新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2014年02月13日
酸
酸(さん、英: acid)は、化学において、塩基と対になってはたらく物質のこと。酸の一般的な使用例としては、酢酸(酢に3〜5%程度含有)、硫酸(車のバッテリーの電解液に使用)、酒石酸(ベーキングに使用する)などがある。これら三つの例が示すように、酸は溶液、液体、固体であることができる。塩化水素など気体の状態でも酸であることができる。
一般に、プロトン (H+)を与える、または電子対を受け取る化学種。化学の歴史の中で、概念の拡大をともないながら定義が考え直されてきたことで、何種類かの酸の定義が存在する。
酸としてはたらく性質を酸性(さんせい)という。ただし「酸性」という語句は溶液の性質として用いるのが一般的であり、水溶液中において水素イオン濃度が水酸化物イオン濃度より大きい場合、すなわちpH<7の場合を指すことが多い。
酸、塩基の定義は相対的な概念であるため、ある系で酸である物質が、別の系では塩基としてはたらくことも珍しくはない。例えば、水は、アンモニアに対しては、プロトンを与えるブレンステッド酸として作用するが、塩化水素に対しては、プロトンを受け取るブレンステッド塩基として振る舞う。
{\rm {NH_{3}+H_{2}O\quad \overrightarrow \longleftarrow \quad NH_{4}^{+}+OH^{-}}}{\rm {HCl+H_{2}O\quad \overrightarrow \longleftarrow \quad H_{3}O^{+}+Cl^{-}}}
酸解離定数の大きい酸を強酸、小さい酸を弱酸と呼ぶ。また、100%硫酸より酸性の強い酸性媒体のことを、特に超酸(超強酸)と呼ぶことがある。
「−酸」と呼ばれる化合物には、酸味を呈するものが多い。その水溶液のpHは7より小さい。
酸の定義[編集]
以下に、それぞれの酸の定義を概略のみ述べる。詳細は、記事:酸と塩基 を参照されたい。
アレニウス酸 (Arrhenius acid)アレニウスの定義による酸。水溶液中においてプロトン (H+) を出す物質。下式において、塩化水素 (HCl) はアレニウス酸としてはたらいている。HCl → H+ + Cl−ブレンステッド酸 (Brönsted acid)ブレンステッド-ローリーの定義による酸。反応する相手「B」に対しプロトンを与える物質。下式の反応で「AH」、あるいは「A+H」がブレンステッド酸。AH + B → A− + BH+A+H + B → A + BH+ルイス酸 (Lewis acid)ルイスの定義による酸。電子対を受け取る物質。下式の反応で「A」がルイス酸。ルイス酸塩基反応
一般的な酸[編集]
無機酸 ハロゲン化水素とその溶液 塩化水素(塩酸)、臭化水素(臭化水素酸)、ヨウ化水素(ヨウ化水素酸)
ハロゲンオキソ酸 次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸と該当する臭化物とヨウ化物
硫酸(H2SO4)
フルオロスルホン酸
硝酸(HNO3)
リン酸(H3PO4)
ヘキサフルオロアンチモン酸
テトラフルオロホウ酸
ヘキサフルオロリン酸
クロム酸(H2CrO4)
ホウ酸(H3BO3)
スルホン酸 メタンスルホン酸
エタンスルホン酸
ベンゼンスルホン酸
p-トルエンスルホン酸
トリフルオロメタンスルホン酸
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム
カルボン酸 酢酸
クエン酸
ギ酸
グルコン酸
乳酸
シュウ酸
酒石酸
ビニル性カルボン酸 アスコルビン酸
メルドラム酸
核酸 デオキシリボ核酸
リボ核酸
一般に、プロトン (H+)を与える、または電子対を受け取る化学種。化学の歴史の中で、概念の拡大をともないながら定義が考え直されてきたことで、何種類かの酸の定義が存在する。
酸としてはたらく性質を酸性(さんせい)という。ただし「酸性」という語句は溶液の性質として用いるのが一般的であり、水溶液中において水素イオン濃度が水酸化物イオン濃度より大きい場合、すなわちpH<7の場合を指すことが多い。
酸、塩基の定義は相対的な概念であるため、ある系で酸である物質が、別の系では塩基としてはたらくことも珍しくはない。例えば、水は、アンモニアに対しては、プロトンを与えるブレンステッド酸として作用するが、塩化水素に対しては、プロトンを受け取るブレンステッド塩基として振る舞う。
{\rm {NH_{3}+H_{2}O\quad \overrightarrow \longleftarrow \quad NH_{4}^{+}+OH^{-}}}{\rm {HCl+H_{2}O\quad \overrightarrow \longleftarrow \quad H_{3}O^{+}+Cl^{-}}}
酸解離定数の大きい酸を強酸、小さい酸を弱酸と呼ぶ。また、100%硫酸より酸性の強い酸性媒体のことを、特に超酸(超強酸)と呼ぶことがある。
「−酸」と呼ばれる化合物には、酸味を呈するものが多い。その水溶液のpHは7より小さい。
酸の定義[編集]
以下に、それぞれの酸の定義を概略のみ述べる。詳細は、記事:酸と塩基 を参照されたい。
アレニウス酸 (Arrhenius acid)アレニウスの定義による酸。水溶液中においてプロトン (H+) を出す物質。下式において、塩化水素 (HCl) はアレニウス酸としてはたらいている。HCl → H+ + Cl−ブレンステッド酸 (Brönsted acid)ブレンステッド-ローリーの定義による酸。反応する相手「B」に対しプロトンを与える物質。下式の反応で「AH」、あるいは「A+H」がブレンステッド酸。AH + B → A− + BH+A+H + B → A + BH+ルイス酸 (Lewis acid)ルイスの定義による酸。電子対を受け取る物質。下式の反応で「A」がルイス酸。ルイス酸塩基反応
一般的な酸[編集]
無機酸 ハロゲン化水素とその溶液 塩化水素(塩酸)、臭化水素(臭化水素酸)、ヨウ化水素(ヨウ化水素酸)
ハロゲンオキソ酸 次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸と該当する臭化物とヨウ化物
硫酸(H2SO4)
フルオロスルホン酸
硝酸(HNO3)
リン酸(H3PO4)
ヘキサフルオロアンチモン酸
テトラフルオロホウ酸
ヘキサフルオロリン酸
クロム酸(H2CrO4)
ホウ酸(H3BO3)
スルホン酸 メタンスルホン酸
エタンスルホン酸
ベンゼンスルホン酸
p-トルエンスルホン酸
トリフルオロメタンスルホン酸
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム
カルボン酸 酢酸
クエン酸
ギ酸
グルコン酸
乳酸
シュウ酸
酒石酸
ビニル性カルボン酸 アスコルビン酸
メルドラム酸
核酸 デオキシリボ核酸
リボ核酸
エカ
エカ (eka) は、サンスクリットで 1 のこと。
目次 [非表示]
1 元素の仮名
2 脚注
3 参考文献
4 関連項目
5 外部リンク
元素の仮名[編集]
化学、物理学の分野では、未発見の元素の仮名にしばしば用いられる。元素名の頭に付けて、周期表でその元素の「一つ下」に収まるべき元素の仮名とする。
1870年、ドミトリー・メンデレーエフが周期表を発表する際に、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、マンガンの下を「エカホウ素(ekaboron, Eb)」「エカアルミニウム(ekaaluminium, Ea)」「エカケイ素(ekasilicon, Es)」「エカマンガン(ekamanganese, Em)」とし、これらは未発見の元素であるとして性質を予言した。ほどなくガリウム、スカンジウム[1]、ゲルマニウムが発見され、それぞれエカアルミニウム、エカホウ素、エカケイ素の予言された性質と良く一致したことから、メンデレーエフの周期表は支持を集めた。(なおエカマンガンことテクネチウムは20世紀まで発見が遅れた)
以来、他の元素についてもメンデレーエフに倣って「エカ+上の元素」が仮名として用いられるようになった。「エカヨウ素」(アスタチン)、「エカセシウム」(フランシウム)は発見が遅かったため仮称としてよく使われていた。レニウムは一つ上のテクネチウムより先に発見されたため、さらに上にあるマンガンから「ドビマンガン(dvimanganese)」と仮称された。「ドビ」(dvi) はサンスクリット語の 2 である。
現在は未発見元素の仮名には元素の系統名を用いることになっているが、メンデレーエフ流の呼び方も未だに用いられることがある。例えばエカフランシウムと言えばウンウンエンニウムのことである。
目次 [非表示]
1 元素の仮名
2 脚注
3 参考文献
4 関連項目
5 外部リンク
元素の仮名[編集]
化学、物理学の分野では、未発見の元素の仮名にしばしば用いられる。元素名の頭に付けて、周期表でその元素の「一つ下」に収まるべき元素の仮名とする。
1870年、ドミトリー・メンデレーエフが周期表を発表する際に、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、マンガンの下を「エカホウ素(ekaboron, Eb)」「エカアルミニウム(ekaaluminium, Ea)」「エカケイ素(ekasilicon, Es)」「エカマンガン(ekamanganese, Em)」とし、これらは未発見の元素であるとして性質を予言した。ほどなくガリウム、スカンジウム[1]、ゲルマニウムが発見され、それぞれエカアルミニウム、エカホウ素、エカケイ素の予言された性質と良く一致したことから、メンデレーエフの周期表は支持を集めた。(なおエカマンガンことテクネチウムは20世紀まで発見が遅れた)
以来、他の元素についてもメンデレーエフに倣って「エカ+上の元素」が仮名として用いられるようになった。「エカヨウ素」(アスタチン)、「エカセシウム」(フランシウム)は発見が遅かったため仮称としてよく使われていた。レニウムは一つ上のテクネチウムより先に発見されたため、さらに上にあるマンガンから「ドビマンガン(dvimanganese)」と仮称された。「ドビ」(dvi) はサンスクリット語の 2 である。
現在は未発見元素の仮名には元素の系統名を用いることになっているが、メンデレーエフ流の呼び方も未だに用いられることがある。例えばエカフランシウムと言えばウンウンエンニウムのことである。
超アクチノイド元素
超アクチノイド元素(ちょうアクチノイドげんそ)は、次の二つの意味で用いられる。
1.(transactinide) アクチノイドの最後に当たるローレンシウム(原子番号103)より原子番号の大きい元素の総称である。超重元素ともいう。これまでに104〜118番が発見され、IUPACで承認もしくは申請中である。
2.(superactinide) 周期表(拡張周期表)で、アクチノイドの下に配置される元素群の名称。原子番号121のウンビウニウムから153のウンペントトリウムまでが相当する。未だ一つも発見されていない。
区別のため、本記事中では 1.の意味には「超重元素」を用い、単に「超アクチノイド」といったときは 2.を意味するものとする。このような使い分けは一般的に為されているわけではなく、あくまで本記事における便宜的なものである。
目次 [非表示]
1 超重元素の合成法と特徴 1.1 単一原子化学による分析
2 超アクチノイド(アクチノイドの下)
3 関連項目
超重元素の合成法と特徴[編集]
超重元素はすべて天然には存在しないため、2種類の方法で合成される。1つは、金属原子に別の金属原子をイオンビームにして衝突させるもので、「冷たい核融合反応」と呼ばれる。もう一つは、アクチノイド元素に、イオンビームにした軽元素原子を衝突させるもので、「熱い核融合反応」と呼ばれる。ここで言う「熱い」「冷たい」とは、衝突によって生じる新元素の励起エネルギーの量を表すものである。共に、まず二つの原子が衝突して励起された複合核を生じ、これがすぐに中性子(n)を放出して超重核種ができる。
たとえば、原子番号(Z)104番のラザホージウム(Rf)を合成するには、カリホルニウム(98Cf)に原子番号6の炭素(6C)をイオンビームにして衝突させる。この核反応は、
249Cf+12C→(261Rf*)→257Rf+4n
または簡略化して
249Cf(12C,4n)257Rf
と表される。ここでは、261Rf*が複合核であり、257Rfが4個の中性子を放出してできた超重核種である。
超重元素は全て放射性元素であり、半減期が数マイクロ秒〜数秒程度の非常に短命な核種が多い。そのため、同定・確認に時間がかかり、詳しい化学的性質はあまりわかっていない。ただしドブニウム268のように数時間程度の半減期を持つ核種も一部あり、また原子番号114付近には安定の島と呼ばれる長寿命の核種の存在が予想されている。
