2017年03月28日
米国景気指標「CB消費者信頼感指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年3月28日23:00発表結果検証済)
2017年3月28日23:00に米国景気指標「CB消費者信頼感指数」が発表されます。今回発表は2017年3月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
大して反応する指標ではありません。もし取引するなら、それだけに指標発表前のトレンドを事前に確認しておきましょう。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。事後投稿日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
本指標は、現在と将来に対する消費者の景況感と消費動向を示しています。
調査方法は約5000世帯の消費者アンケート調査です。内容は、現在の景況感と雇用状況と、半年後の景況感と雇用状況と世帯所得と購入計画について回答します。購入計画は、自動車・住宅に関して、となっています。
指数は、アンケート結果を1985年と対比して指数化し、現在40%・半年後60%が割り当てられています。
消費者景況感の指標には、他にUM(ミシガン大学)のものが有名です。CBとUMの違いは、基準年(CBは1985年、UMは1964年)と、サンプル数(CBは5000人、UMは500人)です。見比べるとわかるように、UMよりCBの方が信頼度は高いと見なされます。
ではこの信頼度とは何に対する信頼でしょうか。直接的には個人消費(PCE)に対してであり、個人消費は米国GDPの70%を占めるため、GDPに対する先行指標という位置づけになります。
でも、本音を言えばあまり信頼できませんけど。
最後に、CBはConference Boardの略で、全米産業審査委員会を指します。委員会と言っても民間経済調査機関であり、消費者信頼感指数の他には景気先行指数が比較的有名です。
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2016年1月分以降前回までの14回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
前回結果が114.8、市場予想が114.0と、やや前回より低く予想されています。
但し、注意が必要なことに、ここ最近の指数値(12月113.7・1月111.8・2月114.8)は極めて高く、この水準はほぼ15年ぶりです。仮に下がっても114ならば、そういう水準だということです。
次に、上表自体の市場予想と発表結果を見比べてみてください。多くの指標と同様に、グラフが右上がりのときは市場予想が低めになっています。
関係ないけど、プロのエコノミストさえ多くは「上がればそろそろ下がる」「下がればそろそろ上がる」と予想するものなのです。FXに置き換えれば、トレンドフォローが難しいのは全く当然のことですよね。
関連指標については、3月の産業関連景況感がNY連銀・Phil連銀が2月より低下、ISMは製造業・非製造業のいずれも2月より上昇、同じ消費者景況感を調査したUM(ミシガン大学)速報値は2月より上昇、です。
最後に株価を見てみましょう。ダウは1月末に少し下げたものの2月末まで右上がり、3月20日までは高値横這いです。
個人の景況感ですから、直近の報道が頭に残ります。まだ耳に馴染んでいない最新のTV解説か、先月からの繰り返し聞いていた話か、その時間尺度が曖昧です。だから、個人景況感はPMIや連銀調査のように、購買担当役員からの景況感より一歩遅れがちになります。この指摘は以前からあって「消費者景況感は遅行指標ではないか」という話さえあるぐらいです。
以上の結果を纏めると、現在の水準からは市場予想を下回っても不思議でないものの、グラフ傾向からは市場予想より上、関連指標からも市場予想を上回る可能性があり、株価は中立です。
よって、今回は市場予想を上回る可能性があります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直後1分足をご覧ください。ヒゲが目立っています。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が64%(3回に2回)となっています。そして、方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値よりも伸びたことは89%となっています。やや方向一致率に不安がありますが、慎重になら追いかけてポジションを取っても良さそうです。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直後1分足の陽線率が79%となっています。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事後差異と直後1分足の方向一致率が86%となっています。指標結果に対しては素直に反応する指標のようです。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年3月28日23:45頃に追記しています。
結果は、市場予想(114.0)を大幅に上回り125.6となりました。この数値は2000年12月以来の高水準とのことで、雇用に楽観的な見方が広がったことと業況感改善が寄与しました。
