2017年06月03日
米国景気指標「ISM非製造業景況指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月5日23:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月5日23:00に米国景気指標「ISM非製造業景況指数」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本指標で取引する上での注意点です。
次に指標について、です。
シナリオは次の通りです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
本指数は、(1) 米国主要経済指標で毎月早い時期に発表されること(第3営業日)、(2) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(3) 一般論として非製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、から重要度・注目度が高いとされています。
がしかし、後述するように過去のデータを見る限り反応(値動き)はそれほど大きくありません。
本指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50%未満のときに利上げをしたことがないということ、です。
なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「新規受注」「生産」「雇用」「入荷遅延」「在庫」の項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前10-1分足は、跳幅平均が9pips、値幅平均が6pipsです。跳値が10pips以上となったことは、28回中9回(32%)です。
直前1分足は、陽線側への5pips程度のヒゲを残した陰線が目立ちます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%です。そして方向一致時に直後1分足と直後11分足の跳値同士で反応が伸びたことが90%、終値同士で反応が伸びたことが62%です。つまり、確率的には反応方向が確認でき次第、追撃ポジションを取得して直後11分足跳値を狙うのに適した数値となっています。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前10-1分足の方向と直後1分足・直後11分足との方向一致率は各58%・58%です。あまり相関があるとは言えません。
直前1分足は陰線率が88%となっています。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は直前10-1分足・直後1分足との方向一致率が各74%・77%となっています。今回の市場予想は前回結果を下回っており、事前差異はマイナスです。直前10-1分足と直後1分足は陰線となる確率が70%を超えています。
事後差異は直後1分足・直後11分足との方向一致率が各85%・81%と高く、素直に反応する指標であることがわかります。そして、実態差異も直後1分足・直後11分足との方向一致率が各88%・77%と高く、やはり素直に反応する指標だとわかります。また、実態差異は直前10-1分足との方向一致率も70%となっています。
つまり、直前10-1分足の方向は、発表結果が前回結果や市場予想を上回るか下回るかを70%以上当てており、それが当たれば直後1分足は素直に反応する(結果的に直前10-1分足と同方向に反応する)、という傾向が伺えます。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年6月6日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
発表結果は、前回結果・市場予想を下回りました。
内訳は、ビジネス活動(景況感)も前回結果・市場予想を下回り、新規受注と物価指数は前回結果を下回った一方、雇用が改善されていました。着目すべき点は、物価指数が50を下回ったことです。
なお、本指標には関係ないものの、やはり先週の雇用統計のNFPは数字が低すぎるように思えますね。
反応は小さく、直後1分足跳値が4pipsの陽線です。直後11分足は同値終了でした。
取引結果は次の通りでした。
反応が小さかったものの、USDJPYはスプレッドが小さいので利確できました。
事前のシナリオでは、直前10-1分足が陰線のとき直後1分足が陰線となる可能性が高く、陽線のときは一部分析結果に矛盾が生じているので、指標発表直前のポジション取得は諦める、としていました。
指標発表結果が前回結果・市場予想を下回ったにも関わらず陽線ですから、取引中止は正解でした。
問題ありません。
シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月5日23:00に米国景気指標「ISM非製造業景況指数」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本指標で取引する上での注意点です。
- 直前10-1分足は、跳幅平均が9pips、値幅平均が6pipsです。跳値が10pips以上となったことが28回中9回(32%、3回に1回)です。
そして、直前1分足は陽線側への5pips程度のヒゲを残した陰線が目立ちます。 - 最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、平均値15pipsを超えたことが40%を切っています。一方、同平均値の0.5倍8pipsを超えたことは89%に達しています。つまり10pips強が利確・損切の目安ではないでしょうか。
- 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が75%です。そして方向一致時に直後1分足と直後11分足の跳値同士で反応が伸びたことが90%、終値同士で反応が伸びたことが62%です。
確率的には反応方向が確認でき次第、追撃ポジションを取得して直後11分足跳値を狙うのに適した数値となっています。