なお、超重元素では中心にある原子核の正電荷に比例して周りの電子との相互作用が非常に強くなる。それに従い、内殻電子の速度は光速に近づき、相対論効果で質量が重くなるためにその軌道半径は収縮する(直接的な相対論効果)。一方、外殻電子の軌道半径は、内殻軌道の収縮により原子核の正電荷が遮蔽されるため逆に大きくなる(間接的な相対論効果)。これらの現象は原子番号に比例して大きくなるため、化学結合に関与する原子価電子が大きく変化し、超重元素は周期表上の同属元素とは異なった化学的性質を持つ事が予想されている。
単一原子化学による分析[編集]
上記の理由のため、いくら核反応を続けても超重元素の生成率は1分から1日の間にやっと数原子が得られるだけである。したがって、研究者たちが一度に取り扱えるのは事実上わずか1原子であり、これをすばやく運搬・分離分析して化学的性質を決定しなければならない。このような研究を「単一原子化学」といい、多数実験を行うことによって統計的に分配係数を決定するため、クロマトグラフィーが用いられている。単一原子化学では、マクロ量で扱われる熱力学的平衡論(質量作用の法則)が適用できないため、単一粒子を仮定した熱力学的関数を導入することにより質量作用の法則と等価の解釈を行う。
超アクチノイド(アクチノイドの下)[編集]
第8周期においてランタノイド、アクチノイドに相当する位置には、原子番号121ウンビウニウムから153ウンペントトリウムまでの33元素が入る。これらを超アクチノイド(superactinide)と呼ぶ。全ての超アクチノイドは超重元素でもある。2010年現在、全ての超アクチノイド元素は未発見である。
原子番号121のウンビウニウムから138ウントリオクチウムまでの18元素は周期表に初めて登場するGブロック元素であり、5g軌道に電子が充填されていくと考えられる。また、原子番号139ウントリエンニウムから153ウンペントトリウムまでの15元素はランタノイド、アクチノイドの同族に当たるFブロック元素であり、6f軌道に電子が充填されていくと考えられる。5g軌道、6f軌道とも内殻に当たるため、超アクチノイド元素の化学的性質は似通っていると予想される。
エカアクチノイド(eka-actinide)と呼ばれることもあるが、Fブロックの部分のみを指して使われることもあり、曖昧差のある用語である。未発見の元素群であることもあり、用語や日本語訳はあまり固まっていない。
1.(transactinide) アクチノイドの最後に当たるローレンシウム(原子番号103)より原子番号の大きい元素の総称である。超重元素ともいう。これまでに104〜118番が発見され、IUPACで承認もしくは申請中である。
2.(superactinide) 周期表(拡張周期表)で、アクチノイドの下に配置される元素群の名称。原子番号121のウンビウニウムから153のウンペントトリウムまでが相当する。未だ一つも発見されていない。
区別のため、本記事中では 1.の意味には「超重元素」を用い、単に「超アクチノイド」といったときは 2.を意味するものとする。このような使い分けは一般的に為されているわけではなく、あくまで本記事における便宜的なものである。
目次 [非表示]
1 超重元素の合成法と特徴 1.1 単一原子化学による分析
2 超アクチノイド(アクチノイドの下)
3 関連項目
超重元素の合成法と特徴[編集]
超重元素はすべて天然には存在しないため、2種類の方法で合成される。1つは、金属原子に別の金属原子をイオンビームにして衝突させるもので、「冷たい核融合反応」と呼ばれる。もう一つは、アクチノイド元素に、イオンビームにした軽元素原子を衝突させるもので、「熱い核融合反応」と呼ばれる。ここで言う「熱い」「冷たい」とは、衝突によって生じる新元素の励起エネルギーの量を表すものである。共に、まず二つの原子が衝突して励起された複合核を生じ、これがすぐに中性子(n)を放出して超重核種ができる。
たとえば、原子番号(Z)104番のラザホージウム(Rf)を合成するには、カリホルニウム(98Cf)に原子番号6の炭素(6C)をイオンビームにして衝突させる。この核反応は、
249Cf+12C→(261Rf*)→257Rf+4n
または簡略化して
249Cf(12C,4n)257Rf
と表される。ここでは、261Rf*が複合核であり、257Rfが4個の中性子を放出してできた超重核種である。
超重元素は全て放射性元素であり、半減期が数マイクロ秒〜数秒程度の非常に短命な核種が多い。そのため、同定・確認に時間がかかり、詳しい化学的性質はあまりわかっていない。ただしドブニウム268のように数時間程度の半減期を持つ核種も一部あり、また原子番号114付近には安定の島と呼ばれる長寿命の核種の存在が予想されている。
なお、超重元素では中心にある原子核の正電荷に比例して周りの電子との相互作用が非常に強くなる。それに従い、内殻電子の速度は光速に近づき、相対論効果で質量が重くなるためにその軌道半径は収縮する(直接的な相対論効果)。一方、外殻電子の軌道半径は、内殻軌道の収縮により原子核の正電荷が遮蔽されるため逆に大きくなる(間接的な相対論効果)。これらの現象は原子番号に比例して大きくなるため、化学結合に関与する原子価電子が大きく変化し、超重元素は周期表上の同属元素とは異なった化学的性質を持つ事が予想されている。
単一原子化学による分析[編集]
上記の理由のため、いくら核反応を続けても超重元素の生成率は1分から1日の間にやっと数原子が得られるだけである。したがって、研究者たちが一度に取り扱えるのは事実上わずか1原子であり、これをすばやく運搬・分離分析して化学的性質を決定しなければならない。このような研究を「単一原子化学」といい、多数実験を行うことによって統計的に分配係数を決定するため、クロマトグラフィーが用いられている。単一原子化学では、マクロ量で扱われる熱力学的平衡論(質量作用の法則)が適用できないため、単一粒子を仮定した熱力学的関数を導入することにより質量作用の法則と等価の解釈を行う。
超アクチノイド(アクチノイドの下)[編集]
第8周期においてランタノイド、アクチノイドに相当する位置には、原子番号121ウンビウニウムから153ウンペントトリウムまでの33元素が入る。これらを超アクチノイド(superactinide)と呼ぶ。全ての超アクチノイドは超重元素でもある。2010年現在、全ての超アクチノイド元素は未発見である。
原子番号121のウンビウニウムから138ウントリオクチウムまでの18元素は周期表に初めて登場するGブロック元素であり、5g軌道に電子が充填されていくと考えられる。また、原子番号139ウントリエンニウムから153ウンペントトリウムまでの15元素はランタノイド、アクチノイドの同族に当たるFブロック元素であり、6f軌道に電子が充填されていくと考えられる。5g軌道、6f軌道とも内殻に当たるため、超アクチノイド元素の化学的性質は似通っていると予想される。
エカアクチノイド(eka-actinide)と呼ばれることもあるが、Fブロックの部分のみを指して使われることもあり、曖昧差のある用語である。未発見の元素群であることもあり、用語や日本語訳はあまり固まっていない。
ウンウンオクチウム
ウンウンオクチウム (英語: ununoctium) は、原子番号118の元素。元素記号は Uuo。発見報告のある中で最も重い超ウラン元素だが、正式に認定されていないため IUPAC による仮名(ラテン語由来で「118番の元素」という意味)で呼ばれている。
目次 [非表示]
1 歴史
2 性質
3 1999年の「発見」
4 出典
5 関連項目
歴史[編集]
2002年、ドゥブナ合同原子核研究所でカリホルニウムとカルシウムから元素合成された[8]。
\,_{{20}}^{{48}}{\mathrm {Ca}}+\,_{{98}}^{{249}}{\mathrm {Cf}}\to \,_{{118}}^{{294}}{\mathrm {Uuo}}+3\,_{{0}}^{{1}}{\mathrm {n}}
1または2原子が生成し2005年にはさらに2原子を生成したが、未確定となっていた。
ウンウンオクチウムの崩壊系列
2006年10月9日、ドゥブナ合同原子核研究所とローレンス・リバモア研究所の共同研究チームが116番と118番元素を同時に発見した[9]研究で、294Uuo が3または4原子生成された。半減期は0.89 (+1.07 -0.31) ミリ秒で、α崩壊してリバモリウムになったとされる。
2011年1月に発表された、IUPAC と IUPAP の113から116および118番元素についての合同作業部会の報告書[10]では、118番元素の認定は見送られている。
性質[編集]
第18族元素に属し、周期表でラドンの下に位置することから「エカラドン」(eka-radon) と呼ばれることもある。電子配置上、Q殻のp軌道が閉殻(P殻の6f軌道は空位)で安定していることからシミュレーションが比較的容易で、生成に成功する以前から物性値を推定する研究が進んでいた。
化学的な性質は、ほかの希ガス元素に比べると反応性が高いと考えられ、キセノンやラドンと同様に安定した化合物(塩化物やフッ化物)を作ると見られる。酸化数は0以外にキセノンやラドンで見られる+2, +4が予測され、三酸化物 (UuoO3) の可能性もある。
1999年の「発見」[編集]
1999年に米ローレンス・バークレー国立研究所が「最も重い元素」であるウンウンオクチウムを発見したと発表した。しかし、2002年7月、この研究成果は研究者による捏造であったことが発覚した。
出典[編集]
1.^ a b c d Nash, Clinton S. (2005). “Atomic and Molecular Properties of Elements 112, 114, and 118”. Journal of Physical Chemistry A 109 (15): 3493–3500. doi:10.1021/jp050736o. PMID 16833687.
2.^ a b “Moskowium”. Apsidium. 2008年1月18日閲覧。
3.^ a b c d Eichler, R.; Eichler, B., Thermochemical Properties of the Elements Rn, 112, 114, and 118, Paul Scherrer Institut 2010年10月23日閲覧。
4.^ a b Kaldor, Uzi; Wilson, Stephen (2003). Theoretical Chemistry and Physics of Heavy and Superheavy Elements. Springer. p. 105. ISBN 140201371X 2008年1月18日閲覧。.
5.^ a b Seaborg, Glenn Theodore (1994). Modern Alchemy. World Scientific. p. 172. ISBN 9810214405 2008年1月18日閲覧。.
6.^ “Ununoctium”. WebElements Periodic Table. 2007年12月9日閲覧。
7.^ Oganessian, Yu. Ts.; Utyonkov, V.K.; Lobanov, Yu.V.; Abdullin, F.Sh.; Polyakov, A.N.; Sagaidak, R.N.; Shirokovsky, I.V.; Tsyganov, Yu.S.; Voinov, Yu.S.; Gulbekian, G.G.; Bogomolov, S.L.; B. N. Gikal, A. N. Mezentsev, S. Iliev; Subbotin, V.G.; Sukhov, A.M.; Subotic, K; Zagrebaev, V.I.; Vostokin, G.K.; Itkis, M. G.; Moody, K.J; Patin, J.B.; Shaughnessy, D.A.; Stoyer, M.A.; Stoyer, N.J.; Wilk, P.A.; Kenneally, J.M.; Landrum, J.H.; Wild, J.H.; and Lougheed, R.W. (2006-10-09). “Synthesis of the isotopes of elements 118 and 116 in the 249Cf and 245Cm+48Ca fusion reactions”. Physical Review C 74 (4): 044602. doi:10.1103/PhysRevC.74.044602 2008年1月18日閲覧。.