ただもし、この結果が昨年末頃からのトランプラリーによる株価好調の印象を引きずったものならば、来月以降は利上げの影響や株価不安や米政権政策遂行力への疑念によって、消費者景況感は低下し始めるかも知れませんね。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
取引結果は次の通りでした。
事前調査分析内容は以下の通りでした。
結果は、市場予想を上回りました。
市場でも多くの人が同じ見通しだったのでしょう。市場予想は前回結果を下回っていたにも関わらず、22:53頃から不自然にUSDJPYは上昇しました。
事前に準備していたシナリオは次の通りです。
直後1分足は、指標結果に対し素直に陽線で反応。市場予想をかなり大きく上回ったものの、長い上ヒゲを残しました。
直後11分足は、直後1分足と同じく陽線で反応。直後11分足終値は直後1分足終値を超えて反応を伸ばしました。
シナリオ2のポジション解消は、取得から3分強で行いました。そのまま、直後11分足終値まで持っていたら、あと数pipsは稼げたようです。がしかし、これは結果論で、方向一致率に不安があった以上、この取引はこれで良かったと考えています。負けなきゃいいのです。
本指標での取引は、本ブログを始めてから初回となります。後日参照のため、指標成績を下表に残しておきます。
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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
大して反応する指標ではありません。もし取引するなら、それだけに指標発表前のトレンドを事前に確認しておきましょう。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 今回は市場予想を上回ると考えます。
これは、現在の高い指数水準を見ると市場予想を下回っても不思議ではないものの、過去のグラフ傾向からは市場予想よりも上、関連指標からも市場予想より上、株価が中立、という状況を踏まえてです。 - シナリオに先立ち、指標一致性分析から、事後差異と直後1分足の方向一致率が86%となっています。過去の傾向から言えば、指標結果に対しては素直に反応する、ということがわかっています。
そしてシナリオです。
まず、直後1分足は、反応一致性分析の結果、陽線率が79%となっています。この結果は、上記指標定性分析の結論とも一致しています。但し、ローソク足検証では、直後1分足はヒゲが目立っています。ヒゲは発表直後が多いので、ヒゲで利確できるならひとまず利確すべきです。
次に、直後11分足は、反応性分析の結果、直後1分足との方向一致率が64%(3回に2回)で、方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値よりも伸びたことが89%となっています。やや方向一致率に不安があるものの、慎重になら追いかけてポジションを取っても良さそうです(例えば、指標発表以前のトレンドと同方向なら追撃する)。
追撃にあたっては、直後1分足にヒゲが多かったことを思い出してください。直後11分足が直後1分足と同じ方向に反応する場合でも、早すぎる追撃ポジションは、含損となる可能性があります。一呼吸おいてから、追撃ポジションを取りましょう。
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。事後投稿日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
T.調査
【1. 指標概要】
本指標は、現在と将来に対する消費者の景況感と消費動向を示しています。
調査方法は約5000世帯の消費者アンケート調査です。内容は、現在の景況感と雇用状況と、半年後の景況感と雇用状況と世帯所得と購入計画について回答します。購入計画は、自動車・住宅に関して、となっています。
指数は、アンケート結果を1985年と対比して指数化し、現在40%・半年後60%が割り当てられています。
消費者景況感の指標には、他にUM(ミシガン大学)のものが有名です。CBとUMの違いは、基準年(CBは1985年、UMは1964年)と、サンプル数(CBは5000人、UMは500人)です。見比べるとわかるように、UMよりCBの方が信頼度は高いと見なされます。
ではこの信頼度とは何に対する信頼でしょうか。直接的には個人消費(PCE)に対してであり、個人消費は米国GDPの70%を占めるため、GDPに対する先行指標という位置づけになります。
でも、本音を言えばあまり信頼できませんけど。
最後に、CBはConference Boardの略で、全米産業審査委員会を指します。委員会と言っても民間経済調査機関であり、消費者信頼感指数の他には景気先行指数が比較的有名です。
【2. 既出情報】
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2016年1月分以降前回までの14回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
前回結果が114.8、市場予想が114.0と、やや前回より低く予想されています。
但し、注意が必要なことに、ここ最近の指数値(12月113.7・1月111.8・2月114.8)は極めて高く、この水準はほぼ15年ぶりです。仮に下がっても114ならば、そういう水準だということです。
次に、上表自体の市場予想と発表結果を見比べてみてください。多くの指標と同様に、グラフが右上がりのときは市場予想が低めになっています。
関係ないけど、プロのエコノミストさえ多くは「上がればそろそろ下がる」「下がればそろそろ上がる」と予想するものなのです。FXに置き換えれば、トレンドフォローが難しいのは全く当然のことですよね。
