2017年05月09日
英国実態指標「鉱工業生産(前月比)」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年5月11日17:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年5月11日17:30に英国実態指標「鉱工業生産」が発表されます。今回発表は2017年3月分の集計結果です。
同時に、実態指標「製造業生産」「建設業生産高」・国際収支「貿易収支」が発表されます。過去の傾向から言って、反応に寄与するのは、鉱工業生産(前月比)>製造業生産(前月比)>貿易収支、という印象を持っています。がしかし、製造業生産は鉱工業生産の約80%を占めており、ほぼ同じに扱えます。
よって、もっとも注視すべきは鉱工業生産(前月比)となります。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を指数化した経済指標です。英国国家統計局が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの26回分のデータに基づいています。
下図に、もっとも注目すべき鉱工業生産の過去の市場予想と発表結果を示します。
1月・2月の前月比はマイナスが続いています。3月市場予想も△0.4%とマイナスの予想となっています。4月28日に発表された1-3月期GDP速報値の鉱工業生産前期比は+0.3%でした。この点に注目すると、今回発表の3月分も前月比マイナスでは辻褄が合いません。
前月比は市場予想を上回るのではないでしょうか。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が73%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが68%です。追撃可ですが、反応伸長率が70%を切っているので、高値掴み(安値掴み)に気をつけましょう。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は
「反応一致性分析」をご参照願います。
陽線や陰線への偏りがあまりありません。直前10-1分足と直前1分足の方向一致率が31%とやや低く、直後1分足と直後11分足の方向一致率は73%とやや高くなっています。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は、鉱工業生産前月比と前年比の(市場予想ー前回結果)で和で求めています。結果、直前10-1分足・直前1分足との方向一致率がそれぞれ28%・72%でした。今回の事前差異はマイナスとなっています。
事後差異は、鉱工業生産前月比の(発表結果ー市場予想)で求めています。結果、直後1分足・直後11分足との方向一致率がそれぞれ79%・67%でした。発表時には、鉱工業生産前月比が市場予想に比べ大きいか小さいかだけに注目します。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年5月12日15:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、全般的に市場予想を下回り、注目していた鉱工業生産前月比も△0.5%でした。1-3月期の伸びは+0.1%となり、先に発表された1-3月期GDP速報値で見込まれた+0.3%を下回っています。GDP改定値に反映されるでしょう。
同時発表された貿易収支も、市場予想よりも赤字拡大となりました。1-3月期貿易赤字は105億ポンドと、昨年10-12月(第4四半期)の48億ポンドから急拡大しました。内訳は、輸出が△0.5%、輸入が+3.3%となっています。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足が損切となりましたが、これは確率上の問題ですから仕方がありません。
直後1分足の損切は、分析を完全に間違っていたためです。詳細は次項に記します。
直後11分足は、かなり粘ったものの挽回できませんでした。その後もGBPJPYは下がっているので、もっと粘れば損失が取り返せたかも知れません。がしかし、それは結果論であり、ポジションとしては利確となりました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
まず、鉱工業生産前月比の事後差異マイナスに対し、陰線で反応しています。
今回、製造業PMIでなくGDP速報値をアテにして分析を行いました。結果、分析を外してしまい、次回以降はまたPMIを中心に事前分析するようにします。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年5月11日17:30に英国実態指標「鉱工業生産」が発表されます。今回発表は2017年3月分の集計結果です。
同時に、実態指標「製造業生産」「建設業生産高」・国際収支「貿易収支」が発表されます。過去の傾向から言って、反応に寄与するのは、鉱工業生産(前月比)>製造業生産(前月比)>貿易収支、という印象を持っています。がしかし、製造業生産は鉱工業生産の約80%を占めており、ほぼ同じに扱えます。
よって、もっとも注視すべきは鉱工業生産(前月比)となります。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- まず、他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
そして、鉱工業生産前月比の事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率はそれぞれ79%・67%となっています。発表時には、鉱工業生産前月比が市場予想に比べ大きいか小さいかだけに注目すればいいでしょう。 - 指標については次の通りです。
1月・2月の鉱工業生産前月比はマイナスが続いています。今回3月分の市場予想も△0.4%とマイナスの予想となっています。
4月28日に発表された1-3月期GDP速報値の鉱工業生産前期比は+0.3%でした。この点に注目すると、今回発表の3月分も前月比マイナスでは辻褄が合いません。
前月比は市場予想を上回るのではないでしょうか。 - シナリオは次の通りです。
(1) 直前10-1分足は、指標一致性分析の結果、事前差異との方向一致率が28%です。今回の事前差異はマイナスとなっているので、陽線と見込みます。
(2) 直前1分足は、指標一致性分析の結果、事前差異との方向一致率が72%です。陰線と見込みます。
(3) 直後1分足は、上記指標定性分析結論により、陽線と見込みます。