8.^ Results from the first 249Cf+48Ca experimentドゥブナ合同原子核研究所
9.^ Synthesis of the isotopes of elements 118 and 116 in the 249Cf and 245Cm+48Ca fusion reactionsアメリカ物理学会
10.^ Discovery of the elements with atomic numbers greater than or equal to 113IUPAC
目次 [非表示]
1 歴史
2 性質
3 1999年の「発見」
4 出典
5 関連項目
歴史[編集]
2002年、ドゥブナ合同原子核研究所でカリホルニウムとカルシウムから元素合成された[8]。
\,_{{20}}^{{48}}{\mathrm {Ca}}+\,_{{98}}^{{249}}{\mathrm {Cf}}\to \,_{{118}}^{{294}}{\mathrm {Uuo}}+3\,_{{0}}^{{1}}{\mathrm {n}}
1または2原子が生成し2005年にはさらに2原子を生成したが、未確定となっていた。
ウンウンオクチウムの崩壊系列
2006年10月9日、ドゥブナ合同原子核研究所とローレンス・リバモア研究所の共同研究チームが116番と118番元素を同時に発見した[9]研究で、294Uuo が3または4原子生成された。半減期は0.89 (+1.07 -0.31) ミリ秒で、α崩壊してリバモリウムになったとされる。
2011年1月に発表された、IUPAC と IUPAP の113から116および118番元素についての合同作業部会の報告書[10]では、118番元素の認定は見送られている。
性質[編集]
第18族元素に属し、周期表でラドンの下に位置することから「エカラドン」(eka-radon) と呼ばれることもある。電子配置上、Q殻のp軌道が閉殻(P殻の6f軌道は空位)で安定していることからシミュレーションが比較的容易で、生成に成功する以前から物性値を推定する研究が進んでいた。
化学的な性質は、ほかの希ガス元素に比べると反応性が高いと考えられ、キセノンやラドンと同様に安定した化合物(塩化物やフッ化物)を作ると見られる。酸化数は0以外にキセノンやラドンで見られる+2, +4が予測され、三酸化物 (UuoO3) の可能性もある。
1999年の「発見」[編集]
1999年に米ローレンス・バークレー国立研究所が「最も重い元素」であるウンウンオクチウムを発見したと発表した。しかし、2002年7月、この研究成果は研究者による捏造であったことが発覚した。
出典[編集]
1.^ a b c d Nash, Clinton S. (2005). “Atomic and Molecular Properties of Elements 112, 114, and 118”. Journal of Physical Chemistry A 109 (15): 3493–3500. doi:10.1021/jp050736o. PMID 16833687.
2.^ a b “Moskowium”. Apsidium. 2008年1月18日閲覧。
3.^ a b c d Eichler, R.; Eichler, B., Thermochemical Properties of the Elements Rn, 112, 114, and 118, Paul Scherrer Institut 2010年10月23日閲覧。
4.^ a b Kaldor, Uzi; Wilson, Stephen (2003). Theoretical Chemistry and Physics of Heavy and Superheavy Elements. Springer. p. 105. ISBN 140201371X 2008年1月18日閲覧。.
5.^ a b Seaborg, Glenn Theodore (1994). Modern Alchemy. World Scientific. p. 172. ISBN 9810214405 2008年1月18日閲覧。.
6.^ “Ununoctium”. WebElements Periodic Table. 2007年12月9日閲覧。
7.^ Oganessian, Yu. Ts.; Utyonkov, V.K.; Lobanov, Yu.V.; Abdullin, F.Sh.; Polyakov, A.N.; Sagaidak, R.N.; Shirokovsky, I.V.; Tsyganov, Yu.S.; Voinov, Yu.S.; Gulbekian, G.G.; Bogomolov, S.L.; B. N. Gikal, A. N. Mezentsev, S. Iliev; Subbotin, V.G.; Sukhov, A.M.; Subotic, K; Zagrebaev, V.I.; Vostokin, G.K.; Itkis, M. G.; Moody, K.J; Patin, J.B.; Shaughnessy, D.A.; Stoyer, M.A.; Stoyer, N.J.; Wilk, P.A.; Kenneally, J.M.; Landrum, J.H.; Wild, J.H.; and Lougheed, R.W. (2006-10-09). “Synthesis of the isotopes of elements 118 and 116 in the 249Cf and 245Cm+48Ca fusion reactions”. Physical Review C 74 (4): 044602. doi:10.1103/PhysRevC.74.044602 2008年1月18日閲覧。.
8.^ Results from the first 249Cf+48Ca experimentドゥブナ合同原子核研究所
9.^ Synthesis of the isotopes of elements 118 and 116 in the 249Cf and 245Cm+48Ca fusion reactionsアメリカ物理学会
10.^ Discovery of the elements with atomic numbers greater than or equal to 113IUPAC
ウンウンセプチウム
ウンウンセプチウム (英: ununseptium) は、原子番号117の元素。元素記号は Uus。発見報告のある中では最も新しい元素で、正式名称が決定していないため系統名で呼ばれている。
目次 [非表示]
1 歴史
2 命名
3 性質
4 出典
歴史[編集]
2009年10月、ドゥブナ合同原子核研究所のフレロフ核反応研究所でバークリウムとカルシウムから元素合成され[1][2]、2010年4月9日発表された。
\,_{{20}}^{{48}}{\mathrm {Ca}}+\,_{{97}}^{{249}}{\mathrm {Bk}}\to \,_{{117}}^{{297}}{\mathrm {Uus}}^{{*}}\to \,_{{117}}^{{294}}{\mathrm {Uus}}+3\,_{{0}}^{{1}}{\mathrm {n}}
\,_{{20}}^{{48}}{\mathrm {Ca}}+\,_{{97}}^{{249}}{\mathrm {Bk}}\to \,_{{117}}^{{297}}{\mathrm {Uus}}^{{*}}\to \,_{{117}}^{{293}}{\mathrm {Uus}}+4\,_{{0}}^{{1}}{\mathrm {n}}
実験は7ヶ月間続けられ、ウンウンセプチウム294および293が6原子観測され、294Uus は6回のα崩壊を経て 270Db に崩壊した。293Uus は4回のα崩壊で 277Mt に崩壊した後自発核分裂した。半減期や崩壊エネルギーは未確定である。
ドイツ重イオン研究所では、入手の難しいバークリウムを使う代わりに 244Pu + 51V、または 243Am + 50Ti の方式によるウンウンセプチウムの合成を研究している[3]。
命名[編集]
発見が新しいので、IUPAC と IUPAP の113から116および118番元素についての合同作業部会の報告書[4]では対象になっていない。
新元素名に関する IUPAC のガイドラインでは、金属元素は末尾を -ium とする事になっている。しかし現在発見済みのハロゲン元素は全て末尾が -ine であり、このままでは慣例を外れることになる。
性質[編集]
同位体の崩壊チェーンはウンウンセプチウムを生産。
第17族元素であることからハロゲンの性質を持つと考えられ、周期表でアスタチンの下にあることから「エカアスタチン」とも呼ばれる。より軽いハロゲンの傾向などから融点は700 K程度、主な酸化数は-1とみられ、アスタチンと同様に半金属性の性質を持つと推測されている。
出典[編集]
1.^ Element 117 discoveredPhysicsToday誌 アメリカ物理学協会
2.^ 審査委員会 (PAC) 議長の報告書ドゥブナ合同原子核研究所
3.^ [1]ドイツ重イオン研究所
4.^ Discovery of the elements with atomic numbers greater than or equal to 113IUPAC
目次 [非表示]
1 歴史
2 命名
3 性質
4 出典
歴史[編集]
2009年10月、ドゥブナ合同原子核研究所のフレロフ核反応研究所でバークリウムとカルシウムから元素合成され[1][2]、2010年4月9日発表された。
\,_{{20}}^{{48}}{\mathrm {Ca}}+\,_{{97}}^{{249}}{\mathrm {Bk}}\to \,_{{117}}^{{297}}{\mathrm {Uus}}^{{*}}\to \,_{{117}}^{{294}}{\mathrm {Uus}}+3\,_{{0}}^{{1}}{\mathrm {n}}
\,_{{20}}^{{48}}{\mathrm {Ca}}+\,_{{97}}^{{249}}{\mathrm {Bk}}\to \,_{{117}}^{{297}}{\mathrm {Uus}}^{{*}}\to \,_{{117}}^{{293}}{\mathrm {Uus}}+4\,_{{0}}^{{1}}{\mathrm {n}}
実験は7ヶ月間続けられ、ウンウンセプチウム294および293が6原子観測され、294Uus は6回のα崩壊を経て 270Db に崩壊した。293Uus は4回のα崩壊で 277Mt に崩壊した後自発核分裂した。半減期や崩壊エネルギーは未確定である。
ドイツ重イオン研究所では、入手の難しいバークリウムを使う代わりに 244Pu + 51V、または 243Am + 50Ti の方式によるウンウンセプチウムの合成を研究している[3]。
命名[編集]
発見が新しいので、IUPAC と IUPAP の113から116および118番元素についての合同作業部会の報告書[4]では対象になっていない。
新元素名に関する IUPAC のガイドラインでは、金属元素は末尾を -ium とする事になっている。しかし現在発見済みのハロゲン元素は全て末尾が -ine であり、このままでは慣例を外れることになる。
性質[編集]
同位体の崩壊チェーンはウンウンセプチウムを生産。
第17族元素であることからハロゲンの性質を持つと考えられ、周期表でアスタチンの下にあることから「エカアスタチン」とも呼ばれる。より軽いハロゲンの傾向などから融点は700 K程度、主な酸化数は-1とみられ、アスタチンと同様に半金属性の性質を持つと推測されている。
出典[編集]
1.^ Element 117 discoveredPhysicsToday誌 アメリカ物理学協会
2.^ 審査委員会 (PAC) 議長の報告書ドゥブナ合同原子核研究所
3.^ [1]ドイツ重イオン研究所
4.^ Discovery of the elements with atomic numbers greater than or equal to 113IUPAC
リバモリウム
リバモリウム (Livermorium) は、原子番号116の元素。元素記号はLv。超ウラン元素、超アクチノイド元素のひとつである。
目次 [非表示]
1 歴史
2 命名
3 性質
4 発見以前
5 出典
6 外部リンク
歴史[編集]
2000年7月19日、ドゥブナ合同原子核研究所でキュリウムとカルシウムから元素合成された[1][2]。
\,_{{20}}^{{48}}{\mathrm {Ca}}+\,_{{96}}^{{248}}{\mathrm {Cm}}\to \,_{{116}}^{{296}}{\mathrm {Lv}}^{{*}}\to \,_{{116}}^{{293}}{\mathrm {Lv}}+3\,_{{0}}^{{1}}{\mathrm {n}}
その後検証が進められ、2010年までに約30原子が観測されている。
命名[編集]
正式名称が決定するまでは、ウンウンヘキシウム(英: ununhexium)という暫定名で呼ばれていた。
2011年1月、IUPACとIUPAPの113から116および118番元素についての合同作業部会は、114番と116番元素について早期に新元素発見と認定すべきとする報告書[3]を発表した。
ドブナ合同原子核研究所は、所在地のモスクワ州(モスクワ市ではなく)にちなんでモスコウィウム (moscovium) を提案していたが、IUPACは2011年12月にアメリカの研究所ローレンス・リバモア国立研究所にちなみlivermorium(元素記号:Lv)を提案し[4][5]、2012年5月30日に正式決定が発表された[6][7][8][5]。 日本語名称は、2012年6月に日本化学会により決定された[9]。
性質[編集]
第16族元素に属し、周期表でポロニウムの下に位置することから「エカポロニウム」(eka-polonium) と呼ばれることもある。
推定されている化学的な性質はカルコゲンのひとつとして酸化数は+IV, +VIが考えられ、同素体や水素化物も可能性がある。陰イオンとしては Lv2- が確実視され、テルル化物やポロニウム化物に近い化合物を作るとみられている。
発見以前[編集]
1999年、ローレンス・バークレー国立研究所は第116元素ならびに第118元素(ウンウンオクチウム)の発見を『Physical Review Letters』誌に投稿し、発見を公表した。それに引き続き、他の研究者による追試験において同じ結果が見出されなかったとして、彼等は発見の報告を取り下げた。2002年6月、ローレンス・バークレー国立研究所の所長は、この2つの元素発見の投稿が、第一著者のVictor Ninovによって捏造されたデータに基づいたものであったと公表した。48Caを248Cmに衝突、融合させることでウンウンヘキシウムが生成したとされていた。
1980年代 - 1990年代にUFO陰謀説がもてはやされた際、ボブ・ラザールは116番元素がUFOの燃料であると主張した。その説によると、核子を打ち込むことにより、116番元素は他の元素からステップアップさせることで発生し、116番元素が崩壊することで反物質を産むというものであった。この説は核物理学的には信じ難い内容である。
出典[編集]
