2017年04月03日
米国景気指標「ISM製造業景況指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年4月3日23:00発表結果検証済)
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。事後投稿の日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
2017年4月3日23:00に米国景気指標「ISM製造業景況指数」が発表されます。今回発表は2017年3月分の集計結果です。
同時に、実態指標「建設支出(前月比)」が発表されるものの、こちらはISMに比べてほぼ反応しない指標です。ISMだけに絞って分析を行っていれば十分です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本指数は、(1) 米国主要経済指標で毎月最も早く発表されること(第1営業日)、(2) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(3) 一般論として製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、から重要度・注目度が高いとされています。
がしかし、後述するように過去のデータを見る限り反応(値動き)はそれほど大きくありません。
本指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50%未満のときに利上げをしたことがないということ、です。
なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「新規受注」「生産」「雇用」「入荷遅延」「在庫」の項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの26回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は、前回結果57.7を0.7ポイント下回る57.0と予想されています。
直近の報道解説等の流れを見てみましょう。
3月はFRBが昨年12月の利上げから僅か3か月で再利上げを行っています。3月に再利上げするという報道は、予想も含めて1月下旬から目立つようになっていました。利上げは、設備投資意欲の減退に繋がります。
2月末には大統領議会演説があり、3月中旬に2018年予算教書を提示、入国制限の新大統領令に署名しました。そして、3月下旬に入国制限は再び裁判所命令で却下され、オバマケア代替法案の議会上程が共和党執行部判断で中止されています。
客観的に見て、これほど悪材料が並べば前回結果よりかなり悪化すると予想されます。
けれども、ISMは消費者調査ではなく企業調査です。
まず、先行指標である3月NY連銀製造業景気指数は、2月結果18.7を2.3ポイント下回って16.4に低下しました。3月Phil連銀製造業景気指標もまた、2月結果43.3を10.5ポイントも下回って32.8に低下しました。
そして株価は、3月に入ると右下がりとなり、下旬には大きな下げもありました。
がしかし、先行指標も株価のいずれも前月低下は、前々月のレベルよりは高くなっています。
つまり、市場予想が前回結果より低下を見込み、前々回結果よりも高い水準を見込んでいることは妥当だと言えます。では、今回発表が市場予想と同程度の低下となった場合、どう反応するでしょう。
株価が高値で不安を抱えた状況では、6か月連続で前月を上回っている状況で、前月より悪い結果がでれば迷いが生じます。そのまま持つか売りかに迷っても、買いという選択は少数派と予想されます。
よって、今回の指標結果は市場予想と同水準で、前月より低下し前々月より上、です。反応は陰線と予想します。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前1分足を除けば、全体に陽線が目立ちます。ただ、ポジション取得に有意な偏り70%以上となると、直後11分足が73%で、他はその水準に達していません。
また、直後1分足・直後11分足にはヒゲが目立ちません。後述する反応性分析の結果からは、本指標の反応が一方向に向かいやすいことが数字で裏付けられています。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%で、方向一致時に終値が直後1分足終値よりも伸びていたことが79%です。この数字なら、比較的安心して指標発表後に反応方向を見極めてから追撃しても良さそうです。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直後11分足の陽線率が73%となっています。がしかし、今回は反応性分析の結論を優先します。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が83%です。そして、直後1分足は事後差異との方向一致率が75%となっています。つまり、直後1分足の方向は、直前10-1分足の方向を予兆と捉えることができます。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年4月5日22:30頃に追記しています。
結果は57.2で、前回結果57.7を下回ったものの、市場予想57.0を上回りました。
内訳は、生産指数が57.6・新規受注指数が64.5に低下したものの、雇用指数が58.9・価格指数が70.5に増加しています。雇用指数は2011年6月以来、価格指数は2011年5月以来の高水準となりました。
また、原油価格回復に伴いエネルギー分野が好調で、これが機械需要を押し上げて製造業の回復を牽引している、という解説記事もありました。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
取引結果は次の通りでした。
事前調査分析内容を、以下に検証します
市場予想は分析時よりも上方改定されていました。分析結果はほぼ妥当だったと言えるでしょう。