次に指標について、です。
- 事前差異は直前10-1分足・直後1分足との方向一致率が各74%・77%となっています。今回の市場予想は前回結果を下回っており、事前差異はマイナスです。直前10-1分足と直後1分足は陰線となる確率が70%を超えています。
- 事後差異は直後1分足・直後11分足との方向一致率が各85%・81%と高く、素直に反応する指標であることがわかります。そして、実態差異も直後1分足・直後11分足との方向一致率が各88%・77%と高く、やはり素直に反応する指標だとわかります。また、実態差異は直前10-1分足との方向一致率も70%となっています。
- つまり、直前10-1分足の方向は、発表結果が前回結果や市場予想を上回るか下回るかを70%以上当てており、それが当たれば直後1分足は素直に反応する(結果的に直前10-1分足と同方向に反応する)、という傾向が伺えます。
シナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陰線率が88%となっています。
- 直後1分足は、直前10-1分足が陰線のとき、陰線となる可能性が高い、と言えます。直前10-1分足が陽線のとき、一部分析結果に矛盾が生じているので、指標発表直前のポジション取得は諦めます。
- 直後11分足での取引は、指標発表後の反応方向判明次第、追撃ポジションを取得して行います。
但し、直後11分足跳値が直後1分足跳値を超える確率が高い(90%)一方、直後1分足終値を直後11分足終値が超えた確率はそれほどでもありません(62%)。もし再度の追撃を行うなら、あまり欲張らないことです。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
本指数は、(1) 米国主要経済指標で毎月早い時期に発表されること(第3営業日)、(2) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(3) 一般論として非製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、から重要度・注目度が高いとされています。
がしかし、後述するように過去のデータを見る限り反応(値動き)はそれほど大きくありません。
本指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50%未満のときに利上げをしたことがないということ、です。
なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「新規受注」「生産」「雇用」「入荷遅延」「在庫」の項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前10-1分足は、跳幅平均が9pips、値幅平均が6pipsです。跳値が10pips以上となったことは、28回中9回(32%)です。
直前1分足は、陽線側への5pips程度のヒゲを残した陰線が目立ちます。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%です。そして方向一致時に直後1分足と直後11分足の跳値同士で反応が伸びたことが90%、終値同士で反応が伸びたことが62%です。つまり、確率的には反応方向が確認でき次第、追撃ポジションを取得して直後11分足跳値を狙うのに適した数値となっています。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前10-1分足の方向と直後1分足・直後11分足との方向一致率は各58%・58%です。あまり相関があるとは言えません。
直前1分足は陰線率が88%となっています。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は直前10-1分足・直後1分足との方向一致率が各74%・77%となっています。今回の市場予想は前回結果を下回っており、事前差異はマイナスです。直前10-1分足と直後1分足は陰線となる確率が70%を超えています。
事後差異は直後1分足・直後11分足との方向一致率が各85%・81%と高く、素直に反応する指標であることがわかります。そして、実態差異も直後1分足・直後11分足との方向一致率が各88%・77%と高く、やはり素直に反応する指標だとわかります。また、実態差異は直前10-1分足との方向一致率も70%となっています。
つまり、直前10-1分足の方向は、発表結果が前回結果や市場予想を上回るか下回るかを70%以上当てており、それが当たれば直後1分足は素直に反応する(結果的に直前10-1分足と同方向に反応する)、という傾向が伺えます。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年6月5日23:00発表
以下は2017年6月6日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
発表結果は、前回結果・市場予想を下回りました。
内訳は、ビジネス活動(景況感)も前回結果・市場予想を下回り、新規受注と物価指数は前回結果を下回った一方、雇用が改善されていました。着目すべき点は、物価指数が50を下回ったことです。
なお、本指標には関係ないものの、やはり先週の雇用統計のNFPは数字が低すぎるように思えますね。
反応は小さく、直後1分足跳値が4pipsの陽線です。直後11分足は同値終了でした。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
反応が小さかったものの、USDJPYはスプレッドが小さいので利確できました。
事前のシナリオでは、直前10-1分足が陰線のとき直後1分足が陰線となる可能性が高く、陽線のときは一部分析結果に矛盾が生じているので、指標発表直前のポジション取得は諦める、としていました。
指標発表結果が前回結果・市場予想を下回ったにも関わらず陽線ですから、取引中止は正解でした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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