昨夜も夢の途中で目が覚めて

再びパソコンに向かいました。


ラジオをつけると「上を向いて歩こう」が

流れていました。

歌は世につれ、世は歌につれ・・とか

誰かが言っていました。



この曲を聴くと小学生のころ

両親が東京に行っていたことを

思い出します。



父は長男坊で一人の姉と二人の弟が

いました。

一番下の弟は東京に出て事業を

興していて、結婚したのですが

奥さん(つまり私の叔母)は

娘を産んだあとに癌を発症しました。

その見舞いとか家の世話とかをするために

父母は東京に行っていたんだと思います。



当時、私は小學校の高学年、

両親が家にいない、取り分け口煩い

母親がいないということで内心小躍り

していました。


「お前、長男なんじゃから、しっかり家の番を頼むぞ」

そう父親は言い残して母と夜行列車に乗り込みました。

「家の番」というのが一体なになのかも

分かっていなかったのですが、とりあえず、

自分を抑制する存在が居なくなる喜びに

あふれて「家の番」など、どうでもよかったのです。



親が居なければ学校の宿題などそっちのけで

毎日カバンを放って遅くまで遠くの山や海に

友達と探検に出掛けていました、

日曜日になれば、親のお金をくすねて

隣町の百貨店まで出掛けて食堂で

オムライスを食べるといった悪童でした。

家のまわりは田んぼばかりの環境だったので

百貨店に自分が居るということが

ものすごい環境の変化で優越感を

感じていたように思います。


余計なことながら、田舎者の都会に対する

憧れは案外幼い頃のこんな環境がつくるのだと

思います。


きっちり一週間が経ったら両親は帰って来ました。

家の中の物の散乱、紛失したお金に両親は当然怒りました。

父親は私の顔を殴り吹っ飛んだところに

鏡台があってその角で顔を切ってしまいました。

えらく血が出た記憶があり、さすがに慌てた

父親と病院に駆け込みました。

今でも私の左目尻には傷跡が残っています。



この頃、坂本九さんが「上を向いて歩こう」を

歌っていたかどうかは分かりません。

でも、この曲を聞けばその頃が甦ります。



血だらけの顔、百貨店の食堂で食べたオムライス、

友人と駆けり回った山の匂い、海の潮の香り・・・



そう、泪がこぼれないように上を向いて

いなければならないのですね。

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