2017年06月22日
欧州景気指標「PMI速報値」発表前後のEURJPY反応分析(2017年6月23日17:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月23日17:00に欧州景気指標「PMI速報値」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
まず、本指標で取引する上での注意点です。
次に指標定型分析の結論は次の通りです。
以上の分析結果に基づき、本指標での取引は諦めます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
独国PMI速報値における同項の説明と同じです。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
まず先に、気になる点から明らかにします。
下表に、独国PMI速報値との指標結果・反応結果の一致率を纏めています。
結果、各期間のローソク足の方向には67%以上の高い一致率が見られないものの、指標の事後差異・実態差異は各69%・71%の一致率となっています。
つまり、独国PMI速報値と欧州PMI速報値を過去に遡って調べると、一方の発表値が市場予想を超えた月にはもう一方も市場予想を超え、一方が前回(改定値)を超えた月にはもう一方も前回結果を超えがちです。その確率が3回に2回以上ということです。
市場予想後追い型の指標のように見受けられます。
市場予想後追い型とは、実際には市場予想の方が発表結果よりも先に公表されているにも関わらず、後からそれらをプロットしたグラフを見ると、いかにも市場予想の方が発表結果を追従しているように見える指標です。こうした指標では、直近の指標発表結果が上昇・下降しているとき、市場予想をオーバーシュートした発表結果となることが多いのです。
確認しておきましょう。
製造業PMIは過去29回中7回(24%)、発表結果が市場予想の大小関係が前月と入れ替わっています。サービス業PMIは過去29回中15回(52%)、入れ替わっています。
つまり、製造業PMIは毎月の発表値が一旦市場予想を上抜けたら(下抜けたら)、なかなか次に下抜け(上抜け)が起きにくい「市場予想後追い型」と言えます。前月は発表結果が4か月ぶりに市場予想を下抜けたので、下抜けが続く可能性が高いと言えます。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
全体的に、指標発表前は陰線が目立ち、指標発表後は陽線が目立ちます。最近の傾向は、直後11分足が上下にヒゲを残して始値付近に戻る傾向が見受けられます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が59%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは100%、終値同士で反応が伸びたことは47%となっています。
つまり、本指標は追撃に不向きです。そしてもし、反応が初期反応と同じ方向に伸びるにせよ、直後1分足の終値がついて以降に高値を付けるものの、直後11分足終値は直後1分足終値より小さくなる、ということを現しています。順張り追撃は指標発表後の2-3分と考えておいた方が良いでしょう。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直後1分足は陽線率が71%と、偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足との方向一致率は71%となっています。がしかし、反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の終値同士の反応伸長率は50%弱となっています。よって、直後1分足よりも直後11分足が同じ方向で反応を伸ばし続けたことは71%✕47%で、33%(3回に1回)ということになります。
同様に計算すると、直後1分足と直後11分足が同方向に反応するものの、初期反応の値幅を削るように反応することは59%ー33%=26%、発表から1分経過後に反応方向が(陽線が陰線に、陰線が陽線に)逆転することは100%−59%=31%、ということになります。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は、直後1分足との方向一致率が63%となっており、これは他の期間のローソク足との方向一致率より高い確率です。とは言え3回に2回にも満たない確率ですから、この数字でポジションを取ることはできません。
事後差異・実態差異も、各ローソク足との方向一致率が高くありません。
つまり、本指標の市場予想や発表結果の良し悪しは、各ローソク足の反応方向と無関係だと思っていた方が良さそうです。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年6月24日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は製造業が改善したものの、サービス業と総合が低下しました。但し、総合指数は前月・前々月が数年来の高水準になっていたので、一旦、小休止といったところでしょう。
反応は陽線です。
事前検討の結論に依り取引していません。
もし仮に、本指標での反応が「製造業>サービス業」の影響を受け、且つ、今回の製造業が市場予想を上回ると予見できていたとしても、過去の実績を見る限り、本指標の反応が素直とは限りません。
そして、指標発表直後の反応を確認してからの追撃でも、直後1分足と直後11分足の方向一致率が安心して追撃ポジションを取れるほど高くありません。
結果的に今回、素直な反応をしたからと言って、やはりポジションを取るのは難しかったでしょう。
今回はポジションを取らない予定だったので、シナリオがありません。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月23日17:00に欧州景気指標「PMI速報値」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
まず、本指標で取引する上での注意点です。
- 本指標発表前後の反応は、指標発表前と後の10分間でほぼ同じく10pips程度です。そして、指標発表直後(直後1分足跳幅)だけで10pips以上反応したことは、ほぼ10回に1回しかありません。
- 全体的に、指標発表前は陰線が目立ち、指標発表後は陽線が目立ちます。最近の傾向は、直後11分足が上下にヒゲを残して始値付近に戻る傾向が見受けられます。
- 製造業PMIは「市場予想後追い型」です。前月は発表結果が4か月ぶりに市場予想を下抜けたので、下抜けが続く可能性が高いと言えます。
次に指標定型分析の結論は次の通りです。
- 指標間一致性分析は次の通りです。対比は独国PMI速報値と行っています。
独国PMI速報値と欧州PMI速報値の関係を過去に遡って調べると、一方の発表値が市場予想を超えた月にはもう一方も市場予想を超え、一方の発表値が前回(改定値)を超えた月にはもう一方も前回結果を超えがちです。その確率が3回に2回以上となっています。
