2017年07月03日
英国景気指標「製造業PMI」発表時のGBPJPY反応分析(2017年7月3日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年7月3日17:30に英国景気指標「製造業PMI」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50[ips](上回ると景気拡大・50[ips](Index Points)を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことが29回中14回です。事後差異(発表結果ー市場予想)が前月に続いてプラスかマイナスが続いたことは11回です。つまり、入れ替わりが起きたとき14回と起きなかったとき11回のうち、起きなかったときの比率は44%です。
一見すると市場予想後追い型に見えますが、意外に大小関係の入れ替わり頻度が高く、本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応が大きいことです。
発表前にも直前10-1分足跳幅が10pipsに達したことが19回(母数29回)、20pipsに達したことが7回あります。ちなみに、直前10-1分足が20pipsに達した7回のうち、直後1分足跳幅が20pipsに達したのは3回ですから、発表前の反応が大きいから発表後の反応も大きくなるという関係はありません。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は85%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各83%・65%です。また、直後1分足終値がついた時点で、さらに反応を伸ばした確率は56%で、直後1分足値幅を削ったり反応方向が反転したことは45%です。
よって、本指標は追撃に適しています。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前10-1分足は陽線、直後1分足は陰線となったことが3回に2回以上となっています。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。よって、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている兆しは見受けられません。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異は、直後11分足との方向一致率が29%(不一致率71%)です。現時点で事前差異はマイナスとなっているので、こういうときには直後11分足が陽線となりがちです。
事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各96%・82%です。発表結果の市場予想に対する良し悪しに非常に素直に反応します。
実態差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各85%・74%です。発表結果の前回結果に対する良し悪しにも非常に素直に反応します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以下は2017年7月3日20:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・市場予想を下回り、反応は陰線でした。
発表値は54.3ですから、悪い数字ではありません。参考にすべき基準は、2016年7月のEU離脱国民投票直後が48付近、2017年5月の総選挙表明後・総選挙前月が58弱です。
取引結果は次の通りでした。
追撃しやすい指標ですから、利確はシナリオ通りです。
シナリオ外取引の論拠は、勝率でなく期待値をアテにしてでした。
先週のBOE総裁による利上げ検討の報道に対し、もしPMIが良くても既にGBPにはそのことが折込まれています。一方、利上げ検討前に景況感が悪化すると、利上げが難しくなってしまいます。よって、先週のGBPの大きな上昇分をかなり失う可能性がある、と考えてのポジション取得でした。
事前調査分析内容を、以下に検証します
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年7月3日17:30に英国景気指標「製造業PMI」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標要点を以下図表に纏めておきました。図表の細かな文字が見えにくければクリックしてください。
本指標の調査・分析の結論は以下の通りです。
- 英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応が大きいのでご注意ください。
発表結果の良し悪しに非常に素直に反応し、追撃に適した指標です。 - 素直に反応する特徴は、以下の過去実績に裏付けられています。
すなわち、事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各96%・82%となっています。また実態差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各85%・74%となっています。 - 追撃に適している特徴は、以下の過去実績に裏付けられています。
すなわち、直後1分足と直後11分足との方向一致率は85%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各83%・65%です。また、直後1分足終値がついた時点で、さらに反応を伸ばした確率は56%で、直後1分足値幅を削ったり反応方向が反転したことは45%です。 - 指標発表前の早すぎるポジション取得には注意が必要です。発表前に直前10-1分足跳幅が10pipsに達したことが19回(母数29回)、20pipsに達したことが7回あります。がしかし、直前10-1分足が20pipsに達した7回のうち、直後1分足跳幅が20pipsに達したのは3回ですから、発表前の反応が大きいから発表後の反応も大きくなるという関係はありません。
- 市場予想と発表結果を同時にプロットしたグラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。がしかし、調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことが29回中14回です。事後差異(発表結果ー市場予想)が前月に続いてプラスかマイナスが続いたことは11回です。つまり、入れ替わりが起きたとき14回と起きなかったとき11回のうち、起きなかったときの比率は44%です。
よって、市場予想後追い型に見えますが、本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。 - 以上の調査・分析結果に基づき、反応方向を確認次第、追撃を行います。
大きく反応する指標ですから、指標発表時刻を跨いで無理をする必要はありません。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため先行性がある、と考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業も販売機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、景況感の「先行性」については、以前ほど当てにならないようです。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50[ips](上回ると景気拡大・50[ips](Index Points)を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
グラフを一見すると、「市場予想後追い型」に見えなくもありません。確認しておきましょう。
調査期間において発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことが29回中14回です。事後差異(発表結果ー市場予想)が前月に続いてプラスかマイナスが続いたことは11回です。つまり、入れ替わりが起きたとき14回と起きなかったとき11回のうち、起きなかったときの比率は44%です。
一見すると市場予想後追い型に見えますが、意外に大小関係の入れ替わり頻度が高く、本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
英国重要指標全般に言えることですが、指標発表結果への反応が大きいことです。
発表前にも直前10-1分足跳幅が10pipsに達したことが19回(母数29回)、20pipsに達したことが7回あります。ちなみに、直前10-1分足が20pipsに達した7回のうち、直後1分足跳幅が20pipsに達したのは3回ですから、発表前の反応が大きいから発表後の反応も大きくなるという関係はありません。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は85%です。そして、直後1分足と直後11分足とを比較し、跳値同士・終値同士で反応が伸びたことは各83%・65%です。また、直後1分足終値がついた時点で、さらに反応を伸ばした確率は56%で、直後1分足値幅を削ったり反応方向が反転したことは45%です。
よって、本指標は追撃に適しています。
反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前10-1分足は陽線、直後1分足は陰線となったことが3回に2回以上となっています。
そして、反応性分析に挙げた直後1分足と直後11分足の方向一致率を除けば、あるローソク足と他のローソク足との方向一致率が30%以下もしくは70%以上になっていません。よって、本指標発表前後のローソク足の方向は、取引参加者が後の動きを予見できている兆しは見受けられません。
指標一致性分析の結果を下図に示します。
事前差異は、直後11分足との方向一致率が29%(不一致率71%)です。現時点で事前差異はマイナスとなっているので、こういうときには直後11分足が陽線となりがちです。
事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各96%・82%です。発表結果の市場予想に対する良し悪しに非常に素直に反応します。
実態差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各85%・74%です。発表結果の前回結果に対する良し悪しにも非常に素直に反応します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以上
2017年7月3日17:30発表
以下は2017年7月3日20:30頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回・市場予想を下回り、反応は陰線でした。
発表値は54.3ですから、悪い数字ではありません。参考にすべき基準は、2016年7月のEU離脱国民投票直後が48付近、2017年5月の総選挙表明後・総選挙前月が58弱です。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
追撃しやすい指標ですから、利確はシナリオ通りです。
シナリオ外取引の論拠は、勝率でなく期待値をアテにしてでした。
先週のBOE総裁による利上げ検討の報道に対し、もしPMIが良くても既にGBPにはそのことが折込まれています。一方、利上げ検討前に景況感が悪化すると、利上げが難しくなってしまいます。よって、先週のGBPの大きな上昇分をかなり失う可能性がある、と考えてのポジション取得でした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 反応は平均的な程度で指標結果に素直なものでした。
- 直後1分足と直後11分足は方向が一致したものの、跳幅が伸びずに値幅が伸びました。追撃ポジションのタイミングが悪ければ損切になりかねない形でした。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/6432837
この記事へのトラックバック