2017年04月21日
米国実態指標「中古住宅販売件数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年4月21日23:00発表結果検証済)
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
2017年4月21日23:00に米国実態指標「中古住宅販売件数」が発表されます。今回発表は2017年3月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行っています。
米国では新築住宅よりも中古住宅の流通量が大きく、そのため住宅関連指標では本指標が注目されます。また、住宅販売件数は消費やリフォームなどの関連需要にも繋がるため波及効果も大きい上、消費者個人の収入・金利の見通しが反映されています。
注意すべき点は、新築住宅販売件数が契約書署名ベースであるのに対して、中古住宅販売件数は所有権移転完了ベースで集計されています。従って、本指標は新築住宅販売件数に対し1〜2か月遅行します。発表日の関係から、その逆と誤解している向きもあるのでご注意を。
本指標は全米不動産業者協会(NAR)が翌月25日頃に発表します。数値は季節調整済・年率換算されています。
比較的注目度が高い割に、反応が小さな指標です。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの26回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は560万件で、前回結果より12万件増(前月比率に換算すると+2.2%という意味)となっています。
関連指標を確認しておきます。
先に景気指標です。
NAHB(全米住宅建設業者協会=不動産業者でもある)住宅市場指数は、3月結果71が2月結果65より上昇しており、直近の高値2016年12月結果70を上抜けています。
次に実態指標です。
実態を示す3月建設許可件数は前月比+3.6%となっています。
また、前週比MBA住宅ローン申請件数は、+3.3%(3月8日)、+3.1%(3月15日)、△2.7%(3月22日)、△0.8%(3月29日発表)、△1.6%(4月5日発表)となっており、前月を1とし全て掛け合わせると1.012(+1.2%)です。
1〜2か月先行するとされている新築住宅販売の前月比は、1月+3.7%、2月+6.1%です。直近で新築住宅販売件数が2か月以上続けて前月比プラスとなっていたことは、2015年10-12月と2016年6-7月です。対応する2015年12月・2016年1月・2016年8月の中古住宅販売件数の対前月差は、+70万件・+1万件・△6万件です。微妙な関係ですが、新築住宅販売件数が増えると1〜2か月後に中古住宅販売件数が平均値として増えることを否定はできません。
つまり、景気指標・実態指標ともに前月結果を上回ることを示唆しています。市場予想の前月結果との大小関係は妥当です。
次に程度です。
MBA住宅ローン件数が2月より3月が1.2%ということは、2月年率換算販売件数の548万件に対し555万件となります。
つまり、市場予想の560万件は高すぎる、ということになります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が74%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが82%です。この数字なら、安心して追撃ポジションが取れます。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足は陰線率が87%です。
直後1分足は陽線率が80%です。また、直前1分足との方向一致率が17%(不一致率が83%)です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、「発表結果と市場予想の差」と「市場予想と前回結果との差」の和(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事前差異は、直後11分足との方向一致率が70%です。がしかし、直後1分足との方向一致率は48%しかありません。市場予想が発表結果を正しく予見とは言い切れません(最も発表結果の良し悪しに素直に反応しがちなのは、直後1分足跳幅だから)。
事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率がそれぞれ76%・65%です。だいたい素直に反応する指標のようです。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年4月21日23:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
指標発表結果は571万件(市場予想560万件)で、市場予想を上回りました。
反応は、直後1分足が陽線、直後11分足が同値です。
取引結果は次の通りでした。
追撃ポジションについては、本夕からのEUR・GBP絡みの取引で、指標発表直後の反応が長続きしなかったため、ポジション取得を断念しました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
結果は、前回結果だけでなく市場予想も上回りました。今後も同じやり方を継続し、年率換算への補正係数を求めたいと考えています。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
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本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年4月21日23:00に米国実態指標「中古住宅販売件数」が発表されます。今回発表は2017年3月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- まず、本指標で取引する上での注意点です。
(1) 指標一致性分析の結果、事前差異は直後11分足との方向一致率が70%です。がしかし、直後1分足との方向一致率は48%しかありません。よって、市場予想が発表結果を正しく予見とは言い切れません(最も発表結果の良し悪しに素直に反応しがちなのは、直後1分足跳幅だから)。
(2) 指標一致性分析の結果、事後差異は直後1分足・直後11分足との方向一致率がそれぞれ76%・65%です。だいたい素直に反応する指標のようです。
(3) 先々週から市場環境はリスク回避状態が継続しています。がしかし、今週に入ってそろそろ感とも言っても良い動きが見受けられます。例えば、16:00・16:30・17:00・17:30・19:00・21:30・23:00などのちょうど時刻や、指標発表結果を無視して騰がろうという動きが散見けられます。がしかし、本日は週末の古大統領選第1回投票を控え、リスク回避が再び強まる可能性もあります。日頃の見慣れた動きや分析が通用しない可能性もあるのでご注意ください。 - 指標については次の通りです。
市場予想は560万件で、前回発表よりも+12万件と予想されています。今回は、前回結果を上回るものの、市場予想を下回り555万件程度と予想しています。
