2017年04月20日
欧州景気指標「欧PMI速報値」発表前後のEURJPY反応分析(2017年4月21日17:00発表結果検証済)
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
2017年4月21日17:00に欧州景気指標「欧州製造業PMI速報値・欧州サービス業PMI速報値」が発表されます。今回発表は2017年4月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行っています。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため、それだけの先行性があると考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業の仕入れも機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、この「製造業景況感はサービス業景況感よりも先行性がある」という言い伝えは、日本や独国には当てはまりません。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、今では輸出大国の日本や独国の製造業は国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの27回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は、製造業が56.0(前回結果56.2)、サービス業が56.0(前回結果56.5)で、いずれも前回結果を下回っています。
主要実態指標はまだ2月分までしか発表されておらず、あまり参考になりません。
株価の動きは、16:30発表予定の「独PMI速報値」の記事をご参照ください。独DAXが悪化していないことに加え、仏CACも悪化していません(むしろ、指数は上昇している)。いずれも、この先週までの1か月間は、3月下旬に良くなっているので、景況感が悪くなる理由にはなりません。
EURUSDは、3月15日終値1.073に対し4月14日終値1.061で、この間の大半がこの2値を結んだ線より上側に位置(高値1.091)しています。つまり、終値はややEUR安ですが、期間全体ではややEUR高です。市場予想が前回結果より悪化となっているのは、EUR高も一因かも知れませんね。
そして何より、仏大統領選第1回投票が今週末に予定されており、このことが景況感に悪影響を与えている可能性があります。リスク有の状況が続いており、リスク有状況下での景気指標は悪くなりがちです。
多くの報道解説が懸念する選挙結果は、EU離脱国民投票実施を公約に掲げる極右政党候補の大統領当選です。同候補は世論調査トップを続けていますが、その支持率は1/3〜1/5といった数字で強い訳ではありません。そのため、第2位以下の候補が第1回投票後に政治的結集し、5月に予定されている本選では落選する、という見方が主流のようです。
やはり、状況悪化というより、リスク有ということしか、景況感悪化を示唆する内容はないように思えます。
今回の発表結果は、製造業・サービス業ともに市場予想と同程度かややを上回るのではないでしょうか。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前10分足と直後1分足・直後11分足の縦軸を見比べみてください。縦軸がほぼ同じ尺度なことが、他の国の指標と違って、欧州経済指標への反応が発表直後に一瞬で、大きなトレンドに影響を与えないことを示唆しています。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が70%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが81%です。反応を見てから追撃ポジションを取っても良さそうです。但し、この日は30分後に英指標発表が予定されています。注意しておきましょう。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直後1分足は、陽線率が70%で、直前1分足との方向一致率が14%です。
また、直後11分足は、直前1分足との方向一致率が27%です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事前差異・事後差異ともに、発表前後との方向一致率に極端な偏りがありません。
シナリオは、巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以下は2017年4月月21日20:45頃に追記しています。
同時発表された総合指数は56.7(前回結果56.4、市場予想56.3)で、2011年4月以来6年ぶりの高水準でした。解説記事によっては、「非常に広範囲にわたる成長で、今後もこうした傾向が続けば成長率見通しを上方修正する動きが出てくる」との識者指摘を載せるものもありました。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
指標発表結果は、製造業PMIが56.2(市場予想56.0)で、サービス業PMIが56.8(市場予想56.0)、でした。
反応は直後1分足が同値、直後11分足が陰線となりました。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足と直後1分足とで損切となりました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
問題ありません。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
損切もあったものの、問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