けれども残念なことに、直後1分足の反応方向の一致率は、両指標間で63%しかありません。 - 反応性分析は次の通りです。
本指標は追撃に不向きです。
そしてもし、反応が初期反応と同じ方向に伸びるにせよ、直後1分足の終値がついて以降に高値を付けるものの、直後11分足終値は直後1分足終値より小さくなりがちです。順張り追撃は指標発表後の2-3分まで、と考えておいた方が良いでしょう。 - 反応一致性分析は次の通りです。
直後1分足は陽線率が71%と、偏りが見受けられます。
直後1分足と直後11分足が同方向に反応を伸ばし続けることは33%、同方向だが初期反応の値幅を削ることは26%、発表から1分経過後に反応方向が(陽線が陰線に、陰線が陽線に)逆転することは31%、ということになります。
指標発表から1分を過ぎると、どちらに変化するのかがわからない指標です。 - 指標一致性分析は次の通りです。
事前差異・事後差異・実態差異のいずれも、各ローソク足との方向一致率が高くありません。つまり、本指標の市場予想や発表結果の良し悪しは、各ローソク足の反応方向と無関係だと思っていた方が良さそうです。
以上の分析結果に基づき、本指標での取引は諦めます。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
【1. 指標概要】
独国PMI速報値における同項の説明と同じです。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
まず先に、気になる点から明らかにします。
下表に、独国PMI速報値との指標結果・反応結果の一致率を纏めています。
結果、各期間のローソク足の方向には67%以上の高い一致率が見られないものの、指標の事後差異・実態差異は各69%・71%の一致率となっています。
つまり、独国PMI速報値と欧州PMI速報値を過去に遡って調べると、一方の発表値が市場予想を超えた月にはもう一方も市場予想を超え、一方が前回(改定値)を超えた月にはもう一方も前回結果を超えがちです。その確率が3回に2回以上ということです。
市場予想後追い型の指標のように見受けられます。
市場予想後追い型とは、実際には市場予想の方が発表結果よりも先に公表されているにも関わらず、後からそれらをプロットしたグラフを見ると、いかにも市場予想の方が発表結果を追従しているように見える指標です。こうした指標では、直近の指標発表結果が上昇・下降しているとき、市場予想をオーバーシュートした発表結果となることが多いのです。
確認しておきましょう。
製造業PMIは過去29回中7回(24%)、発表結果が市場予想の大小関係が前月と入れ替わっています。サービス業PMIは過去29回中15回(52%)、入れ替わっています。
つまり、製造業PMIは毎月の発表値が一旦市場予想を上抜けたら(下抜けたら)、なかなか次に下抜け(上抜け)が起きにくい「市場予想後追い型」と言えます。前月は発表結果が4か月ぶりに市場予想を下抜けたので、下抜けが続く可能性が高いと言えます。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
全体的に、指標発表前は陰線が目立ち、指標発表後は陽線が目立ちます。最近の傾向は、直後11分足が上下にヒゲを残して始値付近に戻る傾向が見受けられます。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が59%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは100%、終値同士で反応が伸びたことは47%となっています。
つまり、本指標は追撃に不向きです。そしてもし、反応が初期反応と同じ方向に伸びるにせよ、直後1分足の終値がついて以降に高値を付けるものの、直後11分足終値は直後1分足終値より小さくなる、ということを現しています。順張り追撃は指標発表後の2-3分と考えておいた方が良いでしょう。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直後1分足は陽線率が71%と、偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足との方向一致率は71%となっています。がしかし、反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の終値同士の反応伸長率は50%弱となっています。よって、直後1分足よりも直後11分足が同じ方向で反応を伸ばし続けたことは71%✕47%で、33%(3回に1回)ということになります。
同様に計算すると、直後1分足と直後11分足が同方向に反応するものの、初期反応の値幅を削るように反応することは59%ー33%=26%、発表から1分経過後に反応方向が(陽線が陰線に、陰線が陽線に)逆転することは100%−59%=31%、ということになります。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は、直後1分足との方向一致率が63%となっており、これは他の期間のローソク足との方向一致率より高い確率です。とは言え3回に2回にも満たない確率ですから、この数字でポジションを取ることはできません。
事後差異・実態差異も、各ローソク足との方向一致率が高くありません。
つまり、本指標の市場予想や発表結果の良し悪しは、各ローソク足の反応方向と無関係だと思っていた方が良さそうです。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年6月23日17:00発表
以下は2017年6月24日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は製造業が改善したものの、サービス業と総合が低下しました。但し、総合指数は前月・前々月が数年来の高水準になっていたので、一旦、小休止といったところでしょう。
反応は陽線です。
(5-2. 取引結果)
事前検討の結論に依り取引していません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
もし仮に、本指標での反応が「製造業>サービス業」の影響を受け、且つ、今回の製造業が市場予想を上回ると予見できていたとしても、過去の実績を見る限り、本指標の反応が素直とは限りません。
そして、指標発表直後の反応を確認してからの追撃でも、直後1分足と直後11分足の方向一致率が安心して追撃ポジションを取れるほど高くありません。
結果的に今回、素直な反応をしたからと言って、やはりポジションを取るのは難しかったでしょう。
(6-2. シナリオ検証)
今回はポジションを取らない予定だったので、シナリオがありません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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