関連指標については、3月の産業関連景況感がNY連銀・Phil連銀が2月より低下、ISMは製造業・非製造業のいずれも2月より上昇、同じ消費者景況感を調査したUM(ミシガン大学)速報値は2月より上昇、です。
最後に株価を見てみましょう。ダウは1月末に少し下げたものの2月末まで右上がり、3月20日までは高値横這いです。
個人の景況感ですから、直近の報道が頭に残ります。まだ耳に馴染んでいない最新のTV解説か、先月からの繰り返し聞いていた話か、その時間尺度が曖昧です。だから、個人景況感はPMIや連銀調査のように、購買担当役員からの景況感より一歩遅れがちになります。この指摘は以前からあって「消費者景況感は遅行指標ではないか」という話さえあるぐらいです。
以上の結果を纏めると、現在の水準からは市場予想を下回っても不思議でないものの、グラフ傾向からは市場予想より上、関連指標からも市場予想を上回る可能性があり、株価は中立です。
よって、今回は市場予想を上回る可能性があります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直後1分足をご覧ください。ヒゲが目立っています。
U. 分析
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が64%(3回に2回)となっています。そして、方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値よりも伸びたことは89%となっています。やや方向一致率に不安がありますが、慎重になら追いかけてポジションを取っても良さそうです。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直後1分足の陽線率が79%となっています。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
事後差異と直後1分足の方向一致率が86%となっています。指標結果に対しては素直に反応する指標のようです。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上
2017年3月28日23:00発表
以下は2017年3月28日23:45頃に追記しています。
V. 結果
【7. 発表結果】
結果は、市場予想(114.0)を大幅に上回り125.6となりました。この数値は2000年12月以来の高水準とのことで、雇用に楽観的な見方が広がったことと業況感改善が寄与しました。
ただもし、この結果が昨年末頃からのトランプラリーによる株価好調の印象を引きずったものならば、来月以降は利上げの影響や株価不安や米政権政策遂行力への疑念によって、消費者景況感は低下し始めるかも知れませんね。
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容は以下の通りでした。
- 今回は市場予想を上回ると考えます。
これは、現在の高い指数水準を見ると市場予想を下回っても不思議ではないものの、過去のグラフ傾向からは市場予想よりも上、関連指標からも市場予想より上、株価が中立、という状況を踏まえてです。
結果は、市場予想を上回りました。
市場でも多くの人が同じ見通しだったのでしょう。市場予想は前回結果を下回っていたにも関わらず、22:53頃から不自然にUSDJPYは上昇しました。
【9. シナリオ検証】
事前に準備していたシナリオは次の通りです。
- まず、直後1分足は、反応一致性分析の結果、陽線率が79%となっています。この結果は、上記指標定性分析の結論とも一致しています。但し、ローソク足検証では、直後1分足はヒゲが目立っています。ヒゲは発表直後が多いので、ヒゲで利確できるならひとまず利確すべきです。
次に、直後11分足は、反応性分析の結果、直後1分足との方向一致率が64%(3回に2回)で、方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値よりも伸びたことが89%となっています。やや方向一致率に不安があるものの、慎重になら追いかけてポジションを取っても良さそうです(例えば、指標発表以前のトレンドと同方向なら追撃する)。
追撃にあたっては、直後1分足にヒゲが多かったことを思い出してください。直後11分足が直後1分足と同じ方向に反応する場合でも、早すぎる追撃ポジションは、含損となる可能性があります。一呼吸おいてから、追撃ポジションを取りましょう。
直後1分足は、指標結果に対し素直に陽線で反応。市場予想をかなり大きく上回ったものの、長い上ヒゲを残しました。
直後11分足は、直後1分足と同じく陽線で反応。直後11分足終値は直後1分足終値を超えて反応を伸ばしました。
シナリオ2のポジション解消は、取得から3分強で行いました。そのまま、直後11分足終値まで持っていたら、あと数pipsは稼げたようです。がしかし、これは結果論で、方向一致率に不安があった以上、この取引はこれで良かったと考えています。負けなきゃいいのです。
本指標での取引は、本ブログを始めてから初回となります。後日参照のため、指標成績を下表に残しておきます。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
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ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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