論拠は、週次MBA住宅ローン申請件数の比率を積算した計算結果です。 - シナリオは次の通りです。
但し、EURを中心にリスク回避中心に動く可能性があります。よって、以下のポジション取得方向が指標発表前までのトレンドに反するなら、ポジションを取らずに様子を見ていようと思います。
(1) 直前1分足は陰線率が87%です。
(2) 直後1分足は陽線率が80%です。また、直前1分足との方向一致率が17%(不一致率が83%)です。
(3) 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が74%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが82%です。この数字なら、安心して追撃ポジションが取れます。
T.調査
公開情報や既出情報に基づく調査を行っています。
【1. 指標概要】
米国では新築住宅よりも中古住宅の流通量が大きく、そのため住宅関連指標では本指標が注目されます。また、住宅販売件数は消費やリフォームなどの関連需要にも繋がるため波及効果も大きい上、消費者個人の収入・金利の見通しが反映されています。
注意すべき点は、新築住宅販売件数が契約書署名ベースであるのに対して、中古住宅販売件数は所有権移転完了ベースで集計されています。従って、本指標は新築住宅販売件数に対し1〜2か月遅行します。発表日の関係から、その逆と誤解している向きもあるのでご注意を。
本指標は全米不動産業者協会(NAR)が翌月25日頃に発表します。数値は季節調整済・年率換算されています。
比較的注目度が高い割に、反応が小さな指標です。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの26回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は560万件で、前回結果より12万件増(前月比率に換算すると+2.2%という意味)となっています。
関連指標を確認しておきます。
先に景気指標です。
NAHB(全米住宅建設業者協会=不動産業者でもある)住宅市場指数は、3月結果71が2月結果65より上昇しており、直近の高値2016年12月結果70を上抜けています。
次に実態指標です。
実態を示す3月建設許可件数は前月比+3.6%となっています。
また、前週比MBA住宅ローン申請件数は、+3.3%(3月8日)、+3.1%(3月15日)、△2.7%(3月22日)、△0.8%(3月29日発表)、△1.6%(4月5日発表)となっており、前月を1とし全て掛け合わせると1.012(+1.2%)です。
1〜2か月先行するとされている新築住宅販売の前月比は、1月+3.7%、2月+6.1%です。直近で新築住宅販売件数が2か月以上続けて前月比プラスとなっていたことは、2015年10-12月と2016年6-7月です。対応する2015年12月・2016年1月・2016年8月の中古住宅販売件数の対前月差は、+70万件・+1万件・△6万件です。微妙な関係ですが、新築住宅販売件数が増えると1〜2か月後に中古住宅販売件数が平均値として増えることを否定はできません。
つまり、景気指標・実態指標ともに前月結果を上回ることを示唆しています。市場予想の前月結果との大小関係は妥当です。
次に程度です。
MBA住宅ローン件数が2月より3月が1.2%ということは、2月年率換算販売件数の548万件に対し555万件となります。
つまり、市場予想の560万件は高すぎる、ということになります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
U. 分析
過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が74%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが82%です。この数字なら、安心して追撃ポジションが取れます。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足は陰線率が87%です。
直後1分足は陽線率が80%です。また、直前1分足との方向一致率が17%(不一致率が83%)です。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、「発表結果と市場予想の差」と「市場予想と前回結果との差」の和(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事前差異は、直後11分足との方向一致率が70%です。がしかし、直後1分足との方向一致率は48%しかありません。市場予想が発表結果を正しく予見とは言い切れません(最も発表結果の良し悪しに素直に反応しがちなのは、直後1分足跳幅だから)。
事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率がそれぞれ76%・65%です。だいたい素直に反応する指標のようです。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上
2017年4月21日23:00発表
以下は2017年4月21日23:30頃に追記しています。
V. 結果
【7. 発表結果】
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
指標発表結果は571万件(市場予想560万件)で、市場予想を上回りました。
反応は、直後1分足が陽線、直後11分足が同値です。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
追撃ポジションについては、本夕からのEUR・GBP絡みの取引で、指標発表直後の反応が長続きしなかったため、ポジション取得を断念しました。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 市場予想は560万件で、前回発表よりも+12万件と予想されています。今回は、前回結果を上回るものの、市場予想を下回り555万件程度と予想しています。
論拠は、週次MBA住宅ローン申請件数の比率を積算した計算結果です。
結果は、前回結果だけでなく市場予想も上回りました。今後も同じやり方を継続し、年率換算への補正係数を求めたいと考えています。
【9. シナリオ検証】
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- (1) 直前1分足は陰線率が87%です。
(2) 直後1分足は陽線率が80%です。また、直前1分足との方向一致率が17%(不一致率が83%)です。
(3) 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が74%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが82%です。この数字なら、安心して追撃ポジションが取れます。
問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
ーーー以下は広告ですーーー
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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