2017年06月22日
独国景気指標「PMI速報値」発表前後のEURJPY反応分析(2017年6月23日16:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月23日16:30に独国景気指標「PMI速報値」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
まず、本指標で取引する上での注意点です。
次に指標定型分析の結論は次の通りです。
以上の分析結果に基づき以下のシナリオで取引に臨みます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため、それだけの先行性があると考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業の仕入れも機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、この「製造業景況感はサービス業景況感よりも先行性がある」という言い伝えは、日本や独国にあまり当てはまりません。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、今では輸出大国の日本や独国の製造業は国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
反応は、指標発表結果の良し悪しと相関があるものの、あまり高くありません。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
反応は、製造業>サービス業>総合の順に反応に寄与しがちです。
指標結果に最も素直に反応しがちな直後1分足との方向一致率は、製造業PMIの発表結果と市場予想の差(事後差異)に対し、方向一致率が71%となります。サービス業PMIとは54%しかありません。総合PMIとは求めていませんが、それでこれまでの取引に不都合は生じていません。
製造業PMIは、典型的な市場予想後追い型の指標です。
市場予想後追い型とは、実際には市場予想の方が発表結果よりも先に公表されているにも関わらず、後からそれらをプロットしたグラフを見ると、いかにも市場予想の方が発表結果を追従しているように見える指標です。こうした指標では、直近の指標発表結果が上昇・下降しているとき、市場予想をオーバーシュートした発表結果となることが多いのです。
確認してみましょう。
市場予想を発表結果が上抜け・下抜けした回数は、調査期間において11回(38%)です。特に、2016年4月以降の15回に限って言えば3回(20%)しかありません。
よって、製造業PMIに関する限り、市場予想が発表結果を上抜けたら(下抜けたら)抜けっぱなし、という「市場予想後追い型」の特徴を備えています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前10-1分足は陰線が、直前1分足は2015年12月までが陰線、それ以降は陽線が目立っています。直後1分足・直後11分足は陽線が目立ちます。
そして、全体的にはヒゲが短い傾向があるようです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が61%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは88%、終値同士で反応が伸びたことは82%となっています。
つまり、方向一致率を見る限り安心して追撃できないものの、方向一致時の反応伸長率は高いようです。
これは、EURの特徴である「トレンド継続>指標反応」が現れているのだと思われます。ならば、15:30ないしは16:00からのトレンドに対し順方向に反応したときにだけ追撃すれば良い訳です。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
本ブログでのポジション取得基準に達していませんが、直後1分足の陽線率が68%と、3回に2回以上となっています。
そして、直前1分足と直後1分足との方向一致率が74%に達しています。本指標で指標発表直前の取引参加者は、指標発表直後の反応方向を把握できているのです。
先に形成されたローソク足が、その後に形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は各ローソク足と高い方向一致率がありません。
事後差異は直後1分足との方向一致率が71%です。発表結果に対して素直に反応しがちな指標です。また、3回に2回以上(68%)は、直前10-1分足と方向一致しています。これもまた、取引参加者が指標発表前に指標発表直後の反応方向をほぼ予見できているという兆候と捉えることができます。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年6月24日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、製造業が市場予想を上回り、サービス業と総合が市場予想を下回りました。
反応は陽線です。
サービス業と総合が市場予想を下回ったものの、各53.7・56.1ですから高水準であることに違いありません。内訳を確認できていませんが、解説記事に依れば「新規受注が好調なのであまり心配いらない」ということです。
取引結果は次の通りでした。
シナリオ通りのポジション取得・解消であり、1勝1敗ながら全体ではプラスになりました。
珍しく「損切→ドテン(反対方向への売買に転じること)」でなく、「ドテン→損切」の順で行い、一時的に両建てとなりました。今回はうまくいったものの、あまり良い勝ち方ではないですね。
事前調査分析内容を、以下に検証します
反応への寄与が「製造業>サービス業」という点は再確認できました。
直前1分足と同方向に直後1分足のポジションを取ったつもりで、結果的には直前1分足が反転したために直後1分足が損切となりました。多少の信頼度低下があっても、直前1分足でなく直前10-1分足を見てポジションを決める方が良いのかもしれません。
失敗です。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月23日16:30に独国景気指標「PMI速報値」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
まず、本指標で取引する上での注意点です。
- 反応はあまり大きくありません。過去平均値を見る限り、指標発表前後の10分間の跳幅・値幅はほぼ同じです。
- 本指標の取引参加者は、指標発表前に指標発表直後の反応方向を良く掴んでいます。
- 製造業PMIに反応しがちです。
指標結果に最も素直に反応しがちな直後1分足との方向一致率を調べてみると、製造業PMIの発表結果と市場予想の差(事後差異)に対し、方向一致率が71%となります。サービス業PMIとは54%しかありません。 - その製造業PMIは典型的な市場予想後追い型の指標です。
市場予想を発表結果が上抜け・下抜けした回数は、調査期間において11回(38%)です。特に、2016年4月以降の15回に限って言えば3回(20%)しかありません。
よって、製造業PMIは、市場予想が発表結果を上抜けたら(下抜けたら)抜けっぱなし、という「市場予想後追い型」の特徴を備えています。
次に指標定型分析の結論は次の通りです。
- 反応性分析は次の通りです。
直後1分足と直後11分足との方向一致率が61%しかないものの、方向一致時には両者の反応伸長率が跳値同士・終値同士で各88%・82%となっています。つまり、方向一致率を見る限り、安心して追撃できないので、短期利確の繰り返しで微益を積み重ねる取引方法が良いでしょう。