Y. T. Oganessian, et al., Observation of the decay of (292) 116, Phys. Rev. C 63, 011301 (2001).
1.^ Observation of the decay of 292116 アメリカ物理学会
2.^ “Confirmed results of the 248Cm(48Ca,4n)292116 experiment” ローレンス・リバモア国立研究所
3.^ Discovery of the elements with atomic numbers greater than or equal to 113 IUPAC
4.^ “News: Start of the Name Approval Process for the Elements of Atomic Number 114 and 11” (英語). IUPAC. 2011年12月4日閲覧。
5.^ a b “フレロビウムとリバモリウム…新元素の命名案”. 読売新聞. (2011年12月4日) 2011年12月4日閲覧。
6.^ Element 114 is Named Flerovium and Element 116 is Named Livermorium IUPAC
7.^ 二つの新元素、正式命名=合成成功の研究所から(時事通信)
8.^ 元素2つ仲間入り、計114に 国際機関が認定(朝日新聞)
9.^ 114番元素Fleroviumおよび116番元素Livermoriumの日本語名称が決まりました 日本化学会
目次 [非表示]
1 歴史
2 命名
3 性質
4 発見以前
5 出典
6 外部リンク
歴史[編集]
2000年7月19日、ドゥブナ合同原子核研究所でキュリウムとカルシウムから元素合成された[1][2]。
\,_{{20}}^{{48}}{\mathrm {Ca}}+\,_{{96}}^{{248}}{\mathrm {Cm}}\to \,_{{116}}^{{296}}{\mathrm {Lv}}^{{*}}\to \,_{{116}}^{{293}}{\mathrm {Lv}}+3\,_{{0}}^{{1}}{\mathrm {n}}
その後検証が進められ、2010年までに約30原子が観測されている。
命名[編集]
正式名称が決定するまでは、ウンウンヘキシウム(英: ununhexium)という暫定名で呼ばれていた。
2011年1月、IUPACとIUPAPの113から116および118番元素についての合同作業部会は、114番と116番元素について早期に新元素発見と認定すべきとする報告書[3]を発表した。
ドブナ合同原子核研究所は、所在地のモスクワ州(モスクワ市ではなく)にちなんでモスコウィウム (moscovium) を提案していたが、IUPACは2011年12月にアメリカの研究所ローレンス・リバモア国立研究所にちなみlivermorium(元素記号:Lv)を提案し[4][5]、2012年5月30日に正式決定が発表された[6][7][8][5]。 日本語名称は、2012年6月に日本化学会により決定された[9]。
性質[編集]
第16族元素に属し、周期表でポロニウムの下に位置することから「エカポロニウム」(eka-polonium) と呼ばれることもある。
推定されている化学的な性質はカルコゲンのひとつとして酸化数は+IV, +VIが考えられ、同素体や水素化物も可能性がある。陰イオンとしては Lv2- が確実視され、テルル化物やポロニウム化物に近い化合物を作るとみられている。
発見以前[編集]
1999年、ローレンス・バークレー国立研究所は第116元素ならびに第118元素(ウンウンオクチウム)の発見を『Physical Review Letters』誌に投稿し、発見を公表した。それに引き続き、他の研究者による追試験において同じ結果が見出されなかったとして、彼等は発見の報告を取り下げた。2002年6月、ローレンス・バークレー国立研究所の所長は、この2つの元素発見の投稿が、第一著者のVictor Ninovによって捏造されたデータに基づいたものであったと公表した。48Caを248Cmに衝突、融合させることでウンウンヘキシウムが生成したとされていた。
1980年代 - 1990年代にUFO陰謀説がもてはやされた際、ボブ・ラザールは116番元素がUFOの燃料であると主張した。その説によると、核子を打ち込むことにより、116番元素は他の元素からステップアップさせることで発生し、116番元素が崩壊することで反物質を産むというものであった。この説は核物理学的には信じ難い内容である。
出典[編集]
Y. T. Oganessian, et al., Observation of the decay of (292) 116, Phys. Rev. C 63, 011301 (2001).
1.^ Observation of the decay of 292116 アメリカ物理学会
2.^ “Confirmed results of the 248Cm(48Ca,4n)292116 experiment” ローレンス・リバモア国立研究所
3.^ Discovery of the elements with atomic numbers greater than or equal to 113 IUPAC
4.^ “News: Start of the Name Approval Process for the Elements of Atomic Number 114 and 11” (英語). IUPAC. 2011年12月4日閲覧。
5.^ a b “フレロビウムとリバモリウム…新元素の命名案”. 読売新聞. (2011年12月4日) 2011年12月4日閲覧。
6.^ Element 114 is Named Flerovium and Element 116 is Named Livermorium IUPAC
7.^ 二つの新元素、正式命名=合成成功の研究所から(時事通信)
8.^ 元素2つ仲間入り、計114に 国際機関が認定(朝日新聞)
9.^ 114番元素Fleroviumおよび116番元素Livermoriumの日本語名称が決まりました 日本化学会
加速器
加速器(かそくき、particle accelerator)とは、荷電粒子を加速する装置の総称を言う。原子核/素粒子の実験[1]に用いられるほか癌治療などにも応用される。
目次 [非表示]
1 概要
2 加速方式から見た加速器の種類 2.1 静電加速器 2.1.1 コッククロフト・ウォルトン型
2.1.2 バンデグラフ型
2.2 線形加速器
2.3 円形加速器 2.3.1 サイクロトロン 2.3.1.1 古典的なサイクロトロン
2.3.1.2 AVFサイクロトロン
3 加速粒子から見た加速器の種類 3.1 レプトンコライダー
3.2 ハドロンコライダー
3.3 重イオンコライダー
4 加速器開発の歴史
5 用途
6 世界のおもな加速器研究施設 6.1 日本 6.1.1 基礎的分野
6.1.2 産業応用分野
6.1.3 医学応用分野
6.1.4 放射光研究
6.2 アメリカ合衆国 6.2.1 国立施設
6.2.2 私立施設 (NSFやDARPAの支援を受ける)
6.3 ヨーロッパ連合 6.3.1 ドイツ
7 参考文献
8 関連項目
9 外部リンク
概要[編集]
α線の散乱実験などで業績のあったアーネスト・ラザフォードは、天然放射性物質から出る α 線(エネルギー値 7.7MeV)を窒素原子核に当てることで窒素原子核が破壊されることを発見した(1919年)。これが最初の原子核の破壊実験であった。この発見から、荷電粒子(イオン、電子)に 7.7MeV 程度の電位をかけて加速し、対象となる原子核に当てる(原子核にエネルギーを与える)ことで人工的に原子核が破壊できるのではないかと考えられた。
1932年にコッククロフト(Cockcroft)とウォルトン(Walton)は、当時から良く知られていた倍電圧整流回路を改良拡張することで 800kV の高電圧と、それに耐えるイオン加速管を開発し、加速した陽子を当てることでリチウム原子核を人工的に他の原子核に変換させることに成功した[2]。またこの実験により、特殊相対性理論からの帰結である E ≒ mc2 が定量的に検証されるなど、加速器による原子核研究の端緒を開いた[3]。
この実験の成功を契機に既に盛り上がっていた加速器開発及び原子核研究はさらに勢いを増し、原子核を構成する陽子や中性子も破壊するための巨大加速器の建設が進んで行った。
加速方式から見た加速器の種類[編集]
静電加速器[編集]
電極間に直流高電圧を付加し、その電位差により荷電粒子を加速する装置。連続ビームを得られるのは静電加速器のみである。加速エネルギーの上限は付加することのできる電圧の大きさに依存する。最大加速電圧はバンデグラフ型の場合で数十MeV(メガ電子ボルト)であり多くの場合原子核/素粒子実験で必要とされるエネルギーを達成できない。そのため後述する線形加速器や円形加速器の入射加速器として使用されることが多い。直流高電圧を作り出す方法により以下の2つの方式に分類される。
コッククロフト・ウォルトン型[編集]
ダイオードとコンデンサーを用いた倍電圧整流回路を用いて高電圧を得る方式、アーネスト・ウォルトンとジョン・コッククロフトが確立した。加速エネルギーは数百keV - 数MeV程度。
バンデグラフ型[編集]
絶縁物のベルトに電荷を乗せて電極に運び高電圧を得る方式。1930年にロベルト・ヴァンデグラフにより実用化された。加速エネルギーは10MeVほど。
バンデグラフの派生版としては、電荷移送ベルトの代わりに金属円筒を絶縁性プラスチックでつないだペレットチェーンを用いたペレトロンが存在する。加速エネルギーは20MeVほど。
また加速粒子として負イオンを用いて正電極に向けて加速し、正電極内で炭素膜などで電子を剥ぎ取って正イオンにし接地電極に向けて再度加速することで、高電圧を2重に利用する効率の良い加速が可能となる。これをタンデム加速器という。
線形加速器[編集]
放射線治療用線形加速器
電極間にかけられる電圧にはさまざまな実用上の問題から上限が存在する。その上限を超えて粒子を加速する工夫をしたもののうち、粒子を一直線上で加速するものを線形加速器と呼ぶ。ライナック(linac)やリニアック(lineac)とも呼ばれることがあるが、いずれも英語で線形加速器を意味する"Linear Accelerator"にちなむ。
基本的な構造は多数の導体筒を並べたものである。隣り合った導体筒同士が異符号に帯電するように高周波電圧を印加する。それぞれの筒の間(以下ギャップと称す)では電場が存在するので粒子に力が働く。一方筒の内部は一様電位なので電場が存在せず粒子は力を受けない。筒の長さと印加する高周波の周波数をうまく調整してやると、筒の中を通る粒子がギャップを通過するたびに加速するように調整することが可能である。
この方式でエネルギーの大きなものを作ろうとすると加速器の長さを長くしなければならない。当然加速器が大きくなれば技術的にも敷地の点でも困難は増す。したがって従来の線形加速器の加速エネルギーは数百MeV程度までであって、それ以上のエネルギーを必要とするときはサイクロトロンやシンクロトロンが用いられてきた。この場合シンクロトロンの入射器として線形加速器が用いられることが多い。
しかしながら21世紀に入って高エネルギー実験の最前線に挑戦する新しい線形加速器の建造が期待されるようになった。これは電子を加速する際にシンクロトロンを用いるとシンクロトロン輻射の影響でせいぜい十数GeVのエネルギーを達成するのがやっとであるという壁に突き当たったからである。いっぽう線形加速器は文字どおりまっすぐで加速粒子を曲げる必要が無いためシンクロトロン輻射の影響を考える必要が無く、加速器自体の物理的な長ささえ確保できればより高エネルギーまで加速することが可能である。
円形加速器[編集]
荷電粒子は磁場中を通るとローレンツ力を受けて曲げられる。これを利用して荷電粒子に円形の軌道を描かせながら加速する加速器を作ることができる[4]。
下記のほか、シンクロトロン、ベータトロン、リングサイクロトロンがある。
サイクロトロン[編集]
磁場を用いて荷電粒子に円形の軌道を描かせて加速する加速器のうち、磁場が時間的に変化しないものをサイクロトロン(cyclotron)と呼ぶ。
古典的なサイクロトロン[編集]
サイクロトロンの基本的な構成は一様磁場中に設置された2つの半円形の電極である。電極は直線になっている側が開放された中空の構造で、開放された端が向かい合うように設置されている。
