2017年12月15日
4-5-3. 豪州収支関連指標(2017年版)
豪州貿易収支では取引を行っていません。
主要貿易相手国との二国間関係について詳しい情報が入りにくい上、前回発表値との修正もほぼ毎回行われており、それらの反応への影響について研究不足です。
まず、主要貿易相手国との輸出入額(通関ベース)を下図に纏めておきます。
データは2016年で、2017年分はまだ集計されていません(まだ発表されていません)。
図の横軸は、輸出+輸入の総額が大きい国順に左から並べてあります。総額は、輸入が254B.AUD、輸出が257B.AUD(Bは billion =10億の桁数記号)でした。
ともあれ、この図からは中国との貿易額が圧倒的に大きいことがわかります。
後掲するように全体の収支は、2016年に数年ぶりに貿易黒字化し、2017年もその状態が続いています。その原因は、中国経済がそれ以前に比べて好調になったため、という解説が多かったと記憶しています。
豪州の場合、貿易収支の改善/悪化が経済全般の上向き/下向きといった結論に結び付く解説記事が多くなります。そうした傾向は日米欧も同じですが、より豪州経済解説記事では顕著です。ざっくり、貿易総額500B.AUDはGDP1700B.AUDに対し1/3弱を占めているためです(数値は2016年基準)。
そういう意味で、豪州貿易収支は豪州経済全般の先行指標とも言える性格があります。貿易収支が改善/悪化すれば、雇用や消費に影響を与えると考えられています。よって、中国経済の好不調は対中輸出額に影響するので、中国経済指標でもAUDは大きく動く訳です。
次に、輸出品目についてです。
データは2016年で、2017年分はまだ集計されていません(まだ発表されていません)。
図の横軸をご覧ください。このグラフから「おや」っと思うことがあると思います。
鉄鉱石・石炭・天然ガスといった資源関連の輸出金額が大きいことならご存じだったでしょう。けれども、工業・化学製品の輸出額が食糧・食品(飲料・煙草を含む)よりも大きいことは意外ではないでしょうか。
2010年前後の中国の大発展のようなことが起きる地域がなければ、今後、主要輸出品目である資源関連の輸出金額が大きく伸びるとも思えません。中国で廃炉が進めば、むしろ、鉄鉱石・石炭は輸出減少の可能性さえあります。
牛肉はブランドが有名な割に、金額ベースで見る限り大したことありません。例え、牛肉輸出が2倍に伸びても、貿易収支全体金額への影響は大したことないのです。
と言っても、工業・化学製品を伸ばすには、ライバルが多すぎる上に、豪州は高賃金で地理的にも不利です。
こうして見ると、多くの豪州経済解説記事で豪州経済の中長期展望について、人口増に伴う成長と楽観視しているものの、疑問に思うことがあります。
尤も、このブログのように短期FX取引に特化している限り、上述の中長期展望は知識として持っていれば十分です。
指標の動きは次の通りです。
2013年の貿易収支は赤字と黒字を行き来していました。2014年になると4月分が赤字転換して、その後はずるずると毎月の赤字額が増えていきました。その額は、2015年になると毎月△20〜40億AUDの赤字が続く状態に達しました。改善の兆しは2016年からです。2016年は年初から上下動があったものの、11月分で2年8か月ぶりに黒字転換し、その後は現在(2017年9月分発表)に至るまで黒字が継続しています。
2017年年初からの貿易黒字は約150億AUDに達しました。
グラフは2015年以降のデータを纏めたものです。
まず、大掴みに見れば、2016年11月分が黒字転換してからは12か月連続で黒字が続いています。但し、どちらかと言えば黒字幅が徐々に小さくなっているように見受けられ、近々には赤字に再転換する可能性も窺わせています。
2017年に入ってからは、1-3月期+8.33億AUD、4-6月期+3.00億AUD、7-9月期+3.29億AUD(修正値を集計)、となっています。なお、昨年2016年7-9月期は△5.29億AUDの赤字でした。
10月分は修正値がまだ発表されていませんが、12月7日発表では+0.11億AUDでした。これは2016年11月分で黒字転換してからの黒字最低額となっています。1月に発表される修正値では赤字化する可能性さえあります。
豪州貿易指標では取引をしていません。
主要貿易相手国との二国間関係について詳しい情報が入りにくい上、前回発表値との修正もほぼ毎回行われており、それらの反応への影響について研究不足だったからです。
けれども、豪州貿易収支は豪州経済の雇用や消費のトレンドを示唆している可能性があります。そして、それは中国経済指標の影響を受けている可能性が高い、と考えられます。
2018年は、中国指標のAUDへの影響や、本指標と他の豪州経済指標の定量的な関係について勉強したいと思っています。