そしてこの傾向には、EURの特徴である「トレンド継続性>指標反応性」が現れている、と思われます。ならば、15:30ないしは16:00から発表直前までのトレンドに対し、発表直後の反応が方向一致していたときにだけ複数回の追撃すれば良い訳です。 - 反応一致性分析は次の通りです。
直前1分足と直後1分足との方向一致率が74%に達しており、本指標の発表直前取引参加者は、発表直後の反応方向をほぼ正しく(4回に3回)予見できているようです。 - 指標一致性分析は次の通りです。
市場予想がどうあれ、各ローソク足との方向との関係にはあまり関係ないようです。
発表結果の(市場予想と比較した)良し悪しに対し素直に反応しがちです。また、3回に2回以上(68%)は、直前10-1分足と方向一致しています。これもまた、取引参加者が指標発表前に指標発表直後の反応方向をほぼ予見できているという兆候と捉えることができます。
以上の分析結果に基づき以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直後1分足は、指標発表直前に、直前1分足の方向と同じにポジションを取ります。もし、直前1分足が同値終了しそうなら、直前10-1分足と同じ方向にポジションを取ります。
いずれにせよ短期利確です。 - その後は、指標発表直後の反応方向が15:30ないしは16:00からのトレンド方向と同じなら追撃、同じでなければ取引を諦めます。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
【1. 指標概要】
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため、それだけの先行性があると考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業の仕入れも機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、この「製造業景況感はサービス業景況感よりも先行性がある」という言い伝えは、日本や独国にあまり当てはまりません。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、今では輸出大国の日本や独国の製造業は国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
反応は、指標発表結果の良し悪しと相関があるものの、あまり高くありません。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
反応は、製造業>サービス業>総合の順に反応に寄与しがちです。
指標結果に最も素直に反応しがちな直後1分足との方向一致率は、製造業PMIの発表結果と市場予想の差(事後差異)に対し、方向一致率が71%となります。サービス業PMIとは54%しかありません。総合PMIとは求めていませんが、それでこれまでの取引に不都合は生じていません。
製造業PMIは、典型的な市場予想後追い型の指標です。
市場予想後追い型とは、実際には市場予想の方が発表結果よりも先に公表されているにも関わらず、後からそれらをプロットしたグラフを見ると、いかにも市場予想の方が発表結果を追従しているように見える指標です。こうした指標では、直近の指標発表結果が上昇・下降しているとき、市場予想をオーバーシュートした発表結果となることが多いのです。
確認してみましょう。
市場予想を発表結果が上抜け・下抜けした回数は、調査期間において11回(38%)です。特に、2016年4月以降の15回に限って言えば3回(20%)しかありません。
よって、製造業PMIに関する限り、市場予想が発表結果を上抜けたら(下抜けたら)抜けっぱなし、という「市場予想後追い型」の特徴を備えています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前10-1分足は陰線が、直前1分足は2015年12月までが陰線、それ以降は陽線が目立っています。直後1分足・直後11分足は陽線が目立ちます。
そして、全体的にはヒゲが短い傾向があるようです。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が61%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足を比較して、跳値同士で反応が伸びたことは88%、終値同士で反応が伸びたことは82%となっています。
つまり、方向一致率を見る限り安心して追撃できないものの、方向一致時の反応伸長率は高いようです。
これは、EURの特徴である「トレンド継続>指標反応」が現れているのだと思われます。ならば、15:30ないしは16:00からのトレンドに対し順方向に反応したときにだけ追撃すれば良い訳です。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
本ブログでのポジション取得基準に達していませんが、直後1分足の陽線率が68%と、3回に2回以上となっています。
そして、直前1分足と直後1分足との方向一致率が74%に達しています。本指標で指標発表直前の取引参加者は、指標発表直後の反応方向を把握できているのです。
先に形成されたローソク足が、その後に形成されるローソク足の方向を示唆している兆候はありません。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は各ローソク足と高い方向一致率がありません。
事後差異は直後1分足との方向一致率が71%です。発表結果に対して素直に反応しがちな指標です。また、3回に2回以上(68%)は、直前10-1分足と方向一致しています。これもまた、取引参加者が指標発表前に指標発表直後の反応方向をほぼ予見できているという兆候と捉えることができます。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年6月23日16:30発表
以下は2017年6月24日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、製造業が市場予想を上回り、サービス業と総合が市場予想を下回りました。
反応は陽線です。
サービス業と総合が市場予想を下回ったものの、各53.7・56.1ですから高水準であることに違いありません。内訳を確認できていませんが、解説記事に依れば「新規受注が好調なのであまり心配いらない」ということです。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
シナリオ通りのポジション取得・解消であり、1勝1敗ながら全体ではプラスになりました。
珍しく「損切→ドテン(反対方向への売買に転じること)」でなく、「ドテン→損切」の順で行い、一時的に両建てとなりました。今回はうまくいったものの、あまり良い勝ち方ではないですね。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
反応への寄与が「製造業>サービス業」という点は再確認できました。
直前1分足と同方向に直後1分足のポジションを取ったつもりで、結果的には直前1分足が反転したために直後1分足が損切となりました。多少の信頼度低下があっても、直前1分足でなく直前10-1分足を見てポジションを決める方が良いのかもしれません。
失敗です。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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