化物が析出しやすく、それが原因で被覆管が破損する可能性があるため、ロールダイスにより管を回転往復させながら圧延するピルガー式圧延法を用いる。沸騰水型軽水炉ではα領域内の高温 (580 °C)で最終焼鈍した再結晶材を使用し、加圧水型軽水炉では再結晶が生じていない450 °C程度で焼鈍を行った歪み取り焼鈍材を使用する。
酸化ジルコニウム(IV)は、白色顔料などに使われている他、圧電素子、コンデンサー、ガラス、差し歯や歯のブリッジなど、あるいは陽極酸化によって発色する特性を活かして宝飾品などに使われている。
歴史[編集]
元素名は、宝石のジルコン(アラビア語で金色を表す zarqun) が語源[5]。1798年、マルティン・ハインリヒ・クラプロートがジルコンから発見[5]。1824年にイェンス・ベルセリウスにより、フッ化カリウムジルコニウムをカリウムで還元することによって初めて金属分離された[5]。
ジルコニウムの化合物[編集]
ジルコン (ZrSiO4)
酸化ジルコニウム(IV) (ZrO2) - 白色顔料、皮膚炎の治療薬の原料
タングステン酸ジルコニウム(IV) (Zr(WO4)2) - 負の熱膨張率を示す物質
塩化ジルコニウム(III) (ZrCl3) - 反磁性物質
塩化ジルコニウム(IV) (ZrCl4) - 種々のジルコニウム錯体合成の出発物質
酸化反応[編集]
高温での酸化反応、および陽極酸化反応は次式で表される。
Zr +2H2O → ZrO2 + 2H2
同位体[編集]
「ジルコニウムの同位体」を参照
出典[編集]
1.^ “Zirconium: zirconium(I) fluoride compound data”. OpenMOPAC.net. 2007年12月10日閲覧。
2.^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds, in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
3.^ Pritychenko, Boris; V. Tretyak. “Adopted Double Beta Decay Data”. National Nuclear Data Center. 2008年2月11日閲覧。
4.^ http://www.encyclo.co.uk/webster/Z/4
5.^ a b c 桜井 弘 『元素111の新知識』 講談社、1998年、200頁。ISBN 4-06-257192-7。
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1 用途
2 歴史
3 ジルコニウムの化合物 3.1 酸化反応
4 同位体
5 出典
6 外部リンク
用途[編集]
ジルコニウムは金属の中で熱中性子の吸収断面積が最小のため、ジルカロイと呼ばれるジルコニウム合金が原子炉の燃料棒の被覆材料(燃料被覆管)や沸騰水型原子炉用燃料集合体のチャンネルボックスの材料として利用される。燃料被覆管を形成する際には、原子炉に入れたときにα相(稠密六方格子)の底面に水素化物が析出しやすく、それが原因で被覆管が破損する可能性があるため、ロールダイスにより管を回転往復させながら圧延するピルガー式圧延法を用いる。沸騰水型軽水炉ではα領域内の高温 (580 °C)で最終焼鈍した再結晶材を使用し、加圧水型軽水炉では再結晶が生じていない450 °C程度で焼鈍を行った歪み取り焼鈍材を使用する。
酸化ジルコニウム(IV)は、白色顔料などに使われている他、圧電素子、コンデンサー、ガラス、差し歯や歯のブリッジなど、あるいは陽極酸化によって発色する特性を活かして宝飾品などに使われている。
歴史[編集]
元素名は、宝石のジルコン(アラビア語で金色を表す zarqun) が語源[5]。1798年、マルティン・ハインリヒ・クラプロートがジルコンから発見[5]。1824年にイェンス・ベルセリウスにより、フッ化カリウムジルコニウムをカリウムで還元することによって初めて金属分離された[5]。
ジルコニウムの化合物[編集]
ジルコン (ZrSiO4)
酸化ジルコニウム(IV) (ZrO2) - 白色顔料、皮膚炎の治療薬の原料
タングステン酸ジルコニウム(IV) (Zr(WO4)2) - 負の熱膨張率を示す物質
塩化ジルコニウム(III) (ZrCl3) - 反磁性物質
塩化ジルコニウム(IV) (ZrCl4) - 種々のジルコニウム錯体合成の出発物質
酸化反応[編集]
高温での酸化反応、および陽極酸化反応は次式で表される。
Zr +2H2O → ZrO2 + 2H2
同位体[編集]
「ジルコニウムの同位体」を参照
出典[編集]
1.^ “Zirconium: zirconium(I) fluoride compound data”. OpenMOPAC.net. 2007年12月10日閲覧。
2.^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds, in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
3.^ Pritychenko, Boris; V. Tretyak. “Adopted Double Beta Decay Data”. National Nuclear Data Center. 2008年2月11日閲覧。
4.^ http://www.encyclo.co.uk/webster/Z/4
5.^ a b c 桜井 弘 『元素111の新知識』 講談社、1998年、200頁。ISBN 4-06-257192-7。
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