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2017年03月12日
4-3. 欧州経済指標DB(3月12日更新)
【4-3-1. EURの特徴】
EURは、USDに次ぐ取引規模となります。USD・EURに次ぐ規模の通貨はJPY、その次がGBPです(中国元は不明)。但し、過去の反応を見る限り、17:00〜18:00(冬時間は18:00〜19:00)はJPYとGBPの順位が逆転しているのではないでしょうか。この時間帯にGBPの動きが早くなることが多いので。
EURは、もっと早い時間帯から動き始めるものの、GBPが動き始めることで動きが早くなります。USDが大きく動き始める21:00〜22:00(冬時間22:00〜23:00)も同様に、EURの動きは早くなります。もっとも、どの通貨にせよドルクロスが動き始めると、円クロスも早く動くことは当然なのですが。
0:00と1:00のロンドンカット・NYカット前後はもちろん、良く動きます。
さて、今回のFOMCが終われば、暫くEURの動きに注目が高まると思われます。蘭議会選挙・仏大統領選・英EU離脱交渉・ギリシャ債務問題と、話題に事欠きません。もともと大きな選挙があるときには、それなりに注目が集まるものですが、EU瓦解の危機が意識(危機を意識してから瓦解を意識する)されます。今は英国だけでなく、欧州各国でEU離脱を説く政党・候補が注目されているため、です。
仏大統領選のマスコミ世論調査では、EU離脱の国民投票実施を公約に掲げる候補が1位となっています。最終的には、2位以下の候補が結束して仏大統領はEU残留派になるという解説記事が多いようです。がしかし、ブリグジットのときも米大統領選のときも、大手マスコミの予想記事は外れていました。その記憶が皆に新しいため、EURの動きは複雑化します。
直近は、EURUSDのOPが1.07付近に設定されており、キリの良い数字ということもあって、この付近では一気に跳ね返されたり抜ける動きがあるでしょう。3 月15 日が蘭総選挙、4 月仏大統領選挙で我々には発表時間がわからない各種世論調査発表、4月20日はギリシ ャ追加支援問題にEU会議の(仮?)結論、です。EURJPYは、FOMC後に国内機関投資家のレパトリです。
EURが買われる材料がほとんどない週だという気がします。
【4-3-2. 現状チャート】
省略します。
【4-3-3. 現状テクニカル】
【4-3-4. 現状ファンダメンタル】
【4-3-5. 今週経済指標】
3月14日(火)19:00に独欧ZEW、3月16日(木)19:00にHICP改定値が発表されます。
がしかし、過去の傾向から言って、それほど大きな反応をする指標ではありません。今週は、欧州指標での取引を諦めて、そのための分析時間をFOMC前後の情報収集に努めたいと思います。
【4-3-6. 指標分析一覧】
【A. 政策決定指標】
A1. 金融政策
(1) ECB政策金利(2017年1月発表結果記載済)
A3. 景気指標
関連指標同士の関係も整合性があり、発表直後の反応は比較的素直です。反応は小さいものの、実態指標分析の裏付けとなるし、練習にはもってこいかも知れません。
(1) 独国Ifo景況指数(2017年2月22日発表結果検証済)
(2) 独国ZEW景況感調査・欧州ZEW景況指数(2017年2月14日発表結果検証済)
(3) 独国PMI速報値(2017年2月21日発表結果検証済)
(4) 欧州PMI速報値(2017年2月21日発表結果検証済)
A4. 物価指標
(1) 消費者物価指数(HICP)速報値(2017年2月発表結果記載済)
(2) 消費者物価指数(HICP)改定値
A5. 雇用指標
【B. 経済情勢指標】
B1. 経済成長
欧州GDPは、発表結果と反応方向とがあまり関係ありません。むしろ、そのときどきのトレンドや、タイミング毎の動きに偏りがあります。「タイミング毎の動きの偏り」は、以下の分析をご覧ください。
(1) 独国四半期GDP(季調済)速報値(2017年2月14日発表結果検証済)
(2) 欧州四半期GDP(季調済)速報値
B2. 国際収支
B3. 実態指標
B31. 消費
B32. 製造
B33. 住宅
以上
4-4. 英国経済指標DB(3月12日更新)
【4-4-1. GBPの特徴】
ここ1-2年のGBPの動きは、少なくともアマチュアの定量的な経済分析が通用しない状況です。
つまり、ブリグジット騒ぎ以前は、EUにおいて独国に次ぐ経済好調な印象がありました。スコットランド独立騒動があったものの、一時はGBPJPYが200円近くまで上昇し、当時の解説記事では200円突破を確実視するような内容が多かったという記憶があります(2015年夏頃)。約1年後、2016年6月には国民投票でEU離脱が決まり、10月には安値122円までGBPは売られました。
