2017年03月28日
米国経済指標「四半期GDP確報値」・実態指標「四半期PCE確報値」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年3月30日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。事後投稿日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
2017年3月30日21:30に米国経済指標「四半期GDP確報値」・実態指標「四半期PCE確報値」が発表されます。今回発表は2016年10-12月期分の集計結果です。
本指標と同時に、週次新規失業保険申請件数が発表されます。がしかし、以下の分析にその点は考慮していません。以下は、あくまで米国経済指標「四半期GDP確報値」・実態指標「四半期PCE確報値」の過去反応傾向の分析となります。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
確報値ということもあり、大して反応する指標ではありません。
なお、GDP確報値の場合、市場予想と対比すべき前回結果は改定値となります。つまり、今回の市場予想は、GDPだけが変化すると予想されている訳です。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
GDP(Gross Domestic Product)は「個人消費支出」「住宅投資」「設備投資」「在庫投資」「政府支出」など広範囲で総合的な国の成長率を表す指標です。 米国の場合、個人消費支出が約70%を占めていることが知られています。
GDPと同時に、四半期PCE(個人消費支出)が発表されます。PCEは、CPIと同じくインフレ率を計る指標です。
同じインフレ率を表すものの、PCE<CPIという関係が一般に成り立ちます。これはデータ処理上の方法論の違いから、CPIに上方バイアスが加わるためです。また、CPIが消費者自身の支出だけに基づくのに対し、PCEには間接的に消費者が支払う費用も含まれています(例えば、保険による支払い)。
商務省が毎月25日前後の21:30(冬時間22:30)に「速報値(1・4・7・10月)」「改定値(2・5・8・11月)」「確定値(3・6・9・12月)」を順番に発表します。
ざっくり言えば、指標結果に最も素直に反応する直後1分足跳幅の平均は、速報値20pips強・改定値15pips強・確報値10pips強、といったところです。
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの15回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
定性分析は、今回省略します。
グラフは、確報値の市場予想と発表結果を示しています。GDP確報値の場合、前回結果は改定値を参考にすべきです。グラフの前回結果との差は、改定値で既にUSDJPYレートに反映されています。
今回市場予想は、GDPだけが改定値より0.1改善、PCE・コアPCEは改定値のままとなっています。本記事巻頭に挙げた表をご参照願います。
今回の事前差異は、GDPがマイナス、PCEがプラス、コアPCEがマイナスです。直近で今回と同じ関係になったことは、2014年10-12月期があります。このとき、直前10-1分足は陽線、直前1分足も陽線となっています。
以下に、過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
過去の直後1分足にはヒゲがほとんどありません。そして、直後11分足のヒゲも長くありません。このことは、指標発表結果による反応が1分強しか保たないことが多かった、ということでしょう。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が64%、方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値よりも伸びていたことは56%です。反応方向を確認してから追撃ポジションを取るには、信頼性に欠ける数字だと言えるでしょう。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足の陰線率が75%となっています。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
表中、事前差異とは(市場予想ー前回結果)、事後差異とは(発表結果ー市場予想)、を指しています。事前差異は、GDPとPCEとコアPCEのそれぞれの(市場予想ー前回結果)を単純に合計しています。事後差異は、GDP事後差異✕0.5+PCE事後差異✕0.1+コアPCE事後差異✕0.4、で求めています。
直前10-1分足と事後差異との方向一致率が77%となっています。この数値は、本指標発表前に市場がほぼ正しく発表結果が市場予想より大きいか小さいかを把握している(4回に3回は)、ということです。そして、直後1分足と事後差異との方向一致率が80%となっています。発表結果が市場予想より良ければ陽線、悪ければ陰線と、素直な反応が期待できます。
よって、直後1分足は直前10-1分足と同方向に反応する可能性が高い、と言えます。
直後11分足と事後差異との方向一致率も71%と高くなっています。がしかし、反応性分析の項で述べたように、直後11分足終値は直後1分足終値を超えて反応する可能性が50%台しかありません。よって、これは取引に有益な利用法がない情報です。
巻頭箇条書きの3項目をご参照ください。
以下は2017年3月30日23:10頃に追記しています。
全項上振れとなりました。特に四半期PCEは、確報値では久しぶりに大きな上振れでした。
23:03現在、ブルームバーグ日本語HPには結果が流れていません。ロイターは数値のみしか流していません。これも珍しいことです。