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本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年4月21日17:00に欧州景気指標「欧州製造業PMI速報値・欧州サービス業PMI速報値」が発表されます。今回発表は2017年4月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- まず、本指標で取引する上での注意点です。
(1) 本指標本来の特徴は、上表における過去反応の平均値や、後掲するローソク足検証に現れています。発表前後の反応の大きさが、他の国の指標と違ってほぼ同じです。また、反応一致性分析の結果でも、直後11分足は、直後1分足との方向一致率が70%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが81%です。
本指標は、多くのFX会社の経済指標の重み付けで注目度や重要度が高いとされている割に、結果がどうであれ関係なく、そのときのトレンド次第という特徴があります。
(2) 本指標発表から30分前の16:30には独国景気指標「製造業PMI速報値・サービス業PMI速報値」が発表されています。独PMI発表後には、市場予想が改訂されることがあります。また、本指標発表から30分後には、英国実態指標「小売売上高指数」の発表が予定されています。17:00の本指標発表前後からEURGBPの取引が急増し、それがEURの動きに影響する可能性があります。
EURは一方向に動きがちな通貨ですが、それだけに逆方向に動き始めるときには損切が遅れると被害が大きくなってしまいます。その点にはご注意ください。
(3) 加えて、今週末には仏大統領選第1回投票が予定されています。そのため、欧州時間はリスク回避の動きが強まり、日頃とは違う動きが大きくなる可能性があります。15:30・16:00・16:30といったちょうど時刻前後の1分足の動きの強さや、16:00からのトレンドの強さにも注意しておきましょう。 - 指標については次の通りです。
今回の市場予想は、製造業が56.0(前回結果56.2)、サービス業が56.0(前回結果56.5)で、いずれも前回結果を下回っています。今回はいずれも市場予想と同値か上回ると考えています。
根拠は、市場予想通りよりも発表結果が悪化する要因が、仏大統領選第1回投票に向けてのリスク回避ぐらいで、むしろ最近の関連報道を追っていくと懸念される極右政党候補にとって有利な材料が増えていないため、です。 - シナリオは次の通りです。
但し、この日のEUR取引がリスク回避中心に動く可能性が高いことは間違いないでしょう。30分後には英指標発表も予定されています。よって、以下のポジションが指標発表前までのトレンドに反するなら、ポジションを取らずに見ていようと思います。
(1) 直前10分足は、反応一致性分析で偏りが見いだせていません。がしかし、EURは動きが一方向に向かいがちな通貨です。16:00から16:50にトレンドが生じているようならば、直前10分足はそれに便乗します。仏大統領選第1回投票直前で、便乗しやすいトレンドが生じる可能性があるため。特に、16:30の独PMI速報値を跨いでも同じ方向にトレンドが生じていたならチャンスです。
(2) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陽線率が70%の直後1分足との方向一致率が14%(不一致率86%)です。陰線です。
(3) 直後1分足は、反応一致性分析の結果、陽線率が70%です。
(4) 直後11分足は、直前1分足との方向一致率が27%です。また、直後1分足との方向一致率が70%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが81%です。反応を見てから追撃ポジションを取っても良さそうです。
T.調査
公開情報や既出情報に基づく調査を行っています。
【1. 指標概要】
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。
一般論として、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため、それだけの先行性があると考えられます。それよりは先行性が劣るものの、サービス業の仕入れも機会喪失を避けるため、消費者の動向に先んじようと必死です。
但し、この「製造業景況感はサービス業景況感よりも先行性がある」という言い伝えは、日本や独国には当てはまりません。昔とは違って、流通経路が可視化・効率化され、企業購買部門の力量が向上し、今では輸出大国の日本や独国の製造業は国内サービス業を介さずに海外と直接取引を行うことができるから、です。サービス業の仕入れに至っては、ほぼ消費動向とリアルタイムで一致しつつあるのです。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、です。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの27回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は、製造業が56.0(前回結果56.2)、サービス業が56.0(前回結果56.5)で、いずれも前回結果を下回っています。
主要実態指標はまだ2月分までしか発表されておらず、あまり参考になりません。
株価の動きは、16:30発表予定の「独PMI速報値」の記事をご参照ください。独DAXが悪化していないことに加え、仏CACも悪化していません(むしろ、指数は上昇している)。いずれも、この先週までの1か月間は、3月下旬に良くなっているので、景況感が悪くなる理由にはなりません。