加速を開始するためにはサイクロトロンの中心付近に荷電粒子を入射し、電極に交流電圧を印加する。電極間の電場によって加速された荷電粒子は電極の中の一様電場中で磁場から受けるローレンツ力のみをうけて円形軌道を描き、再びギャップに到達する。このときにちょうど反対の電場が電極間に生じるような磁場、電極間電圧の周波数を選んでやると粒子は再び加速されもうひとつの電極の中を先ほどより半径の大きな円形軌道を描き飛行する。軌道の拡大と粒子の飛行速度の増加がつりあうため次に粒子がギャップに到達するまでにかかる時間は先ほどと同じである(等時性)。したがって、一旦加速をはじめた粒子はギャップに到達するごとに加速され大きなエネルギーを比較的容易に達成することができる。
以上は理想的なサイクロトロンに関する記述であるが、実際にはいくつかの制限がある。まず粒子の散逸を防ぎ安定した加速を実現するために粒子を収束(フォーカシング)する必要があり、そのためには磁場を一様な状態からずらさなければならないということである。もうひとつは、粒子が相対論的速度(光速に近い速度)まで加速されるともはや上記の等時性は成り立たず加速を継続することが出来なくなるという点である。
これらの問題点を解消するために歴史的には様々な工夫がなされてきたが、エネルギーフロンティアの開拓はシンクロトロンに道を譲ることとなった。現代のサイクロトロンはセクター型にすることにより上記の問題を部分的に解決し、大強度重イオン加速器として原子核物理学の発展に寄与している。
AVFサイクロトロン[編集]
[icon] この節の加筆が望まれています。
強収束の原理を用いたサイクロトロン。
加速粒子から見た加速器の種類[編集]
現代の高エネルギー加速器は一部の例外を除きシンクロトロンである。しかし同じシンクロトロンであっても加速対象の粒子によって設計は異なる。
レプトンコライダー[編集]
レプトン(主に電子・陽電子)は電荷に比べて質量が軽いため軌道を曲げるのは簡単であるが、速度が速いため円形加速器を用いた場合シンクロトロン輻射の影響でエネルギーロスが大きい。したがってベンディングマグネットは小さいものでもかまわないが加速装置が巨大になり、設計にも困難をきたす。そのため2004年現在において次世代高エネルギー電子コライダーとして線形加速器を用いたリニアコライダーを建設することが計画されている。
ハドロンコライダー[編集]
ハドロン(主に陽子・反陽子)は電荷に比べて質量が重いため高エネルギーで軌道を曲げてもシンクロトロン放射をおこしにくい。そのため強力な磁石で、半径の小さな高エネルギー加速器ができる。
重イオンコライダー[編集]
高エネルギー重イオン同士の衝突のような高温高密度状態ではクォークグルーオンプラズマのような新しい物質相が生成されると考えられているので、このような状態を作り出すための重イオン加速器が存在する。重イオンは陽子よりもさらに曲げにくいためにその設計はより困難である。現在もっともエネルギーの高い重イオンコライダーは、アメリカブルックヘブン国立研究所にある相対論的重イオンコライダー(Relativistic Heavy Ion Collider, RHIC)である。CERN(セルン)の次世代ハドロンコライダーであるLHC(ラージハドロンコライダー,Large Hadron Collider)は重イオンコライダー実験を行うこともできるように計画されている。
加速器開発の歴史[編集]
1952年12月に完成した「理研・第3号サイクロトロン」のイオン加速器(国立科学博物館の展示)[5]
初期の加速器は粒子の加速に高電圧を利用するものだったが、1931年にアーネスト・ローレンスにより高周波の電場を利用した線形加速器や磁場を使った円型の加速器サイクロトロンが開発され、1934年にローレンスは特許を取得した。
1944年に位相安定性原理を加速に用いるシンクロトロンが誕生。1952年に強収束の原理が発見、粒子を加速するエネルギーはそれまでの1 - 10万倍になった。
初期の加速器では粒子を固定標的にあてて出てくる粒子を調べていたが、エネルギー効率が悪かったため2つの粒子をそれぞれ正面から衝突させるようになる。この方法で、エネルギーがより反応へ向けられることとなった。
日本では理化学研究所の仁科芳雄博士らが1937年から陽子サイクロトロンを建設、しかし、太平洋戦争(大東亜戦争)の敗戦でGHQの指示によりサイクロトロンが破壊された。当時の部品で現存するのは、「ポール・チップ」と呼ばれる磁極として使われた鉄製円盤(直径約1メートル、厚さ約0.15メートル、重さ約250キロ)1枚のみである。今まで部品は全て廃棄されていたと思われていたが、京都大学の研究者が保管し続けていたという[6]。
1951年5月に来日したローレンスの助言により12月に科研(理研)で小型サイクロトロンの建設が始まり、1952年12月に運転を始めた。東北大学の北垣敏男による機能分離型強収斂の提案がなされる、これにより理論上100億電子ボルト以上の出力が可能になった。1961年に完成したのが東京大学原子核研究所の7億eV電子シンクロトロン。電子シンクロトロンは1966年には13億eVに到達。1971年に高エネルギー物理学研究所(KEK、現・高エネルギー加速器研究機構)発足、陽子シンクロトロン建設開始。そして1976年、120億eVの陽子シンクロトロンが完成。
超伝導加速空洞モジュール
1986年に完成したKEKのトリスタン電子・陽電子コライダーはそれぞれの粒子を250億eVまで加速して衝突させ、重心系衝突エネルギー500億eVに到達。1988年から世界で初めて超伝導加速空洞を大規模に導入し、1989年にはビームエネルギー320億eVを達成した(なお超伝導加速空洞はトリスタン実験以来、様々な大型粒子加速実験装置で採用されることになった)[7]。
1994年にKEKのトリスタン電子・陽電子コライダーの後続であるKEKB加速器(B-Factory)の建設が開始、1999年に完成。現在に至る。
用途[編集]
高エネルギー物理学
放射光
ポジトロン断層法 - 診断用短寿命核種を生産する。
世界のおもな加速器研究施設[編集]
日本[編集]
基礎的分野[編集]
東北大学電子光理学研究センター (旧原子核理学研究施設)[1]
東北大学サイクロトロンRIセンター [2]
高エネルギー加速器研究機構 [3]
理化学研究所 [4] 仁科加速器研究センター [5]
大阪大学核物理研究センター [6]
京都大学化学研究所 [7]
九州大学粒子物理学講座[8]
産業応用分野[編集]
SPring-8 [9]
医学応用分野[編集]
放射線医学総合研究所 [10]
放射光研究[編集]
分子科学研究所極端紫外光研究施設(UVSOR-II)
兵庫県立大学高度産業科学技術研究所(NewSUBARU)
広島大学放射光科学研究センター(HiSOR)
佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター(SAGA-LS)
立命館大学SRセンター
アメリカ合衆国[編集]
国立施設[編集]
フェルミ国立加速器研究所 [11]
ブルックヘブン国立研究所 [12]
私立施設 (NSFやDARPAの支援を受ける)[編集]
スタンフォード線形加速器センター [13]
ヨーロッパ連合[編集]
欧州原子核研究機構 [14]
ドイツ[編集]
ドイツ電子シンクロトロン [15]
参考文献[編集]
1.^ 原子核/素粒子の加速器実験には加速された粒子を固定標的に当てるフィックスドターゲット実験と、向かい合わせに加速した粒子を正面衝突させるコライダー実験がある。
2.^ ラザフォードの実験により必要なエネルギー量は 7.7MeV 程度必要ではないかと考えられていたが、この実験により結局 200keV 以下でも原子核変換が可能であることが判明した。
3.^ 物理学会(1981) pp.2-3
4.^ 高エネルギーの電子は軌道を曲げると光を発するので(シンクロトロン輻射)、大強度の高エネルギー光線を得る目的で電子シンクロトロンを用いる場合がある。このような施設を放射光施設と呼んでいる。
5.^ 理研・再建サイクロトロンの加速箱 国立科学博物館
6.^ 「サイクロトロン部品が現存 破棄のはず… 戦中に京都帝大開発」 京都新聞、2007年8月14日。
7.^ トリスタン計画報告書
『加速器とその応用』 日本物理学会、丸善、1981年。
関連項目[編集]
放射線療法
重粒子線がん治療
超伝導超大型加速器(テキサスに世界最大の加速器として計画されたが、諸般の事情から中止になった)
目次 [非表示]
1 概要
2 加速方式から見た加速器の種類 2.1 静電加速器 2.1.1 コッククロフト・ウォルトン型
2.1.2 バンデグラフ型
2.2 線形加速器
2.3 円形加速器 2.3.1 サイクロトロン 2.3.1.1 古典的なサイクロトロン
2.3.1.2 AVFサイクロトロン
3 加速粒子から見た加速器の種類 3.1 レプトンコライダー
3.2 ハドロンコライダー
3.3 重イオンコライダー
4 加速器開発の歴史
5 用途
6 世界のおもな加速器研究施設 6.1 日本 6.1.1 基礎的分野
6.1.2 産業応用分野
6.1.3 医学応用分野
6.1.4 放射光研究
6.2 アメリカ合衆国 6.2.1 国立施設
6.2.2 私立施設 (NSFやDARPAの支援を受ける)
6.3 ヨーロッパ連合 6.3.1 ドイツ
7 参考文献
8 関連項目
9 外部リンク
概要[編集]
α線の散乱実験などで業績のあったアーネスト・ラザフォードは、天然放射性物質から出る α 線(エネルギー値 7.7MeV)を窒素原子核に当てることで窒素原子核が破壊されることを発見した(1919年)。これが最初の原子核の破壊実験であった。この発見から、荷電粒子(イオン、電子)に 7.7MeV 程度の電位をかけて加速し、対象となる原子核に当てる(原子核にエネルギーを与える)ことで人工的に原子核が破壊できるのではないかと考えられた。
1932年にコッククロフト(Cockcroft)とウォルトン(Walton)は、当時から良く知られていた倍電圧整流回路を改良拡張することで 800kV の高電圧と、それに耐えるイオン加速管を開発し、加速した陽子を当てることでリチウム原子核を人工的に他の原子核に変換させることに成功した[2]。またこの実験により、特殊相対性理論からの帰結である E ≒ mc2 が定量的に検証されるなど、加速器による原子核研究の端緒を開いた[3]。
この実験の成功を契機に既に盛り上がっていた加速器開発及び原子核研究はさらに勢いを増し、原子核を構成する陽子や中性子も破壊するための巨大加速器の建設が進んで行った。
加速方式から見た加速器の種類[編集]
静電加速器[編集]
電極間に直流高電圧を付加し、その電位差により荷電粒子を加速する装置。連続ビームを得られるのは静電加速器のみである。加速エネルギーの上限は付加することのできる電圧の大きさに依存する。最大加速電圧はバンデグラフ型の場合で数十MeV(メガ電子ボルト)であり多くの場合原子核/素粒子実験で必要とされるエネルギーを達成できない。そのため後述する線形加速器や円形加速器の入射加速器として使用されることが多い。直流高電圧を作り出す方法により以下の2つの方式に分類される。
コッククロフト・ウォルトン型[編集]
ダイオードとコンデンサーを用いた倍電圧整流回路を用いて高電圧を得る方式、アーネスト・ウォルトンとジョン・コッククロフトが確立した。加速エネルギーは数百keV - 数MeV程度。
バンデグラフ型[編集]
絶縁物のベルトに電荷を乗せて電極に運び高電圧を得る方式。1930年にロベルト・ヴァンデグラフにより実用化された。加速エネルギーは10MeVほど。
バンデグラフの派生版としては、電荷移送ベルトの代わりに金属円筒を絶縁性プラスチックでつないだペレットチェーンを用いたペレトロンが存在する。加速エネルギーは20MeVほど。
また加速粒子として負イオンを用いて正電極に向けて加速し、正電極内で炭素膜などで電子を剥ぎ取って正イオンにし接地電極に向けて再度加速することで、高電圧を2重に利用する効率の良い加速が可能となる。これをタンデム加速器という。
線形加速器[編集]
放射線治療用線形加速器
電極間にかけられる電圧にはさまざまな実用上の問題から上限が存在する。その上限を超えて粒子を加速する工夫をしたもののうち、粒子を一直線上で加速するものを線形加速器と呼ぶ。ライナック(linac)やリニアック(lineac)とも呼ばれることがあるが、いずれも英語で線形加速器を意味する"Linear Accelerator"にちなむ。