2016年第4Qの米GDP確報値は、年率換算で前期比2.1%増と、改定値1.9%増から上方改定されました。
上方改定は、個人消費が堅調で輸入も増えたため、のようです。個人消費は改定値3.0%増から3.5%増、輸入は改定値8.5%増から9.0%増へと上方改定されています。
米大統領は、減税・インフラ支出・規制緩和で経済成長を年率4%まで押し上げると公約しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
取引結果は次の通りでした。
シナリオ2に関しては、完全に分析を外していました。
シナリオ3・4は、発表結果が全項上振れでPCEが大きく上振れしていたので、臨時で追撃を行いました。これらは、事前に準備していたシナリオではないので、週次成績には含めますが、下部の指標成績には含めません。
ちなみに、今回の直後1分足の初期反応は、1・2数秒ですが遅れて生じたような感じがありました。気のせいでしょうか。
指標に関する調査分析は、今回行っていません。
事前に準備していたシナリオは次の通りです。
結果は、直後1分足と直後11分足は同方向に反応し、直後11分足終値は直後1分足終値よりも伸びました。
確報値で、これほど市場予想より上振れすることは珍しいと思います。
直前1分足は陰線でした。
一方、直後1分足は、直前10-1分足が陰線にも関わらず陽線となりました。
本ブログ開始以降の本指標確報値の成績表を下表に示します。
なお、先述の通り、シナリオ3・4は事前準備したものでなく、指標結果を見て事後の追撃のため下表には含めません。
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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
ーーー事前投稿分ーーー
2017年3月30日21:30に米国経済指標「四半期GDP確報値」・実態指標「四半期PCE確報値」が発表されます。今回発表は2016年10-12月期分の集計結果です。
本指標と同時に、週次新規失業保険申請件数が発表されます。がしかし、以下の分析にその点は考慮していません。以下は、あくまで米国経済指標「四半期GDP確報値」・実態指標「四半期PCE確報値」の過去反応傾向の分析となります。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
確報値ということもあり、大して反応する指標ではありません。
なお、GDP確報値の場合、市場予想と対比すべき前回結果は改定値となります。つまり、今回の市場予想は、GDPだけが変化すると予想されている訳です。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 先にご注意です。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が64%、方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値よりも伸びていたことは56%です。反応方向を確認してから追撃ポジションを取るには、信頼性に欠ける数字だと言えるでしょう。
過去の直後1分足にはヒゲがほとんどありません。そして、直後11分足のヒゲも長くありません。このことは、指標発表結果による反応が1分強しか保たないことが多かった、ということでしょう。 - 今回は指標定性分析を省略します。
- シナリオは2つです。
直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が75%となっています。但し、過去の反応平均は跳幅3pipsしかありません。
直後1分足は、指標一致性分析の結果、直前10-1分足と同じ方向に反応する可能性が高いようです。これは、直前10-1分足と事後差異との方向一致率が77%で、事後差異と直後1分足の方向一致率が80%という分析結果で繋がっています。
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
T.調査
【1. 指標概要】
GDP(Gross Domestic Product)は「個人消費支出」「住宅投資」「設備投資」「在庫投資」「政府支出」など広範囲で総合的な国の成長率を表す指標です。 米国の場合、個人消費支出が約70%を占めていることが知られています。
GDPと同時に、四半期PCE(個人消費支出)が発表されます。PCEは、CPIと同じくインフレ率を計る指標です。
同じインフレ率を表すものの、PCE<CPIという関係が一般に成り立ちます。これはデータ処理上の方法論の違いから、CPIに上方バイアスが加わるためです。また、CPIが消費者自身の支出だけに基づくのに対し、PCEには間接的に消費者が支払う費用も含まれています(例えば、保険による支払い)。
商務省が毎月25日前後の21:30(冬時間22:30)に「速報値(1・4・7・10月)」「改定値(2・5・8・11月)」「確定値(3・6・9・12月)」を順番に発表します。
ざっくり言えば、指標結果に最も素直に反応する直後1分足跳幅の平均は、速報値20pips強・改定値15pips強・確報値10pips強、といったところです。
【2. 既出情報】
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの15回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
定性分析は、今回省略します。
グラフは、確報値の市場予想と発表結果を示しています。GDP確報値の場合、前回結果は改定値を参考にすべきです。グラフの前回結果との差は、改定値で既にUSDJPYレートに反映されています。
今回市場予想は、GDPだけが改定値より0.1改善、PCE・コアPCEは改定値のままとなっています。本記事巻頭に挙げた表をご参照願います。
(2-2. 過去反応)