EURUSDは、3月15日終値1.073に対し4月14日終値1.061で、この間の大半がこの2値を結んだ線より上側に位置(高値1.091)しています。つまり、終値はややEUR安ですが、期間全体ではややEUR高です。市場予想が前回結果より悪化となっているのは、EUR高も一因かも知れませんね。
そして何より、仏大統領選第1回投票が今週末に予定されており、このことが景況感に悪影響を与えている可能性があります。リスク有の状況が続いており、リスク有状況下での景気指標は悪くなりがちです。
多くの報道解説が懸念する選挙結果は、EU離脱国民投票実施を公約に掲げる極右政党候補の大統領当選です。同候補は世論調査トップを続けていますが、その支持率は1/3〜1/5といった数字で強い訳ではありません。そのため、第2位以下の候補が第1回投票後に政治的結集し、5月に予定されている本選では落選する、という見方が主流のようです。
やはり、状況悪化というより、リスク有ということしか、景況感悪化を示唆する内容はないように思えます。
今回の発表結果は、製造業・サービス業ともに市場予想と同程度かややを上回るのではないでしょうか。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前10分足と直後1分足・直後11分足の縦軸を見比べみてください。縦軸がほぼ同じ尺度なことが、他の国の指標と違って、欧州経済指標への反応が発表直後に一瞬で、大きなトレンドに影響を与えないことを示唆しています。
U. 分析
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が70%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが81%です。反応を見てから追撃ポジションを取っても良さそうです。但し、この日は30分後に英指標発表が予定されています。注意しておきましょう。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直後1分足は、陽線率が70%で、直前1分足との方向一致率が14%です。
また、直後11分足は、直前1分足との方向一致率が27%です。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事前差異・事後差異ともに、発表前後との方向一致率に極端な偏りがありません。
【6. シナリオ作成】
シナリオは、巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以上
2017年4月21日発表
以下は2017年4月月21日20:45頃に追記しています。
V. 結果
【7. 発表結果】
同時発表された総合指数は56.7(前回結果56.4、市場予想56.3)で、2011年4月以来6年ぶりの高水準でした。解説記事によっては、「非常に広範囲にわたる成長で、今後もこうした傾向が続けば成長率見通しを上方修正する動きが出てくる」との識者指摘を載せるものもありました。
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
指標発表結果は、製造業PMIが56.2(市場予想56.0)で、サービス業PMIが56.8(市場予想56.0)、でした。
反応は直後1分足が同値、直後11分足が陰線となりました。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足と直後1分足とで損切となりました。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 今回の市場予想は、製造業が56.0(前回結果56.2)、サービス業が56.0(前回結果56.5)で、いずれも前回結果を下回っています。今回はいずれも市場予想と同値か上回ると考えています。
根拠は、市場予想通りよりも発表結果が悪化する要因が、仏大統領選第1回投票に向けてのリスク回避ぐらいで、むしろ最近の関連報道を追っていくと懸念される極右政党候補にとって有利な材料が増えていないため、です。
問題ありません。
【9. シナリオ検証】
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- (1) 直前10分足は、反応一致性分析で偏りが見いだせていません。がしかし、EURは動きが一方向に向かいがちな通貨です。16:00から16:50にトレンドが生じているようならば、直前10分足はそれに便乗します。仏大統領選第1回投票直前で、便乗しやすいトレンドが生じる可能性があるため。特に、16:30の独PMI速報値を跨いでも同じ方向にトレンドが生じていたならチャンスです。
(2) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陽線率が70%の直後1分足との方向一致率が14%(不一致率86%)です。陰線です。
(3) 直後1分足は、反応一致性分析の結果、陽線率が70%です。
(4) 直後11分足は、直前1分足との方向一致率が27%です。また、直後1分足との方向一致率が70%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが81%です。反応を見てから追撃ポジションを取っても良さそうです。
損切もあったものの、問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
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ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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