ところが、2016年6月以降現在までをそれ以前と比べて、GDPはもとより実態指標・物価指標・景気指標・国際収支・雇用指標のいずれも悪化したとは言えません。ただただGBPが売られ続けた訳です。データなんか関係なしに不安感がGBPを売る動きに結び付いているのでしょうか。
では、経済指標が経済の実態を色々な面から表しているとするなら、雰囲気を表しやすい指標は株価です。ところが、英FTSEも凸凹はあるものの、やはり右上がりとなっています。とても、GBPの動きをアマチュアには解釈できません。
今後も暫くは、EU離脱交渉開始・スコットランド独立騒動再燃・資源価格低迷(原油50ドル前後で70ドルに達しない)と、GBPに悪い印象を与える事態が続きます。今後は経済指標が悪化し始めるかも知れないし、今後も過去1年間のように経済指標や株価に関係ないGBP売りが続くのかも知れません。
でもそろそろ、EU離脱しても英国ならそこそこやっていけそうだ、という見方も出始めて良い時期だと思います。
直近の現地報道における関心事は、EU離脱通告法案の行方です。既に大筋は上下院で可決されているものの、「EUとの交渉における重要事は内閣(首相)でなく議会が決定する」という追加条項案が下院で付け加えられたため、揉めているのです。揉めているから、どっちの結論にもその後の対EU交渉で悪い想定の報道が目立っています(当会所感)。
でもまあ、そりゃそうでしょう。そんなミョウチクリンな条件が加えられても対外交渉できるのは、権限と責任が曖昧なままでも何となく安心感をもって勤められる日本のサラリーマンだけです。
全く関係ない話で恐縮ですが、この曖昧な安心感は、こっちにとっては強みです。何しろ相手方の交渉者の恐怖心・焦燥感が、大事な交渉になればなるほどこっちの比ではないことが伝わってきます。そういう実務上の経験から言えば、日本人が交渉下手なんて通説は、本当にそうした交渉事を任せてもらえない人の想像話でしょう。交渉担当者の余裕の有無が結果に結び付きやすいのは当然のことなのです。FXも同じですよ。
ともあれ、この法案修正の是非が13-14日に下院再審議となっています。この再審議の結果次第で、対EU交渉を悲観してGBPが動く可能性があります。
【4-4-2. 現状チャート】
上記の通り、に加え、FOMC終了まで分析中止です。
【4-4-3. 現状テクニカル】
これも、現在は細かなテクニカルが役立つ情勢とも思えないので、数字を挙げるだけです。
【4-4-4. 現状ファンダメンタル】
同じです。
【4-4-5. 今週経済指標】
3月15日(水)18:30に英雇用統計、3月16日(木)21:00にBOE政策金利が発表されます。
いずれも過去の傾向から言って、大きな反応が想定されます。
【4-4-6. 指標分析一覧】
A. 政策決定指標
A1. 金融政策
2017年1月17日にBOE総裁は「今後数年間の英成長は鈍化する見込み」で「個人消費の進展が政策にとっての鍵になる」と発言しています。また、2017年2月2日に四半期インフレ報告で「インフレ見通しが2017年は2.7%、2018年は2.6%」と示されました。
(1) BOE政策金利(2017年3月16日21:00発表予定、事前分析済)
(2) MPC議事録(上記と同時発表)
(3) 四半期インフレ報告(上記と同時発表)
A3. 景気指標
A31. 産業
(1) 製造業PMI(2017年3月1日発表結果検証済)
(2) サービス業PMI(2017年3月3日発表結果検証済)
A4. 物価指標
主要国でCPI・RPI・PPIが一度に発表されるのは英国だけです。CPIやRPIの発表結果が揃って改善/悪化すると、驚くほど大きく反応するので注意が必要です。
(1) 消費者物価指数・小売物価指数・生産者物価指数(2017年2月14日発表結果分析済)
A5. 雇用指標
英国経済指標は、指標発表結果に対して素直な反応をしがちです。がしかし、雇用統計だけは別です。指標発表結果の良し悪しに予想がついても、どちらに反応するかがわからない指標です。発表を跨いでポジションを取っても良い指標ではありません。
(1) 失業保険申請件数・失業率(2017年3月15日発表結果検証済)
B. 経済情勢指標
B1. 経済成長
(1) 四半期GDP速報値
(2) 四半期GDP改定値(2017年2月22日発表結果検証済)
(3) 四半期GDP確定値
B3. 実態指標
B31. 消費
(1) 小売売上高指数(2017年2月17日発表結果検証済)
B32. 製造
(1) 鉱工業生産(2017年3月10日発表結果検証済済)
以上
2017年03月11日
4-5. 豪州経済指標DB(3月11日更新)
【4-5-1. AUDの特徴】