基本的な構造は多数の導体筒を並べたものである。隣り合った導体筒同士が異符号に帯電するように高周波電圧を印加する。それぞれの筒の間(以下ギャップと称す)では電場が存在するので粒子に力が働く。一方筒の内部は一様電位なので電場が存在せず粒子は力を受けない。筒の長さと印加する高周波の周波数をうまく調整してやると、筒の中を通る粒子がギャップを通過するたびに加速するように調整することが可能である。
この方式でエネルギーの大きなものを作ろうとすると加速器の長さを長くしなければならない。当然加速器が大きくなれば技術的にも敷地の点でも困難は増す。したがって従来の線形加速器の加速エネルギーは数百MeV程度までであって、それ以上のエネルギーを必要とするときはサイクロトロンやシンクロトロンが用いられてきた。この場合シンクロトロンの入射器として線形加速器が用いられることが多い。
しかしながら21世紀に入って高エネルギー実験の最前線に挑戦する新しい線形加速器の建造が期待されるようになった。これは電子を加速する際にシンクロトロンを用いるとシンクロトロン輻射の影響でせいぜい十数GeVのエネルギーを達成するのがやっとであるという壁に突き当たったからである。いっぽう線形加速器は文字どおりまっすぐで加速粒子を曲げる必要が無いためシンクロトロン輻射の影響を考える必要が無く、加速器自体の物理的な長ささえ確保できればより高エネルギーまで加速することが可能である。
円形加速器[編集]
荷電粒子は磁場中を通るとローレンツ力を受けて曲げられる。これを利用して荷電粒子に円形の軌道を描かせながら加速する加速器を作ることができる[4]。
下記のほか、シンクロトロン、ベータトロン、リングサイクロトロンがある。
サイクロトロン[編集]
磁場を用いて荷電粒子に円形の軌道を描かせて加速する加速器のうち、磁場が時間的に変化しないものをサイクロトロン(cyclotron)と呼ぶ。
古典的なサイクロトロン[編集]
サイクロトロンの基本的な構成は一様磁場中に設置された2つの半円形の電極である。電極は直線になっている側が開放された中空の構造で、開放された端が向かい合うように設置されている。
加速を開始するためにはサイクロトロンの中心付近に荷電粒子を入射し、電極に交流電圧を印加する。電極間の電場によって加速された荷電粒子は電極の中の一様電場中で磁場から受けるローレンツ力のみをうけて円形軌道を描き、再びギャップに到達する。このときにちょうど反対の電場が電極間に生じるような磁場、電極間電圧の周波数を選んでやると粒子は再び加速されもうひとつの電極の中を先ほどより半径の大きな円形軌道を描き飛行する。軌道の拡大と粒子の飛行速度の増加がつりあうため次に粒子がギャップに到達するまでにかかる時間は先ほどと同じである(等時性)。したがって、一旦加速をはじめた粒子はギャップに到達するごとに加速され大きなエネルギーを比較的容易に達成することができる。
以上は理想的なサイクロトロンに関する記述であるが、実際にはいくつかの制限がある。まず粒子の散逸を防ぎ安定した加速を実現するために粒子を収束(フォーカシング)する必要があり、そのためには磁場を一様な状態からずらさなければならないということである。もうひとつは、粒子が相対論的速度(光速に近い速度)まで加速されるともはや上記の等時性は成り立たず加速を継続することが出来なくなるという点である。
これらの問題点を解消するために歴史的には様々な工夫がなされてきたが、エネルギーフロンティアの開拓はシンクロトロンに道を譲ることとなった。現代のサイクロトロンはセクター型にすることにより上記の問題を部分的に解決し、大強度重イオン加速器として原子核物理学の発展に寄与している。
AVFサイクロトロン[編集]
[icon] この節の加筆が望まれています。
強収束の原理を用いたサイクロトロン。
加速粒子から見た加速器の種類[編集]
現代の高エネルギー加速器は一部の例外を除きシンクロトロンである。しかし同じシンクロトロンであっても加速対象の粒子によって設計は異なる。
レプトンコライダー[編集]
レプトン(主に電子・陽電子)は電荷に比べて質量が軽いため軌道を曲げるのは簡単であるが、速度が速いため円形加速器を用いた場合シンクロトロン輻射の影響でエネルギーロスが大きい。したがってベンディングマグネットは小さいものでもかまわないが加速装置が巨大になり、設計にも困難をきたす。そのため2004年現在において次世代高エネルギー電子コライダーとして線形加速器を用いたリニアコライダーを建設することが計画されている。
ハドロンコライダー[編集]
ハドロン(主に陽子・反陽子)は電荷に比べて質量が重いため高エネルギーで軌道を曲げてもシンクロトロン放射をおこしにくい。そのため強力な磁石で、半径の小さな高エネルギー加速器ができる。
重イオンコライダー[編集]
高エネルギー重イオン同士の衝突のような高温高密度状態ではクォークグルーオンプラズマのような新しい物質相が生成されると考えられているので、このような状態を作り出すための重イオン加速器が存在する。重イオンは陽子よりもさらに曲げにくいためにその設計はより困難である。現在もっともエネルギーの高い重イオンコライダーは、アメリカブルックヘブン国立研究所にある相対論的重イオンコライダー(Relativistic Heavy Ion Collider, RHIC)である。CERN(セルン)の次世代ハドロンコライダーであるLHC(ラージハドロンコライダー,Large Hadron Collider)は重イオンコライダー実験を行うこともできるように計画されている。
加速器開発の歴史[編集]
1952年12月に完成した「理研・第3号サイクロトロン」のイオン加速器(国立科学博物館の展示)[5]
初期の加速器は粒子の加速に高電圧を利用するものだったが、1931年にアーネスト・ローレンスにより高周波の電場を利用した線形加速器や磁場を使った円型の加速器サイクロトロンが開発され、1934年にローレンスは特許を取得した。
1944年に位相安定性原理を加速に用いるシンクロトロンが誕生。1952年に強収束の原理が発見、粒子を加速するエネルギーはそれまでの1 - 10万倍になった。
初期の加速器では粒子を固定標的にあてて出てくる粒子を調べていたが、エネルギー効率が悪かったため2つの粒子をそれぞれ正面から衝突させるようになる。この方法で、エネルギーがより反応へ向けられることとなった。
日本では理化学研究所の仁科芳雄博士らが1937年から陽子サイクロトロンを建設、しかし、太平洋戦争(大東亜戦争)の敗戦でGHQの指示によりサイクロトロンが破壊された。当時の部品で現存するのは、「ポール・チップ」と呼ばれる磁極として使われた鉄製円盤(直径約1メートル、厚さ約0.15メートル、重さ約250キロ)1枚のみである。今まで部品は全て廃棄されていたと思われていたが、京都大学の研究者が保管し続けていたという[6]。
1951年5月に来日したローレンスの助言により12月に科研(理研)で小型サイクロトロンの建設が始まり、1952年12月に運転を始めた。東北大学の北垣敏男による機能分離型強収斂の提案がなされる、これにより理論上100億電子ボルト以上の出力が可能になった。1961年に完成したのが東京大学原子核研究所の7億eV電子シンクロトロン。電子シンクロトロンは1966年には13億eVに到達。1971年に高エネルギー物理学研究所(KEK、現・高エネルギー加速器研究機構)発足、陽子シンクロトロン建設開始。そして1976年、120億eVの陽子シンクロトロンが完成。
超伝導加速空洞モジュール
1986年に完成したKEKのトリスタン電子・陽電子コライダーはそれぞれの粒子を250億eVまで加速して衝突させ、重心系衝突エネルギー500億eVに到達。1988年から世界で初めて超伝導加速空洞を大規模に導入し、1989年にはビームエネルギー320億eVを達成した(なお超伝導加速空洞はトリスタン実験以来、様々な大型粒子加速実験装置で採用されることになった)[7]。
1994年にKEKのトリスタン電子・陽電子コライダーの後続であるKEKB加速器(B-Factory)の建設が開始、1999年に完成。現在に至る。
用途[編集]
高エネルギー物理学
放射光
ポジトロン断層法 - 診断用短寿命核種を生産する。
世界のおもな加速器研究施設[編集]
日本[編集]
基礎的分野[編集]
東北大学電子光理学研究センター (旧原子核理学研究施設)[1]
東北大学サイクロトロンRIセンター [2]
高エネルギー加速器研究機構 [3]
理化学研究所 [4] 仁科加速器研究センター [5]
大阪大学核物理研究センター [6]
京都大学化学研究所 [7]
九州大学粒子物理学講座[8]
産業応用分野[編集]
SPring-8 [9]
医学応用分野[編集]
放射線医学総合研究所 [10]
放射光研究[編集]
分子科学研究所極端紫外光研究施設(UVSOR-II)
兵庫県立大学高度産業科学技術研究所(NewSUBARU)
広島大学放射光科学研究センター(HiSOR)
佐賀県立九州シンクロトロン光研究センター(SAGA-LS)
立命館大学SRセンター
アメリカ合衆国[編集]
国立施設[編集]
フェルミ国立加速器研究所 [11]
ブルックヘブン国立研究所 [12]
私立施設 (NSFやDARPAの支援を受ける)[編集]
スタンフォード線形加速器センター [13]
ヨーロッパ連合[編集]
欧州原子核研究機構 [14]
ドイツ[編集]
ドイツ電子シンクロトロン [15]
参考文献[編集]
1.^ 原子核/素粒子の加速器実験には加速された粒子を固定標的に当てるフィックスドターゲット実験と、向かい合わせに加速した粒子を正面衝突させるコライダー実験がある。
2.^ ラザフォードの実験により必要なエネルギー量は 7.7MeV 程度必要ではないかと考えられていたが、この実験により結局 200keV 以下でも原子核変換が可能であることが判明した。
3.^ 物理学会(1981) pp.2-3
4.^ 高エネルギーの電子は軌道を曲げると光を発するので(シンクロトロン輻射)、大強度の高エネルギー光線を得る目的で電子シンクロトロンを用いる場合がある。このような施設を放射光施設と呼んでいる。
5.^ 理研・再建サイクロトロンの加速箱 国立科学博物館
6.^ 「サイクロトロン部品が現存 破棄のはず… 戦中に京都帝大開発」 京都新聞、2007年8月14日。
7.^ トリスタン計画報告書
『加速器とその応用』 日本物理学会、丸善、1981年。
関連項目[編集]
放射線療法
重粒子線がん治療
超伝導超大型加速器(テキサスに世界最大の加速器として計画されたが、諸般の事情から中止になった)
ウンウンペンチウム
ンウンペンチウム (英: ununpentium) は原子番号115の元素。元素記号は Uup。仮の名称である。
2013年8月現在で複数の発見報告があるが、認定に至っていない。第15族元素に属する超ウラン元素で、周期表でビスマスの下に位置するため「エカビスマス」と呼ばれることもある。
歴史[編集]
2004年2月2日、ドゥブナ合同原子核研究所とローレンスリバモア国立研究所の共同研究チームが、 カルシウムをアメリシウムと衝突させて生成に成功した[1][2]と発表した。
\,_{{20}}^{{48}}{\mathrm {Ca}}+\,_{{95}}^{{243}}{\mathrm {Am}}\to \,_{{115}}^{{291}}{\mathrm {Uup}}^{{*}}\to \,_{{115}}^{{288}}{\mathrm {Uup}}
モスクワ郊外にあるサイクロトロンにおける、2003年7月14日から8月10日までの実験で、存在時間が約87ミリ秒のウンウンペンチウムを観測し、さらにアルファ崩壊によって生じたウンウントリウムを観測、存在時間は約1.2秒だったという。
2011年1月に発表された、IUPAC と IUPAP の113から116および118番元素についての合同作業部会の報告書[3]では、115番元素の認定は見送られた。
2013年8月27日、フィジカル・レビュー誌にてスウェーデンルンド大学核物理学部のDirk Rudolph 教授のチームが、重イオン研究所で2004年の実験の再現に成功したと発表した[4]。 今後、IUPACとIUPAPでの審査・承認を経て認定されれば、新元素発見となる[5]。
出典[編集]
1.^ Oganessian, Yu. Ts.; et al. (2004). “Experiments on the synthesis of element 115 in the reaction 243Am(48Ca,xn)291-x115”. Phys. Rev. C 69: 021601.