シナリオは次の通りでした。
結果は、直後1分足が陽線、直後11分足が陰線でした。直後1分足の方向、直後11分足と直後1分足の方向一致とも、分析を誤りました。
直後1分足の陽線は変な動きでした。発表と同時に陽線に跳び跳ねると1-2秒で元に戻し、また上げようとしてまた下がり、3-5pips単位の動きが5-10秒程度続いたように見えました。雇用統計の週ですから、大手が自動売買のテストでもしていたのでしょうか。発表直後に買った人は、皆、刈られてしまったでしょう。
大きな動きとしては、発表前後には株価が落ち、金利も低下し始めたように見えました。金利主導の動きだったように思えます。
市場予想は発表前までに少し上に改定されていたようです(昨日までは57、直前は57.2)が、事前のストーリーが大きく変わるほどではなくて幸いでした。
発表後、2本目の1分足からは陰線側への動きが明確となり、その後はそのままどんどん落ちていきました。上述のように金利の方が先行していたようですが、金利・株価・為替が全て落ち始めました。不安感が強いときの動きがありました
本ブログを始めてから、本指標での取引結果を下表に纏めておきます。
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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年4月3日23:00に米国景気指標「ISM製造業景況指数」が発表されます。今回発表は2017年3月分の集計結果です。
同時に、実態指標「建設支出(前月比)」が発表されるものの、こちらはISMに比べてほぼ反応しない指標です。ISMだけに絞って分析を行っていれば十分です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 指標についてです。
今回の市場予想は、前回結果57.7を0.7ポイント下回る57.0と予想されています。先行するNY連銀・Phil連銀の3月分発表結果や、株価の水準を考慮すると、市場予想が前回結果より低下を見込み、前々回結果よりも高い水準を見込んでいることは妥当だと言えます。
ただ、今回発表が市場予想と同程度の低下となった場合を考えてみましょう。株価が高値で不安を抱えた状況では、指標が6か月連続で前月を上回っている状況で、今回が前月より悪い結果がでれば迷いが生じます。そのまま株を持つか売りかに迷っても、買いという選択は少数派だと予想されます。
よって、今回の指標結果は市場予想と同水準で、前月より低下し前々月より上、です。反応は陰線と予想しています。 - シナリオは次の通りです。
直後1分足は、上記指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。但し、直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が83%です。そして、直後1分足は事後差異との方向一致率が75%となっています。つまり、直後1分足の方向は、直前10-1分足の方向を予兆と捉えることができます。よって、直前10-1分足が陽線となっていたならば、今回はこの指標発表を跨いだポジション取得を中止します。 - 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%で、方向一致時に終値が直後1分足終値よりも伸びていたことが79%です。この数字なら、比較的安心して指標発表後に反応方向を見極めてから追撃しても良さそうです。
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
T.調査
【1. 指標概要】
本指数は、(1) 米国主要経済指標で毎月最も早く発表されること(第1営業日)、(2) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(3) 一般論として製造業の景況感は小売・消費・物価関連の他の指標への影響も大きいと考えられること、から重要度・注目度が高いとされています。
がしかし、後述するように過去のデータを見る限り反応(値動き)はそれほど大きくありません。
本指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退、です。
本指数の意義は、景気転換をGDPよりも先行示唆することと、FRBが本指数が50%未満のときに利上げをしたことがないということ、です。
なお、ISMとはInstitute for Supply Management(米国供給管理組合)の省略形です。本指数は、製造業約350社の購買担当役員へのアンケート結果に基づく企業景況感を示した指標です。その内容は、「新規受注」「生産」「雇用」「入荷遅延」「在庫」の項目を、前月比で「良い」「悪い」「同じ」の三択で回答した集計結果に、季節調整を加えたものです。
【2. 既出情報】
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの26回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は、前回結果57.7を0.7ポイント下回る57.0と予想されています。
直近の報道解説等の流れを見てみましょう。
3月はFRBが昨年12月の利上げから僅か3か月で再利上げを行っています。3月に再利上げするという報道は、予想も含めて1月下旬から目立つようになっていました。利上げは、設備投資意欲の減退に繋がります。
2月末には大統領議会演説があり、3月中旬に2018年予算教書を提示、入国制限の新大統領令に署名しました。そして、3月下旬に入国制限は再び裁判所命令で却下され、オバマケア代替法案の議会上程が共和党執行部判断で中止されています。
客観的に見て、これほど悪材料が並べば前回結果よりかなり悪化すると予想されます。
けれども、ISMは消費者調査ではなく企業調査です。
まず、先行指標である3月NY連銀製造業景気指数は、2月結果18.7を2.3ポイント下回って16.4に低下しました。3月Phil連銀製造業景気指標もまた、2月結果43.3を10.5ポイントも下回って32.8に低下しました。