主要貿易相手国との二国間関係について詳しい情報が入りにくい上、前回発表値との修正もほぼ毎回行われており、それらの反応への影響について研究不足です。
(1) 中長期トレンド考察
まず、主要貿易相手国との輸出入額(通関ベース)を下図に纏めておきます。
データは2016年で、2017年分はまだ集計されていません(まだ発表されていません)。
図の横軸は、輸出+輸入の総額が大きい国順に左から並べてあります。総額は、輸入が254B.AUD、輸出が257B.AUD(Bは billion =10億の桁数記号)でした。
ともあれ、この図からは中国との貿易額が圧倒的に大きいことがわかります。
後掲するように全体の収支は、2016年に数年ぶりに貿易黒字化し、2017年もその状態が続いています。その原因は、中国経済がそれ以前に比べて好調になったため、という解説が多かったと記憶しています。
豪州の場合、貿易収支の改善/悪化が経済全般の上向き/下向きといった結論に結び付く解説記事が多くなります。そうした傾向は日米欧も同じですが、より豪州経済解説記事では顕著です。ざっくり、貿易総額500B.AUDはGDP1700B.AUDに対し1/3弱を占めているためです(数値は2016年基準)。
そういう意味で、豪州貿易収支は豪州経済全般の先行指標とも言える性格があります。貿易収支が改善/悪化すれば、雇用や消費に影響を与えると考えられています。よって、中国経済の好不調は対中輸出額に影響するので、中国経済指標でもAUDは大きく動く訳です。
次に、輸出品目についてです。
データは2016年で、2017年分はまだ集計されていません(まだ発表されていません)。
図の横軸をご覧ください。このグラフから「おや」っと思うことがあると思います。
鉄鉱石・石炭・天然ガスといった資源関連の輸出金額が大きいことならご存じだったでしょう。けれども、工業・化学製品の輸出額が食糧・食品(飲料・煙草を含む)よりも大きいことは意外ではないでしょうか。
2010年前後の中国の大発展のようなことが起きる地域がなければ、今後、主要輸出品目である資源関連の輸出金額が大きく伸びるとも思えません。中国で廃炉が進めば、むしろ、鉄鉱石・石炭は輸出減少の可能性さえあります。
牛肉はブランドが有名な割に、金額ベースで見る限り大したことありません。例え、牛肉輸出が2倍に伸びても、貿易収支全体金額への影響は大したことないのです。
と言っても、工業・化学製品を伸ばすには、ライバルが多すぎる上に、豪州は高賃金で地理的にも不利です。
こうして見ると、多くの豪州経済解説記事で豪州経済の中長期展望について、人口増に伴う成長と楽観視しているものの、疑問に思うことがあります。
(2) 指標関係
尤も、このブログのように短期FX取引に特化している限り、上述の中長期展望は知識として持っていれば十分です。
指標の動きは次の通りです。
2013年の貿易収支は赤字と黒字を行き来していました。2014年になると4月分が赤字転換して、その後はずるずると毎月の赤字額が増えていきました。その額は、2015年になると毎月△20〜40億AUDの赤字が続く状態に達しました。改善の兆しは2016年からです。2016年は年初から上下動があったものの、11月分で2年8か月ぶりに黒字転換し、その後は現在(2017年9月分発表)に至るまで黒字が継続しています。
2017年年初からの貿易黒字は約150億AUDに達しました。
グラフは2015年以降のデータを纏めたものです。
まず、大掴みに見れば、2016年11月分が黒字転換してからは12か月連続で黒字が続いています。但し、どちらかと言えば黒字幅が徐々に小さくなっているように見受けられ、近々には赤字に再転換する可能性も窺わせています。
2017年に入ってからは、1-3月期+8.33億AUD、4-6月期+3.00億AUD、7-9月期+3.29億AUD(修正値を集計)、となっています。なお、昨年2016年7-9月期は△5.29億AUDの赤字でした。
10月分は修正値がまだ発表されていませんが、12月7日発表では+0.11億AUDでした。これは2016年11月分で黒字転換してからの黒字最低額となっています。1月に発表される修正値では赤字化する可能性さえあります。
豪州貿易指標では取引をしていません。
主要貿易相手国との二国間関係について詳しい情報が入りにくい上、前回発表値との修正もほぼ毎回行われており、それらの反応への影響について研究不足だったからです。
けれども、豪州貿易収支は豪州経済の雇用や消費のトレンドを示唆している可能性があります。そして、それは中国経済指標の影響を受けている可能性が高い、と考えられます。
2018年は、中国指標のAUDへの影響や、本指標と他の豪州経済指標の定量的な関係について勉強したいと思っています。
以上
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