2.^ Experiments on the synthesis of element 115 in the reaction 243Am(48Ca,xn)291−x115,7ページドブナ原子核共同研究所
3.^ Discovery of the elements with atomic numbers greater than or equal to 113IUPAC
4.^ Existence of new element confirmedルンド大学
5.^ ナショナルジオグラフィック2013年8月29日掲載
関連項目[編集]
未発見元素の一覧
2013年8月現在で複数の発見報告があるが、認定に至っていない。第15族元素に属する超ウラン元素で、周期表でビスマスの下に位置するため「エカビスマス」と呼ばれることもある。
歴史[編集]
2004年2月2日、ドゥブナ合同原子核研究所とローレンスリバモア国立研究所の共同研究チームが、 カルシウムをアメリシウムと衝突させて生成に成功した[1][2]と発表した。
\,_{{20}}^{{48}}{\mathrm {Ca}}+\,_{{95}}^{{243}}{\mathrm {Am}}\to \,_{{115}}^{{291}}{\mathrm {Uup}}^{{*}}\to \,_{{115}}^{{288}}{\mathrm {Uup}}
モスクワ郊外にあるサイクロトロンにおける、2003年7月14日から8月10日までの実験で、存在時間が約87ミリ秒のウンウンペンチウムを観測し、さらにアルファ崩壊によって生じたウンウントリウムを観測、存在時間は約1.2秒だったという。
2011年1月に発表された、IUPAC と IUPAP の113から116および118番元素についての合同作業部会の報告書[3]では、115番元素の認定は見送られた。
2013年8月27日、フィジカル・レビュー誌にてスウェーデンルンド大学核物理学部のDirk Rudolph 教授のチームが、重イオン研究所で2004年の実験の再現に成功したと発表した[4]。 今後、IUPACとIUPAPでの審査・承認を経て認定されれば、新元素発見となる[5]。
出典[編集]
1.^ Oganessian, Yu. Ts.; et al. (2004). “Experiments on the synthesis of element 115 in the reaction 243Am(48Ca,xn)291-x115”. Phys. Rev. C 69: 021601.
2.^ Experiments on the synthesis of element 115 in the reaction 243Am(48Ca,xn)291−x115,7ページドブナ原子核共同研究所
3.^ Discovery of the elements with atomic numbers greater than or equal to 113IUPAC
4.^ Existence of new element confirmedルンド大学
5.^ ナショナルジオグラフィック2013年8月29日掲載
関連項目[編集]
未発見元素の一覧
フレロビウム
フレロビウム (flerovium) は、原子番号114の元素。元素記号はFl。超ウラン元素、超アクチノイド元素のひとつである。
目次 [非表示]
1 歴史
2 特徴
3 命名
4 出典
歴史[編集]
1998年12月、ロシアのドゥブナ合同原子核研究所でプルトニウムとカルシウムの衝突実験により生成された[1]が、再確認が進んでいなかった。
\,_{{94}}^{{244}}{\mathrm {Pu}}+\,_{{20}}^{{48}}{\mathrm {Ca}}\to \,_{{114}}^{{292}}{\mathrm {Fl}}^{{*}}\to \,_{{114}}^{{289}}{\mathrm {Fl}}+\,3{}^{{1}}{\mathrm {n}}
2009年9月、アメリカのローレンス・バークレー国立研究所が287Flと286Flの生成に成功したと発表[2]した。
2010年6月にはドイツの重イオン研究所も288Flと289Flの生成を発表[3]した。このほか、理化学研究所では鉛とゲルマニウムからの元素合成が試みられている。
\,_{{82}}^{{208}}{\mathrm {Pb}}+\,_{{32}}^{{76}}{\mathrm {Ge}}\to \,_{{114}}^{{284}}{\mathrm {Fl}}^{{*}}\to \,?
特徴[編集]
原子番号114は陽子の魔法数なので、フレロビウムは前後の核種より安定で長い半減期を持つ可能性が高い。さらに中性子の魔法数184を併せ持つフレロビウム298は、半減期が数年に及ぶと予想されており、目に見える物体として物理的・化学的性質を測定できる期待がもたれている(安定の島)。
第14族元素で周期表では鉛の下に位置する。このため「エカ鉛」として酸化数+IIと+IVを持つ灰色光沢の卑金属性質が予想されている。一方、電子軌道の相対論効果や不活性電子対効果により、化学的な性質が希ガスに近い可能性[4]があり、その場合はラドンのような物性を持つと見られる。
命名[編集]
正式名称が決定するまでは、ウンウンクアジウム (Ununquadium, Uuq) という元素の系統名で呼ばれており、史上初めて「Q」を使った原子記号となっていた。
2011年1月、IUPACとIUPAPの113から116および118番元素についての合同作業部会は、114番と116番元素について早期に新元素発見と認定すべきとする報告書[5]を発表した。
ドゥブナ合同原子核研究所は、設立者ゲオルギー・フリョロフにちなんでFleroviumの名称を提案した。2011年12月にIUPACにより同案が発表され[6]、2012年5月30日に正式決定されたことが発表された[7][8][9]。日本語名称は、2012年6月に日本化学会により決定された[10]。
出典[編集]
1.^ Synthesis of Superheavy Nuclei in the 48Ca+ 244Pu Reaction アメリカ物理学会
2.^ Discovery of the Element with Atomic Number 112 IUPAC
3.^ Production and Decay of Element 114: High Cross Sections and the New Nucleus 277Hs アメリカ物理学会
4.^ GAS PHASE CHEMISTRY OF SUPERHEAVY ELEMENTS、30ページ パウル・シェラー研究所
5.^ Discovery of the elements with atomic numbers greater than or equal to 113 IUPAC
6.^ “News: Start of the Name Approval Process for the Elements of Atomic Number 114 and 11” (英語). IUPAC. 2011年12月4日閲覧。
7.^ Element 114 is Named Flerovium and Element 116 is Named Livermorium IUPAC
8.^ 二つの新元素、正式命名=合成成功の研究所から(時事通信)
9.^ 元素2つ仲間入り、計114に 国際機関が認定(朝日新聞)
10.^ 114番元素Fleroviumおよび116番元素Livermoriumの日本語名称が決まりました
目次 [非表示]
1 歴史
2 特徴
3 命名
4 出典
歴史[編集]
1998年12月、ロシアのドゥブナ合同原子核研究所でプルトニウムとカルシウムの衝突実験により生成された[1]が、再確認が進んでいなかった。
\,_{{94}}^{{244}}{\mathrm {Pu}}+\,_{{20}}^{{48}}{\mathrm {Ca}}\to \,_{{114}}^{{292}}{\mathrm {Fl}}^{{*}}\to \,_{{114}}^{{289}}{\mathrm {Fl}}+\,3{}^{{1}}{\mathrm {n}}
2009年9月、アメリカのローレンス・バークレー国立研究所が287Flと286Flの生成に成功したと発表[2]した。
2010年6月にはドイツの重イオン研究所も288Flと289Flの生成を発表[3]した。このほか、理化学研究所では鉛とゲルマニウムからの元素合成が試みられている。
\,_{{82}}^{{208}}{\mathrm {Pb}}+\,_{{32}}^{{76}}{\mathrm {Ge}}\to \,_{{114}}^{{284}}{\mathrm {Fl}}^{{*}}\to \,?