(4) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後1分足との方向一致率が73%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが68%です。追撃可ですが、反応伸長率が70%を切っているので、高値掴み(安値掴み)に気をつけましょう。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
英国実態指標「鉱工業生産」は、鉱工業と製造業の企業生産高を指数化した経済指標です。英国国家統計局が毎月中旬に前月比・前年比を発表し、反応は前月比>前年比となる傾向があります。他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
本指標の意義は、鉱工業生産がGDPの構成要素となっているため、その先行指標と言われています。がしかし、英国GDPに占める鉱工業部門の割合は20%程度しかありません。ですから、本指標がGDPの先行指標として役立つかは少し疑問があります。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの26回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に、もっとも注目すべき鉱工業生産の過去の市場予想と発表結果を示します。
1月・2月の前月比はマイナスが続いています。3月市場予想も△0.4%とマイナスの予想となっています。4月28日に発表された1-3月期GDP速報値の鉱工業生産前期比は+0.3%でした。この点に注目すると、今回発表の3月分も前月比マイナスでは辻褄が合いません。
前月比は市場予想を上回るのではないでしょうか。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が73%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが68%です。追撃可ですが、反応伸長率が70%を切っているので、高値掴み(安値掴み)に気をつけましょう。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は
「反応一致性分析」をご参照願います。
陽線や陰線への偏りがあまりありません。直前10-1分足と直前1分足の方向一致率が31%とやや低く、直後1分足と直後11分足の方向一致率は73%とやや高くなっています。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は、鉱工業生産前月比と前年比の(市場予想ー前回結果)で和で求めています。結果、直前10-1分足・直前1分足との方向一致率がそれぞれ28%・72%でした。今回の事前差異はマイナスとなっています。
事後差異は、鉱工業生産前月比の(発表結果ー市場予想)で求めています。結果、直後1分足・直後11分足との方向一致率がそれぞれ79%・67%でした。発表時には、鉱工業生産前月比が市場予想に比べ大きいか小さいかだけに注目します。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年5月11日17:30発表
以下は2017年5月12日15:30頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、全般的に市場予想を下回り、注目していた鉱工業生産前月比も△0.5%でした。1-3月期の伸びは+0.1%となり、先に発表された1-3月期GDP速報値で見込まれた+0.3%を下回っています。GDP改定値に反映されるでしょう。
同時発表された貿易収支も、市場予想よりも赤字拡大となりました。1-3月期貿易赤字は105億ポンドと、昨年10-12月(第4四半期)の48億ポンドから急拡大しました。内訳は、輸出が△0.5%、輸入が+3.3%となっています。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足が損切となりましたが、これは確率上の問題ですから仕方がありません。
直後1分足の損切は、分析を完全に間違っていたためです。詳細は次項に記します。
直後11分足は、かなり粘ったものの挽回できませんでした。その後もGBPJPYは下がっているので、もっと粘れば損失が取り返せたかも知れません。がしかし、それは結果論であり、ポジションとしては利確となりました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- まず、他の先進国の鉱工業生産関連指標よりも反応が大きい、という特徴があります。
そして、鉱工業生産前月比の事後差異と直後1分足・直後11分足との方向一致率はそれぞれ79%・67%となっています。発表時には、鉱工業生産前月比が市場予想に比べ大きいか小さいかだけに注目すればいいでしょう。 - 指標については次の通りです。
1月・2月の鉱工業生産前月比はマイナスが続いています。今回3月分の市場予想も△0.4%とマイナスの予想となっています。
4月28日に発表された1-3月期GDP速報値の鉱工業生産前期比は+0.3%でした。この点に注目すると、今回発表の3月分も前月比マイナスでは辻褄が合いません。
前月比は市場予想を上回るのではないでしょうか。
まず、鉱工業生産前月比の事後差異マイナスに対し、陰線で反応しています。
今回、製造業PMIでなくGDP速報値をアテにして分析を行いました。結果、分析を外してしまい、次回以降はまたPMIを中心に事前分析するようにします。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- シナリオは次の通りです。
(1) 直前10-1分足は、指標一致性分析の結果、事前差異との方向一致率が28%です。今回の事前差異はマイナスとなっているので、陽線と見込みます。
(2) 直前1分足は、指標一致性分析の結果、事前差異との方向一致率が72%です。陰線と見込みます。
(3) 直後1分足は、上記指標定性分析結論により、陽線と見込みます。
(4) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後1分足との方向一致率が73%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが68%です。追撃可ですが、反応伸長率が70%を切っているので、高値掴み(安値掴み)に気をつけましょう。
シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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