今回の事前差異は、GDPがマイナス、PCEがプラス、コアPCEがマイナスです。直近で今回と同じ関係になったことは、2014年10-12月期があります。このとき、直前10-1分足は陽線、直前1分足も陽線となっています。
以下に、過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
過去の直後1分足にはヒゲがほとんどありません。そして、直後11分足のヒゲも長くありません。このことは、指標発表結果による反応が1分強しか保たないことが多かった、ということでしょう。
U. 分析
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が64%、方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値よりも伸びていたことは56%です。反応方向を確認してから追撃ポジションを取るには、信頼性に欠ける数字だと言えるでしょう。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足の陰線率が75%となっています。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
表中、事前差異とは(市場予想ー前回結果)、事後差異とは(発表結果ー市場予想)、を指しています。事前差異は、GDPとPCEとコアPCEのそれぞれの(市場予想ー前回結果)を単純に合計しています。事後差異は、GDP事後差異✕0.5+PCE事後差異✕0.1+コアPCE事後差異✕0.4、で求めています。
直前10-1分足と事後差異との方向一致率が77%となっています。この数値は、本指標発表前に市場がほぼ正しく発表結果が市場予想より大きいか小さいかを把握している(4回に3回は)、ということです。そして、直後1分足と事後差異との方向一致率が80%となっています。発表結果が市場予想より良ければ陽線、悪ければ陰線と、素直な反応が期待できます。
よって、直後1分足は直前10-1分足と同方向に反応する可能性が高い、と言えます。
直後11分足と事後差異との方向一致率も71%と高くなっています。がしかし、反応性分析の項で述べたように、直後11分足終値は直後1分足終値を超えて反応する可能性が50%台しかありません。よって、これは取引に有益な利用法がない情報です。
【6. シナリオ作成】
巻頭箇条書きの3項目をご参照ください。
以上
2017年3月30日21:30発表
以下は2017年3月30日23:10頃に追記しています。
V. 結果
【7. 発表結果】
全項上振れとなりました。特に四半期PCEは、確報値では久しぶりに大きな上振れでした。
23:03現在、ブルームバーグ日本語HPには結果が流れていません。ロイターは数値のみしか流していません。これも珍しいことです。
2016年第4Qの米GDP確報値は、年率換算で前期比2.1%増と、改定値1.9%増から上方改定されました。
上方改定は、個人消費が堅調で輸入も増えたため、のようです。個人消費は改定値3.0%増から3.5%増、輸入は改定値8.5%増から9.0%増へと上方改定されています。
米大統領は、減税・インフラ支出・規制緩和で経済成長を年率4%まで押し上げると公約しています。
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
シナリオ2に関しては、完全に分析を外していました。
シナリオ3・4は、発表結果が全項上振れでPCEが大きく上振れしていたので、臨時で追撃を行いました。これらは、事前に準備していたシナリオではないので、週次成績には含めますが、下部の指標成績には含めません。
ちなみに、今回の直後1分足の初期反応は、1・2数秒ですが遅れて生じたような感じがありました。気のせいでしょうか。
【8. 調査分析検証】
指標に関する調査分析は、今回行っていません。
【9. シナリオ検証】
事前に準備していたシナリオは次の通りです。
- 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が64%、方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値よりも伸びていたことは56%です。反応方向を確認してから追撃ポジションを取るには、信頼性に欠ける数字だと言えるでしょう。
過去の直後1分足にはヒゲがほとんどありません。そして、直後11分足のヒゲも長くありません。このことは、指標発表結果による反応が1分強しか保たないことが多かった、ということでしょう。
結果は、直後1分足と直後11分足は同方向に反応し、直後11分足終値は直後1分足終値よりも伸びました。
確報値で、これほど市場予想より上振れすることは珍しいと思います。
- 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が75%となっています。但し、過去の反応平均は跳幅3pipsしかありません。
直後1分足は、指標一致性分析の結果、直前10-1分足と同じ方向に反応する可能性が高いようです。これは、直前10-1分足と事後差異との方向一致率が77%で、事後差異と直後1分足の方向一致率が80%という分析結果で繋がっています。
直前1分足は陰線でした。
一方、直後1分足は、直前10-1分足が陰線にも関わらず陽線となりました。
本ブログ開始以降の本指標確報値の成績表を下表に示します。
なお、先述の通り、シナリオ3・4は事前準備したものでなく、指標結果を見て事後の追撃のため下表には含めません。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
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ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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