そして株価は、3月に入ると右下がりとなり、下旬には大きな下げもありました。
がしかし、先行指標も株価のいずれも前月低下は、前々月のレベルよりは高くなっています。
つまり、市場予想が前回結果より低下を見込み、前々回結果よりも高い水準を見込んでいることは妥当だと言えます。では、今回発表が市場予想と同程度の低下となった場合、どう反応するでしょう。
株価が高値で不安を抱えた状況では、6か月連続で前月を上回っている状況で、前月より悪い結果がでれば迷いが生じます。そのまま持つか売りかに迷っても、買いという選択は少数派と予想されます。
よって、今回の指標結果は市場予想と同水準で、前月より低下し前々月より上、です。反応は陰線と予想します。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前1分足を除けば、全体に陽線が目立ちます。ただ、ポジション取得に有意な偏り70%以上となると、直後11分足が73%で、他はその水準に達していません。
また、直後1分足・直後11分足にはヒゲが目立ちません。後述する反応性分析の結果からは、本指標の反応が一方向に向かいやすいことが数字で裏付けられています。
U. 分析
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%で、方向一致時に終値が直後1分足終値よりも伸びていたことが79%です。この数字なら、比較的安心して指標発表後に反応方向を見極めてから追撃しても良さそうです。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直後11分足の陽線率が73%となっています。がしかし、今回は反応性分析の結論を優先します。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が83%です。そして、直後1分足は事後差異との方向一致率が75%となっています。つまり、直後1分足の方向は、直前10-1分足の方向を予兆と捉えることができます。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上
2017年4月3日23:00発表
以下は2017年4月5日22:30頃に追記しています。
V. 結果
【7. 発表結果】
結果は57.2で、前回結果57.7を下回ったものの、市場予想57.0を上回りました。
内訳は、生産指数が57.6・新規受注指数が64.5に低下したものの、雇用指数が58.9・価格指数が70.5に増加しています。雇用指数は2011年6月以来、価格指数は2011年5月以来の高水準となりました。
また、原油価格回復に伴いエネルギー分野が好調で、これが機械需要を押し上げて製造業の回復を牽引している、という解説記事もありました。
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 今回の市場予想は、前回結果57.7を0.7ポイント下回る57.0と予想されています。先行するNY連銀・Phil連銀の3月分発表結果や、株価の水準を考慮すると、市場予想が前回結果より低下を見込み、前々回結果よりも高い水準を見込んでいることは妥当だと言えます。
ただ、今回発表が市場予想と同程度の低下となった場合を考えてみましょう。株価が高値で不安を抱えた状況では、指標が6か月連続で前月を上回っている状況で、今回が前月より悪い結果がでれば迷いが生じます。そのまま株を持つか売りかに迷っても、買いという選択は少数派だと予想されます。
よって、今回の指標結果は市場予想と同水準で、前月より低下し前々月より上、です。反応は陰線と予想しています。
市場予想は分析時よりも上方改定されていました。分析結果はほぼ妥当だったと言えるでしょう。
【9. シナリオ検証】
シナリオは次の通りでした。
- シナリオは次の通りです。
直後1分足は、上記指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。但し、直前10-1分足は、事後差異との方向一致率が83%です。そして、直後1分足は事後差異との方向一致率が75%となっています。つまり、直後1分足の方向は、直前10-1分足の方向を予兆と捉えることができます。よって、直前10-1分足が陽線となっていたならば、今回はこの指標発表を跨いだポジション取得を中止します。 - 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%で、方向一致時に終値が直後1分足終値よりも伸びていたことが79%です。この数字なら、比較的安心して指標発表後に反応方向を見極めてから追撃しても良さそうです。
結果は、直後1分足が陽線、直後11分足が陰線でした。直後1分足の方向、直後11分足と直後1分足の方向一致とも、分析を誤りました。
直後1分足の陽線は変な動きでした。発表と同時に陽線に跳び跳ねると1-2秒で元に戻し、また上げようとしてまた下がり、3-5pips単位の動きが5-10秒程度続いたように見えました。雇用統計の週ですから、大手が自動売買のテストでもしていたのでしょうか。発表直後に買った人は、皆、刈られてしまったでしょう。
大きな動きとしては、発表前後には株価が落ち、金利も低下し始めたように見えました。金利主導の動きだったように思えます。
市場予想は発表前までに少し上に改定されていたようです(昨日までは57、直前は57.2)が、事前のストーリーが大きく変わるほどではなくて幸いでした。
発表後、2本目の1分足からは陰線側への動きが明確となり、その後はそのままどんどん落ちていきました。上述のように金利の方が先行していたようですが、金利・株価・為替が全て落ち始めました。不安感が強いときの動きがありました
本ブログを始めてから、本指標での取引結果を下表に纏めておきます。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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