2月・3月のRBA政策金利は「現状維持」でした。金融政策理事会の議事録は2月分までしか公表されていません。その議事録と政策金利発表時の声明では、2016年10-12月期四半期GDPの落ち込みが一時的要因で、2017年の経済成長見通しは以前に復する(2%台後半)、ということになります。
一方、これら議事録・声明は、1月16日に発表されたIMFの世界経済見通しを意識していた可能性があります。IMFの見通しでは、2017年の豪成長率は2016年を0.3ポイント下回るとなっていました。それでも2.7%の成長ですから、先進国で最も高い成長率が見込まれていることになります。
当然「現在の前提が続く限り」という条件が付くにせよ、RBAもIMFも中国の2017年経済成長が2016年よりも小さくなることを折り込んでの話です。
非公的な経済記事では、もともと豪州経済について中長期的な人口増加見通しを背景に、国内経済を楽観視した分析が多いのです。金利は以前ほど高くないものの、当面は今よりも下げることに否定的見解が金融政策理事会議事録で公表されています。対GDP公的債務の割合も小さく、いざというときの財政出動にも余力があるという見方を伝える記事もありました。
株価は、2015年こそ下げが目立ったものの、2016年にはまた右上がりに戻りました。
中長期的には、中国リスクと米豪金利差縮小を除き、AUDを悪く言った話を知りません。
直近の問題もまた、中国リスクと米豪金利差縮小です。
前者は漠然とした不安を持つ以外に何もできませんが、後者ははっきりしています。2017年の複数回の米利上げでAUDUSDが売られる(チャート↓)一方で、USDJPYも米利上げ後のセオリー通りに売られてしまうと、AUDJPYは一気に下げるので注意が必要です。
がしかし、USDJPYは3月利上げが行われても、近々に次の利上げがあるとなれば、上昇の可能性もある訳です。その場合にAUDJPYは、日本時間で買われて欧米時間に下げるばたばたを繰り返す時期が続く可能性があります。
日足よりも4時間足で動きを見ておきたいと思います。
【4-5-2. 現状チャート】
12月23日週安値と2月3日週安値と先週安値を結んだサポート上を推移する上昇トレンド中です。但し、日足チャートで見る限り、2月9日頃からペナントを形成しているように見受けられます。
先週終値はちょうど21日移動平均線に頭が当たった状態です。ペナントの上端でもあるので、次週月曜は陰線の順番となります。2月28日・29日・3月9日の安値を結んだサポートが85.9付近にあって、この値は一目均衡表の雲上端でもあります。このまま推移すると、5日後には遅行線が実体に当たってしまいます。
先行き示唆に乏しいチャート状態です。
【4-5-3. 現状テクニカル】
週レベルではほとんど動いていません。
RSIが正転換したりATRがマイナスとなったり、ジグザグな動きが現れています。こういう場合、テクニカル指標は役に立ちません。
【4-5-4. 現状ファンダメンタル】
株価上昇率が一定のまま金利差が広がっているものの、レートの変化がほとんどありません。
【4-5-5. 今週経済指標】
3月16日09:30に豪雇用統計が発表されます。
全体的に雇用情勢は良く、今回の新規雇用者数予想も前回より増加と予想されています。過去平均から言えばかなり大きく反応する指標ですが、前日未明にFOMCのため取引するかどうか迷っています。
きっと眠いし、発表時刻も仕事中だし、過去の分析に基づく傾向が当てはまるか疑わしいタイミングだし(そもそも上記のようにテクニカルもファンダメンタルも使えてないし)。
【4-5-6. 指標分析一覧】
A. 政策決定指標
A1. 金融政策
(1) RBA政策金利(2017年3月7日発表結果検証済)
(2) RBA金融政策理事会議事録(2017年2月21日09:30発表結果検証済)
A4. 物価指標
(1) 四半期消費者物価指数
(2) 四半期生産者物価指数
A5. 雇用指標
(1) 雇用統計
B. 経済情勢指標
B1. 経済成長
豪州経済自体は堅実に成長が続くと見込んでいます。がしかし、AUDJPYの反応はまだ暫く中国経済の見通しに影響を受けると思われます。
(1) 四半期GDP(2017年3月1日発表結果検証済)
B3. 実態指標
豪州は先進国で最も今後の人口増が期待される国です。人口増は消費指標や小売指標に対し長期的改善をもたらします。
B31. 消費
(1) 小売売上高(2017年3月6日発表結果検証済)
以上
4-6. NZ経済指標DB(3月11日更新)
【4-6-1. NZDの特徴】
NZは安定した経済成長が続き、NZDはスワップが大きいため、長期保有する人が多いようです。一方、スプレッドが高く、現地報道等の直接情報に触れる機会に乏しいため、相対的に短期取引には向かない通貨と言えるでしょう。