特徴[編集]
原子番号114は陽子の魔法数なので、フレロビウムは前後の核種より安定で長い半減期を持つ可能性が高い。さらに中性子の魔法数184を併せ持つフレロビウム298は、半減期が数年に及ぶと予想されており、目に見える物体として物理的・化学的性質を測定できる期待がもたれている(安定の島)。
第14族元素で周期表では鉛の下に位置する。このため「エカ鉛」として酸化数+IIと+IVを持つ灰色光沢の卑金属性質が予想されている。一方、電子軌道の相対論効果や不活性電子対効果により、化学的な性質が希ガスに近い可能性[4]があり、その場合はラドンのような物性を持つと見られる。
命名[編集]
正式名称が決定するまでは、ウンウンクアジウム (Ununquadium, Uuq) という元素の系統名で呼ばれており、史上初めて「Q」を使った原子記号となっていた。
2011年1月、IUPACとIUPAPの113から116および118番元素についての合同作業部会は、114番と116番元素について早期に新元素発見と認定すべきとする報告書[5]を発表した。
ドゥブナ合同原子核研究所は、設立者ゲオルギー・フリョロフにちなんでFleroviumの名称を提案した。2011年12月にIUPACにより同案が発表され[6]、2012年5月30日に正式決定されたことが発表された[7][8][9]。日本語名称は、2012年6月に日本化学会により決定された[10]。
出典[編集]
1.^ Synthesis of Superheavy Nuclei in the 48Ca+ 244Pu Reaction アメリカ物理学会
2.^ Discovery of the Element with Atomic Number 112 IUPAC
3.^ Production and Decay of Element 114: High Cross Sections and the New Nucleus 277Hs アメリカ物理学会
4.^ GAS PHASE CHEMISTRY OF SUPERHEAVY ELEMENTS、30ページ パウル・シェラー研究所
5.^ Discovery of the elements with atomic numbers greater than or equal to 113 IUPAC
6.^ “News: Start of the Name Approval Process for the Elements of Atomic Number 114 and 11” (英語). IUPAC. 2011年12月4日閲覧。
7.^ Element 114 is Named Flerovium and Element 116 is Named Livermorium IUPAC
8.^ 二つの新元素、正式命名=合成成功の研究所から(時事通信)
9.^ 元素2つ仲間入り、計114に 国際機関が認定(朝日新聞)
10.^ 114番元素Fleroviumおよび116番元素Livermoriumの日本語名称が決まりました
ウンウントリウム
ウンウントリウム (英: ununtrium) は原子番号113の元素。元素記号は Uut。これは仮の名称である。2012年現在で複数の発見報告があるが、認定に至っていない(#命名も参照)。
周期表で第13族元素に属し、タリウムの下に位置するため「エカタリウム」と呼ばれることもある。超ウラン元素では比較的長寿命とされ、278Uutの平均寿命は2ミリ秒であることがわかっている[1]。
目次 [非表示]
1 歴史
2 命名
3 脚注
4 関連事項
歴史[編集]
2003年8月、ドゥブナ合同原子核研究所とローレンス・リバモア国立研究所による合同研究チームがアメリシウムとカルシウムからウンウンペンチウムの元素合成に成功し、翌2004年2月、そのアルファ崩壊の過程で0.48秒間観測した[2]と発表したが、命名権は得られなかった。
\,_{{20}}^{{48}}{\mathrm {Ca}}+\,_{{95}}^{{243}}{\mathrm {Am}}\to \,^{{288,287}}{\mathrm {Uup}}\to \,^{{284,283}}{\mathrm {Uut}}\to \
2004年9月28日、理化学研究所の森田浩介博士らのグループが、線形加速器を用いて亜鉛とビスマスからの元素合成に成功した[3]と発表した。
\,_{{30}}^{{70}}{\mathrm {Zn}}+\,_{{83}}^{{209}}{\mathrm {Bi}}\to \,_{{113}}^{{279}}{\mathrm {Uut}}^{{*}}\to \,_{{113}}^{{278}}{\mathrm {Uut}}+\,_{{0}}^{{1}}{\mathrm {n}}
この実験は80日間にわたって、2.5 × 1012個/秒(1秒間に2.5兆個)の亜鉛原子核をビスマス原子核に約1.7 × 1019回照射した。生成したウンウントリウムの原子核は344マイクロ秒でα崩壊し、ウンウンウニウム(この年の11月にレントゲニウムと命名)の同位体となったのを、同年7月23日に検出している。
2006年6月には、ドゥブナ合同原子核研究所とローレンス・リバモア国立研究所による合同研究チームが、ネプツニウムとカルシウムからの合成に成功した[4]と発表している。
2009年にはドゥブナ合同原子核研究所やオークリッジ国立研究所などによるバークリウムとカルシウムからウンウンセプチウムを元素合成する共同研究において、その崩壊過程で検出されている[5]。
2012年9月27日、理化学研究所は3個目の合成を発表した。ウンウントリウム278が6回のアルファ崩壊を経てメンデレビウム254となる崩壊系列の確認に初めて成功した。前回は4回目のα崩壊で生じるドブニウム262が自発核分裂してしまったが、今回はアルファ崩壊(確率は2/3)し、次のローレンシウム258もアルファ崩壊でメンデレビウム254となるのを観測できたため、合成した原子核がウンウントリウムだと証明できた。
\,_{{113}}^{{278}}{\mathrm {Uut}}\to \,_{{111}}^{{274}}{\mathrm {Rg}}\to \,_{{109}}^{{270}}{\mathrm {Mt}}\to \,_{{107}}^{{266}}{\mathrm {Bh}}\to \,_{{105}}^{{262}}{\mathrm {Db}}\to \,_{{103}}^{{258}}{\mathrm {Lr}}\to \,_{{101}}^{{254}}{\mathrm {Md}}
命名[編集]
2011年1月に発表された、IUPAC と IUPAP の113から116および118番元素についての合同作業部会の報告書[6]では、113番元素の認定は見送られている。
理化学研究所のチームは2012年8月12日に3個目の生成に成功している。レントゲニウムは重イオン研究所が3個目の生成後に命名権を得ているため、今後命名権を獲得できる可能性が高まっている。さらに何回か生成と崩壊系列を確認すれば命名権がより確実になるだろうが、必要な設備(線形加速器だけでなく、粒子を捕捉し崩壊を観測する装置などが必要)は動かすのに数百万円 - 数十億円かかり、容易ではない。
承認されれば日本はもとよりアジアで発見された初めての元素となる。新元素名として「ジャポニウム(或いはジャパニウム[7]、予定元素記号Jp)」、湯川秀樹にちなみ「ユカワニウム(予定元素記号Yk)」、「リケニウム(理研に因む、予定元素記号Rk)」[8]、「ワコニウム(研究所がある埼玉県和光市に因む)[7]」、および「ニシナニウム(物理学者仁科芳雄に因む)[9]」が候補に挙がっている。もし Jp が採用されれば、周期表に初めて J の文字が出現する。この他、過去に43番元素として一度命名されて取り消されたことがある「ニッポニウム」(予定元素記号はネプツニウムとして使用されている Np から、Nm に変更)も候補として検討されていたという[10]。
脚注[編集]
[ヘルプ]
1.^ 3個目の113番元素の合成を新たな崩壊経路で確認 理化学研究所
2.^ Experiments on the synthesis of element 115 in the reaction 243Am(48Ca,xn)291-x115, 7ページの表ドゥブナ合同原子核研究所
3.^ 新発見の113番元素理化学研究所プレスリリース
4.^ Synthesis of the isotope 282113 in the 237Np+48Ca fusion reactionドゥブナ合同原子核研究所
5.^ Synthesis of a New Element with Atomic Number Z=117アメリカ物理学会
6.^ Discovery of the elements with atomic numbers greater than or equal to 113IUPAC
7.^ a b 113番新元素の名前は何になる?(ナショナルジオグラフィック日本版:「研究室に行ってみた。理化学研究所 超重元素合成研究チーム 森田浩介(第6回)」)
8.^ “RIKEN NEWS No.281 November 2004” (2004年11月5日). 2012年6月13日閲覧。
9.^ “新元素113番、日本の発見確実に 合成に3回成功”. 日本経済新聞 (2012年9月27日). 2012年9月27日閲覧。
10.^ ナツメ社『図解雑学シリーズ 元素』、p320
関連事項[編集]
未発見元素の一覧
レニウム - 小川正孝が1908年に43番元素として発見し、「ニッポニウム」 (nipponium, Np) と命名を発表した元素は、現在ではレニウムの可能性が高いとされる。
周期表で第13族元素に属し、タリウムの下に位置するため「エカタリウム」と呼ばれることもある。超ウラン元素では比較的長寿命とされ、278Uutの平均寿命は2ミリ秒であることがわかっている[1]。
目次 [非表示]
1 歴史
2 命名
3 脚注
4 関連事項
歴史[編集]
2003年8月、ドゥブナ合同原子核研究所とローレンス・リバモア国立研究所による合同研究チームがアメリシウムとカルシウムからウンウンペンチウムの元素合成に成功し、翌2004年2月、そのアルファ崩壊の過程で0.48秒間観測した[2]と発表したが、命名権は得られなかった。
\,_{{20}}^{{48}}{\mathrm {Ca}}+\,_{{95}}^{{243}}{\mathrm {Am}}\to \,^{{288,287}}{\mathrm {Uup}}\to \,^{{284,283}}{\mathrm {Uut}}\to \
2004年9月28日、理化学研究所の森田浩介博士らのグループが、線形加速器を用いて亜鉛とビスマスからの元素合成に成功した[3]と発表した。
\,_{{30}}^{{70}}{\mathrm {Zn}}+\,_{{83}}^{{209}}{\mathrm {Bi}}\to \,_{{113}}^{{279}}{\mathrm {Uut}}^{{*}}\to \,_{{113}}^{{278}}{\mathrm {Uut}}+\,_{{0}}^{{1}}{\mathrm {n}}
この実験は80日間にわたって、2.5 × 1012個/秒(1秒間に2.5兆個)の亜鉛原子核をビスマス原子核に約1.7 × 1019回照射した。生成したウンウントリウムの原子核は344マイクロ秒でα崩壊し、ウンウンウニウム(この年の11月にレントゲニウムと命名)の同位体となったのを、同年7月23日に検出している。
2006年6月には、ドゥブナ合同原子核研究所とローレンス・リバモア国立研究所による合同研究チームが、ネプツニウムとカルシウムからの合成に成功した[4]と発表している。
2009年にはドゥブナ合同原子核研究所やオークリッジ国立研究所などによるバークリウムとカルシウムからウンウンセプチウムを元素合成する共同研究において、その崩壊過程で検出されている[5]。
2012年9月27日、理化学研究所は3個目の合成を発表した。ウンウントリウム278が6回のアルファ崩壊を経てメンデレビウム254となる崩壊系列の確認に初めて成功した。前回は4回目のα崩壊で生じるドブニウム262が自発核分裂してしまったが、今回はアルファ崩壊(確率は2/3)し、次のローレンシウム258もアルファ崩壊でメンデレビウム254となるのを観測できたため、合成した原子核がウンウントリウムだと証明できた。
\,_{{113}}^{{278}}{\mathrm {Uut}}\to \,_{{111}}^{{274}}{\mathrm {Rg}}\to \,_{{109}}^{{270}}{\mathrm {Mt}}\to \,_{{107}}^{{266}}{\mathrm {Bh}}\to \,_{{105}}^{{262}}{\mathrm {Db}}\to \,_{{103}}^{{258}}{\mathrm {Lr}}\to \,_{{101}}^{{254}}{\mathrm {Md}}
命名[編集]
2011年1月に発表された、IUPAC と IUPAP の113から116および118番元素についての合同作業部会の報告書[6]では、113番元素の認定は見送られている。
理化学研究所のチームは2012年8月12日に3個目の生成に成功している。レントゲニウムは重イオン研究所が3個目の生成後に命名権を得ているため、今後命名権を獲得できる可能性が高まっている。さらに何回か生成と崩壊系列を確認すれば命名権がより確実になるだろうが、必要な設備(線形加速器だけでなく、粒子を捕捉し崩壊を観測する装置などが必要)は動かすのに数百万円 - 数十億円かかり、容易ではない。
承認されれば日本はもとよりアジアで発見された初めての元素となる。新元素名として「ジャポニウム(或いはジャパニウム[7]、予定元素記号Jp)」、湯川秀樹にちなみ「ユカワニウム(予定元素記号Yk)」、「リケニウム(理研に因む、予定元素記号Rk)」[8]、「ワコニウム(研究所がある埼玉県和光市に因む)[7]」、および「ニシナニウム(物理学者仁科芳雄に因む)[9]」が候補に挙がっている。もし Jp が採用されれば、周期表に初めて J の文字が出現する。この他、過去に43番元素として一度命名されて取り消されたことがある「ニッポニウム」(予定元素記号はネプツニウムとして使用されている Np から、Nm に変更)も候補として検討されていたという[10]。
脚注[編集]
[ヘルプ]
1.^ 3個目の113番元素の合成を新たな崩壊経路で確認 理化学研究所
2.^ Experiments on the synthesis of element 115 in the reaction 243Am(48Ca,xn)291-x115, 7ページの表ドゥブナ合同原子核研究所
3.^ 新発見の113番元素理化学研究所プレスリリース
4.^ Synthesis of the isotope 282113 in the 237Np+48Ca fusion reactionドゥブナ合同原子核研究所
5.^ Synthesis of a New Element with Atomic Number Z=117アメリカ物理学会
6.^ Discovery of the elements with atomic numbers greater than or equal to 113IUPAC
7.^ a b 113番新元素の名前は何になる?(ナショナルジオグラフィック日本版:「研究室に行ってみた。理化学研究所 超重元素合成研究チーム 森田浩介(第6回)」)
8.^ “RIKEN NEWS No.281 November 2004” (2004年11月5日). 2012年6月13日閲覧。
9.^ “新元素113番、日本の発見確実に 合成に3回成功”. 日本経済新聞 (2012年9月27日). 2012年9月27日閲覧。
10.^ ナツメ社『図解雑学シリーズ 元素』、p320
関連事項[編集]
未発見元素の一覧
レニウム - 小川正孝が1908年に43番元素として発見し、「ニッポニウム」 (nipponium, Np) と命名を発表した元素は、現在ではレニウムの可能性が高いとされる。