NZは経済成長率が2014年3.02%・2015年3.00%・2016年(2.77%:未確定)と高く、その裏付けが人口増・世界食糧需給見通し・燃料輸入負担減なので、中長期見通しはしっかりしています。
がしかし、NZDの取引規模が小さく、中国経済との関係が強く、資源国通貨(食糧、特に乳製品)にも分類されています。これらのことは、不意に大きくNZDが下がるリスクに備えなければならない、という意味があります。
また、中国・資源に関わる報道は国内でも目にするものの、米国・豪州・中国とNZの二国間関係や、乳製品需給に関する報道はあまり目にすることがありません。これらのことは、指標の動きを追うときに背景知識不足から、間違った解釈に繋がりかねないこと、を意味します。
さて、(一財)Jミルクという団体があります。そのHPに掲載されているグラフに依れば、現在は乳製品国際価格が上昇局面と見受けられます。もちろん、乳製品価格だけでNZDの動きが見通せる訳ではありません。
次に、NZ企業全体の業績を見るには、ブルームバーグHPのマーケット情報の項に株価という項があります。そこでNZX動向を見ると参考になるでしょう。直近5年は日米独豪のどこも右上がりと言って良いでしょう。がしかし、NZXの右上がりの仕方を見ると、米ダウに次いで凸凹が小さな右上がりの仕方のように見受けられます。正直、豪ASXや上海指数よりも、凸凹が小さな点は意外な気がします。
ここまで、あくまで参考として。
ここからは、ポジションは超短期保有が原則のアマチュア(当会メンバーを含む)に向けての話です。
投資の基本は、FXであれ株であれ何であれ、保有期間が長くレバレッジが高いほど、資本に対するポジション保有率を小さくしなければいけません。いくら中長期的に魅力がある通貨でも、遊ばせるほどの大金がなければ、中長期投資は貯蓄的投資法(レバレッジがない)しか庶民にはできません。
普通のサラリーマンがFXで取引するには向いていない通貨だと思います。NZDを取引するなら、反応方向を確認してから追いかけてポジションが取っても、大きくpipsが稼ぎやすい指標だけが適しています。それにはRBNZ政策金利発表時の取引だけしか薦められません。
【4-6-2. 現状チャート】
チャートはご自身がお使いのFX会社のものを参照願います。
日足では、1月27日高値・2月16日高値・3月2日高値を結ぶレジスタンス下での下降トレンド中です。現在は、下降トレンドのちょい上げのような形になっています。このちょい上げが今のペースのままだと、次は2-3日後(14日か15日)に80.8付近でレジスタンスに当たりそうです。
がしかし、移動平均線を見ると、21日移動平均線(↓)が90日移動平均線(↑)に13日には当たるでしょう。両線の勾配から言って、少なくとも一旦はデッドクロスしそうです。その結果、上記レジスタンスへの到達が遅れたり、再下降するかも知れません。
そして、一目均衡表では、現在値79.80から上昇すると、転換線80.20・基準線80.75がレジスタンスとなる位置にあります。5日後には雲のねじれが生じており、上記デッドクロス絡みで上記レジスタンス到達が5日後に遅延すると、雲のねじれ時期でレジスタンス上抜けの可能性を生じます。
ときどき、こうしたチャート上で示唆された現象がきちんとその通りに起きるから困ります。がしかし、チャートを後から見ると、分析が外れていても部分的に当たっていたりするので、後付け解釈がズルい気がして嫌なのです。
【4-6-3. 現状テクニカル】
先週木曜・金曜は日足陽線が続いた結果、週足では下降が減速したように見えます。がしかし、トレンド指標・転換指標・振幅指標ともに、大きな変化はまだ見出せません。
この表から何が読み取れるにせよ、現在の市場環境は細かな分析に従う状況とも思えません。今はFOMC利上げ後に上がるか下がるかだけで動く状況です。
【4-6-4. 現状ファンダメンタル】
現在はUSD中心で動いているため、NZDJPYの動きに両国金利・株価の影響は見受けられません。
【4-6-5. 次週経済指標】
3月16日06:45に10-12月期四半期GDPが発表されるものの、取引はしません。
【4-6-6. 指標分析一覧】
市場予想がほぼ的中し、且つ、それにも関わらず反応が大きい政策金利にだけ注目しておけば十分です。
A. 政策決定指標
A1. 金融政策
RBNZ政策金利の発表では市場予想がほぼ的中します。そして、他の中銀の政策金利発表時と比較して、「現状維持」のときに発表後の反応が一方向に続く傾向があります。反応方向を確認してから追いかけてポジションが取ってもpipsが稼ぎやすい、という特徴があります。
(1) RBNZ政策金利(2017年2月9日発表結果検証済)
以上